Fate/the white memory   作:三点提督

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第6話 手合わせ

 その後、僕達は無事に夢から脱出する事ができた。その代わり脱出して早々、冬至が、

いや、氷雨が久しぶりに駄々をこねてきた。

「今夜は私の隣で寝てください」

「……」

 ――久しぶりだなぁ?

 僕はバカみたいに明々後日《しあさって》の方向を向いていた (どこですかそこは? とは、申し訳ないが聞かないでください)。 どうせこうなった氷雨は僕の言うことなんか

聞いてくれないし、それに滅多にないことなので、「ああ、またか」と思うだけだった。

「お前の隣に布団敷きゃいいんだろ?」

「そうですね」

「まったく」

 ――一体どこのラブコメですかっての。

 などとくだらない自問自答をしつつ、一先ず、今はまだ寝ているように言いつけ、僕は

アサシンのいる一階のリビングへと向かった。

 

「氷雨の奴、やっと目を覚ましたよ」

 そう言って、僕は台所へ足を運んだ。そこではアサシンが何か料理をしていた。それはアサシンいわく初めての

お粥で、たまたまそこにあった料理本の中で自分が美味しそうだと思ったものを作っていたらしい。

「味見はしたの?」

「うん。あとは塩をひとつまみかな?」

 そう。と、何となく返答した僕であったが、そういえば、この子は外見からして西洋

人っぽいから、こんな日本料理の定番中の定番なんてそうそう上手く作れるものかとも思っていたのだが――

「あ、美味い」

「でしょ?」

 どうやらこの子はこの程度であれば容易く作れるらしい。と、少しばかり上から目線に

思いつつ、「ありがとう」とお礼を言って、それの完成を待った。

 そして数分後、

「そろそろかな?」

 アサシンが再びその土鍋の蓋を開け、大きめのおたまで軽く掻き混ぜた。そしてレンゲでひと口分すくって味見をし、

「うん、いい感じだね」

 どうやら満足に作れたらしく、それをお盆に載せた。そして、「行こう」と言って、僕と2人で再び氷雨の部屋へと向かった。

 

 翌日、いつものように心寧ちゃんがうちに訪問していた。それは無論、朝ご飯をたかるため……一緒に登校するためである。

「あんた今、何か失礼な事考えなかった?」

「へ? ああ、いや、別に」

「……あっそ。それよりこれ、おかわりね?」

 そう言って、心寧ちゃんは味噌汁の茶碗を僕に差し出した。僕はそれを受け取り、台所でよそい、再びリビングへ戻った。

「はい」

「ありがとう」

 心寧ちゃんは箸を止める事なく何杯もおかわりをし、それを見かねた氷雨は、「図々しい」と、小声で呟いた。「こんな見てくれだけの人間が」や、「どうしていつも」など、ぽつりぽつりと嫌味を並べていた。

 ――本当に冬至なんだよな?

 多少引き気味になりつつ、とりあえず今は見なかったことにした。

「ところで心寧ちゃん、キミのサーバントって、今はどこにいるの?」

 僕の質問に対して、心寧ちゃんは、「そこにいるよ?」と応え、「出てきて」と言った。すると、僕達のすぐ目の前でぐにゃりと何かが歪み、それが徐々に人型を模していった。そしてその人型は1人の少女の姿を取っていき、「呼んだかしら?」と、口を開いた。

 肩までの長さの髪と気の強そうな切れ長の目、女の子としては長身の部類に入るであろうスラリとした細身、更にそれに加えて目を引くのが、

 ――デカい。

 その大きな胸だった。気も強そうで背も高くてスタイルも抜群。そんな滅法な美少女が

そこにいた。

「えっと、久しぶりだね? キミとこうして顔を合わせるのはあの日以来だったよね? それで、キミのクラスは何だっけ?」

「アーチャーよ? 生前はそうね、神々の反逆者《リベリオン・オブ・ゴッズ》の異名を有していたわ。まぁ、あまりいい印象は持たれなかったけど」

 そんな風に多少の自虐を加えつつ、「あなたの名前は?」と、アーチャーが質問してきたところで、自分のことを思い出した。

 ――しまった、先に名乗るのを忘れてた。

「ごめん。えっと、それじゃあ改めて。僕の名前は渡良瀬錬磨。キミのマスターである心寧ちゃんの友人にして、ここにいるデミ・サーバントである冬至と、そこにいるアサシンのマスターだよ? ちなみにアサシンに関しては

ある事情で再契約を交わした仲なんだ」

「そう。それじゃあ、これからよろしくね? 錬磨」

「うん、こちらこそ」

 どうやらこの子もこの子で僕達の味方でいてくれるようだ。

 ――一先ず、向こうしばらくの間は、ね?

「そうだ。ねぇアーチャー、よかったらキミもご飯食べてみなよ? 冬至の作るご飯、すごく美味いから」

「いいの? それじゃあ、お言葉に甘えて」

 アーチャーにも食卓の椅子に座ってもらい、彼女の分の食事も用意した……冬至のその嫌味を聞きながら。

「……もう脱落してしまえばいいのに」

 いつものポーカーフェイスに入り混じるその怒りの感情を見え隠れさせながら、冬至と

氷雨は心寧ちゃんという1人の相手に対して静かにケンカを売っていた。

 そんなふうに、多少の居心地の悪さはありつつも、しかしまぁこれくらいであれば許容範囲内だよなと割り切りつつ、僕達は束の間の朝を過ごしていた。

 

 夕方。僕と心寧ちゃん達はとある河川敷にいた。目的は心寧ちゃんのサーバントであるアーチャーの実力を少しばかり試す為である。

 ――サーバント7英雄のうち、3トップの1人であるこの子が僕達の仲間にいるんだ。だったらその実力は見極めなければならない。

「それじゃあ心寧ちゃん、アーチャー、よろしく頼む」

 僕の前に立つ2人のサーバント、冬至とアサシンを従えて、僕達は対峙した。

「それじゃあ――」

 僕は左手を前に構え、

「――行くよ!」

 

「投影、開始!」

 

 疑似戦争が始まった……。

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