魔法少女リリカルなのは〜竜の軌跡〜   作:komokuro

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第6話

 

押し込められた煌びやかな衣装が一枚、また一枚と宙を舞う。

 

「はぁ〜どれにしよう 」

 

少女 …すずかは絶賛悩み中だった。

 

かつて、すずかにとって週に一度の今日という日は最も嫌悪する日だった。

だが、その日もあのときを境に全てが変わった。切っ掛けはあの青色の髪の男の子

 

「すずかちゃんそろそろ、みんなが来るよ」

 

ドアの外からファリンの声が聞こえた。

 

「ファリンもうちょっとだから。よし、決めた!今回はこれにしよう」

 

 

 

 

 

妖艶に椅子に座るすずか見て、なのははため息をついた。

すずかの服装は俗に言うパーティードレスだった。色は髪に合わせたのか黒を基調としていた。

髪にはこれまた黒い花飾りをつけている。

薄暗い部屋と相まって何処の夜の王女様だろうといった感じだ。

 

「すずかちゃん今回はそれ?あのさ、そうやってウチのリュウを誘うの止めてくれないかな」

「何言ってるのなのはちゃん?これは普段着だよ。ねえねえリュウくんどう。に、あ、う?」

「う、うん。似合ってるよ」

「いや、けばいよ。すずかちゃん」

 

すずかは椅子から降りてリュウの前まで来ると、ゆっくりとバレイの様に回った。

微かな、花の匂いから香水をつけていることにリュウは気づく。

 

「ありがとうリュウくん。あのね。あのね下着も服に合わせてみたんだ。ほら」

 

すずかはリュウの目の前でドレスのスカートをたくし上げる。

リュウはまるでわかっていたかの様に瞬時に後ろを振り向いたが、リュウの並外れた動体視力はそれを見放さなかった。。

瞳に映ったものは黒いレースの下着。明らかに子供の穿くものではない。

最近すずかのアプローチが露骨になってきていることを感じていて、このまま行くとそのうち襲われるのではと戦々恐々している。

なお、前回は青いワンピースだった。補足で言うと下着は白だった。

なのはは再びため息をつきつつ、大事な弟に迫る痴女に腕を振り上げる。

 

「てい!」

「痛!もう何するのなのはちゃん!」

「ウチのリュウに変なもの見せないで!」

「変なって酷いよなのはちゃん。なのはちゃんだっていっつもやってるでしょ」

「私はいいのおねいちゃんだから!」

「む~~」

 

言い争いを続ける二人にリュウはため息をつきつつ割って入る。

 

「二人ともまあまあ。それより早くしないとアリサがまた怒りだすよ」

「う、そうだね」

「うん。そうだねリュウくん。これ以上アリサちゃんの機嫌が悪くなったら大変だしね」

 

リュウの静止に二人は言い争いを止める。

そしてなのははストップウォッチを取り出し、リュウは慣れた手つきで静かにパーカーを脱ぐ。

そして、下着代わりのTシャツを脱ぐと上半身裸になった。

程よく筋肉がつき同年代の少年たちよりもがっしりとした肉体が露わになった。

その姿をみてすずかは頬を紅らめる。

 

「じゃあ」

「うん」

 

すずかはリュウに前からやさしく抱きついた。

香水の香りにリュウは少しドキドキした。

 

「いただきます」

 

すすがはガブっとリュウの首筋に噛みついた。リュウはうっと小さく嗚咽漏らす。

すずかは『夜の一族』という吸血鬼の一族で定期的に血を吸わなければならない。

吸血鬼だからと言って、物語の様に日光に弱いや血を吸った相手が吸血鬼になるといったことわない。

血に関しては輸血パックでも良いらしいのだが、異性の血が一番いいらしい。

なのはは隣でストップウォッチじっと見つめて座っている。

時が一刻一刻と過ぎなのはは時を止めた。

 

「はい、ストップ!スト~~プ!」

 

なのははリュウからすずかを無理やり引きはがす。

 

「え~~なのはちゃんもうちょっと。もうちょっとだけ」

「そうやって前、リュウが貧血で倒れちゃったじゃない。また倒れたらどうしてくれるの」

「ぶ~~」

「ぶ~垂れてもダメ!」

 

