魔法少女リリカルなのは〜竜の軌跡〜   作:komokuro

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第1話

今、僕は夢を見ているのだろう。そう考えるのは目の前で繰り広げられている光景が非現実で有るからだろう。

目の前に映る場所はよく父さん達とよく行く森に似ていた。そこで、何処かの民族衣装を着た僕と同じくらいの男の子が黒い毛玉と戦っている。

最近見たアニメの影響かなと考えているうちに決着がついた。男の子に毛玉が飛びかかると、彼の手から放たれた光の壁にはじかれどこかに逃げていった。

男の子もそれで、力を使いきったのかその場に倒れた。

すると姿がイタチのような動物に変わった。

 

「だれか・・・僕の声聞いて・・・力を・・・」

 

イタチに変わった男の子から悲痛な声が聞こえた。そこで、僕は目を覚ました。

開いた空色の瞳には、いつもの天井が映る。

 

「・・・」

 

いつもは夢なんて目が覚めたらほとんど覚えていないのに、この夢だけは何故かはっきりと覚えていた。

胸騒ぎがする。

 

何かが起きると予感がした。

 

と、そんな事を思いつつまずはやることがある。

 

「にゃ~~~リュウ~~~」

 

「・・・はぁ」

 

二段ベッドの上の主である。姉が僕を抱き枕の様に抱え幸せそうに眠っていた。

まあ、いつものことなので驚きはしない。とりあえず姉を起こさないように魔の手から逃れ、代わりに自分の枕を抱かせる。

ベッドを出てカーテンを開けると、日が登り始めていた。外に広がる町並みが徐々に明るくなっていく。

窓を開けると春先で少し肌寒かったが、鳥のさえずりが心地よかった。

 

「よし・・・今日も1日がんばろ」

 

次第に明るくなる空を見上げながら高町家次男・・・高町リュウは小さく意気込んだ。

なお、リュウを抱き枕にしたいた人物は、高町家次女・・・高町なのはである。

 

 

 

寝ているはのはを起こさないように静か部屋から出る。まあ、はのはは低血圧ぎみで朝が弱いので、少し物音を立てたぐらいではなかなか起きないのだが。

洗面所で顔を洗い鏡を見つめる。空色の髪と瞳が特徴的な少年が映る。くせっ髪のせいで寝癖がひどかった。

リュウは自分の髪に触れた。

 

「・・・やっぱり、変だよねこの色・・・」

 

「まだ気にしてるの?」

 

「うん。だって誰もこんな色の人いないもん」

 

いつの間にかなのはと同じ茶髪の女性・・・母親の高町桃子が後ろにいた。

 

「いつも言ってるでしょ。人にはそれぞれ個性があるの。そ・れ・が・大事なのよ。それに私は好きよ、リュウの髪の色」

 

リュウの肩にそっと触れる。

 

「もう少しわかりにくのがよかった・・・」

 

「いつまでも気にしてちゃだめよ。ほら、寝癖直してあげる」

 

「そうだね・・・ありがとうお母さん。」

 

リュウの髪の色は自然にはぜったに現れない空色だ。そのせいでリュウは周りから奇異の視線で見られていた。

そのせいか、リュウは今年で小学3年生になるが友達があまりいない。何度か染めようともしたのだが、姉達の反対に遭い断念している。

桃子の言葉を胸に秘めながら、優しくリュウの髪を梳かす姿を鏡越しに見ていた。

 

 

 

ジャージに着替え、深々と帽子を被り道場に入るとすでにジャージに着替えた兄たちがいた。

 

「リュウおはよう」

 

「おはようリュウ」

 

「おはよう、恭也にぃ、美由希ねぇ」

 

兄の高町恭也と美由紀に元気よくあいさつをする。兄の恭也は大学一年生で姉の美由紀は高校2年生だ。恭也はクールで寡黙だが優しく長身でリュウの目標でもある。美由希は三つ編み眼鏡がトレードマークだ。美由希のことは好きなのだが、そろそろ一緒にお風呂に入るのはやめてほしい。もう、人並みの羞恥心は持っているのだから。

 

「今日も元気だなリュウ」

 

「おはよう、お父さん」

 

父親・・・高町士郎は、この家に伝わる古流剣術「小太刀二刀御神流」の継承者だ。別に道場が仕事というわけではなく。

家で喫茶店「翠屋」を開いている。桃子はそこのパティシエをしている。桃子の作るケーキは近所でも評判で喫茶店はなかなか繁盛している。従業員はいるのだが、手が足りないときは家族総出で手伝ったりもする。リュウは髪のせいで人見知りがちだが、おどおどしながらもなかなか頑張っている。その姿がどうやら近所の奥様の嗜虐心を駆り立てるのか、裏では結構人気者になっていた。

 

「なのはは相変わらずかい」

 

「うん。最初は上で寝てるんだけど、僕が朝起きたらいつも隣で寝てるんだ」

 

「いやなら部屋を別々にするかい?」

 

士郎はそう切りだした。

実を言うとこの提案は前から何度もあった事だった。リュウはもう9歳だ。さすがにそろそろ異性を意識する年齢でもある。部屋を別にするべきだという話になるのは当然だった。

