大日本帝國召喚   作:もなもろ

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大本営の組織は統幕監部と参謀本部や軍令部を参考にしました。


大日本帝國東京都 大本営庁舎 総務部総務課長室 2676(平成28・2016)年1月18日(月) 午前10時20分

 大本営は、外国軍の統合参謀本部に相当する軍の官衙であり、元帥府に列せられた陸海軍大将によって補職される大本営総監が司る。その所掌は、帝國陸海軍及び陸海軍航空隊の統合運用による円滑な任務遂行を図る見地からの国防に関する作戦計画の立案に関すること、帝國陸海軍各軍の作戦計画の立案に関すること、作戦計画に必要な教育訓練、編成、装備、配置、経理、調達、補給及び保健衛生並びに帝國軍の人事及び補充の計画の立案に関すること、兵部大臣の定めた方針又は計画の執行に関することなどの事務である。

 大本営の組織は、総務部、第一部、第二部、第三部の4部体制となっている。総務部は、官房業務や大本営の予算、職員人事、教育等を担当する。第一部は、陸海軍統合運用に関する調整、必要な編成、装備及び配置計画と部隊の訓練等を担当する。第二部は、統合運用の見地からの兵力及び装備の整備の指針等を担当する。第三部は、統合運用の見地からの補給、整備、輸送及び保健衛生等を担当する。

 大本営総務部は、官房業務や大本営の予算、職員人事、教育等を担当する。予算を担当している関係上、政府方面とのやり取りがある。以下、大本営総務部の内部組織は以下のとおりである。

 

大本営

大本営総監(元帥陸海軍大将)

大本営副総監(元帥陸海軍大将)

 ー

総務部

総務部長(陸海軍中少将)

  総務課

  課長(陸海軍大中佐。以下課長は全て同じ。)

    副官

    総務班(班長・室長は陸海軍中少佐。以下班長は全て同じ。)

    渉外班

    庶務室

    連絡調整室

    広報官

    主計官(陸海軍主計中少佐)

    軍医官

    法務官

  人事教育課

課長

    人材育成班

    補任班

    計画室

    制度室

 

 ―――――

大日本帝國東京都 大本営庁舎 総務部総務課長室 2676(平成28・2016)年1月18日(月) 午前10時20分

 

「あの、アホンダラ共がっ!」

 

 大本営総務部総務課長の東博樹陸軍大佐は受話器を本体に投げつけるようにして置き、憤慨していた。彼には一杯食わされたという思いが強い。異世界転移と言う国難を前にして、政府と軍は協力して事に当たってきた。その危機が去ったかと思えば、こうして圧力をかけてきた。

 

「政府のやり方はどうもけしからんですな。」

「全くです。これでは、今後政府に協力することは難しいですな。」

 

 東大佐に同調するのは、総務課総務班長の呂蓮生陸軍航空少佐と連絡調整室長の寺田正明海軍少佐であった。大本営に配属される将校は、いずれもエリート中のエリートばかりである。陸軍士官学校、海軍兵学校、陸軍航空士官学校の軍学校3校を上位の成績で卒業し、陸軍大学校、海軍大学校、陸軍航空大学校を修了した将来の将官クラスの人材ばかりである。大本営は、統合運用の為に陸大、海大、航大に統合運用の課程を設けており、各大在学中の3年次に試験を課している。

 

「海軍の方で運用を予定していたあれもお蔵入りでしょうな。」

「まあ、必要な予算が臨時監査の為にポシャッたんだからな。もともとは来年度に向けて先行実験していたにすぎないし、第一そのころには撮影も終わっているんじゃないのかね。」

 

 寺田海軍少佐が答えた運用予定していた案件とは、フェン王国における通信障害発生時の通信不能状況を改善する施策であった。通信障害を発生させる魔素は大気中に存在するが、おおよそ大地に留まっている。そこで、海軍の海防艦や潜水艦をフェン王国近海に送り、通信障害の発生時には通信棟の代わりをさせることで、通信を中継させようというのであった。

 

「軍内部だけの検討材料でよかったな。」

「ええ、政府の助けになればと思い、第一部で軍令部と協議していましたが、これで軍令部のほうも軍艦を通信棟代わりに使用しようという大本営の主張には首を縦に振らんでしょう。もともと軍令部の連中は反発していましたからね。」

 

 当初、軍令部は軍艦の無線装置をwifi代わりにしようという我々の原案に反発した。原案では、海防艦や潜水艦だけではなく他の軍艦をも使用することを予定していたからである。軍令部第一部員(作戦を担当する部署)は、「国防の為の兵力であり、大元帥陛下からお借りしている兵器を無線局代わりにするとはなんたる言い草だ、大本営の連中はそこまでして政府に媚びを売るのか」ということで顰蹙を買っていた。それでも、粘り強い交渉を進めた結果、艦種に菊花紋章を頂く大日本帝國海軍における独自の定義としての「軍艦」は運用しないが、それ以外の「艦艇」ならば試験運用の余地はあると態度が軟化した。

 大本営と軍令部の協議により、大本営の職員がフェン王国に赴き、通信障害発生時に、海岸近くに行って、通信を試みる実験を開始した。その成果は現れ、海防艦は大本営職員の通信を拾うことに成功した。ただし、フェン王国の領海外にいた帝國海軍の海防艦が直接通信を拾ったのではない。フェン領海内に侵入した帝國海軍の潜水艦が潜望鏡から通信筒を出して通信を拾い、その通信をリレーしたので、海防艦が通信を拾うことができたのである。

 この結果に大本営側は、これ以上の実験継続は難しいと考えたが、軍令部側はそっちが言い出したことではないかと実験継続を希望した。するとそこに、陸空軍による領空侵犯事件が起きて、軍令部側もトーンダウンした。軍令部側は、フェン駐在の武官を通して通信障害時に海軍の潜水艦の一時的でかつ特殊な無害通航権を提案しようと主張した。潜水艦が無害通航をする場合は海面上を航行して国旗を掲げるなどの条件があるが、潜水したまま無害通航を了承してもらおうというのである。大本営側がそれは無害通航ではないと、軍令部側に反駁したため、この話は立ち消えになりかけた。しかし、フェンにおける通信障害の状況は次第に悪化しつつあり、高層電波塔を建設したい逓信省と一時保留の立場を崩さな文部省との間で意見の衝突があり、海軍の軍艦を使用するという方策が今のところ、現実的であるという話が軍内部でまとまりかけた。

 それを中止させたのがこの一斉監査だった。これにより、通信実験にかかる予算が回され、実験再開は一時延期するということになった。

 

「寺田君。来年度の実施を見込んだ予算を軍令部に計上していたけど、あれ別のことに使うように軍令部に指示出しておいてね。」

「こう言っては何ですが、本当によろしいのですか。第一部の判断を待たなくても。」

「かまわんよ。政治状況が変われば、その時はまた予備費で対応すればよいさ。今は、ここでガツンと軍の意思を表す必要がある。あとで、逓信省のほうには連絡する。」

 

 政策は内々に進む。軍内部で動いているとは言っても、オフレコで関係各所には根回しをする。この話は民間通信規格に関する問題もはらむため、逓信省に話は通していた。逓信省側からは歓迎の声が挙がっていたが、このタイミングで中止となれば、その原因は明らかであろう。政府と軍の緊張状態は今しばらく続くであろう。

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