なのはの声で終わったことに気づいたノエルと忍が入ってきた。

 

「リュウ君どうぞ」

 

ノエルがリュウにタオルを渡す。

 

「ノエルさんありがとう」

「リュウくんいつもいつも悪いわね」

「いえ、大丈夫です」

 

リュウは首筋の血の跡を噴きながら礼を言う。

なのはとすずかは此方には気もくれず、言い争っている。その光景にリュウは再びため息を付いた。

 

「ホント、。すずかはリュウくんに夢中ね。ねえ、リュウくん前も話したけど。リュウくんが良ければすずかの婚約者にならないかしら」

「い、いえ「ダメ!」

 

ものすごい力でリュウは肩をつかまれたのを感じた。

あ、やばいと感じつつぎりぎりとブリキの様に振り向くと、なのはがいつも立っていた。

 

「なのは姉、こういうときだけ力強い!痛い!爪食い込ん出るから」

「だめだからねリュウ。私そんなの絶対に許さないから」

「痛い!痛い!わかったから」

「リュウはね。ずっと私の隣にいるの。ずっと。前約束してくれたよね」

 

光のない瞳がリュウをいぬく。

 

「う、うん」

「リュウは何処へも行っちゃいけないの」

「うん」

 

痴話げんかというか一方的な脅迫をする二人を楽しそうに見つめる忍に、すずかが近寄ってきた。

 

「相変わらず中が良いわね」

「そうだよね。どうにかしてあのじゃまものを……」

「すずか?」

「は!おねいちゃん何でもないよ。なのはちゃんは私の大事な友達だよ」

 

忍は顔を引きつらせつつ、すずかを見る。

昔はおとなしかったすずかが今では肉食獣である。

まあ、人のこといえないが。

 

「そういえば、すずか一度で良いから。私もリュウ君の血をのんでみたいんだけど」

「いつも言うけど。いくらおねいちゃんでも。それはダ~~メ。リュウくんの血は私のもの」

「そんなにおいしいの」

「うん。あれののんだら。輸血パックなんてただの泥水だよ。のんだことないけど」

「そんなに?」

「そんなに!」

 

二人は会話を続けながら、前で続けられる。痴話げんかが終わるのを眺めていた。

 

 

 

 

 

長い痴話げんかの末。部屋に戻り言われた一声は

 

「遅いわよ!」

 

というその辺の子供が泣いて逃げ出すほどドスの利いたものだった。

ユーノはというとなぜかやつれているように感じられた。どうやら、待ている間にいろいろあったらしい。

なのは達は空いている静かに席に座った。

 

「で、昨日何があったの?」

「リュウくん。約束どうりちゃんと話してね」

「わかったよ。なのはねぇ」

「うん。ちょっと待ってね」

 

二人の追求になのははユーノに念話を送った。

 

『ユーノくんなんかやつれてるけど大丈夫?』

『大丈夫。ちょっと緊張しただけだから』

『じゃあ説明よろしく』

『はい。一応消音結界をはります』

『消音結界?』

『はい。特殊な防壁をこの部屋に張って、音を外に聞こえなくする物です。これ以上、話が広がる大変だからね』

『へ~~魔法ってすごいんだね』

 

 

「えと、なのはあんた大丈夫?いつまでそのフェレットと見つめ合ってるのよ。話してくれるんじゃないの?」

 

ユーノと念話をしているとアリサが心配そうな顔でなのはに語りかけた。

まあ、ずっと無言でフェレットと見つめ当ていればそう思われるのは仕方ないだろう。

 

「ごめんねアリサちゃん。もう大丈夫だから。じゃあ。ユーノくんお話お願いね」

 

なのはの答えに二人は不思議そうな顔をした。

ユーノはアリサとすずかの方へ向き。

 

「えっと、みなさん初めまして。僕はユーノ・スクライヤと言います」

 

 

 

 

「「フェレットがしゃべった!」」

 

 

 

 

「あっやっぱりみんなこういう反応するだね」

「にゃはは。そうだね~」

 

時の止まった後からの反応に、なのはとリュウはお互いに見つめ合いながら二人の月並みの反応をしみじみ感じていた。

 

「なっなんなのよこのフェレット」

「アリサちゃん。ユーノくんだよ」

「どっかにスピーカーとか。あるんじゃないの」

「あの。ちょっと!」

 

