魔法少女リリカルなのは〜竜の軌跡〜   作:komokuro

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第7話

説明会という名のユーノお説教会の帰り道で、アリサに詰められたユーノはずっとしょぼくれていた。

なのはが念話で元気づけようとしたのだが全く効果はなかった。

家に着いてからは、いつの間にかユーノ専用になったクッションの上でため息交じりで突っ伏していた。

ユーノとは話してまだ一日しかたっていなが、以外と打たれ弱かったようだとリュウは思った。どうにか慰めようと二人はあれこれしたのだが効果はなく。

まぁ、一晩寝れば元に戻るのではないかとうことで放置とう結論が姉弟で決まった。こんなので明日も大丈夫かなぁと二人は思ったがまあしょうがない。

アリサとすずかを怒らせることになったら大変だ。

自分たちの保身のためになんとしても、ユーノにはなんとか元に戻ってほしいと考える二人だった。

 

 

 

 

 

そんなこんなで朝が来た。

晴れた昨日とうって変わって、今日はどんよりと曇っている。

 

「う…う~~ん。おはようございます」

 

毎度のごとく、なのはに抱きつかれリュウは寝苦しそうにいつもの時間に目を覚ます。

姉の魔の手から静かに抜け、カーテンを開ける。

 

「ふぁ~~おはようリュウ」

 

差し込んだ光に、寝ていたユーノが目を覚ました。

昨日と同じ反応に元に戻ったかなっとリュウは思った。

 

「おはよう。ユーノ。昨日はさんざんだったね」

 

目をこすり、のびをしながらリュウは言う。

 

「はい……」

 

「アリサも別に悪気があったわけじゃないから。あんまり気にしないで」

 

「いえ……。もとはと言えばすべて僕の責任です……僕がもっとしっかりとしていればこんなことにならなかったんです!」

 

「いや……え、と…ユーノ?」

 

「冷静に考えればあの時点で管理局に通報するべきだったんです。はぁ~~なんであの時後先考えずに行動してしまったんだろう。

せめて、はじめに長老に相談していればなぁ~~」

 

(やばい!なんかスイッチ入った。なんか話題変えないと!)

 

だがすでに遅し、ユーノは止まらない。

 

「これじゃあ死んだ父さんや母さんもに僕は顔向けできない。せっかくあの遺跡の調査団に任命されたのに」

 

「お~~い。ユ~~ノ。ユ~~~ノってなんか今大事なこと言わなかった!」

 

「これでもし次元震なんか起こったら。あ~~どうしよう。そんなこと起こったらスクライヤ一族の名前に傷が」

 

「……ユーノ。はぁ~」

 

リュウの呼びかけにも応えず、ぶつぶつとユーノの自問自答は続く。

 

「え~~と……じゃあ!僕は今日もランニング行ってくるから、なのはねぇのことお願いね!」

 

「はぁ~~」

 

帰ってきたら今度こそ元に戻っていてほしいと願いつつ、リュウはいつものフード付きのジャージに着替えるとそそくさと部屋を後にした。

今日も大変そうだ。

 

 

 

 

 

背に朝日を受けつつ、四人はいつものランニングコースを走る。

街はいつもとかわらず、早朝の静けさを保っていた。

 

あの場所以外は。

 

リュウは走りながらそこを見た。

今は立ち入り禁止の黄色いテープが貼られたそこは、なのはがジュエルシードの思念体と戦った場所だった。

昨日は朝から警察がせわしなく現場検証をしていた用だが、今は舗装用の機械だろうか。それらを積んだ黄色いトラックが止まっていた。

あと、数日で何もなかったかのように舗装去れ直されるのだろう。

ランニング中この道の話題になった時、リュウは冷や汗が止まらなかった。受け答えが怪しいリュウに、士郎と恭也は何か考えた様だったが特に追求はなかった。

ただ、士郎からは頭を撫でられた。

 

(あと、20個か……)

 

