大日本帝國召喚   作:もなもろ

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筆者は、鉄道敷設について、工事そのものにどれくらいかかるのか、把握してませんが、測量と工事だけで、住民の同意を得るなどの手順をすっ飛ばし、月月火水木金金の昼夜交代制で取り組めば、結構な距離の鉄道が引けるのではないかと思いますがいかがでしょうか。


クワ・トイネ公国マイハーク港西部日満共同租界 中央暦1639年3月5日午前11時

 3月3日午前0時の日鍬修好通商航海条約と日鍬経済文化振興協定の二条約の発効と同時にマイハーク港の西部に展開していた日本船籍の貨物船や日本海軍の駆逐艦・海防艦から海岸部に対して一斉に大量の光が照射された。昼間と見まがうばかりの明るさのなか、日本海軍の揚陸艦から大量の上陸用舟艇が海岸に到達する。舟艇に搭載されているのは、ブルドーザーや油圧ショベル、トラックなどの土木建設用機械の数々である。これらの動きと同時にいくつかの浚渫船は海底を浚い、水深を深くすると同時に、港湾建設に向けての準備に取り掛かった。貨物船はクレーンでコンテナを降ろし、さまざまな機材を上陸させる。

 日本政府は、マイハーク港西部の開けた土地を租借地として借り受け、クワ・トイネ開発の拠点を急ピッチで建設する計画を策定し、実働部隊たる工員に昼夜交代制のシフトを引かせるために雇用助成金を工員を雇用する各企業に配布することを決定した。現状は予備費からの支出となっているが、既に平成二十七年度予算の修正を衆議院に提出し、今月10日ごろに可決の公算大となっている。貴族院も事前協議で3月末までの可決成立を目指すことを大筋で了解している。

 各企業に応募した工員の数は3千名であり、その第一陣である500名は、二回目の上陸用舟艇でクワ・トイネの土を踏む。この工員に交じって、日本陸軍の工兵部隊が上陸を開始した。上陸するや否や、工兵隊は作業を開始する。工兵隊は二手に分かれて作業を開始する。工兵隊の最大の任務は、野戦軽便鉄道の敷設である。国内の安全基準は度外視して穀倉地帯に向けて鉄道を敷く。このために事前に行われていた測量を頼りにして敷設に向けた準備に取り掛かる。もう一隊は簡易の発電機械の設置である。火力・原子力の発電施設の建設には時間がかかる。そのため、太陽光であろうが、風力であろうが、水力であろうが暫定的に使用できそうな電源を片っ端から設置する。護衛目的に派遣されている歩兵部隊もこの作業に協力する。

 こうして、二日が経ったころ、マイハーク港西部をクワ・トイネ公国首相のカナタ以下閣僚や第二艦隊司令のノウカ以下の幕僚が視察を許された。

 

―――――

 

「これがマイハークの西部の何もなかった平野の今ですか・・・。日本国の力というものはすさまじいものですな・・・」

 

 この二日で何もない平野であったマイハーク西部の土地がすっかりと変化しているのを見て、カナタは驚きの声を挙げる。海岸には、大量のコンテナが置かれてあり、建設機械のブルドーザーなどが動く音で周辺は物凄い騒音となっていた。陸地にはプレハブ小屋が立ち並び、河川には大きな水車が所狭しと並び回転していた。トラックが未舗装の道路を砂煙を上げて走りまわっていた。

 

「既に、計画の初期段階である電源・通信設備の設置は済みました。本格的な発電所建設につきましては、将来クワ・トイネ公国の方々も利用できるように租借地の外に作りはじめます。租借地以外にもクワ・トイネ公国の経済強化策を実施するためには発電量が心もとないのが現状です。発電所建設にも早急に取り組む所存です。」

 

 案内役の建設省総合政策局田辺国際政策課長が説明を行う。現地での指揮を取るメンバーは各省の課長級から選出されており、建設省のほかにも運輸省、逓信省、兵部省、農務省、通商産業省から出向者が現地入りをしていた。

 

「道路がしっかりと固められておりますな。しかも非常に硬い。」

 

「はい、アスファルトという石油からできた資材を使って、道路を固めております。これがために雨が降っても地面がぬかるまないようになっております。」

 

「あの、二本の線は何なのですか?」

 

「あれは鉄道の線路です。あの上を電車が走ることとなっております。」

 

「あれが、鉄道ですか。ハンキ将軍からの報告にもありましたね。我が国にも鉄道が走るのですか・・・。」

 

 カナタは感慨深く線路を眺める。ハンキ将軍が帰国後に行った口頭での報告会には、日本や満洲から持ち帰った映像機器を使用して、静画や動画での説明会が行われ、日満の高い技術力や高度な文明が紹介されていた。そこには当然鉄道の姿もあった。