アリサはユーノをつかみ上げ、体中をまさぐる。シッポをひっぱたり、逆さまにしたり、回してみたりとユーノは突然の事で抵抗も出来ずされるがままになっている。

すずかはというと、リュウに必死に説明を求めていた。

 

「リュウくん!リュウくん!これホントにしゃべってるの」

「うん。信じられないだろうけど。ホントなんだ。最初は僕も驚いたよ」

「じゃあ、あのときの声はこの子からだったんだ」

「そう。昨日はホントに大変だったな~~」

「何があったの?」

「それがね…」

 

リュウとすずかは冷静に話し合っていた。

ユーノからは助けを求める念話が引っ切りなし届いていた。

 

『リュウなんで冷静に話してるの!なのは!助けて!。あっそこ触らないで。ちょっちょっと!』

 

「ア、アリサちゃん。ユーノくん困ってるから。そろそろ離してあげて」

「待って。絶対どこかにスピーカーがあるはず」

「いや!ないから離して~~」

 

結局。全員が落ち着くまでかなりの時間が掛かった。

まだ、青かった空はすでにあかね色を帯びていた。

 

「僕は故郷で遺跡発掘を仕事にしているんだ。そしてある日、古い遺跡の中でジュエルシードを発見して、調査団に依頼して運んで貰ったんだけど

運んでいた時空間船が事故か何らかの人為的災害に遭ってしまって、21個のジュエルシードがこの街に散らばってしまった」

「ジュエルシードはこれね」

 

なのはは青いひし形の宝石を取りだした。

 

「ジュエルシードは僕らの世界の古代遺産で、本来は手にした者の願いを叶える魔法の石なんだけど、力の発現が不安定で単体で暴走して使用者を求めて周囲に危害を加える場合もあるし、

たまたま見つけた人や動物がまちがって手使用してしまってそれを取り込んで暴走することもある。何とかしようと努力したけど僕一人の力ではどうすることも出来なくて、

昨日はなのはの力を借りる事で何とかなったんだ」

「昨日は黒い毛玉の化け物が襲ってきて大変だったよ。なのはねぇは変身するし」

 

ユーノを話を二人は静かに聞いていった。

途中途中、なのはとリュウによる補足を交えながら。

ユーノの話が一段落つくとアリサが口を開いた。

 

「で、解決に言うと。あんたは「ユーノくん!」ユーノは魔法世界の住人でこの街に散らばった宝石を集めていると。

で、ユーノ一人では力が足りないから魔法が使えるなのはに協力を仰いだと。で、その石はほっといても独りでに暴走して暴れ回ると」

「はい。そうです」

「何よ、そのアニメみたいなテンプレは」

 

アリサはため息をつきながらクッキーをほおばった。

隣ではすずかが目を輝かせている

 

「でも、ユーノくんはすごいんだね。一人でそんな事をしてて」

「うん。ユーノはすごいんだね」

「へ~~遺跡発掘か、小さいのにすごいね」

「はいちょい待ち。バカ三人が毒されてるけど。私は毒されないわよ」

 

感心する三人にアリサは待ったをかけた。

 

「アリサちゃんどうしたの」

「おかしいじゃない」

「何が?」

 

なのはは顔を傾けた。隣の二人も首をかしげている。

今の話に何が疑問に思うんだろう。

 

「あんたそのなりで遺跡発掘を仕事?まずそこからおかしい。まあ、魔法がある世界なんだからサイズはや種族は関係ないと思うけど。

でも、ホントに出来るの?」

 

ビシッとユーノに指を指す。

アリサはこの年の子供ではあまり考えない。物事の裏を読むことに長けていた。

これも、有名財閥の娘だからだろうか。

 

「この姿は仮の姿で、魔法でこの姿になっているだけで、本来はなのは達とおんなじ人間です」

「はぃ!」

「そうなの!」

「ほんと!」

「え~~!」

 

四人は驚いた。

 

「あれ、二人とも元の姿を見てませんでしたっけ?」

「うん」

「最初っからフェレットだったよ」

「じゃあ今すぐ元に戻りなさいよ」

「すいません。まだ魔力が回復していないので、もう少し回復するまでは元に戻れないんです。」

 

