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ロデニウス大陸の平和維持及び情勢安定化に関して大日本帝国と満洲帝國との外務大臣兵部大臣外交部大臣軍政部大臣が合意した外交活動指針
プレスリリース:2675(平成・興信27、2015)年3月22日
侯爵徳川義輝外務大臣
大田原信頼兵部大臣
森山直次外交部大臣
ローベルト・コチェルキン軍政部大臣
2675年3月22日に東京で開催された大日本帝国及び満洲帝国の外務大臣兵部大臣外交部大臣軍政部大臣会合において、閣僚は、ロデニウス大陸の平和維持及び情勢安定化に関していくつかの措置を決定した。
1.基本合意事項
日満外交国防担当閣僚は、ロデニウス大陸の平和を維持し、情勢の安定を図るためには、両国が切れ目のない、力強い、柔軟かつ実効的な両国共同の対応を行っていくことが重要であることを確認した。
日満外交国防担当閣僚は、ロデニウス大陸の平和維持及び情勢安定化に関しては、その主たる実行責任は、クワ・トイネ公国及びクイラ王国の両国が負うものであるが、現在の情勢は当該二か国の努力に依拠するのみでは目標の達成が困難であることを確認した。日満両国政府はこの事実を厳粛に受け止める必要がある。
日満外交国防担当閣僚は、ロデニウス大陸の平和維持及び情勢安定化を達成するためには、日満両国は確立された国際法規に依拠して行動することが重要であり、日満両国政府が現に批准したる条約、協定、議定書、宣言その他名称の如何に関わらず効力を有する国際的な取極は凡そ遵守して行動せらるべきことを確認する。
日満外交担当閣僚は、鍬杭両国政府及び外交当局との間に緊密なる連絡体制の構築が必要であることを確認した。体制構築のための必要となる措置は、鍬杭両国に対して即時に申し入れ実行されなければならないことを確認する。
日満国防担当閣僚は、鍬杭両国の安全保障に強い関心を抱いていることを確認した。ロデニウス大陸における不安定な軍事バランスの是正に向けた鍬杭両国軍隊に対する効果的な防衛方針策定に関しての助言は速やかに実行されなければならないことを確認する。
2.基本合意事項を達成するために政府及び立法府に働きかけるべき個別的な方針
日満外交国防担当閣僚は、ロデニウス大陸の不安定状態が主としてロウリア王国の行動にあることを政府及び立法府に認識させるとともに立法上、予算上及び行政上の各種効果的な措置を取らしむための個別具体的な方策を提案し、実行し、また実行を促すべく積極的な働きかけを行わなくてはならない。
日満外交国防担当閣僚は、ロウリア王国の行動の掣肘に関しては、より一層強い態度で臨むべく政府の諒解を取り付ける必要があることを確認する。ただし、その行動は、鍬杭朗間の更なる緊張を誘発するものであってはならない。
日満外交国防担当閣僚は、日満両国が鍬杭両国との間に相応可能な連絡体制を構築せざりしことを強く憂慮し、鍬杭両国政府、外交当局及び国防当局の同意を以て至急連絡体制を構築するべく通信設備の提供と必要な電源設備の建設を実行する。本件は可及的速やかにまた本格的な設備の建設と同時に臨時応急的な設備の導入を実施しなくてはならない。
日満外交担当閣僚は、ロウリア王国政府の開戦を抑止すべく国交を樹立せる友好国に働きかけ、国家間の連帯を強めるとともにロウリア王国政府に対して開戦を断念させるよう共同して勧告を実施する準備を始めなければならない。
日満外交担当閣僚は、鍬杭両国の防衛のための日満両国国軍の駐兵権を獲得すべく鍬杭両国に働き掛けるように準備を始めなければならない。
日満国防担当閣僚は、鍬杭両国の防衛のため日満両国国軍の動員を開始すべく政府及び立法府に必要な施策を実施するよう働きかけを始めなければならない。
日満国防担当閣僚は、鍬杭両国の防衛のため日満鍬杭四か国からなる連合軍司令部を設置すべく両国政府に対して報告するとともに鍬杭両国国防当局と必要な交渉の実施を始めなければならない。
日満国防担当閣僚は、鍬杭両国の防衛のため日満両国国軍の編成を開始し、速やかな部隊の展開を実現すべく軍令機関と調整の開始を始めなければならない。
以上
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(非公開資料)
日満外交国防関係閣僚会合下位機関軍事部門小委員会における決定
計画策定日:2675(平成・興信27、2015)年3月20日
日満軍令機関は、日満外交国防担当閣僚会合の合意した外交活動指針を受けて、鍬杭両国の防衛のために派遣する日満両軍の編成について協議し、両国が凡そ以下の内容の編成を為すべきことに合議した。
