大日本帝國召喚   作:もなもろ

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長い長い戦いもようやく終わりました。

アンケート終了しました。今回も多数のご参加ありがとうございました。逃亡が予想外に多かったですが、やや届かずでした。

アデムの処遇について。(今後の展開に関わるものです)
戦死 10 / 37%
捕虜 9 / 33%
逃亡 8 / 30%
その他(感想欄まで) 0 / 0%




クワ・トイネ公国西部都市ギム西方防衛陣地 中央暦1639年4月12日午後5時30分

 ――――――

ギム防御陣地本陣・総司令部

― 西部方面騎士団団長副官クレマン・ジラール

 

 モイジ団長がこちらに歩いてくる。敵は魔法騎士とはいえ人間だ。よく戦ったとは思うが、獣人と人間の差はやはり大きい。

 

「なんとか敵を倒すことができました。いや最後はどうも自滅のような感じでしたので、後味が悪いのですが。」

 

 歯切れの悪い言葉だ。確かにそのとおりだった。敵の騎士は最後の方は力が抜けるような形で倒れて動くことができなくなった。魔力を使いすぎたからであろうか。しかし、騎士団長ともあろうものがその辺の調節を見誤ったとはどうも考えづらいが。

 

「ご無事で何よりです。総司令官の権限をお戻しいたします。」

 

「そうでしたね。では、参謀長。これからのことについてなのですが。」

 

「はい。それについて話す前に、本国より重要なデータが届きました。スクリーンに映しますので、司令部天幕内にお願いします。」

 

 ・・・

 天幕の中に入ると、スクリーンの準備ができていた。モイジ総司令官がスクリーン正面の席に座る。前線の戦闘そのものは我々が今押しており、緊急の報告は入っていないようだ。

 

「では、確認いただきます。ご覧の通りですが、我が国は転移した当初パーパルディア皇国と国境を接しておりました結果、あのリントヴルムについては何度か遭遇しておりましたようです。」

 

 スクリーンにリントヴルムの姿を納めた画像が数点写る。明らかに我々が対峙したような個体ではなく、むしろ少し大きな個体が写っているようにも見える。

 

「そうでしたね。満洲国はフィルアデス大陸のリーム王国があった位置に転移してきたと聞いています。その時に周辺と緊張状態にあったとも。最も今は北のほうのマオ王国とは国交を樹樹立し、パーパルディアとは小康状態にあると伺っております。」

 

「その通りです。そして奇怪なのは次の映像です。ご覧ください。」

 

「・・・これは・・・。機関銃の銃撃でリントヴルムがやすやすと倒されている?どういうことだ?」

 

 驚いた。映像に映った銃火器は、普通の歩兵が扱う機関銃だ。確か口径は攻撃ヘリの20mm機関砲よりも小さいはず。口径の大きさが威力に関わると聞いている。我々の初めの攻撃は無効だったはずだ。それがどうして。

 

「詳細はわかりません。ですが、こちらの戦闘状況とは一致しません。何かこの映像からわかることはございますか?」

 

「うーむ・・・。そういえば、映像からはリントヴルムをまとっていた魔素が確認できませんね。魔素は映像には映らないのですか?」

 

「なるほど・・・。それについては、詳細は分かりませんね。先ほど双眼鏡でご覧いただいたように、レンズを通して魔素を確認できることは分かっています。ですが、映像に納めたときに残るのか。そのあたりはやはり分かりませんね。」

 

 なるほど。日満人には魔素が見えない。ということは日満人が作成した映像を取る機械に魔素が写るかどうかは確かにわからない。

 

「しかし、わかっていることがあります。敵はあのリントヴルムを前に押し出して、こちらの陣地の突破を図ろうとしてきました。しかも、午前中の戦闘の後にです。ということは、銃火器の威力を確認したうえで、何らかの準備を必要としたとも考えられます。」

 

 なるほど・・・。気になってみたことを聞いてみる。

 

「あれが、リントヴルムではないという可能性はないでしょうか。姿かたちはリントヴルムに酷似しているが、別種の生物であったとか?」

 

 日満の将軍とモイジ総司令官が私を見る。なるほど。そういう見方もありうるか、という声が聞こえる。モイジ総司令官が発言する。

 

「いずれにしても、今考えたところで答えは出ませんし、今の時点で重要なところはそこではありません。重要なことは、敵も『リントヴルムを先頭に押し出した時に我々の攻撃が一部無力化されたことを知っている』ということです。早急に本陣を攻略して、敵司令部の人員を拘束し、今回の戦闘についての戦訓を本国や後続の本隊に渡さないことが重要と思います。幸いにして我々が今押しています。本陣への攻撃を提案したいとおもいますが、幕僚の方々はどうお思いでしょうか。」

 

 なるほど。確かに敵にとって今回の戦闘で得られた戦訓は貴重だ。リントヴルムに何らかの手立てを打たれる可能性はある。まだまだこちらの戦力は集結中であり、戦力の充実が図られる前に再度の攻勢を打たれるわけにはいかない。

 

「賛成です。いっそ戦車砲の榴弾で敵の司令部を吹き飛ばしましょう。これから前線を押し上げるよりも、そちらのほうが確実です。いまはまだ敵の司令部も混乱しておりましょうから、敵が魔信を打つ前に司令部を壊滅させた方が、司令官閣下の策は確実になります。いかがでしょうか。」

 

