大日本帝國東京都 帝國議会議事堂衆議院第一委員室 2676(平成28・2016)年1月18日(月) 午前10時
帝国議会議事堂の内部には国民に知られている部屋がいくつかある。貴衆両院の本会議場や第一委員室の様子は日本国民であれば、一度は見たことがあるだろう。貴族院の本会議場は、天皇陛下の行幸を仰ぎ奉りて開院式が挙行される部屋であり、毎回の国会のスタートとなる部屋である。衆議院の解散においては、衆議院議長が解散詔書を奉読するが、この際には本会議場で全議員を前にしてこれを行うことが常例であり、解散の宣告が行われた後は、「前」衆議院議員一同が万歳三唱をするのが恒例となっている。貴衆両院にある第一委員室と言うのは予算委員会が開かれている部屋で、これまた国会中継ではよく放送されている。
帝國議会は前年の末に召集詔書が渙発せられ、当年の1月上旬に開会される。この1月に召集される議会を通常議会・常会と呼ぶ。通常国会において審議されるもので最重要なものが来年度予算案である。
帝國憲法第65條は「予算ハ前ニ衆議院ニ提出スヘシ」と定める。これを衆議院の予算先議権という。この権限に基づき通常議会が始まってすぐ毎年1月中旬には衆議院予算委員会において予算審議が始まる。
議院法第40條は「政府ヨリ豫算案ヲ衆議院ニ提出シタルトキハ豫算委員ハ其ノ院ニ於テ受取リタル日ヨリ三十日以内ニ審査ヲ終リ議院ニ報告スヘシ/各議院ハ已ムコトヲ得サル事由アルトキハ議決ヲ以テ審査期間ヲ延長スルコトヲ得但シ其ノ期間ハ通シテ七日ヲ超ユルコトヲ得ス」と定める。この規定により、衆議院においてはおおむね30日から33日程度、貴族院においては25日程度で予算委員会の審議が終わることになっている。
衆議院の予算委員会は委員75名を定員とする。衆議院の議員定数が723名であることから大体10%程度の衆議院議員が予算委員に選ばれることとなる。この75名の内訳は、衆議院の会派を比例した形で選出される。衆議院における会派とその現有衆議院議員の数は下記の通りとなる。
立憲帝政党 18 2.5%
立憲政友会 343 48.8%
立憲民政党 233 33.1%
日本社会党 96 10.2%
日本共産党 10 1.4%
無所属 2
議員定数から21足りないが、これは転移災害の際に外遊に出ていた議員が帰還困難となったからである。衆議院は、この帰還困難議員に対して議員失職という形を取らなかった。議員の家族が議員が死亡したという扱いをされることを拒否したからである。これにより、総議員の数は減じたが、議院の運営には支障がなかったため、補欠選挙や前回総選挙の繰り上げ当選という議員追加は生じていない。なお、このために選挙区の議員が実質的には減じている地域もあり、地元の代表を国政に送り込めていないということで、憲法で保障されている参政権の侵害に該当するとの疑義で枢密院に違憲審査の手続きが相次いだが、これはまた別の話となる。
上記の各会派の議席占有率を基にすると、予算委員会の委員の配分は、帝政党が2、政友会が37、民生党が24、社会党が10、共産党が1という配分となる。この配分で、予算委員会内での質疑時間も割り振られることとなる。
予算委員会に限らず、議会の委員会には委員会を運営する役職として委員長と理事が置かれる。予算委員会の場合は委員長と理事10名が置かれている。この理事を会派ごとの比率で割り振ると、少数会派の理事が存在しなくなる。委員会の運営から排除されているという批判を回避するため、帝政党と共産党にそれぞれ1名ずつ理事が割り振られ、残りの8名を政友会4人、民政党3人、社会党1人で分けている。なお、予算委員長のポストとは与党の議員が就くのが常例である。
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[午前9時45分より一時質疑中断。午前10時再開。]
〇安達委員長 質疑を再開いたします。この際、横山重徳君より質疑の申出があります。李君の持ち時間の範囲内でこれを許します。横山重徳君。
〇横山委員 立憲民政党の横山でございます。
本日は、対クワ・トイネ貿易、就中農作物輸入体制構築の現状と今後の増産に向けての課題について総理にお聞きしたかったのですが、時局急変の為別の質疑を行いたいと思います。
総理。1時間ほど前から帝國国内は大荒れとなっております。既に、報道でも大きく取り上げられております。複数の、いやこれは複数のというような言葉では片づけられません。帝國軍のあらゆる施設に計画的な査察が入った。まずは、この件についてご説明ください。
〇安達委員長 山上内閣総理大臣。
〇山上内閣総理大臣 えー、今回の査察に関しましては、先月の陸空軍の不正経理事件に関連しまして、軍の秩序を糺すという目的がございまして、関係各省並びに政府大本営間、省部の協力の下、軍の施設に対する一斉監査を図ったということでございまして、今回は定例の監査ではなく、随時監査の性質上、この件は極秘に行ったという次第でありまして、国民の皆様には驚かれたこととは存じますが、むしろ今回の監査を奇貨として、軍に対する信頼を猶一層厚くしていただきたいと思っております。
〇横山委員 いや、総理。総理は本日9時からの予算委員会にずっと出席していらっしゃったのでご存じないかもしれませんが、巷では大変な混乱が起こっているのですよ。