ユーノの答えに怪しそうな目つきが、アリサに追加された。

アリサは実はユーノがなのは達を騙してジュエルシードを集めているのではないかと考えていた。

 

「ふ~~ん。ユーノ歳は?」

「9歳です」

「はいぃぃ~!同い年じゃない。あんた学校には行ってないわけ。それともあんたの世界にはないっての。それに子供が仕事って」

「ありますが僕たちの一族は遺跡発掘が仕事で子供は大人が勉強を教えるんです。それに僕くらいが仕事をするのは結構普通ですよ。

魔法の技量があれば仕事に年齢制限はありませんから。此方で言う公務員にも少なからず子供もいますし」

「おかしいでしょそれ」

 

アリサは今度は呆れていた。とりあえず、本当だとしてもどうやら此方とかなりこちらと常識が違うようだ。

確かにこっちの世界にも子供で仕事をしている子供はいる。だが、それは発展途上国などに限られる。

まさに魔法主義。力さえあれば義務教育もなしに大人かいと。

それに、変身を解かなければ本当に同い年なのかもわからない。

だが、アリサはなんだかこのフェレットが言っていることが本当に感じていた。なにより瞳が嘘をついていない。

というより、明らかに純粋な瞳をしている。悪く言えばバカだと。

 

「まあ良いわ。あと聞きたいんだけど。この事はあんたの世界の誰かはしってるの?」

「いえ。知ってるのは僕だけです」

「な!バカじゃないの。あんたの世界には警察はいないの!子供一人で何が出来るていうのよ」

「そういう組織はあるのですが。今回の事はジュエルシード見つけた僕の責任です。だから、僕が何とかしないと!」

「あのね~~あんた。あんたが言うとおりならまだ私たちと同じ子供なのよ」

「ですが…」

「結局。他人を巻き込んで。責任うんぬんじゃないでしょ!」

「う、すいません」

 

アリサの的を射た言葉にユーノは頭を垂れた。

 

「そういや。何か黒い化け物が出たとか言ってたけど。どうやって倒したのよ。その魔法は素質があってあんたがいればアニメみたいに山一つ吹っ飛ばせたりでも出来るの?」

「いえ。そうじゃありません」

「これを使うの」

 

なのははポケットからレイジング・ハートを取りだした。

 

「ビー玉?」

「違うよすずか。これでね。変身するんだ」

「まさにアニメじゃない」

「へ~~すごい。ねえなのはちゃん。ちょっと変身して見せて」

「うん。いいよ。じゃあいくよ」

「あっ!なのはちゃん。ちょっとまって」

 

すずかはなのはを制止すると、壁に足を向けた。

四人は不思議そうにすずかを見ている。すずかは壁の前で立ち止まると腕を振り上げた。

 

「えい!」

 

かわいい声とはとは裏腹に、壁から放たれた音はまるで車の衝突音の様だった。

音ともに微弱な衝撃が伝わり、天井からは誇りが落ちる。ユーノは瞬時に三人に振り返ると、三人は形容しがたい笑みを浮かべていた。

すずかの拳は壁にめり込んでいる。

 

「は~~やっぱりあった!もう、おねいちゃん。心配性なんだから。見られたダメだものね」

 

すずかが壁から拳を引き抜くと、一緒に細いコードの様な物も一緒に出てきた。

 

「なっなんですか!いったい!」

「すずか。それいつもの?」

「そう」

 

すずかは振り向いて掴んだ物を見せた。

 

「隠しカメラ。おねいちゃんがしかけたみた。でも、声は聞こえちゃったかも」

 

すずかはそういうと、それを踏みつぶした。

 

「ユーノ。気にしちゃいけない。気にしちゃ」

 

何かを訴える瞳のユーノにリュウは言う。

吸血鬼であるすずかは普通の人よりも力が強いのだ。

まあ、リュウもなぜかそれについていけるのだが。

おかげで、前回学校で行われたドッチボールは、まさに地獄絵図だった。

 

「ユーノくんが言うには、魔法で声が漏れないようになってるらしいよ」

「魔法さまさまね」

「たぶん。おねいちゃんのことだからまだあるかな」

 

すずかは壁や調度品を調べると、結局3つの隠しカメラが発見された。

 

 

 

 

 

