魔法少女リリカルなのは〜竜の軌跡〜   作:komokuro

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第3話

「特に、病気とかは大丈夫ね。ずいぶん衰弱しているよだけど。きっと、ずっと一人ぼっちだったんじゃないかなぁ」

「院長先生ありがとうございます」

「「ありがとうございます」」

 

夕日の差し込む動物病院で、四人は医師の診断を聞いて胸をなでおろした。

フェレットは診察台に置かれたクッションの上で静かに眠っている。

 

「先生これフェレットですよね。誰かのペットなのでしょうか?」

「フェレット?なのかなぁ?変わった種類だけど」

 

アリサの質問に医師は悩みながら答える。

 

「それに、この首輪に着いているのは宝石なのかな?」

 

フェレットには赤いビー玉のような宝石が着いた首輪をしていた。

そのため、四人は誰かのペットが逃げだしてあそこに居たのではと考えていた。

医師が首輪に触れようとすると、フェレットの目が静かに開く。

 

「あ、目を開けた!」

 

リュウの声とともに、五つの視線がフェレットに集まる。

フェレットはゆっくりと起き上がると、開かれた翡翠色の瞳で周囲を見回した。

衰弱しているためかどこか動きがぎこちなかった。安静にしていればすぐに元気になるだろう。

辺りを見回し終えるとリュウをじっと見つめた。

青と翡翠の視線が出会う。

 

「リュウ?」

 

なのはとすずかはリュウへと振り向いた。

しばらく見詰め合っているとフェレットは安心したのか再び眠りについた。

 

「この子…「あ~~!」

 

リュウの言葉はアリサの叫び声に遮られた。

三人は何事かとアリサの方を向く。

 

「もう、こんな時間じゃない。このままだと塾に間に合わないわよ」

「「「あ!」」」

 

アリサの声に三人は時計を見るとあと、30分ほどで塾の講義が始まる時間だった。

ここから塾まで走ればぎりぎり間に合う時間だ。だが、運動音痴のなのはがいる。

 

「しばらく安静にした方がいいからとりあえず明日まで預かっておくわ」

「「わかりました」」

「では、院長先生また明日来ます。よろしくお願いします」

 

なのはの声とともに四人は急いで病院を飛び出した。

病院を出るとリュウはふと立ち止まり、後ろを振り返えった。

 

「リュウくん早くしないと遅れちゃうよ」

「あ、うん」

 

すすがの声にリュウは意識を戻した。今はフェレットより塾だ。

リュウは三人の後を急いで追った。

 

 

 

 

なのはが体力切れでリュウがおぶって走り、その様子をすすががうらやましそうに見つめていたという事もあったが、塾にはぎりぎり間に合った。

大急ぎで教室に入って来たリュウ達を見て周りは何事かと驚いていた。特にリュウの背中にのったなのはに視線が集まったがアリサの一睨みですぐに視線が消えた。

四人は講義中もそっちのけでフェレットの今後をメモ越しで話し合っている。

 

『誰か預かれそう』

『うちはネコがいるし』

『うちにもイヌがいるしねえ』

 

すずかの家は猫屋敷といえるほど何十匹も猫を飼っていて、アリサに至っては大型犬を飼っていた。

リュウの家はペット禁止とは言われていないが、飲食店ということもあり何も飼わないというのが暗黙了解になっていた。

 

『ウチも飲食店だから、どうしよう』

『お父さん達に聞いてみようよもしかしたらいいって言うかもしれないし。僕もお願いしてみるから』

『そうだねリュウ。ありがとう』

 

結論としてはリュウとなのはが両親に相談してみるということになった。

 

 

 

 

 

「そういうわけで、そのフェレットさんをしばらくウチで預かるわけにはいかないかなぁて」

「なのはねぇと一緒にちゃんと面倒みるからいいでしょ。父さん」

 

塾から帰宅し、家族が集まる夕飯の時間にリュウとなのはは今日起こった事を話した。

 

「フェレットか…」

 

士郎は腕を組みながら神妙な顔で考えている。二人はその姿を静かに見守もった。

しばらく沈黙の時間が続き、士郎は口を開いた。

 

「ところでなんだフェレットって?」

 

「「え」」

 

二人は士郎の言葉にぽかんとなる。

 