一、陸海空統合軍司令部の在り方について
今次作戦で予想される戦域は、陸上の戦域がギムの街西方に築城せられたる城塞近辺となり、海上の戦域はロウリア王国軍港カルーネスからクワ・トイネ公国マイハーク港を結ぶ海域のどこかということになる。このふたつの戦域は重複しておらず、連携しての作戦もないと判断されるので、日満連合軍の統合軍司令部設置の必要性はないと判断した。
二、個別の戦域司令部の在り方について
陸軍の軍司令部と海軍の艦隊司令部とを設置し、それぞれの戦域を統括せしむ。それぞれの戦域を統括する司令官は一人とし、同格の司令官を置くことをしない。
陸軍の軍司令部には多国籍で構成する参謀部を設置する。参謀長は司令官を務める国より選出する。但し、副参謀長を置き、これを他の国籍の陸軍軍人より選出する。参謀部には各担当につき両国の参謀を同数配置する。
海軍の艦隊司令部の参謀は司令官を務める国の参謀を充てる。ただし、他の国籍の参謀を一名以上編入する必要がある。
三、作戦活動に必要とされる兵力量についての軍令機関の意見
日満軍令機関は、今次作戦に必要とされる兵力量について以下の如く政府に意見する。
陸上戦力
日本軍が陸上戦闘に於て投入すべき兵力量
一個師団
満洲軍が陸上戦闘に於て投入すべき兵力量
二個師団
海上戦力
日本軍が海上戦闘に於て投入すべき兵力量
戦艦1隻
空母1隻
一等巡洋艦1隻
二等巡洋艦1隻
駆逐隊2隊
満洲軍が海上戦闘に於て投入すべき兵力量
二等巡洋艦1隻
駆逐隊1隊
この他陸軍部隊を輸送するために必要な輸送艦揚陸艦その他艦船は陸軍部隊の必要量に応じて投入すべし。この護衛については日満両国共同して護衛部隊を編成すべし。
航空戦力
日本軍が海上戦闘に於て投入すべき兵力量
一個制空戦隊
一個戦闘攻撃戦隊
満洲軍が海上戦闘に於て投入すべき兵力量
一個飛行師団
四、作戦行動実施時期
本隊の派遣は日満両国政府に於て「派兵」が正式に決定されるまで時間を要する。また立法府における予算上の措置もまた必要となるため、時期を逸する虞あり。従って、日満軍令機関は応急措置として、先遣隊をクワ・トイネ公国内日満共同租界に「派遣」すべく必要な措置を実働部隊に命令す。
この場合に於て、実働部隊員の「派遣」に際しては、部隊員にクワ・トイネ公国への「出張」命令を発令したり、或いは「有給消化」の名目で部隊員にクワ・トイネ公国への「旅行」を申請させるなど各種の合法的手続を活用すべきことに注意を要する。
五、担当戦域について
(一)にも記載した通り、日満両国軍令機関は、ロウリア王国の動向を監視した結果、かの国の陸上戦力は開戦劈頭ギムの街を襲撃する可能性が高いと判断した。
ギムの街は、クワ・トイネ公国首都に繋がる街道上にあり、またギムの街より南に延びる街道はクイラ王国国境に接しているためである。ロウリア王国とクイラ王国とをつなぐ街道は狭く大軍が通るに適しておらず、50年前の戦争の際もクイラ王国軍はロウリア王国軍を隘路を以て退けたる実績がある。このため、ロウリア王国軍は、ギムの街を陥落させたのちに、ギムの街から延びる街道を利用してクイラ王国に攻め込む可能性が高いと判断した。よって、鍬杭両国防衛のためには、日満両軍はギムの街を死守すべき状態にある。
本作戦に対しては、日満外交国防担当閣僚会合の予想される合意内容を鑑みると、予防戦争は不可とされる可能性が高く、先制攻撃は許容されない。よって、受動的な対処を必要とする。
上記状況に対して、派遣陸軍の戦域はギムの街周辺地域に設定し、派遣軍司令部をギムの街に設置する。派遣軍司令官には満洲帝国陸軍将官を以てこれに充てる。
海上における戦闘は、(一)にも記載した通り、ロウリア王国軍港カルーネスからクワ・トイネ公国マイハーク港を結ぶ海域となる。マイハーク港西部地域には日満共同租界があり、これに被害が及ぶことは絶対に避けなくてはならない。よって、ロウリア王国海軍との決戦は日満連合軍によって戦闘地域が設定されなくてはならず、その戦闘行動は能動的に実施されなくてはならない。
上記状況に対して派遣される艦隊の戦闘行動は政府より凡そ自由な行動が許可されると思慮さるるも努めて人道法規の遵守を要求さるるものなりと予見される。このため、戦闘地域は、ロウリア王国に近い場所での戦闘となり、敵を撃滅するのが方針ではなく、侵攻を断念させることに主眼が置かるるものと判断される。
動員される艦船の規模を鑑み、派遣海軍の艦隊司令長官には大日本帝国海軍将官を以て之に充てる。
以上
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