薄暗い部屋に、ノイズが映ったモニターが並んでいる。

それを腕を組んだ状態で見つめる忍の姿があった。

隣にノエルが呆れた顔で立っている。

 

「バレましたね。いったい何を考えているんですまったく」

「いやね今日のみんなの会話は聞いておいた方がいいって、私のゴーストがささやいたのよ」

「アニメの見過ぎです」

「マイクも音を拾わないしおかしいわね。まあ良いかしら。昨日の謎の事件について何かわかった?」

「今のところは不明です」

「そう。それにしても珍しいわね。すずかがこんなことするなんて」

「むしろ今まで何も言ってこなかった事が私は不思議です。すずかお嬢様はすでに気づいていたと思いますよ」

「これもすずかのためよ。私はすずかの姉よ。妹を応援する義務があるわ。」

「は~~私は何も言いません」

 

 

 

 

 

別の部屋で二人がなにやら悪巧みをしているのを尻目に、なのははレイジンング・ハートを掲げた。

 

「レイジング・ハートセットアップ」

 

なのは声にレイジング・ハートが答え桃色の光とともに姿が変わる。

光が収まると、杖と服装の替わったなのはがいた。

 

「うわ。ホント変わった。まさに魔法少女ね。はぁ~~」

「うわ~~なのはちゃんかっこいい~~」

「これで。魔法が使えるの?」

 

アリサの疑問にユーノが答える。

 

「攻撃も防御もデバイスが、ほぼオートやってくれます。運動能力が低い人でもサポートがありますから」

「昨日は杖からリボン見たいのがでたよ」

「以外と科学的ね」

「ねぇねぇ。なのはちゃん私にも貸して」

「え~~」

「私もその魔法の素質あるんでしょ」

「はい。あのとき僕の声が聞こえたなら」

 

すずかの問いにユーノは答える。

 

「なのはねぇ。ちょっと貸してあげたら」

「うっリュウが言うなら」

「ありがとうリュウくん」

 

なのはは元の姿に戻り、すずかにレイジング・ハートを手渡した。

すずかは意気揚々とそれを掲げる。

 

「レイジング・ハートセットアップ……あれ?なのはちゃん何にも起きないよ」

「すずかも無理か~~」

「どういうこと?」

 

レイジング・ハートはすずかにも反応を示さなかった。

それに、対してアリサは疑問の声を上げる。

そして、ユーノは目を細め気まずそうに口を開いた。

 

「実は、これはけっこう人を選びまして~~」

「……ねぇ。あんたは使えるのよね」

 

アリサのジト目の追求に、ユーノは冷や汗を掻いた。

 

「すいません」

「あんた、一人で来たのよね。これ持って」

「はい」

「一人でなんとかしようと考えてる人間が。持ってきた物がこれ」

「はい」

「変わりはないんでしょ」

「はい」

 

ユーノの声は次第に小さくなっていく。

なんだか、ユーノ自身も小さくなっていく様に見える。

 

「あんた、実はバカでしょ」

「はい」

 

とどめの一撃でユーノの涙腺は決壊した。

 

「あのアリサ。ユーノがかわいそうだから」

 

リュウはユーノに助け船を出したのだが、

 

「リュウ。だまれ」

「はい」

 

ドスの聞いた声に撃沈した。

 

「あんたね…」

 

だが、思わぬところから助け船は出た。

 

「みなさ~~んそろそろ帰らる時間ですよ~~」

 

ドアの向こうから、ファリンの声が聞こえた。

時計を見ると、既に18時を回っていた。

 

「はぁ~~とりあえず今日はここでお開きよ。続きは明日ね」

「明日も?」

「当然でしょ。これからの事をどうするか話合わないとでしょ。最悪。誰か大人の力を借りないきゃいけないし」

「ですが、これ以上…」

「ユーノだまれ」

「はい」

 

そんなこんなで、今日はお開きになった。

今回の成果はユーノがぼろくそに言われたことだろうか。

 

「う~~怖かったよ」

「大丈夫ユーノ」

 

ユーノの心にはアリサがトラウマとして深く刻まれたのだった。

 

 

 

 

満点の星空の下、ビルの屋上から街を眺める少女がいた。

なびいた金髪が、月明かりに輝いている。

 

「ここに。あるんだ」

 

 

 

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