SHs大戦   作:トリケラプラス

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1-8 アークネード

「よくも置いていったのだ!」

 

「げ、追いついてきやがった」

 

 レンガ造りの中庭にて合流したアークとメアは出合い頭そうそうに取っ組み合いを始めるものの、先ほどまで炎が上がっていた城内から、炎ではなく白い水蒸気が上がるようになったことを確認すると喧嘩の手を止める。

 

「で、これからどうするのだ?逃げるのだ?」

 

「バーカいえ。ぶったおすに決まってんだろ。尻焼かれて黙ってられるかってんだ」

 

 方針を決め古城を眺める二人の元へ突如として古城の砕けた窓から一条の蒼束が飛来する。

 水の束がアークを打撃し直後、バチッという音を響かせアークを感電させる。水圧と共に放たれたのは雷。水を媒介にアークを襲う。

 水と雷は激しい音を立てアークを襲い震わせ続ける。やがて一際大きな音が放たれるとアークは地面に倒れ伏す。

 

「あ……アーク……」

 

 雷が止み不安げな声をあげるメアであったがピクリとアークは動き出し大きな伸びをする。

 

「あ~~~いいマッサージになったぜ~~。なんだこれ?サービスか?」

 

「ふむ……魚類ならば雷が一等効くかと思うたのじゃが……やたら効きが悪いのう。どういう身体しとるんじゃおぬし?」

 

 割れた窓から舞い降りたのは髪色を黄色とオレンジが混ざった状態にしたラムルディであった。

 海水を操るグレープフルーツと電気を操るレモンが効果のなかったことに若干の憤りを見せる彼女であったが直ぐに調子を取り戻す。

 

「まあよいわ。ともかく逃げ出さなかったことは称賛してやろう。褒美に殺す時は苦しまず逝かせてやろう」

 

<Banana><Chestnut>

 

二つの果実をミキサーで圧搾し。四度目の完飲を果たすラムルディ。そして彼女は窓の外へと身を躍らせる。

アークたちの眼前に降り立つその時には既に身体の変化は完了していた。彼女の髪は黒の長髪へと戻っていた。だが変化はそれだけではない。彼女の背面や腕、脚の側面などに黄色の長大な棘をその身から生やしていた。

 

「では……行くぞ」

 

彼女は己の身を抱き黄色の棘が付いたボールのようになるとそのまま少し身を転がし。アークたちの元へ一直線に滑っていった。

摩擦係数を減らすバナナと身体から凶悪な棘を生やす栗の組み合わせがアークたちを襲う。

 

「くっそぉおおおお!なんじゃそりゃああああ!?」

 

 アークはメアを脇に抱え身を翻し全速力で駆けだす。

 速度では棘の塊の方が上回るが滑って移動しているためか小回りが利かず、アークが方向を転換するたびに丸まった形状を解除し軌道を修正しなければならなかった。それによりアークたちは再び距離を稼ぎなおす。そういった流れを幾度も繰り返す。

 

「クソっどーする……アークネードは……あの勢いじゃ突破される可能性がある。逃げ続けるしかねーのか!?」

 

「アーク!あそこのドーゾーをぶん投げてやるのだ。やつもそろそろ目を回すころなのだ一回弾いてやればきくはずなのだ!」

 

 メアの指さす方を見ればそこには確かに台座の上にそびえ立つやたらと偉そうな誰だかわからない男性の石像が置かれていた。

 アークはチェーンソードのエンジンをかけるとそのまま銅像を台座ごと切断し、通り過ぎざまに足裏で蹴り飛ばしてやる。目標は黄色い棘の塊。

 大質量がぶつかり合う。その結果は正面衝突ではなく。

 

「滑ったー!」

 

 黄色い棘は激しく上方にスリップし遠方に滑り倒した後丸まった体勢を解く。

 

 <ume><watermelon>

 

棘の塊。ラムルディはメアを脇に降ろすアークを前によろよろと立ち上がり新たなミックスジュースを作り上げる。

 

「う、ぬう……ちょこまかと……うぷ……」

 

苦しみながらも完飲を果たすラムルディにアークは突貫し斬りかかる。その刃が到達するよりも早く彼女は変身を遂げ狙いを定める。

腕が変化した緑と黒の文様の単砲口が狙う先は、アークではない。

 守り手が離れて無防備になった小学生。メア。

 

「テ……メエ……!!」

 

 アークは咄嗟に刃の行き先を胴部ではなく砲身へと切り替える。刃を回避するために腕を逸らしたことが要因になり弾はメアから大きく外れた位置へと飛んでいく。

アークはそれを見てホッと一息をつくが次の瞬間信じられないものをみる。

 あらぬ方向に飛んで行った種子が途中で方向転換し再びメアの元へ向かっていったのである。

 メアもそれに気づきアークの元へ駆け寄りまたアークもラムルディに背を向け駆けだす。

 そして狙撃手は無防備な背に向い弾丸を放つ。

 一人と一匹に絶対不可避の凶弾が襲う。そして後には二つの死体が転がる。

 突如として中庭に発生した巨大な竜巻が飛来する種子を弾かなければそうなっていたはずだった。

 

「アークネード!」

 

 言葉と共にメアを抱くアークを目として巨大な風の奔流が屹立する。

 外部からは幾度も風の防壁を貫こうと種子が撃ち込まれているようだが一つたりとも届くことはない全て表面において呑まれ嵐の一部へと還る。

 

「これがアークの……」

 

「嵐を呼ぶアーク様のSH能力ってやつだ。大丈夫だ。あんなもん通しゃしねーよ。たくヒヤヒヤさせやがってよ~……じゃ、いってくるわ」

 

 メアの髪をくしゃくしゃとひとしきり揉むとアークは嵐に振り返りゆっくりと歩みを進める。その瞳に怒りの意思を滾らせて。

 

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