私の選挙区、宮城県仙台市には第二師団が衛戍してあるわけなんですが、この師団司令部が置かれてある青葉城址周辺は大変な混乱であると、地元の支持者の方から連絡が入っています。パソコンを現在差し抑えられているということで、仕事にならないと師団司令部の関係者が嘆いていると、こういう声も聞こえてきているんですよ。これは、国防上よろしくないのではないと思うのですが、どうしてこういうことが起こっているのか、せめて軍が通常業務を行うだけの体制は構築できなかったのですが、兵部大臣、如何でしょう。
〇安達委員長 大田原兵部大臣。
〇大田原兵部大臣 本件監査につきましては、その準備過程において幅広い各省庁からの応援を得て進めてまいりました。まず、兵部省としては、本件監査に当っては、予備役憲兵や予備役の経理部や法務部将校・下士官の召集を行いまして捜査人員の拡大に努め、検察官や警察官の応援派遣も依頼し、全国各軍駐屯地への一斉派遣を可能とするだけの人員を準備しました。しかしながら、これだけ大規模なものとなりましても、監査の為の人員を準備するにとどまり、通常業務を行っている軍関係者の目付役を準備したうえで通常業務は廻してもらうという体制をつくるには至りませんでした。
〇横山委員 今、大臣もおっしゃったとおり、全国規模で査察をやっておられるということなのです。ネットのつぶやきなどを見てもこれは同様で確かに全国各地で査察が行われているという感じです。しかし、総理。この間、軍の動きはストップしているということですよね。これでは、国防上大きな妨げになっている、そういう認識はないですか、総理、お答えください。
〇安達委員長 山上内閣総理大臣。
〇山上内閣総理大臣 委員、ご指摘の問題でございますが、帝国の治安維持は警察が担っておる所でして、警視庁並びに各道府県警察局が、日々帝國臣民の生活の安寧維持のために死力を以て当たっておられるところでござい(発言する者あり)
〇安達委員長 御静粛に。
〇山上内閣総理大臣 ますから、国民の皆さま一同には、全く心配することなく、日々の生活を暮らしていただければと、思っております。
〇横山委員 総理。それでは、答弁になっておりませんよ。私は、こんなふうに軍の動きをストップさせるような監査は国防上の問題があるのではありませんか、と問うております。
〇山上内閣総理大臣 国防上の問題ということであれば、これは即ち統帥上の問題と言うべきことでございますから、統帥部と事前・・・(発言する者あり)
〇安達委員長 御静粛に。ちょっと今答弁しているから、静かにしなさい。
大臣、続けてください。
〇山上内閣総理大臣 統帥の問題に関しては、その輔翼の責任は、統帥部に帰するところが大でございますので、統帥部に連絡してその意見を聴取したうえで、答弁させていただきたいと思っております。
〇横山委員 ただいまの総理の御答弁ですと、ちょっと問題ですよ。先ほど、総理は大本営とも協議の上で監査を実行したと、答弁されております。監査を実行するにあたり、その影響を全く政府・大本営共に事前に考慮していなかったということになりますよ、これは。もう少し、詳しい協議の状況を知りたいです。
〇安達委員長 政府委員、兵部省経理局長下田渉君。
〇下田経理局長 兵部省経理局長、陸軍主計少将の下田渉です。
本監査におきましては、私が起案して、大臣の決裁を取りました。その際ですが、大本営側とも各統帥部とも連絡協議の上、憲兵司令官に対して監査計画実行の下命を致しました。先ほどの兵部大臣の答弁にもありましたように、本件監査に関しましては、その作業人員の確保を念頭としておりました。その上で、ですが、省部との間には、監査中の軍部隊における司令部や連隊本部の経理関係、即ち金穀出納に関わる書類、これは紙媒体のものも電子媒体のものも含みますが、これらの書類の監査を行う以上は、これらに関する業務につきましては、これの続行を停止させることは、監査の本旨からして至極当然であると認識しております。ですが、軍部隊の訓練や防空部隊のレーダー監視といった経理監査に直接関係ない軍の業務に関しては、これを掣肘しないようにということで、省部、すなわち兵部省と参謀本部、軍令部、作戦本部との了解は得たうえで、監査は実施されております。従いまして、委員の御指摘にありますような、軍の動きがストップするような事態に陥ることが無いよう、必要な配慮を行ったうえで、監査は実行されているものと、兵部省としては認識しております。
〇横山委員 下田少将閣下。追加説明ありがとうございました。
閣下の御認識はさておき、軍の現場では、今大変な混乱が起こっているという事実は御認識頂かねばなりません。たった今、配信されたネットの記事ですが、『佐世保鎮守府において皇軍相撃の一触即発。鎮守府正門前、海軍兵歩哨と陸軍憲兵が押し問題。』という記事が確認されております。海軍の水兵が監査を聞いていないとして、憲兵の侵入を押しとどめるという場面があったということを記しております。私はこの記事を見る限りですが、軍には相当な混乱が起きているのだと思っています。軍の実戦部隊が混乱する。総理、再度お伺いいたします。軍の混乱は、帝国の安寧に影響大と私は考えますが、帝国宰相は、軍も含めたうえで、帝国の安寧に責任を持っている者と認識しておりますが、政府の見解をお伺いしたい。
〇安達委員長 山上内閣総理大臣。
〇山上内閣総理大臣 先ほどから申し上げておりますように、統帥の問題に関しては、その輔翼の責任は、統帥部に(発言する者あり)
〇安達委員長 御静粛に。御静粛に。ちょっと、理事は集まってください。速記を止めて下さい。
[午前10時10分より一時質疑中断。]