No Side
「それではまた何かあれば聴取にくるので、よろしくっス。」
「いえ、こちらこそご足労いただいてありがとうございます。」
「月音にーさん!ちょっとええー?」
「DIO、はやてをおねがい!」
「わかった。」
「お子さんがいらっしゃるんで?」
「ええ、親戚の子を預かってまして。」
「大変そうっスね。」
「それはもう。ですけどはやても気遣いのできるいい子ですし、我慢していないかが心配ですね。男所帯ですし…。」
「そうなんすか。…………。こちら知り合いの弁護士の連絡先っス。連絡する時は自分の名前を出してもらえればいいと思うっス。いざって時は頼りになると思うんで、渡しとくっス。」
「ええっと、いいんですか?」
「個人的な知り合いなんで大丈夫っス。」
「ありがとうございます。」
「それじゃあ、失礼させていただくっス。」
「お疲れ様です。玄関までお送りしますよ。」
「ありがとうっス。また何か思い出したら連絡をお願いするっス。」
「はい。糸鋸 圭介さんでしたよね?」
「はいっす。思い出したらいつでもいいんで電話をお願いするっス。」
「わかりました。」
「見送ってもらってありがとうっス。それじゃあ失礼するっす。」
「ありがとうございました。」
「帰ったか。」
「さっきはごめんな。お客さん来とるって知らんくって。」
「大丈夫だよ。けど、次からは気を付けてね。」
「はーい。」
「で、なんだった?」
「今日なのはちゃんちにお泊まりしに行くんやろ!それで、前持ってったかばんどこやったかと思って。けどもう大丈夫やで!ディオにーさんが見つけてくれた!」
「…?」
「ツクネ、どうもハヤテは勘違いをしている。」
「昨日は今度泊りにいってもいいよって話だったよね?」
「ああ。」
「今日ついでにそのことも話そうと思ってたんだけど…。というかDIOカバン探す前に、
「…楽しそうにしているハヤテに言えるか?」
…言わないと。」
「……。」
「……。」
「「じゃんけんぽん!」」
「どしたん?」
「いや、些細なことさ。」
「…ああ。些細なことだ。………それでハヤテタカマチ家に泊まる件だが「わかっとるよ!好き嫌いせんし、ちゃんと八時には寝る!」いや、そうじゃなくてだな…。………今日泊まるわけではない。」
「…え?」
「昨日話したのは、今度機会があればという話だ。今日泊まりに行けるということではない。」
「…そうやったっけ?」
「勘違いさせるようなことを行ってごめんね。今日は士郎さんたちに用があるしその時にでも聞いてみるよ。」
「じゃあ、カバン探しとる時に言うてくれても良かったのに。」
「…悪かったな。」
「じゃあなのはちゃんちに着いてってええ?にーさんたちの邪魔はせんから!」
「俺はいかんぞ。行くのはツクネだけだ。」
「そうなん?じゃあ月音にーさん行ってええ?」
「翠屋で会うことになってるから、なのはちゃんと会えないと思うよ?」
「んー。…じゃあええ。」
「DIOになのはちゃんち連れていってもらう?」
「ええの!」
「DIO?」
「かまわん。特に予定もないしな。」
「わーい!」
「電話してから行くんだぞ?」
「はーい!じゃあ電話してくる!」
「電話番号大丈夫?」
「もう覚えた!」
「それじゃあ、翠屋行ってくるね。はやてをよろしく。」
「ああ。シュークリームを忘れるなよ。」
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月音が翠屋につくと高町夫妻には先客がいた。話を聞く限り、昨日水道を壊した子を連れて再度母親が謝罪に訪れたらしい。昨日は水道の劣化が原因だと言っていたし、彼女らに責任はないだろうに。けれど月音は知っている。まるで人のように見えても、人ではありえないようなことを引き起こせる存在を。それは例えば空間を歪められたり、妖を躰に宿したり。自分が元いた世界では当たり前だった存在が、どうもここにもいるらしいというのはこの世界で暮らし始めてすぐに知ったことだ。もっとも、この世界の妖と自分の知る妖とは全く違うものだったが。
