──ご覧ください!ゴールドシップさんを含むクルー三人を乗せたソユーズ宇宙船が今、日本上空で大気圏に再突入しました!夜空には明るい火の粉が尾を引いています!ロスコスモスの発表によると、ソユーズ宇宙船は日本国内の東日本地域沿岸に着陸すると見られ──』
生命の懸かったアクシデントをあたかもエンタメのように報じるニュース番組。だがその最後に伝えられた情報に、メジロマックイーンは弾かれたようにベランダに飛び出した。
「…寒い」
11月の夜はすっかり冬の顔を覗かせていて、ろくに防寒をしていない彼女は大きく身震いをした。
今夜ゴールドシップが
──帰還カプセルのハッチが開かれた時、もし彼女が息絶えていたら。きっとその時も、自分が一番早くそれを知ることになるのだろう。
彼女は祈るように北東の空を見上げた。星が明々に輝く。枯葉が北風に乗って目の前を舞う。
その時だった。
「…!見えた!」
昏い夜空が僅かに照らされる。まるでその命を燃やすかのように、運命の方舟は余りにも美しく空に軌跡を描いた。
それはまるで──
──流れ星!あの空を流れる流れ星みたいに、輝くウマ娘になりたい!
「ゴールド、シップさん?」
理由は分からなかった。しかし確かに、在りし日の記憶が色付き始める。
メジロマックイーンは泣いた。涙を流していた。何の為に?彼女自身も分からない。ただひたすらに、彼女は眼前の流星に目を奪われていた。
「夢を、叶えたんですね」
声を殺して泣いた。溢れる涙を留めようと瞼を閉じる。その時だった。
──マックイーン!
思わず空を凝視する。まさか、まさか。
「──
パラシュートを携えた帰還船が、メジロ邸宅の広大な庭目掛けて山なりに落ちてくる!
真っ黒に焦げた匂いに肩を叩かれて、彼女は一目散に庭に駆け出した。
そして。
──ザッバァン!!!
庭の中央にある西洋式の池に、高熱の鉄塊が着水した。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「──もしもし、メジロマックイーンか!?落ち着いて聞いてくれ、ゴルシの乗った機体が君の家の近くに着陸したはずだ!正確な場所が分かるか!?」
『ええ、まあ、場所と言いますか、私の実家の庭の池に落ちてきましたわよ!私はどうすれば良いんですの!?ゴールドシップさんは生きてまして!?』
「落ち着け!今
『わ、分かりましたわ!とりあえず家の者に…キャッ!?』
「!? どうした!」
受話器の向こうで何かが弾け飛ぶ音が聞こえた。この音はどこかで聞いたことがある気がする。ああそうだ、確かトレーナー室の扉が蹴破られた時の────
「おかえり、ゴールドシップ」
『おうよ!明日の新聞の見出しはこいつに決まりだな!』
【不沈艦、
<了>