 廣澤機甲師団長が修正案を出す。ここから2kmはあるだろうに、戦車砲は届くのか。物凄い射程だな。

 

「本陣のテント群を吹き飛ばせば、今山を降りて戦っている連中も降伏するかと思います。戦闘の早期終結が見込めます。やる意義は大きいでしょう。」

 

 部屋の隅で話を聞いていたジェーンフィルア氏が呟く。

 

「ここから本陣を攻撃できるとは・・・。本陣を攻撃したら、私に降伏勧告をさせてもらえないだろうか。」

 

 参謀長がモイジ総司令官に声を掛ける。

 

「本陣攻撃後ならよろしいのではないでしょうか。そのほうが助かる人命も増えましょう。」

 

「そうですね。ついでに、後方に急いで駆けていく連中はクイラの狙撃兵に対処してもらいましょう。これで、魔信以外の直接の報告も遮ることができるかと。ただ、ニージェイ山に一度人は送る必要があると思いますので、その部隊の編成をお願いします。」

 

「わかりました。それでは、廣澤君は戦車隊に本陣への榴弾攻撃を命令してくれ。一個小隊で十分だろう。」

 

「了解しました。直ちに命令を行います。」

 

 戦闘もそろそろ集結する。ここからは捕虜を得て、敵の戦術を確認しなくては。まだまだ司令部の仕事は終わらないな。

 

 

 ――――――

ニージェイ山山頂 諸侯軍本営

 ― 東方征伐軍 アデム

 

 おのれ・・・。なんということだ。一度は敵の陣地に兵を入れたが、押し返されてしまった。兵たちはあの地竜に踏みつぶされた者もおり、前線は恐慌状態だ。

 督戦のために、領主を数人投入したが、劣勢は覆らなさそうだ。

 あの地竜の存在は想定外であった。あれさえなければ、兵の数を増やすことで最終的には押し通せたかもしれないが・・・。これではいくら兵の数を増やしてもどうにもなるまい。この戦争は失敗だ。亜人どもめ・・・。とりあえず、この場を離脱せねばな。

 

「俺はこれからパンドール将軍に直接報告に行く。馬を用意してくれ。」

 

「え?報告であれば、魔信で」

 

「バカか貴様は。このような事態を魔信で伝えて信じてもらえると思うのか?直接報告しなければどうしようもあるまい。ともかく急がねばなるまい。山中を一気に駆け抜けて、マインゲンに戻らねばならん。」

 

「わ、わかりました。直ちに。」

 

 さて、どこへ逃げるかだ。マインゲンには、相当の戦力があるが、歩兵が中心だ。到底この陣地を破れまい。そこに合流しても亜人共を殺すことなどできまい。

 む?敵の地竜がこちらを目指して5匹くらい向かってきている。不味い。ここにいては、攻撃に巻き込まれかねん。早く離脱せねば。

 

 当座の金だけは持っていかねばならんかったが、時間がない。やむを得ない。マインゲンで調達、む、爆発した。ま、まさかあんなところから攻撃が届くというのか!!

 

 

 ――――――

ギム防御陣地・右翼曲輪正面

― 満洲帝國陸軍第三機甲師団戦車第八連隊長 渡辺綾子 陸軍上校

 

「だんちゃーーーく、今。」

 

 小隊長がそういうや否や、正面の山の頂上に大きな爆炎が5つ舞い上がる。これまた大きな砂煙を巻き上げてだ。もう敵の歩兵は腰砕けだ。背中を向けて逃げ出すか、座って震えているか。流石のあたしも、震えて縮こまっている兵を轢き殺すような悪趣味なことはしたくない。とっとと歩兵部隊に連絡して、捕虜の手続きを取ってもらっている。硝煙のにおいと血と臓物のにおい、小便のにおい、このあたりは地獄だ。

 

「総司令部へ連絡。追加砲撃は必要か否か。」

 

 右翼曲輪本部を通して、総司令部に確認を取る。防衛陣地の前線そこかしこから降伏勧告の声が聞こえる。降伏の際は、武器を捨てて、地面にはいつくばって、こちらの指示を待てとのことだ。

 戦車の榴弾で大量の歩兵を吹き飛ばした。生きてる兵はどれくらいいるだろうか。偶発的なものならまだしも直接狙って歩兵を吹き飛ばすとはな。この戦いは厳しかった。味方にも死者が出た。近代軍が中世軍と戦争して死者を出すとは思いもよらなかったが、掃討戦に移行することなく終結を迎えつつある。

 

「総司令部より戦車第八連隊に命令。戦車第八連隊は、現有戦力全てを集結し、歩兵部隊とともにニージェイ山山頂の敵司令部の捜索に向かえ。生きている者がいれば、捕虜とすること。捕虜を拒む場合はその場で処置すること。なお、敵司令部のそのまた先にテントがある。その中で寝ている者がいるとのことだ。すべて回収すること。捜索隊の編成は既に下令した。合流次第直ちに登坂開始せよ。燃料補給車が同行する。山頂での周囲警戒と並行して戦車の燃料補給を山頂で行え。以上。」

 

「戦車第八連隊本部車命令受領した。合流次第直ちに登坂開始する。第一大隊第一中隊全車両は連隊長車の付近に集合せよ。」

 

 戦闘の総仕上げか。敵の先遣隊を文字通り全滅させたが、敵さんは今後どう動くのかねえ。こっちは数日動けないが・・・。

 

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