「イタチの仲間だよ父さん」

「だいぶ前からペットとして人気の動物なんだよ父さん」

 

横から恭也と美由希が答える。

 

「フェレットってちっちゃいわよね」

「知ってるのか?」

 

桃子が料理を運びながらキッチンからでてきた。

 

「ん~とこれくらい」

「そうそう、それくらい。それくらい」

 

なのはは自分の手で大きさを示す。

士郎は意外と小さいんだなという感じでなのはを見る。

 

「しばらくあずかるだけなら。かごに入れておけて二人で世話できるならいいかも。恭也、美由希どお?」

「俺は特に異存はないけど」

「わたしも」

 

三人は特に異存はないようだ。

リュウとなのはは士郎に視線を移す。

 

「だそうだよ」

「うん、ありがとう」

「やったね。なのはねぇ」

 

二人はうれしさのあまり抱き合った。

 

「ほらほら、早く食べないと冷めちゃうわよ」

「「あ、は~い」」

 

よほど飼えることがうれしかったのか、二人は食事中もずっとフェレットについて話していた。

二人は夕食後、いつものように一緒にお風呂に入り自室に戻るとリュウは自分のベッドの上でメールを打っていた。

 

「『すずかへ、フェレットはウチでなんとか預かれることになったよ』っと。なのはねぇ~すずかにメール送っといたよ」

「あ、ありがとう」

 

二段ベットの上からなのはが顔を出した。

リュウはメールを打ち終え青色の携帯閉じる。

この携帯は最近両親に買ってもらったものだ。機種最新の折り畳み式でなのはとは色違い、リュウが青でなのはがピンク。

リュウは最初髪の毛の色とかぶるから別の色にしようとしたのだが、姉達の意向には逆らえなかった。

でも、今では結構気に入っている。

 

「なのはねぇ、今日はちゃんと自分の場所で寝てよね」

「え~~いいじゃん。それともリュウ……私のこと嫌い?」

 

リュウはベットから降りる。

 

「きらいじゃないよただ……」

「じゃあいいでしょ?」

 

なのはは立ち上がったリュウに後ろから手を回し抱きついた。

同じシャンプーを使っているはずなのに、リュウには違うに匂いに感じた。

甘い、甘い蜜のような匂い。

自分の鼓動が早くなっていることに気づいていた。

 

 

(助けて)

 

 

突然、あの声が脳裏に響く。

 

「リュウ!」

「うん、聞こえた!」

 

リュウの携帯が突然鳴る。相手はすずかだ。

 

「リュウくん!今また助けてって声が聞こえたの!」

「僕たちも聞こえたよ。やっぱり、あのフェレットからだよ」

「私もそう思う」

「僕、今から病院に行ってくるよ!」

「リュウくん私も…「ちょっと待った」

 

横にいたなのはがさっとリュウの携帯を奪う。

 

「すずかちゃんは家で待ってて。ほらすずかちゃんは夜に簡単に外には出れないでしょ?私とリュウ二人で見てくるから。二人で!」

「む~~なのはちゃんずるい」

「それじゃあ、ってリュウ!」

 

リュウはなのはから携帯を取り返した。

なのはが不満そうな目でこちらを見たがとりあえず無視する。

 

「すずかは家にいて」

「リュウくん!なんで!」

「前みたいに誘拐されると大変だもん。僕またすずかが誘拐されるのはいやだよ」

「リュウくん……うん。そうだね。でも、後で何があったか教えてよ。約束だよ。ぜったいだよ」

「うん。ちゃんと教えるから。それじゃあ」

 

リュウは携帯を切る。

すすががかわいそうだが、昔リュウとともに誘拐され大変な目に会ったことがある以上しかたない。

 

「でもリュウ。どうやって出ようか。この時間じゃ外に出してもらえないし」

 

時計はすでに8時を回っていた。

 

「窓から出るしかないか」

 

リュウはちらっ窓を見た。

二階とはいえ子供のリュウ達にはかなりの高さがある。

 

「え~~無理だよ。それにリュウ私が運動音痴なの知っているでしょ」

「大丈夫。僕が抱えて飛ぶから。え~~と確か前履いてた靴があったような」

 

そういいながらリュウはクローゼットをあさる。

 

「え~~ホントにやるの」

「早くしないと、もしかしたら大変な事が起きてるかもしれないし。あ!合った!」

 

