SHs大戦   作:トリケラプラス

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10-5 SHs振り返り1

 作戦記録の上映を終え、アークたちはコタツのSH能力で生じた不思議な映画館から元の部屋へと戻って来ていた。編集された過去の記録を見届けたメアは熱っぽく語る。

 

「アークの”トモダチ”とバトルがいっぱい見れて楽しかったのだ!でも……どーいうことなのだ~!?アークが……アークが全く別人だったのだ!」

 

「ふふふふ、まあそういう反応になるわよね~」

 

「委員長だったって本当だったのだ!?いったいどうしてこんなになっちゃったのだ!?」「こんなってなんだ?こんなってよ~!」

 

「いだだだだだだだ」

 

「い~た~そ~」

 

 アークは”悪友”への制裁もそこそこにして感想戦の続きとした。

 

「……久しぶりにみんなのこと見れてよかった。ありがとうコタツちゃん。そうだ、コタツちゃんはミイチルちゃんとナジーちゃんとはあれ以降会えた?」

 

「う~ん~。二人にだけ~」

 

「そっか……」

 

気落ちしかけたことに気付いたのか、ライズは唐突に手を叩き。話題を変えた。彼女は昔からこういった空気を読むことに長けている。

 

「小隊の時の振り返りもいいけど。お姉さんはそろそろアークちゃんの話を聞きたいわ~」「え?……私の?」

 

「別れてからアークちゃんがどうしてたのかって。この前は結局聞けてなかったから。……そうね~メアちゃんとどんなことやったのかとかそういうの聞きたいなって。あ、言いたくないことは言わなくていいから、ね」

 

「わ~たーしーも~き~き~たーい」

 

「なるほど……」

 

 怯えを二人には察せられてしまったかもしれないと思いつつも、それを表にはださず答えることにした。

 

「いいよ」

 

「メアとアークの大ぼうけんをとくと聞くといいのだ」

 

「「わ~」」

 

 話すとなれば話題を決めねばならない。内容そのものには困らないがどれをどのような順番で話すかが大事だ。鮮明に覚えているついこの前の孤島事変はあまり話したくないのでその前というと……。

 

「ちょっと前にゼルデンリンクっていうゲームに──「なんっでメアがいなかったぼうけんを話すのだ!!」」

 

「いだだだだ」

 

「ははははは」

 

「ふーふーふー」

 

 メアによる頬引っ張りによりアークの話は中断された。”悪友”はご立腹だが聞き役二人の反応は悪くない。

 

「ってーなー。単に記憶に新しいってだけだよ。そんな言うなら会った時のことからにするか?」

 

「うむ。それでいいのだ。さあ、キリキリ話すのだ」

 

「アークちゃん頑張れ~」

 

「フレ~フレ~」

 

 応援を受けたのでアークは軽く咳払いの後に始めた。

 

「えー……あれはそう。電車に乗ってた時だっけ?」

 

「船だったのだ。豪華客船に乗っていたときなのだ」

 

「そうだったかもしれない。そこでふーねジャックとかいうありえん。に絡まれてたところを助けてやったら付きまとってくるようになったんだよな」

 

「アークは物めずらしかったのだ!自由研究の題材にもなると思ったのだ。実態は単なるダメ人間だったのだ……」

 

「オイ」

 

「アークちゃん普段擬態使ってないんだっけ?それで戦ったのについてくるなんてやっぱりメアちゃんは肝がすわってるわね~」

 

「ア~クティブー」

 

「メアは気になったものは確かめずにはいられないのだ!」

 

 得意げに胸を張るメアは置いて話を続ける。

 

「おかげで突き合わされる側は大変だぜ……オメーを撒くために全力で走っ……て?おかしくない?違うよな?船じゃないよな」

 

「ぷぷぷ、引っかかったのだ~!」

 

「オメ~そういうフェイントいらねえんだよ~」

 

「ど~したの~?」

 

「あ、いや大したことない。ふーねジャックが簒奪の詩(バースジャック)になっただけ」

 

「そうなの」

 

「そーなのだ。住所をつきとめてからは毎日アークを追いかけまわしてやったのだ」

 

「それで突然現れない日があったと思ったら吸血鬼の城に突っ込んでいってたからまいったよ」

 

 あの時のことをアークは今でもよく覚えている。偶然通りかかった双子から情報を得ていなければ”悪友”は今となりにいないかったかもしれない。それはとても恐ろしいことだ。

 

「ドーラ~キュ~ラー?」

 

「え、すごい。会ったの?」

 

「いや、期待させてるところ悪いんだけど自称吸血鬼なだけの単なるSH。血も吸わない」

 

「危うくさらわれて注射されるところだったのだ~」

 

 

「なるほどそこをアークちゃんに助けられたってわけね。ひゅうひゅう~かっこいい~」

 

「いや~それほどでも~」

 

「ひゅ~ひゅ~」

 

 ”トモダチ”に褒められては悪い気はしない。調子に乗ったところでさて続きといったところで当時の救助対象から指摘が入った。

 

「そういえばあの時のアークは今から考えると何だか出しおしみしてたような気がするのだ。ギリギリになるまでSH能力も使わなかったのだ」

 

 アークはとても「ギクリ」となった。彼女の言はまさにその通りだったからだ。

 

「あ、今ビクっとしたのだ!白状するのだ~!!」

 

「わーった!言う!言うから頬に指を指してくるのヤメロ!」

 

 指が頬を離れたのを見はからってから話す。

 

「いや……なんつーか、ほら。久っしぶりのまともなバトルだったから、さ。もったい……ないじゃん。ないですよね?割と余裕あったしさ」

 

「それって~なーめープーだ~」

 