視線を戻しリュウは考える。たった一つが暴走しただけであれだけ被害が出たのだ。あのときはなぜか人がいなくて人的被害は出なかったが。 もし同時に暴走したら、いったいどれほどの被害になるのだろうか想像できない。しかも、封印できるデバイスは一つしかないのだ。

 

(ユーノにどうしたらいいか相談しよう。どうにもならないなら,ユーノには悪いけど父さんか忍さんにやっぱり相談しなとなぁ。はぁ~~僕にもデバイスがあればなぁ~。それか、恭也にぃみたいに剣術が使えればなぁ~。父さんもせめて前みたいに稽古くらい見せてくれればいいのに)

 

と、難しそうな顔をしつつリュウは走っていた。

その横でうんうんうなるリュウを士郎たちは不思議そうに見つめていた。

 

 

 

 

 

「よし、今日はこの辺で切り上げるぞ!」

 

「ん?」

 

士郎かけ声にリュウがはっと気づくといつの間にか家の前についていた。どうやらずいぶん長いこと考え事をしていたらしい。

深く考え事していたせいかなんだか走った実感がない。

 

「ねぇ、僕もう少し走ってきてもいいかな。なんだか物足りなくて」

 

「リュウ、もうすぐ朝食だよ」

 

「もうすぐって言ってもあと一時間以上あるし。それまでには戻るからさ!」

 

美由希にそう言われたが、どうせ稽古はつけてもらえないのだ。このまま戻ってもいつもと同じようになのはを起こして朝食まで時間をつぶすだけだ。

時間があるならこれからのこと考えて、なのはを少しでもサポート出来るようにせめて体力だけでも上げておこうとリュウは考えていた。

 

「それに、リュウにはなのはを起こすっていう仕事があるんだから」

 

「なのはねぇなぁ~~~そろそろ一人で起きてくれないかな………」

 

「まあいいじゃないか美由希。リュウ、時間までには戻ってくるんだぞ」

 

「はい!」

 

士郎はリュウの両肩に手を置いて言い聞かせる。

リュウは元気よく返事をすると、街へと駆けだしていった。

 

 

 

 

 

リュウが見えなくなると美由希は無不満げに口を開いた。

 

「父さん。そろそろリュウにも剣術を教えてあげてもいいんじゃないかな。リュウは何も言わないけど本心ではけっこう不満に思ってるよ……たぶん。

せめてさ!前みたいに稽古ぐらいは見せてあげるとかさ」

 

「ん~~そうそう言うがなぁ」

 

リュウは最近稽古の様子でさえ見せてもらえない。以前はそうでなかったのだが、ある時を境に士郎に禁止されてしまった。

本人は不満に思っているようだが、そのことを口に出すことはしていない。

 

「もう!恭ちゃんも言ってあげてよ。別にうちの流派はそこまで血筋とか関係ないんだし」

 

「美由希。父さんにも何か考えがあるんだろう。そこをわかってやれ」

 

「ん~~そうかもしれないけど、やっぱりかわいそうだよ。私が思うにリュウには才能があると思うんだけどなぁ~~」

 

恭也の指摘に腕を組みながら美由希は言う。

 

「……才能か……」

 

「ん?恭ちゃんなんか言った?」

 

「いや、何でもない。それより稽古を始めるぞ」

 

「はいはい」

 

恭也ボソっとつぶやいた言葉ごまかしつつ、そそくさと道場の方へ歩いて行った。

その後を美由希は追いかけていく、そんな二人を見ながら士郎は口を開いた。

 

「才能ね。確かにリュウには才能がある。恐ろしい才能が……」

 

士郎はそうつぶやくと、リュウが消えて行った先をじっと見つめた。

 

 

 

 

 