リュウは靴を見つけるとすぐに履いた。なのはも渋々従った。

 

「リュウほんとに大丈夫なの?」

「大丈夫。大丈夫。このくらい恭也にぃ達とやってるし」

 

リュウはなのはを抱きかかえている。世にいうお姫様だっこという奴だ。

なのははほほは少しを赤らめていた。

窓際に椅子を置き飛出しやすいようにすると、窓を開けリュウは外に勢いよく飛び出した。

そして、静かに着地する。こうみえて、士郎達に鍛えられて身軽なのだ。

 

「リュウすごい!」

「まぁね!じゃあ行こう」

 

二人は手を繋いで動物病院へ向かった。

 

 

 

 

電灯の明かりがともす道を二人は走る。

病院が目に入り、もうすぐ着くというところでリュウは突然立ち止まった。

 

「わ!リュウいきなり立ち止まらないでよ……?どうしたの」

「何かいる!」

「え!」

 

空気が変わった。

街の景色が少し歪んだように感じる。

すると、突然病院から大きな破壊音した。

 

「「え!」」

 

二人は突然の出来事の呆然としている。

空を見ると昼間のフェレットが飛ばされてきた。

 

「あ、フェレットさん!」

 

飛んできたフェレットをなのはが何とかキャッチした。

 

「いったい何が?」

 

リュウは土煙の上がる病院を見た。

土煙が晴れるとそこには黒い毛玉のような化け物がいた。

赤い瞳をたぎらせ、周囲を確認している。

ねらいはこのフェレットのようだ。

 

「なにあれ」

「なのはねぇ逃げるよ!」

 

呆然とするなのはの手を引きリュウは一目散に来た道を引き返す。

 

「なんなのあれ!」

「わかんないけど。この子を狙ってみたい」

 

リュウはなのはが抱きかかえたフェレットを見た。

 

「君たちには資質がある。お願い僕に少しだけ力を貸して」

「「フェレットがしゃべった!」」

 

あまりのことに、二人は脚を止めた。

フェレットはなのはの腕から地面に降り語りだす。

 

「僕はある捜し物のためにここではない世界から来ました、でも、僕一人の力では思いを遂げられないかもしれない

僕は迷惑だとわかってはいるのですが資質をもった人に協力してほしくて。お礼はします。必ずします。

僕の持っている力をあなたに使ってほしいんです僕の力を魔法の力を」

 

「「魔法?」」

「これを」

 

フェレットが首についている赤い宝石を咥えて、リュウに差し出した。

宝石は神秘的な光を発していた。だが、リュウが受け取ると光が消えてしまった。

 

「あれ?光が消えちゃった。」

「え?」

「リュウ上!」

 

なのはの声でリュウが上を向く。

毛玉の化け物が大きな口を開け上空から迫っていた。

リュウは瞬時にフェレットとなのはを抱え裏路地へ飛ぶ。

すさまじい破壊音と土煙が舞った。あと少し遅ければリュウ達は毛玉の餌食になっていただろう。

 

「すいません!この子は使い手を選ぶんです。実を言うと僕もまだ使いこなせていないです!」

「なんでそんなの使っているの!」

「すません」

 

フェレットが申し訳なさそうな声で言う。

 

「じゃあ、今度は君が」

「え!私?」

「でも、なのは姉にこういうことは……」

 

リュウの心配そうな顔が見える。なのはの脳裏に数年前のリュウの悲しそうな顔が浮かんだ。

拳を静かに握る。

 

「リュウ!大丈夫!私はおねえちゃん何だから。弟を守らないとね」

 

なのはは赤い玉を受け取った。リュウの時とは違い玉から発せられる光は消えていない。

 

「大丈夫そうだね。いい、いくよ。僕の言葉を復唱して」

「うん」

 

 

「我、使命を受けし者なり」

「我、使命を受けし者なり」

 

 

「契約のもと、その力を解き放て」

「契約のもと、その力を解き放て」

 

 

「風邪は空に、星は天に」

「風邪は空に、星は天に」

 

 

「そして、不屈の心は」

「そして、不屈の心は」

 

 

「「この胸に」」

 

 

「「この手に魔法をレイジング・ハートセットアップ」」

 

 

 

なのはの声とともに桃色の光が天を貫いた。

 

 

 

 

 

 

 

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