仮に、少年が水道を壊したとすれば…もしかすると………。なんてことを考えながら注文を済ませると士朗に声をかけられた。
「月音君待たせてすまなかった。ここじゃなんだから奥でいいかい?」
「無理を行っているのはこちらですし、場所に文句なんて言いませんよ。」
「いや、こういう話は早いほうがいい。知れせてもらって助かるしね。」
「実際はどうかわかりませんけどね。ただなのはちゃんの名前が聞こえたので万一があるかと思って。」
「まあ続きは奥でしようか。ここでするような話でもないし。」
奥へ移動する士朗についていこうと立ち上がる月音は先程の少年と目があった。少年はひどく驚いているようで、月音のことをまじまじと見つめている。月音やDIOは近所づきあいはいい方だ。公園に行けば知り合いの子供たちが遊ぼうと声をかけてくるくらいには顔が広い。だから月音は以前遊んだ子供の内の一人かと思い笑顔で手を振る。けれどそれを見た少年は月音から目をそらした。月音はただ困惑するばかりで、少年の顔には確信と恐れ、嫉妬が浮かんでいるのには気がつかなかった。
月音は奥の事務室に入ると士郎に改めて説明をした。
昨日高町家から帰る途中で通り魔に襲われたこと。
その際通り魔が“なのは”と発言していること。
通り魔は中肉中背、身長は170cm弱、フードにマスクサングラスをしていてナイフで武装していたこと。
警察には既に連絡しており知り合いになのはという子がいるということは伝えたこと。
既に警察に一度話していることもあり要点をまとめて説明できた。士郎は話が一区切りつくと、月音が話始めてから初めて口を開いた。
「怪我が無いようでよかったよ。…月音君、ひとつ疑問があるんだがいいかな?」
「なにか変なこと言いましたか?」
「月音君は通り魔を捕まえられなかったのかい?」
「…流石にナイフを持っている相手に組み付くのは怖いですし。ナイフをよけて通り魔と向かい合ったら通り魔はそのまま逃げてきましたよ。」
「追いかけなかったのかい?」
「あそこの公園って街灯ないじゃないですか。暗くて見失っちゃって。」
「たしかにあの公園は夜はとても暗い、けれど月音君が取り逃がすとは到底思えないんだけどね?」
「買いかぶりですって。精々学生時代に知り合いから格闘術習ったくらいですし。路上で喧嘩もしたことないから実践って昨日が初めてで。実際ナイフ持った不審者と対峙するのって、すごい怖いですね。実践舐めてました。」
「…………。そうか。それでなのはの名前が出たと?」
「もしかしたら聞き間違えかもしれません。直前までなのはちゃんと一緒にいましたしなのはちゃんの安全を気にしてたから。もしかしたら菜の花っていったのかもしれませんし。ただ、場所が場所ですし、万一があると怖いので。」
「わかった。ありがとう。すこしなのはの外出を控えさせるよ。万一があったら怖い。」
「そうしたほうがいいと思います。何かあってからだと遅いですし。取り敢えずこの話はこんなもんですけど他に質問ありますか?」
「……まあないかな。本当に怪我はしていないんだね?」
「大丈夫ですよ。後ろからならともかくすれ違いざまならなんとか反応できますから。」
「そうかい?月音君なら後ろからでもなんとかできそうだけど?」
「士郎さんにそう言われるのは嬉しいですけどできないものはできませんって。」
「そうかい?一回でも立ち会えばわかると思うんだけどなー?」
「勘弁してくださいって。」
「ははっ、またフられちゃったか。…何かあれば相談しなさい。ディオ君はしっかりしているがそれでも男二人だと何かと大変だろうしね。」
「……じゃあ、早速甘えさせてもらいたいことが。はやてのことで相談があるんですけど____
