大日本帝國召喚   作:もなもろ

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東西新聞朝刊 2675(平成27・2015)年3月2日

クワ・トイネ公国公使館開館式本日挙行

 初代駐日公使にライムライト=オランゲ氏着任

 

 3月1日にクワ・トイネ公国に於て日鍬両国が先月署名した条約の批准書の交換式が行われ、その際に3月3日を以て条約が発効されることが確認された。明日の午前0時を以て両国に国交が樹立される運びとなった。クワ・トイネ公国の公使館は、東京元麻布に存在するオーストリア=ハンガリー帝国大使館に隣接する土地に設置されることとなり、先月半ばに着工され、本月末に完成する見込みとなっている。公使館建設が終わるまでは、オーストリア=ハンガリー帝国大使館の一部を借り受けて、業務を開始する形となり、日本国内における電子機器などの使用方法や法令についての通読をオーストリア=ハンガリー帝国大使館職員が教示する運びとなっている。

 初代の日本駐箚公使に選任されたのは、先月日本視察団の一員として来日していたライムライト=オランゲ氏で、本日宮中に於て信任状奉呈式が挙行される運びとなっている。

 

 

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東西新聞社説

 本年1月16日に我が国が新世界に転移したことを理由として、帝國政府は1月18日に帝國議会を停会した。停会そのものの理由は確かに理解できる。確かにあの時点では、海外からの情報が突然に遮断され、衛星からの情報が途絶し、各種システムに大きな被害が出た。金融市場はロンドン、フランクフルト、ニューヨーク、パリ、モスクワ、香港の各市場と連絡が取れなくなったことで大混乱に陥り、多くの投資家が損失を記録した。日本近海を航行していた船舶以外からの連絡が途絶し、輸出入企業には大きな損害が発生した。時局急を告げる秋であったがために、帝國政府の停会の判断は間違いではなかったといえる。

 大量の緊急勅令の施行による経済に対する統制も一定の評価が与えられてしかるべきだという声もまた理解できる。与党政友会の山上内閣の施策に対する強力な後押しも内閣提出の緊急勅令案をほとんど無審査で通した枢密院もまた早急な時局収拾をという錦の御旗があったからこその評価は与えられてしかるべきである。

 しかしながら、だからこそ事後の審査は慎重かつ丁寧なものでなくてはならない。畏くも帝國憲法が緊急勅令に対して事後の審査という形で帝国議会の協賛を規定しているのも事後の審査をしっかりせよとの大御心の御業たるところではないだろうか。

 山上内閣は今般施行せられたる18個にも及ぶ緊急勅令を1件1件審査するのではなく、18勅令を一括して審議の対象とした。各勅令を所管する常任委員会に割り振って丁寧な審査をすることなく、予算委員会への一括審議のみを以て委員会審議を通過させ、本会議でも2月27日のわずか一日の審議で採決を実施するに至った。これでは、議会軽視ではないか。このような議会運営では衆議院は憲法に定められたる協賛の任を果たしたとは到底言えまい。貴族院の審議では拙速になることなく慎重な審議を望みたいところである。

 また、政府の性急な施策によって被害を被った者に対する補償もまたあってしかるべきではないか。法令を知らなったことを以て責任を問わざることを得ずということは確かに理解できる。しかし、緊急勅令施行による混乱で行政指導を受けたスーパー川井は取引先との関係悪化に苦慮しているようである。法の不知に対する責任を軽んじて一企業を救済せよと本紙は申し立てているのではない。一企業であると言えども労働者の雇用を守り、以て経済安定に努めることもまた政府の責任の大なるところではなかろうかとうところが主題なのだ。

 

 

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