 

「近い将来旅客も可能とする頑丈な鉄道を建設させていただきます。まずは、我が国の都合で申し訳ないのですが、無人の輸送列車を運行するための簡易な鉄道を引かせてもらっております。」

 

「いや、貴国が求める食料の量を我が国のやり方でここまで大量に運ぶのは不可能です。それに貴国の持つ文明を我々も理解し、習得する時間が必要です。いずれは、我が国の力だけで鉄道を引きたいと思っております。」

 

「その際には、我が国もお手伝いをいろいろとさせてください。国民を飢えさせる心配がなくなりましたのは、ひとえに貴国の存在あってです。わが国は貴国の恩義に応えるために様々な援助を行う予定があります。そして、わが国民も危急の時に助けてくれた貴国を忘れないでしょうから、これからもいろいろと交流が深まっていくこととおもいます。」

 

「そうありたいものです。」

 

 カナタ首相は大きな音を立てて土を掘る油圧ショベルを見て、日本国が友好国でよかったと心から思った。あのような機械を持つ国と戦っても勝ち目はない。ハンキ将軍からの報告だけでは、理解が及ばなかった部分もをこの目で確かめることができ、実感としてそう思うことができたのだ。

 

「今後は工区分割方式、つまり基点とするこの地域から延々と工事していくのではなく、ある程度の距離で分割して、担当地域を定めて一斉に工事を進めていきます。この工事の際ですが、このような形でどうしても大きな音がします。本国政府からは、工事建設には極めて速いスピードを指示されておりまして、昼夜問わず工事を行う形となっておりますので、沿線住民の方々にはご不快な点を多々与えてしまう形となりますが、誠にご容赦いただければと思います。」

 

「ええ、それについては、内務卿より建設沿線地域の住民には連絡を行っております。数日間の辛抱とのことですし、こちらとしても立派な道路を後日利用できるのです。あまりうるさくは言わないでしょう。」

 

「ご協力に感謝いたします。感謝の意を込めてですが、本国より馬車の構造について貴国の現在の工業技術でも可能な改善案をお渡しするよう言われております。設計図をお渡ししますので、担当となる部署の方をこちらまでよこしてください。またできれば、技術者の方々をこちらまで同行させていただけると、口頭でも説明ができると思います。」

 

「こちらの技術力に合わせての技術指南に感謝いたします。早急に人員を選抜してマイハークまで送らせていただきます。」

 

 カナタ以下閣僚一同が謝意を述べる。軍務を司るコンボウ軍務卿が話に割って入る。

 

「ところで、田辺殿。貴国の優れた武器を売っていただくわけにはいきませぬか。」

 

「申し訳ありません。私は武器については管轄外でしてお話しできる権限がありません。窓口については、本国のほうになりますので、貴政府より駐日公使に指示を出して、話し合いを始めてはいかがでしょうか。」

 

「いや、これは失礼した。確かに田辺殿は建設省の方でしたな。もちろん、公使には指示を出して交渉を始めておる所です。しかし、クワ・トイネの存亡がかかっておりまして、皆様のほうからも本国にお伝え願えませぬか。」

 

「存亡とは、穏やかではありませんね。私も多少のことは耳に入っていますが、隣国との関係はやはり・・・」

 

「そうなのです。どうも、国境付近の動きが怪しく感じられるのです。我々としては、日本の力を借りて、軍備を増強したいと思っておる次第です。それもできるだけ早くにです。」

 

「そうなのですか・・・。わかりました。本国には通信を送っておきます。できましたら、駐鍬日本公使からも本国に通信を送るように頼んでもらえますか。いろいろな部署から連絡があるとやはり、事の信憑性というか重要性が増しますので。」

 

「承った。外務卿、至急公使殿と面会して話を通しておいてもらうように話をしてほしい。」

 

「了解した。首相、よろしいですね。」

 

「もちろんです。日本国の助けが得られるのであれば我が国としても非常に助かります。」

 

「今月10日には、満洲国とも国交樹立の条約が発効されると伺っております。満洲国の方にも支援の要請をしてみて下さい。満洲国は、歴史的な経緯から陸軍が強い国家です。ひょっとしたら、武器弾薬に余裕があるかもしれません。」

 

「了解しました。これで多少なりとも展望が見えてきました。」

 

 クワ・トイネの閣僚の顔に安堵の色が見え始めた。対ロウリア戦の希望が見え始めたといっても過言ではない。早急な防衛計画の手直しが必要であると軍務卿は思った。

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