「ちが!?」

 

「ちがわないのだ~!!そこになおるのだアークぅ!”悪友”のピンチに何よゆうかましとるのだ!」

 

「あ、あの時はまだ”悪友”じゃなかったし……」

 

「む~!!」

 

「ごめんなさ~い!!」

 

 現”悪友”のポカポカ連撃をガードしながらの謝罪はしばらく続いたが観客二人には好評のようで笑顔が絶えなかった。

 

「あ~、でもそうよね。アークちゃん喧嘩大好きだもんね」

 

「な!?ちょっと人を戦闘狂みたいに言わないでよ」

 

「だってナジーちゃんと喧嘩する時かたちだけイヤイヤしてるように見えて始まったらイキイキしてたものね」

 

「よくやってた……ね~」

 

「アークは昔から乱暴者なのだ~」

 

「さっきから渾身の力で連打してきてる奴がそれいう!?」

 

「反省が足らんのだ~?」

 

「もういいもういいっ……と。コップが空だ。他にもジュース入れて欲しい人~」

 

「「は~い」」

 

 二人手を挙げた。

 

「コタツちゃん以外ね~」

 

「ありがとなのだ~」

 

「どうもね~」

 

 希望者のコップに注ぎ終えると自らの喉を潤す。甘い林檎の果実を活かしたジュースは気を許せる相手と飲んでいるという環境も合わさりとても美味に感じた。だが、

 

「既製品もいいんだけどさっき言ってた吸血鬼が作るミックスジュースがどえらく美味いんだよね~。コタツちゃんとライズちゃんにも飲んで欲しかったな~」

 

「持ち運びにくいから仕方ないのだ~。むむむ、今度ラムルディに通販始めるようにいっておくのだ」

 

「わ~。た~の~しーみ~。ふふふー」

 

 

「──っ!?なんじゃ……?今何か悪寒が走ったような気がするぞ。どこぞの悪ガキどもがよからぬ企みをしておらねばよいのじゃが……」

 

 中世の空気が漂う喫茶店、暁の古城にて、店主でありオオコウモリのSHであるラムルディは怖気に身を震わせる。されども運んでいる最中の飲み物は一滴たりとも零しはしない。この商品が自分にとって大事な客のものであることを思い出し、再び足を動かす。

 

「あ、来たのだ!ラムルディ。こっちなのだ~」

 

 アンティーク調のテーブル席に小さな体をちょこんと乗せた少女がラムルディに向って手を振っている。ファンタジー世界からそのまま抜け出してきたような衣装を着込んだツインテ―ルの彼女は、人間ではない。さりとてSHでもない。かつてラムルディたちと共にゲーム世界を冒険した”仲間(パーティ)”にしてゲーム、ゼルデンリンク世界の管

者AIそれがMEAである。

 

「ほれ。ご注文のマロンバナナジュースじゃ。約束通りこれはサービスなのじゃ」

 

「いい匂いなのだ~!ありがとうなのだラムルディ!!」

 

「味わって飲めよ」

 

【挿絵表示】

 

「ゴクゴクゴク……ぷはー!美味しかったのだ~!」

 

「もう飲み干しおった!?口の周りにヒゲができておるぞ!」

 

「いけないのだ~」

 

 MEAはジュースと一緒に運ばれてきたおしぼりでポテポテと口周りを拭いた。

 

「もう大丈夫なのだ?」

 

「問題ないのじゃ。しかしこんなに早く、これほど精巧に実体化を果たすとはのう」

 

「サカキバラのねーちゃんたちが頑張ってくれたのだ!それとあれからすぐに外部から協力を申し出てくれた人がいたみたいだったのだ。技術的にはかなりその人のおかげってみんないってたのだ」

 

「ほおー世の中には凄い技術の持ち主がいるもんじゃのう。……そういえばもう他の連中にはこっちでおうたのか?」

 

 問いにMEAはフルフルと首を横に振った。

 

「まだなのだ~。一人での外出許可も下りたばっかりなのだー。さっきから気になってるのだけどあのサインってもしかしてなのだ?」

 

 MEAが小さい指で指し示したのは部屋に飾ってあったサイン色紙である。一つの色紙にmashiroとrinという二つのサインが為されていた。

 

「御明察じゃ。リンとmashiroのカップルじゃ。先週突然来おったのでな。サインを頼んだんじゃ~。いいじゃろ~」

 

「MEAも欲しいのだ!ラムルディのも欲しいのだ~」

 

「ほ!?ほほう……!!そうか、わらわのサインが欲しいか……くっくっくこの暁の簒奪者のサインは高くつくぞ。じゃがMEAは”仲間(パーティ)”じゃからな。特別に──」

 

「ラムちゃん店長~!一人に引っ付きすぎ~!もう手が回らないよ~」

 

「回らない回らない~」

 

 いざ人生初サインというところでバイトたちから苦情が入った。見渡せば確かに配給が滞っており経営者としてはこれはまずい。それを察したのかMEAは少し寂し気ではあったがこう切り出した。

 

「いいのだラムルディ。他のお客さんのところにいってあげるのだ」

 

「む、すまぬなMEA。もっともてなしてやりたかったのじゃが……」

 

「”仲間(パーティ)”のお店が繁盛してて喜ばしい限りなのだ!MEAならまた来るのだ!今度は他の”仲間(パーティ)”も誘ってみんなでお茶会なのだ!」

 

「その時は貸し切りじゃな。サメが悪させぬように見張ってておけよ?それではいってくる。ごゆっくりなのじゃ」

 

「いってらっしゃいなのだ~」

 

 ”仲間(パーティ)”に送り出され、吸血鬼は仕事仲間を助けに繰り出した。

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