だが、なのはが頑なにそれを拒んだ。特に最初にこの話が出た時のなのはの変わりようはすごく、高町家の歴史に残る家族会議になった。

いろいろあり、せめてベットだけは別にしようということになり、なのはも部屋を別にするよりはいいということで二段ベットで妥協するということになった。

だが、いつの間にかリュウの場所に入り込んでくるためあまり意味はなかったが。

 

「ん~~なのはねぇが悲しむし。それに別にいやじゃないから大丈夫」

 

「そうかい。リュウはやさしいな」

 

そう言って士郎はリュウの頭をなでた。

 

「よし。それじゃあ準備体操して走り込み行くぞ」

 

「「「はい」」」

 

かけ声とともに4人は外に出て行った。

 

 

 

いつものランニングコースを一時間ほどで走り終え道場へ帰ってきた。

 

「それにしても、リュウはすごいな」

 

「ん?なんで恭也にぃ」

 

「いや、俺はリュウくらいの頃はこのペースについていくのも大変だったからな」

 

「そうなの?」

 

「そういえばそうだったな。それよりも、早くシャワーを浴びないと朝食の時間が無くなるぞ」

 

士郎の言うとおり時計を見ればそろそろ朝食の時間だった。

 

「私は時間かかるから後であとでいいよ。恭ちゃん達から先に浴びてきて。あ、リュウ久しぶりにお姉ちゃんと浴びる?」

 

「い・いいよ。恭也にぃたちと入るから」

 

リュウは顔を赤くし、家族からは笑いが起きた。

 

 

 

 

シャワー浴びてリビングに戻るとすでに朝食が並び初めていた。

 

「リュウそろそろくれないなのはを起こしてきてくれない」

 

「うん、わかった」

 

桃子に言われ部屋に入ると案の定ぐっすり眠っていた。先ほど抱かせた枕をリュウだと思ってしっかり抱きしめている。

近づくと幸せそうな寝言が聞こえる。

 

「はぁ~~、ほんとこれじゃあ二段ベットの意味がないよ」

 

「なのはねぇ~もう朝ごはんだよ。起きて」

 

「にゃ~~もうちょっと~~」

 

リュウが幸せそうに眠るなのはの体をゆするが起きる気配がない。

 

「はぁ~~~しかたない」

 

リュウはすでにこういう場合の対処の仕方を心得ていた。

なのはの耳元に近づくとそっと囁いた。

 

「なのはねぇ。僕、今日から部屋移るから・・・」

 

「だめ!」

 

なのはは突如目を見開き飛び起き、リュウに力一杯抱きついた。

 

「いやだよリュウ、お願いだから何処へもいかないで」

 

「うん・・・わかった・・から。何処へもいかないから・・ちょっと・・ちょっと・・・なのはねぇ・・苦しい」

 

「わ、ごめんねリュウ」

 

なのはは苦しそうにもがいているリュウを慌てて離す。リュウはいつもこの力は何処にあるのかと思っている。なのはは運動音痴で体育も平均以下だ。でも、こういうときだけリュウすら組み伏せる力をだす。俗にいう火事場の馬鹿力なのだろう。なお、リュウの体育の成績は学年トップで、体力測定では学年新記録を出したりもしている。おかげで様々なクラブから声がかかっているのだが、あまり目立ちたくないリュウは全て断っている。

 

「とりあえず、なのはねぇもう朝ごはんだよ」

 

「あ、ほんとだ。早く着替えないと」

 

二人はクローゼット開け制服に着替える。二人が通う私立聖祥大付属小学校は私立だけあって制服がある。白を基調とした制服で、下は男子はズボン女子はロングスカートになっている。そして、胸元は男子はネクタイ女子はリボンだ。

リュウは棚からネックレスを取り出し身につける。それには紫色に輝く水晶のような石がついていた。

二人は洗面所まで降りて、身だしなみを整える。

 

「リュウまた髪の毛はねてるよ。あと、ネクタイも曲がってる。直してあげる」

 

「ありがと。なのはねぇ。朝、お母さんに直してもらったのになぁ~シャワー浴びたからかな」

 

「リュウどう、私はおかしなとこない?」

 

「うん。大丈夫だよ」

 

なのはいつもどうり、短い髪を両脇で結んでツインテールしていた。

 

「じゃあ、行こっか」

 

「うん」

 

リビングに着くと、すでに家族が座っていて朝食も並んでいた。高町家の朝食は洋食が基本だ。

きょうのメニューはパンにポテトサラダにスクランブルエッグとデザートにフルーツとバランスとれたものだ。

 

「なのはおはよう」

 

「おはようお母さん」

 

「なのは、そろそろ一人で起きないとダメだぞ。いつまでもリュウに起こしてもらう訳にはいかないんだぞ」

 

「にゃはは。わかってるんだけどなかなか起きれなくて」

 

新聞を読んでいた士郎がなのはに言う。リュウもこの事については早く出来るように切に願っていた。

毎日、締め上げられてはたまったもんじゃないからだ。

 

「さあ、それじゃあみんなそろったからご飯にしましょう」

 

桃子の声とともに朝食が始まる。

 

 

 

朝食を食べ終えるとそろそろ登校の時間だ。

二人は桃子から昼のお弁当をもらうと鞄にしまった。

 

「じゃあ行こう!なのはねぇ」

 

「うん」

 

「「じゃあ行ってきます」」

 

二人は元気に手を繋いで家を出た。今日の空は晴れ、リュウの髪と同じ色が続いていた。

 

 

 

 

 

 

 

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