リュウはいつもよりペースを上げて走っていた。

見なれた商店街を通り抜け、市内を走る。

途中リュウを知るおばさんに声をかけられたり、嫌いな犬に追いかけられたりとしながら30分ほど走りリュウはランニングを切り上げることにした。

これだけ走ったが、リュウに息を切らした様子は全くない。昔から体力がある方だったが、ここ最近化け物じみてきていると本人も思っている。

学校のマラソンでは常に一位だし、ほかの競技でもリュウにかなう子供はすずかを除けばいなかった。まあ、彼女を普通の子供のカテゴリー入れていいか微妙だが。

そんなことを考えながら帰り道のとある公園で立ち止まった。

この公園はランニングで通る通ることもあるのだが、人通りから少し離れているせいかいつも人がいない。街中に大きな公園があることも原因の一つだろう。

たまに誰かいたとしても数人の老人が井戸端会議をして居るぐらいだったが、さすがにこの時間帯はそんな姿も見受けられない。

そんな閑散とした公園に今日は誰かがいる。

 

「ん?」

 

こんな時間に珍しいなとリュウは思った。好奇心に駆られたのか公園の人物に焦点を合わせた。

 

少女だった。

 

 

黒いワンピースを着て、膝まであるのだろう長い金色の髪を両サイドでツインテールにしている。

年齢は… リュウと同い年位だろうか。

 

「!!」

 

どうやらリュウの視線に気づいたのか、少女がこちらを振り向いた。

長いツインテールが揺らぐ。整った顔立ちと朝日に反射して光る金色の髪がとても幻想的に見えた。

だが、それよりもリュウは少女の表情に目がいった。

空っぽ。そう思えるほど彼女からは何も感じなかった。

 

空と赤の瞳が合う。

 

「「………」」

 

お互いに固まっている。

もともとコンプレックスのため友達が少なく、少し内気なリュウにこの状況は辛い。

 

(えと。え~~と、どうしよう。とりあえず)

 

リュウは意を決してフードを脱ぐ。青い癖っ髪が表れる。

そのアクションに驚いたのか少女は一歩引いた。どうや怖がられた様だ。

 

「……お…おはよう…?」

 

小さな声であったがとりあえず挨拶をする。が、向こうに特に反応はない。

どうやら聞こえなかったようだ。リュウと少女の距離が10メートルほどあるためか、それともリュウの勇気の一声が小さかったせいかわからないが。

しかたない。リュウはとりあえず少女に向かって一歩足を踏み出した。

 

そして、少女は一歩下がった。

 

 

「「………」」

 

 

沈黙が痛い。

 

とりあえず前に出る。

 

一歩下がる。

前に出る。

一歩下がる。

前に出る。

一歩下がる。

 

 

以下繰り返し。

 

 

ここは人気のない公園。端から見れば、少女に寄る不審者である。

まあ、お互い子供だが。

 

(て、これ。完全に怪しい人だ!あ~~僕こう言うの苦手なんだよなぁ~~)

 

どうやら本人も、理解したようだ。

だがこのままではらちがあかない。リュウは勇気を振りしぼって口を開く。

 

「えと、僕の名前は高町リュウ!君の名前は?」

 

「…… …」

 

初めての会ったらまず自己紹介からと言うことで挨拶してみたが。

少女は応えない。

ますます、気まずくなる。昔を思い出して泣きそうだ。

 

「え~~と……日本語通じなのかな?え~~と」

 

「……フェイト。フェイト・テスタロッサ」

 

無表情の少女がぼそっと呟いた。どうやら言葉は通じるらしい。

 

「えと。こんな朝早くにどうしたの?お父さんやお母さんは?もしかして迷子?」

 

「………」

 

矢継ぎ早に話して見たがまたまた沈黙。

リュウははぁとため息を吐いた。

本当に昔の自分を見ているようでいたたまれなくなってきた。

 

「んとさ、とりあえず座らない… かな~~なんて」

 

リュウはそう言うと木陰のペンチを指さした。

なぜ、このフェイトという少女にここまで自分が固執するのかはわからなかった。

ただ、最初に見た少女の表情にリュウはいい表せない何かを感じていた。

 

 

 

 

 

リュウがベンチの右端に座り、その反対側にフェイトは座った。

 