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「ハヤテ、いくら気心のしれた友人とはいえ粗相のないようにな。」
「ディオにーさんいっつも同じこと言っとるやん。大丈夫やって!」
「ならいいがな。…五時に迎えに来る。いい子でな。」
「はーい。お邪魔しまーす!」
「こら!ハヤテ!…まったく。」
「元気なのはいいことじゃないか。」
「まあそうだが…。キョウヤこれはお菓子とジュースだ。ハヤテをよろしく頼む。」
「ああ。ありがとう。いつもなのはを送ってもらってるしはやてを送っていこうか?」
「いや、今日はそのくらいの時間にこのへんに用があってな。ついでだ。」
「そうか。じゃあ任された。何かあれば連絡する。」
「ああ。それでは失礼する。」
DIOは恭也と別れたあと買い物を済ませるためにスーパーに向かった。最近ははやても料理に興味を持ったようで、よくDIOや月音を手伝う。はやてがいくら大人びているとはいえまだ五歳だ。二人ともはやてに対してやや過保護なこともあり、まだ包丁や火を使うような調理ははやてにさせていない。最初は皿や調理器具を出してもらったりしていたが、はやては調理をしたいらしい。とはいえ刃物は危ないし、加熱するのもフライパンを触って火傷するかもしれない。そうなると結局最後の盛りつけくらいしかさせられないよねとは月音の弁である。とはいえやりたいことをやらせないのはいかがなものかとは二人とも思っている。
サラダなら包丁使わずとも出来そうだな。白米を炊かせるのもいいかもしれん。などと考えていると後ろから声をかけられた。
「お久しぶりですね。旦那。」
「ム?細波か。久しいな。お前が訪ねてくるとは珍しい。仕事か?」
「いえ、後進が育ってきたんで、その紹介に来たんですよ。」
「後ろの…男か。場所を変えるぞ。会計を済ませてくるから外で待っていろ。」
「はいはい。それにしても旦那が主婦みたいにしてるのは何度見てもなれませんね。」
「よく言われるな。」
DIOが会計をしに移動すると細波が連れた中世的な顔立ちの男性が細波に文句を言う。
「細波さん!…なんですかあれ。人に会うとはいえやばい相手なら事前に「閃、今日は顔合わせだ。こういう商売やってると伝手とかコネって人脈が大事なんだっていつも言ってるだろう?まあ厳い顔してるが、話はわかる人だ。お前もここに住むようになるんなら挨拶はしとかねぇと。…それに買い物袋ぶら下げた旦那って怖いかい?」
「………せめてどんな人かはあらかじめ言ってくださいよ…。」
「先入観ってのはやばいぜ?情報を扱うのならそのくらい知ってるだろうに。」
「それでも覚悟くらいはさせてください…。」
「お、会計が終わったみたいだぜ。行くぞ、閃。」
「…はい。」
「ああ、ここにいたか。取り敢えずうちに来い。短い話でもなかろう。」
「いいんですかい?」
「ああ、ついでだ夕飯も御馳走しよう。」
「そりゃありがてえ。旦那の飯うまいんで好きなんですよ。」
「そっちの…あー。」
「閃です。影宮閃といいます。はじめまして。」
「ああ、よろしく。細波から聞いているかもしれないがDIOという。長い付き合いになるだろうがよろしく頼む。」
「よろしくお願いします。」
「案内しよう。こっちだ。」
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「ほんま!明日なのはちゃんとこ泊まりに行ってええん?」
「うん。士郎さんに了承を貰ったからね。けど、仲がいいからって巫山戯すぎたらダメだよ?」
「ふふっ。」
「どうしたの?」
「月音にーさんもディオにーさんとおんなじこと言うんやなーと思てな。」
「DIOがそんなこと言ってたのか。」
「そういえばディオにーさんは?迎えに来る言うとったけど?」
