SHs大戦   作:トリケラプラス

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4-5 オタクとの合流

 ファーストステージを終えたイベント参加者たちは次のセカンドステージが行われる場所に案内されていた。参加者たちは初手で大半が脱落したとはいえまだまだ溢れんばかりの人数である。

 聖剣が発見された湖に案内された彼らはそこで奇異なものを見る。それは馬型の荷車だった。ただしその馬は鉄のような材質で出来ており下部には車輪がついていた。また、荷車には運転用のハンドルとペダルと思わしきものが存在を主張している。

 どよめく参加者たちの前で赤髪の女性がマイクを構える。  

 

「セカンドステージの紹介を担当するイベントスタッフのエレインです。皆さま大変お待たせしました。これよりセカンドステージ。聖杯探索アドベンチャーを開催いたします」

 

 ♦

<腹に据えかねた女性の声>

 解説しよう。聖杯探索とはアーサー王伝説を彩る一大イベントの一つさ。摩訶不思議な聖杯を求めてアーサー王の騎士たちがそれぞれ旅にでる。彼らはその行く先々で様々な試練を受け。それを乗り越えていく。色々な話があるけど概ねそんなところさ。

 ……まったくなんなんだあの実況者は……実況といえば僕がいるじゃあないか。ねえ?

 

 ♦

エレインは柔和な笑顔で解説を始める。

 

「聖杯探索アドベンチャーは三名以上。六名以下の人数でチームを組んで挑むクイズ形式のステージとなっております。荷車に乗り。アドベンチャー風立体映像と共に映し出されるクイズに答えてアーサーポイントを獲得していってください。クイズには時折ポイントが高い早押しクイズも出題されるので皆さん頑張ってくださいね~」

 

 エレインは参加者たちの僅かに戸惑った反応を確認するとそれを解消すべく言葉を続ける。

 

「ファーストステージの脱落で事前に申請していたチームが3名以下になってしまった方々やチーム登録をされていなかった方々はファーストステージで獲得されたポイントを元にこちらで既にチームを割り振っておりますのでお手元の腕輪型端末をご確認ください。 このステージでは正答数十問以下で脱落となりますので気を付けてください。

 

 今回は参加人数の都合上三回に分けて実施いたしいます。また、ご観覧の皆様方もホームページからリアルタイムにクイズに挑戦することができます。アーサーポイントはもらえませんがちょっとした副賞は用意しておりますので振るってご参加くださいね。それでは十五分後にパーシヴァルの部を開始いたします」

 

 イベントスタッフによる解説が終わると参加者はそれぞれチームメンバーたちの元へと動いていた。アークとメアはそのような人ごみの中を並んで歩き。

 

「むー、何でたんまつ確認しちゃ駄目なのだ~!チームメンバーがだれなのか気になるのだ~」

 

「まーそういうなよ。文字で見るより実物見た方がぜって~面白れぇって。驚くから。マジでよ」

 

「本当なのだ~?針万本飲めるのだ?」

 

「まー期待してろって。出てこい、助っ人~!!」

 

 しかし、アークの呼びかけに答えるものはいなかった。

 

「覚悟はできてるのだ~?」

 

「いや本当だって!マジマジマジ。本気で飲ませるきかテメー!ヤメロ!おい!誰か!助っ人ー!」

 

「呼ばれて飛び出てで御座るよ~!」

 

 取っ組み合うアークとメアの背後から勢いよくオタクが生えて来た。彼女は勢いよく自分を指し示すと歌舞伎のような見栄を切り。

 

「やらんか……参上!」

 

「やらんかなのだ~」

 

 やらんかの鳩尾に頭から突撃したメアが突き刺さる。

 

「フグゥッ!?あばら骨が何本かいきやがったな……でござる。これは最早あと百日の命……ごほっごほっ。やらんかが死んだら桜の木の下に埋めてくれていいでござるよ……」

 

「やらんかー!」

 

「おーい。お前ら戻ってこーい」

 

 小芝居を始めた二人を引き戻すと改めてランカを紹介する。

 

「というわけでアーサー王に詳しいランカ先生だ。こいつがいれば百人力よ」

 

「アーサー王はオタクの必修科目でござるからな。やらんかに任せておくといいでござるよ」

 

「はは~どうぞよしなになのだ先生~。ところでやらんか先生はなんで組んでくれたのだ?リクの姉御はどうしたのだ?」

 

 メアの問いにランカは参ったというように頭をかき答える。

 

「リクちゃんさまはアーク殿から受けたアレソレが原因で籠っていらっしゃるでござるよ……ところで」

 

 ランカは音もなくアークの真後ろにスライドするとそっと圧力を込めて耳打ちをする。

 

「優勝して剣を手に入れた暁にはうちへの借金利息分も含めて耳揃えて返してもらうでござるよ~」

 

「あー……うん。そう、そうねー気が向いたら……な」  

 

 アークは詰め寄るランカから顔を逸らし歩きだす。その右肩にはいつの間にかミニアークが現出していた。

 

「さ、ランカも合流したしそろそろ行こうぜ。こいつのオタク知識にミニアークの検索力がありゃあ早押しだろうがなんだろうが全問正解間違いなしだ」

 

「オタクとAI。相性抜群の力を見せてやるでござるよ~!」

 

「無敵ダゼ無敵ー」

 

「テキムーなのだ~!」

 

 オタクとAI。が互いに熱い視線を交わすなか、会場アナウンスが流れる。市長の声だ。

 

「あ、当然だけど参加者は機械での検索とかNGだからね。バレたら一発退場ってことで。言い忘れてたけどヨロシク」

 

「……」

 

 ランカとミニアークは見つめ合ったまま無言となり。しばしの間のあとミニアークは姿を消した。

 

 

【挿絵表示】

 


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