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熱帯密林風のプールの水面付近に幾つも泡沫が生まれては消える。それはやがて静まり代わりに。
「ぶはぁー!」
二匹の獣が水面から顔を出した。
サメは意識を失っているワニを抱え陸に上がると、慣れた動きで心臓マッサージを繰り返しついで人工呼吸を行う。
幾度も繰り返した直後。ピクリとも動かなかったリクは咳き込み始め。やがて意識を取り戻す。
「ゲホッ、ゲホッ……アークぅなんの……つもり。あの局面で命を奪うどころか命を救う?情けをかけた気でいるのですか……!?今すぐ私を殺しなさい!」
今にも飛び掛かりアークの命を奪わんとする剣幕のリクにアークは腹の上に跨りながら両腕の指を耳栓状にして。
「あーあーうるせーうるせー。おまえ負けたんだからぎゃーぎゃーいうなよ。勝者の勝手だぞ。それにアタシは情けをかけた気はねーよ。お前が死んだら約束が果たせなくなるだろ?」
「はあ……!約束ぅ?」
なお険しい剣幕のリクに対して退かず顔を近づけアークは宣言する。
「あとで揉ませろっていったよな?忘れたとはいわせねえぞ」
「へ?」
リクの反応を待たずアークはその両の掌をリクの両胸の上に置いた。
「ちょ、ちょっと!」
「負けたんだから抵抗するんじゃねえぞ」
「あ、んッ!?」
小ぶりながらも丁度掌の中に納まる柔らかいモノを揉みしだく。柔らかい感触が返り。嬌声を発し。その頬には熱が生まれる。加速する。
「ヤッ、んぅ、あッあッあッやぁ~~~!くっ、あぁぁ~~!!」
「いいな。やっぱおめぇ反応がいい。最高だ」
揉みしだくごとに熱量は増し。感触は硬さをえる。蒸気が生まれいいようもない興奮が湧いてくる。最早戦場で得た傷は気にならなくなっている。
「んっふぅ、あっ、アークゥ。やめなさい……いますぐ、や、やめないと……殺す……殺します」
「あー?負けてぼろぼろで今いいようにされてるオメーがどうやってアタシを殺すってんだ~?アタシがオメーを昇天させちまうってんなら話はわかるけどよぉ~」
摘まみ捻る。
「~~~~~~~~ッ!!ランカァ!何をしているのですか……早く、早くこの女をどかしなさい!ランカ!」
頼みの綱はいつまでも機能しなかった。リクの視線の先呼び掛けられたランカは弱冠頬を紅潮させて行為を眺めているメアの横で虚空に向って手を合わせぶつぶつと数言呟くと。
「推しのエッチボイス……わが生涯に一片の悔いなし……!」
鼻から蛇口をひねったかのような量の鮮血を吹き出したそのまま後ろ向きに倒れ込んだ。
「アホ―!!」
「これでもう助けはこねえなあ?」
「や、やめ……もうやめ」
「やめない!オメーの乳首パチンコみてーに弾いて全演出(痴態)見るまで止めねー!覚悟しやがれ!」
「きゃ、ッ……ウッ、きぃ”い”い”い”い”あぁああぁ、ひぃ。やぁああああああ!殺す!いつか絶対殺してやります。アークぅぅぅぅぅぅぅ!!」
熱帯夜は続く。
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(惚けた女性の声)
ちょっと刺激が強いね。僕にとってもメアにとっても……こういう声が出せたら僕も仕事の幅が広がるのだろうか。
というか今日は朝からパチンコといい教育に悪すぎないかな?ともあれこれで嵯峨に纏わる一連の事件は解決。
深い因縁が生まれた気がするけどそれはまた別のお話かな。
それじゃあ。次の催しがあるまでしばしさよならだ。