(さて、こうなったけど……どうしよぉ~~)

 

とりあえず座ってもらったはいいが、その先は何も考えていなかった。このままでは痛い沈黙の時間がまた始まってしまう。

 

「さっきも聞いたけど、こんな早く一人でどうしたの?やっぱり迷子?」

 

「…………」

 

「はぁ~~」

 

沈黙にリュウのため息が漏れる。

もう、これでは本当にらちがあかない。

リュウは頭をかきむしる。

 

「ぼくも昔はそんな感じだったからわかるけど、だまっていても言葉で話さなきゃ伝わるものも伝わらないよ。最初は難しいかもしれないけど。

でも、え~~となんて言ったらいいかな」

 

「迷子じゃない。父さんは…… いない。母さんは今仕事中。今はアルフと一緒…… 」

 

フェイトの突然返答に、リュウは振り向いた。

相変わらずの空っぽな表情だったが、リュウにはうれしかった。

 

その後、リュウが質問しフェイトが少しずつ答えるという形で話が弾んでいた。

 

どうやら、最近親の仕事の事情で越してきたが、母親は泊まり込みで仕事をしなければならないほど忙しく。フェイトは飼い犬のアルフと二人で家にいるらしい。

学校も、まだ手続きの関係で行ってはいないそうだ。

それよりもリュウはフェイトが同い年であることに驚いた。

雰囲気から年下に感じたからだ。

 

(なんか、ほんの少し聞き出しただけなのにすごい疲れた…… )

 

ふと、公園を時計を見るとたったこれだけのこと聞き出すのに40分も時間が過ぎていた。

瞬時にこれから起こるであろうことが脳裏をよぎった。

 

リュウのいないことになのはがまた癇癪を起こす。

その対応追われるリュウ。

重い雰囲気での朝食。

 

波乱だ。この前の焼き回しだ。

朝から精神に負担が。

リュウの顔が青ざめい行く。

 

「あ、あ、まずい!」

 

「え!!」

 

リュウはベンチから勢いよく飛び出した。自分に似た雰囲気の少年の変貌にフェイトは驚いた。

 

「ごめん。ぼく今すぐ帰らないと」

 

「え?え?うん」

 

「それじゃあ」

 

リュウはそう言うとすぐさま出口へと足を進めた。

だが、数歩進むとピタリと立ち止まる。

 

「あのさ」

 

「?」

 

リュウは振り向かずにフェイトに言う。

 

「また、会えるかな」

 

「え………。うん」

 

「ぼく、いつもこのくらいの時間にこのへん通るから」

 

「うん」

 

「それじゃあ!」

 

そう言うと、リュウは土煙を巻き上げながらフェイトの目にもとまらぬ早さで走って行った。

一人残されたフェイトはリュウの走って行った方を見つめていた。

 

「リュウ。高町リュウ」

 

フェイトは胸に手を当てつぶやいた。

空っぽの表情に少しだけ笑みが浮かんでいた。

 

 

 

その後,全速力で家に帰り着き、なんとかいつもどうりなのはを起こすことができた。

その時に

 

「あれ?なんか知らないにおい」

 

「な、なに言ってるの。さっきシャワー浴びたからシャンプーのにおいだよ」

 

「そうかなぁ」

 

「そ、そうだよ。それより早く着替えないと朝食に遅れるよ」

 

ということがあり、リュウは姉のなぞの嗅覚に恐怖した。

あと、ユーノは元に戻っていた。

 

 

 

 

 

放課後、憂鬱そうなユーノを片手に二人は再びあの場所に立つ。

目の前の扉からなんだか禍々しさを感じるのは気のせいだろうか。

 

ドアを開けると金髪の鬼が笑みを浮かべて立っている。

 

「さあ!昨日の続きよ!知っていることは全部話してもらうわよ!」

 

腰に片手を当ててビシッとユーノに指をさす鬼に。

ユーノは顔を青くする。

 

(帰りたい)

 

ユーノ再び試練の時。

 

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