No Side
「只今、はやてちゃんとグレアムさんは今は家族の団欒中。鬼の居ぬ間に今後のことを決めよう。」
「…家族の団欒ね。」
「…少なくともはやてちゃんはそう思ってる。はやてちゃんの前ではグレアムさんのこと気を付けなよ?」
「フン。それで?ハヤテのことは昨日までに散々話し合っただろう。」
「はやてちゃんのことはもう大丈夫だとは思うんだ。グレアムさんが書類関係まとめてくれたから。それを役所に出せば全部通るんだって。…魔法って便利だね。」
「…魔法なら‘店’で見たしツクネも使えるだろう。」
「オレが使うのとも‘店’で見たのとも違うタイプだと思うよ、あれ。グレアムさんはプログラムによる情報の改変って言ってたっけ?」
「たしかな。」
「オレじゃデータの改竄とかできないから。…できたらオレらの戸籍とかどうにかしてるし。」
「…。」
「まあいいや。話ってのはその戸籍なんだ。ぼくら今お上に厄介になると面倒なことになるでしょ?それに今後はやてちゃんの保護者としていろいろするときに戸籍ないとどうしようもないことも出てくると思うんだ。」
「…面倒な世の中になったもんだ。少し前はそんなもの気にしなくとも良かったものを。」
「まあなくてもどうにかなってたからどうにもしなかったけど。さすがに子どもを世話するとなったら必要だうし。」
「それで?あてはあるのか?」
「…目の前に。」
「…おい…まさか。」
「お願いできない?」
「それこそあの男にでも頼めばよかろう。適当に言いくるめれば戸籍の偽装など簡単にやるだろう。」
「グレアムさんには頼めない。こっちのことをあんまり知られたくないんだ。」
「ホウ?信用してるのに?」
「はやてちゃんに同情して、心配してるのは信じてる。けど、何か企んでいるのは目に見えてるからね。ていうか、グレアムさんに頼むって言ったらDIO止めるでしょ?」
「当たり前だ。何故あの男を信頼できる。だが、いいのか?俺がどうにかするとなると‘肉の芽’を使わざるを得ないが。」
「他にどうしようもないしね。忍者に金払えばなんとかなる時代じゃないし。偽装戸籍を売ってるとこもあるらしいけど、さすがにそっちに関わるとろくなことにならないから。」
「…仕方ない。しかし、どうせ二十年程度の付き合いなのだから、戸籍など誤魔化せるだろうに。」
「分かって言ってるでしょ。それ二十年間は雲隠れできないってことなんだから。はやてちゃんほったらかしにしてどっか行くわけにもいかないし。」
「…割り切れるか?」
「遠の昔に。DIOはどう?」
「この俺は人間に感傷など抱くはずないだろう。」
「素直じゃないね。」
「公園の少女にアイスを渡して気を引こうとした奴に言われてもな。警察の厄介になるようなことをするなと言っておきながら…。未成年略取で捕まるぞ。」
「まあ、悲しげな子供を見るとつい、ね。」
「そういって、うまく慰められたこともないだろうに。何回泣かれた?」
「…公園の子には泣かれなかった。」
「しかし、その少女ツクネがアイスを渡した翌日に公園でうつむいていたぞ。焼け石に水という言葉を知っているか?」
「話術じゃDIOにかないませんよ。じゃあ、DIOはどうにかできるの?」
「このDIOにできないことなど存在せん。しないだけだ。」
「…じゃあ参考がてらに、DIO様なら悲しげな少女にどう声をかけるか聞いてもいいですかね?」
「フム、声をかけるという前提があるとすれば、その子が話をしやすいように状況を整えるまでよ。まあツクネにできるとは思えんが。」
「…はいはい。参考になる意見をどうも。」
「それで?話は戸籍のことだけか?」
「はやてちゃんの病気に関しては「ツクネ。」わかってるよ。これは確認。オレたちはノータッチ。もしグレアムさんや、そういったことに詳しい人が治療法を見つけてくれば協力する方向で。」
「ああ、それで依存はない。」
「話すことはこんなことかな?DIOはなんかある?」
「いや、ないな。」
「じゃあ、戸籍の件お願いね。オレは図書館行ってくる。はやてちゃんは今日はグレアムさんと夕飯食べるらしいから、夕飯はオレたちだけね。」
「わかった。帰りに牛乳買ってきてくれ。」
「了解。」
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「…ただいま。」
「ツクネ、まさか昨日の今日で実践するとは思わなかったぞ。」
「DIOどこから聞いてた。」
「昔々ある山の奥に…なんだったか?そうだ!妖怪通う学校がありました、だったか。聞いていて笑うのをこらえるのが大変だったぞ。話しやすい状況にするためにあんな話をしたのか。それにしても純朴な子でよかったな。俺だったら不気味で逃げ出す。」
「そういうDIOだってなんだあれ、笑みを浮かべておじぎしたと思ったらふっと消えて。アレ使ったでしょ?」