「今日はお客さんが来てるからねその相手をしてるところ。」
「お客さん?ディオにーさんの友達なん?」
「うーん…。友達ってよりは仕事仲間かな?同僚っていうか…。」
「ディオにーさん仕事しとったんや!」
「…してないと思ってたの?」
「だっていつも家におるやん!月音にーさんは週一くらいでどっか行っとるのは知っとるよ!けどどんなお仕事しとるのかしらんなぁ。にーさんたちはなんの仕事しとるん?」
「んー、なんていうか…。生態調査?」
「なんで疑問系なん?」
「なんでだろうね?」
「…もう。それで、せいたいちょうさってなにするん?」
「どこに何が住んでいるかを調べることかな。」
「???」
「まだはやてには早かったかな?」
「わからんけど、何か調べるんやんな!」
「そうだね。そういう感じ。」
「ディオにーさんは?」
「…派遣かな?」
「はけん?」
「人手が足りないところにお手伝いしに行くお仕事さ。」
「わたしと一緒やね!」
「そうだね。はやてに手伝ってもらって助かってるよ。」
「そやろ!もっと褒めてもええんやで!」
「よしよし。」
「えへへ。」
「玄関前で何をやっている。とっとと入れ。」
「あれ?DIO。お客さんは?」
「待たせてある。夕飯の準備も出来ている。ハヤテ手を洗ってこい。うがいも忘れるなよ。」
「はーい。」
「…仕事の話?」
「いや、新人の顔合わせらしい。…まあそれだけではないだろうが。」
「…そっか。じゃあシュークリーム冷蔵庫に入れてくるね。」
「ちゃんと手を洗えよ。」
「そんな子供じゃないんだから。」
月音とDIOが玄関で話していた頃、リビングではやてと慧、閃が対面していた。閃は不思議そうに、慧は驚いたようにはやてを見ていた。
「えっと、お嬢ちゃん誰だい?」
「…?はじめまして。八神はやてっていいます。」
「…おお。」
「影宮閃って言います。よろしくね。…細波さん。」
「…細波慧だ。しっかりしてるね嬢ちゃん。」
「にーさんたちにあいさつはだいじやって教わったからな!」
「にいさん?」
「月音にーさんとディオにーさん。」
「…まじか。」
「細波さん?」
「ちょっとこれは予想外。」
「えっとディオにーさんのしりあいなんやんな?」
「ああ、仕事で知り合ってね。」
はやては慧との自己紹介を終えると、閃の顔をまじまじと見つめる。
「なにかな?」
「んー?なんでもない!今日は隣でご飯食べてええ?」
「ん?ディオさんたちがいいならいいよ。」
「聞いてくる!」
リビングからはやては走って出ていった。月音やDIOはキッチンで準備をしているようだ。慧は閃にからかうように言う。
「モテモテじゃないの。今彼女居ないんだろ?付き合ったらどうだ?」
「勘弁してくださいよ。ディオさんも壮年くらいでしたし、このくらいの年の男が珍しいだけでしょう。」
「そうでもないと思うがね。…あ、そうだ。ここの家の住人の話はほかではするなよ。頭領にもな。」
「え?どうい「いいって言われてきたで!」
キッチンから走ってくるはやては閃に飛びついた。その様子を見ながら慧はニヤニヤする。
「こらハヤテ飛びつくのは危ないだろう。すまないな影宮君。」
「いえ、大丈夫ですよ。体は丈夫ですから。」
「細波さんお久しぶりです。そちらが影宮閃君だね?はじめまして青野月音です。」
「はじめまして。閃でいいですよ。年も近そうですし」
「わかったよ。オレのことも月音でいい。」
「よろしく月音。」
「ああ、よろしく閃。」
「挨拶もそのへんでいいだろう。ご飯にするぞ。」
「うん、そうだね。それじゃあ、みんなお待たせしました。」
「「「「「いただきます。」」」」」
どんどん増していく設定(クロス先)。
終着点は見えているので問題ないはず。
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