取れた歯車と止まらぬ世界 作:匿名さん1950
1950-1/1
大日本帝国がソ連に対し宣戦布告を行う。
これによりナチスドイツと大日本帝国の挟み撃ちになったソ連は降伏するのも時間の問題となっていた。
大日本帝国-ソビエト社会主義共和国連邦国境付近
雪がしんしんと降る中にたたずむログハウスが一軒。
ここはソ連国境部に配属された艦娘が待機する場所であり全く出動することもないことから陰でサボり場とも呼ばれている。
そのログハウスの中にはブロンズの髪を揺らしながらうたた寝している艦娘[レニングラード級駆逐艦二番艦ハリコフ]とトランプをして暇をつぶしている白髪の艦娘[レニングラード級駆逐艦一番艦レニングラード]とグレーの髪色をした艦娘[チャパエフ級軽巡洋艦一番艦チャパエフ]がいた。
「いつまで私たちはここにいるんでしょうね。」
ハリコフはチャパエフの持っているカードから一枚抜き取り揃ったハートの6を机の真ん中に置く。
「さぁ...でも、あと一ヶ月ぐらいで早いところの地方研修も終わるから最低一か月はここにいるんじゃないかしら。」
チャパエフはハリコフからカードを一枚抜き取ると、jokerという文字が目に入り思わず眉を顰める。
「そんなぁ...少しでも早くナチ公を叩き潰したいのに...」
そう言いながらハリコフはチャパエフからカードを抜き取り最後のペアを完成させる。
「またお前の勝ちだ...」
「チャパエフさんが弱いんですよ。すぐに顔に出ますし。」
「お前...!」
次の瞬間ログハウス全体を揺るがすような揺れと爆音が鳴り響く。
「な、なんですか!?」
「分からん!とにかく伏せろ!」
チャパエフはハリコフをその場に伏せさせ、揺れと爆音で起きたレニングラードを伏せさせようとレニングラードへ向かって走り出した瞬間だった。
ゴッという音と共に耳鳴りがチャパエフを襲う。
思わず目を瞑ってしまったチャパエフは目を開けるとレニングラードの胴体に運悪く砲弾が直撃したようで口から血反吐を吐き胸からは肋骨が見えている。
艦娘とはいえ小型艦は大口径の砲撃が直撃すると身体欠損が発生する。
その為運悪く弾丸が直撃したレニングラードは胴体の臓器がすべて損傷するという事態に陥った。
「お姉ちゃん!!」
ハリコフがレニングラードへ駆け寄り知識がないながらもどうにかしようとするが、レニングラードは口を鯉の様に口をパクパクさせながらハリコフに手を伸ばし—————力尽きる。
チャパエフが目の前で起こったことに動揺しているとサイレンと共に「大日本帝国軍が侵攻を開始した」という趣旨のアナウンスが響き渡る。
「あのジャップどもめがぁぁぁぁ!!!!」
ハリコフは怒り狂ったかのように叫びながら艤装を展開し駆けていく。
チャパエフはその姿を見てハッとしたのか急いで艤装を展開して同じように駆けていく。
チャパエフが戦場へ着くとそこではハリコフが暴れ回っていた。
歩兵を機関砲で蹂躙し、装甲車両を主砲で吹き飛ばしていた。
チャパエフもすぐさま主砲で日本軍を攻撃し始める。
しばらくは何も問題がなかったが、チャパエフは突如とても嫌な予感を感じ取る。
その嫌な予感を探っていると日本軍陣地の奥の方で巨大な砲[八九式十五糎加農砲]がこちらへ—————正確にはハリコフの方へ————砲口を向けていた。
「ハリコフ!!避けろ!!」
チャパエフはすぐさまハリコフへ危険を知らせるがハリコフは発狂しており聞く耳を持たなかった。
そして、破裂音と共に砲弾がハリコフへ向け討ち出される。
「ハリコフー!!!」
発射された砲弾は散乱している装甲車両を縫うように飛翔し、ハリコフの首から上をもぎ取る。
もぎ取られたハリコフの頭はスイカを潰すように砲弾の運動エネルギーによって肉片へと化した。
「ふざ...けるな...ふざけるな...ふざけるな、ふざけるなふざけるなふざけるなぁぁ!!!」
狂ったかのように怒りを爆発させたチャパエフは主砲を仇に向けながら駆ける。
装填が終わったのかすぐさま二発目の砲弾がチャパエフに向かって飛んでいく。
しかし、チャパエフは気に留めることなく突き進んでいく。
そして、チャパエフが直撃寸前の砲弾を右手で払おうとした瞬間だった。
砲弾が炸裂し鉄片がチャパエフの胸から下と右腕を食いちぎる。
その場に落ちたチャパエフはいまだ戦闘を行う日本軍へ向かって睨みつけていた。
「よくも...よくも同志を...呪ってやる...呪い...殺して...や..る...」
そしてチャパエフは力尽き、ソ連艦娘国境部隊は壊滅、数時間後にはソ連国境部隊は完全に壊滅することになる。