「なんのことだか。ほぼ初対面の少女に自分語をする痛々しい男に比べれば、キザで済む程度だろう。」
「…いや、確かにあれはどうかと思ったけど、いきなり事情聞いたら地雷踏み抜くの目に見えてるし。本読んで時間潰すのも限界だったし…。」
「たまになら大笑いするのもいいものだな。ありがとうツクネ。」
「…どういたしまして。」
「それで?子供を送ったときにはうまく話せたか?自分語のツクネ君?」
「多少は自己紹介して自宅まで送っていった。そういえば喫茶店の子なんだってなのはちゃん。」
「なのは?ああその子の名前か。」
「うん。高町なのはちゃんちょうどはや「まて。」なに?」
「…まさか、その子供…“翠屋”の娘では…「そうだけど?」なんだと…。」
「…?それでその子がちょうどはやてちゃんと同い年だから今度遊びたいって。」
「お前話が下手くそだって嘘だろう。なんで初対面の子供と遊ぶことになってるんだ…。だが、それはいい。で?その子がこっちにくるんだな?」
「え?こっちの都合がいいときに公園にはやてちゃん連れてきて欲しいって。」
「ああ、それはそうか。」
「どうしたの?」
「いや、翠屋のシュークリームのファンになってな。あそこは軽食も美味しいのが素晴らしい。」
「DIOがそんなに褒めるなんて珍しいね。うまい飯屋がないからって自分でつくるようになったのに。」
「新しい店ができたと聞けばそこへ行き、残念な思いをして何年たったか。自分が作るよりまずいものに金を払うこともあるまい。たまにあれほどの店に出会えるから生きているのは面白い。」
「そういえば、前にもそんなこと言ってたね。」
「出会いとは、可能性だ。人は可能性によって進化する。可能性があるから弱者が強者を打ち負かすのだ。」
「実体験?」
「…。彼らは尊敬に値する人間だ。侮ったことなどない。」
「…そう。」
「…それで?いつハヤテを連れていく?」
「明日にでも連れていこうと思ってる。夕方にはグレアムさんも出ちゃうから。はやてちゃん一人でいるといろいろ考えちゃうだろうし。」
「そうか。」
「という訳で、明日は公園に行ってくるよ。」
「そうかい。それで「ディオさん、月音にーさん!」ん?ハヤテかどうした?」
「グレアムおじさんがもう出るって言うてるから、迎えに来たんよ。」
「そう。じゃあ行こうか。」
「…ああ。」
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「グレアムおじさんほんとに帰ってしまうん?」
「ごめんなさい、仕事がありますから。こんなにすぐ発つことになってすいません。」
「また会える?」
「……ええ、仕事の片がつき次第。」
「ほんまやんな!待っとるからね!」
「…ええ。」
「こちらのことは任せてください。はやてちゃんは責任をもって面倒を見させていただきます。」
「ありがとう。」
「もしもの時はいつでも連絡してくれ。連絡先は以前教えていただいた方法で?」
「はい、そのようにお願いします。それではブランドーさん、青野さんこれからよろしくお願いします。それでは失礼します。」
「ええ、よろしくお願いします。」
「いってらっしゃい!」
「………。」
「それじゃあ、夕飯にしようか。」
「…うん。」
「ハヤテ皿の準備をしてくれ。ツクネは飲み物を。」
「わかった。」
「はーい。わー、おいしそう。ディオさん料理できるんやね!」
「簡単なものなら作れる。」
「DIOが作れるものが簡単なら。オレが出来るのはおままごとかい?」
「月音にーさんもりょうりできるん?」
「簡単なものならね。」
「ディオさんと一緒や!」
「DIOよりは下手さ。」
「ディオさんそんなに美味しいん?」
「美味しいよ。この街のどの料理屋もね。」
「ツクネそれは言い過ぎだ。この街にも俺より美味いものが出せる店はある。翠屋と烏森が美味かった。…どちらも甘いもので被ってはいるが。」
「そんなこと言うても顔は笑っとるで!ディオさん月音にーさんに褒められてうれ痛い痛い!」
「準備もできたし、席につけ。」
「もー。ディオさんひどいわー。月音にーさんもなんとか言ってや。」
「ははは、DIOはツンデレだからね。」
「知っとるよ!素直になれんこやね!」
「はやてちゃん、よく知ってるね。」
「幼稚園のりっちゃんが言っとた!りっちゃんいろいろ知っとるんよ!スタン・リー命名の法則とか、ノックスの十戒とか、可愛いは正義とか!」
「たしかに正義はいい女だったな。」
「正義にはいい思い出ないなぁ。」
「それでな、幼稚園には友達いっぱいおるんよ。さっちゃんとか、ほうちゃん、とかゆきちゃんとか!他にもな!」
「ハヤテ。続きは夕飯を食べながらに。」
「はーい。」
「「「いただきます」」」
「それでな!_____
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