SHs大戦   作:トリケラプラス

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9-19 事件解決

 闘い(バトル)という名の死刑(リンチ)を終えたアークたちはソウを引きずって館の人々と合流した。

 トアはいつの間にか姿を消していた。しかも戦闘中三人を視線の盾にしていたのか館の人々に突っ込まれることはなかった。不気味に思いながらもメアと共にアトイの臨時ボディガードとして職務を全うすることにする。そのようにしていると使用人が呼びに来た。

 

「皆さま。お食事の準備が整いましたのでリビングへとカムカムしてくださいまし」

 

 なんやかんやで許されたソウは、本来行われるはずだったガンホー氏もといホカン氏の歓迎会の準備を恐ろしいほどの速度で終わらせた。ソウを自分含めて皆があっさり許したことに何とも不思議なものを感じつつも席につく。そんな中で食事に手を付けることなく去るものもいた。

 

「それでは我々は失礼いたします」

 

「イヌカイ先輩!?食べないのかい!?せっかくの市民からの施しだよ?」

 

「我々がご馳走をいただいたとして、お前はあの家政婦がその事を黙っていると思うのか?」

 

「それは確かに昇進に関わる……!!」

 

「勤務が終わったら晩飯おごってやるからさっさと帰るぞ」

 

 そうして刑事たちは水上パトカーに乗って去っていく。それを見送るソウの顔がなんとも口惜し気だったように見えたのはきっと気のせいだろう。ハンカチ噛みちぎってたけど。

 

「美味しいのだ!」

 

「流石の腕前だねえ」

 

 皆がソウの料理に舌鼓を打っている中で三兄妹が皆の前に進み出た。彼等は何か憑き物が落ちたような晴れやかな表情だった。

 

「先生、アトイ市長。お二人にお伝えしたいことがあります」

 

「うむ。聴かせておくれ」

 

 朝とは違う化粧品を用いたさらさらヘアーの兄はその先の言葉を妹たちに委ねた。

 

「ええ、ワタシたちは兄妹揃って新しい会社を立ち上げることにしたわ」

 

「みんなの得意分野を合わせたらもっと色んなことができるって先生いつもいってくれてたけど今までは色々な感情が邪魔してできなかった。でも今回のことで色々素直になれたから」

 

「おお……そうか、そうか……教え子たちの新たなる門出に立ち会えて本当によかったぞ」

 

「これからはのらりくらりとしてないでちゃんと私達とも会ってくださいね。返したい恩もいっぱいあるので」

 

「う、うむそうじゃな……」

 

「ははははは、もう逃げられないねえ」

 

「一件落着ってやつだね!」

 

 今回の事件を契機に三兄妹たちとホカン氏はより強固な絆を築いたようだ。色々と妙なことに巻き込まれ続けた今回の一件だったが終わってみればうまいものが食べられて大金が貰えるのだ。悪くなかったのかもしれない。

 こうしてウシワカ館の事件は終わりを告げた。アークたちはソウや館の主に見送られ、メアとアトイ、そして客船から撃ちだされて島にやって来たために帰る船のなかったポーと共にクルーザーで帰ることにした。そうして港に帰った後。

 

「というわけで」

 

「「ごめんなさい」のだ」

 

「ナンデアタシマデ……ナンデオメーモアヤマッテンダヨ」

 

 

「テヘ。ノリで」

 

 アークとメアとついでにミニアークと何故かポーは行きで汚した鰻薔薇コーラについて謝罪を行っていた。少しは怒られるか減給されるかと思ったがアトイの反応は明るく。

 

「はっはっは。いいさいいさ。私から謝っておくし、弁償しておくよ。君たちが気にすることじゃあないよ。それより今日はありがとう。君たちのおかげで私の面目も立ったよ。まさかあそこまで混沌とした事態になるとはねえ。実に楽しかった」

 

「勘弁してくれ……」

 

「でもメアも楽しかったのだ」

 

「大物小学生だねえ。そういうところいいとおもーうよ!」

 

 事件のことを思い出してひとしきり笑い合うとアークはもじもじと媚びたような目をアトイに向け尋ねた。

 

「それで~そのう、お約束のものは……?」

 

「ああ、そうだそうだ。はいどうぞ」

 

 アトイが手渡してきた茶封筒の中には厚みを感じる紙幣の束が入っていた。

 

「やっ…………た~~~~!!!これで色々できるぞ~!!」

 

「むー……アークの方がちょっと多いのだ」

 

「アーク君の方は特別ボーナスも入ってるからねえ。ともかく二人とも親御さんに没収されないように気をつけたまえよ」

 

「「は~い」」

 

 アークたちは周囲を確認していそいそと懐に茶封筒をしまい込んだ。そしてそろそろ門限が近いことに気付く。

 

「まずいのだ!怒られちゃうのだ!?」

 

「急げ急げ!じゃなー!お金一杯くれてありがとう市長ー!かっこよかったぜ名探偵ー!また会おうなー!!」

 

「ポーちゃんも会えてよかったよ~!まったね~!」

 

「また会おう。何、すぐのことさ」

 

 駅で沢山の鰻薔薇商品を手土産にSHと小学生は家路についた。

 

 <疲れたような憤慨したような女性の声>

ほらね。こういう顛末だったわけさ今回の事件は。全く、僕はあいつが怪しい、どんなトリックが使われたか~って一所懸命に思考を巡らせてたってのにさ~。なんだよ死体が復活するって!おまけに探偵も探偵で振る舞いが痛々しいし、解決できたのだって元々犯人と知り合いだったんだから推理できて当然だろう!気に入らないね~。え、なに?いやまあ、楽しんだんだけどさ……それはそれとして!文句はいいたいわけだよ!あーあ、なんだかわかりやすくビッグで実況しがいのある事件が起きないかな~。

 

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