ツーサイなお兄様   作:仮面ライダー四季鬼

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旧pixivアカウント名シオンこと仮面ライダー四季鬼と申します。
pixivで投稿していた小説をこちらでも掲載させて頂きます。

設定崩壊などありましたら遠慮せず言及ください。
誹謗中傷は辞めてください、泣きます。
よろしくおねがいします。



ツーサイなお兄様

ここは「しあわせ湯」

五十嵐家の大黒柱である五十嵐元太によって開業されて以来その名の通り色んな人を幸せな気持ちにするお風呂を提供し続けている、正にみんなに愛される銭湯だ。

今宵このしあわせ湯では一人の少女を盛大に祝うための祝宴が催されていた。

 

「ほらほら皆早く位置について!兄ちゃん!乾杯の音頭頼む!」

 

「え!?俺がやるのか?」

 

「当たり前でしょ!こういうの一輝兄が1番上手いんだから!パパとママも早く!」

 

「奥から一張羅を引っ張り出すのに苦労したよ!どう?ママさん!キマってる?」

 

「あら〜いつもカッコいいのに今日は一段とハンサムよっ!パパさん!」

 

「二人がキメてどうすんだよ!まったくもう…ごめんライス…騒がしくて…」

 

「ううん!賑やかでとっても楽しいよ!大二お兄様!」

 

心からそう思っているであろうことが伺える表情を浮かべる一人のウマ娘…

彼女の名はライスシャワー。今年からフェニックスの分隊長の業務の傍らに新人のトレーナーとして大成した五十嵐大二の担当ウマ娘である。

ここまででわかると思うがこのしあわせ湯で行われている祝宴は彼女の為に開かれている。彼女はつい最近に栄えあるデビュー戦を快勝し、そのお祝いをしあわせ湯で行なうことを長男である一輝を筆頭とした五十嵐家が提案したのだ。

 

「よ〜し!皆グラスは持ったか?それじゃ、ライスのデビュー戦勝利を祝って…かんぱ〜い!」

 

「「「「かんぱ〜い!!」」」」

 

「か…かんぱ〜い…」

 

少し遠慮がちに乾杯するライス、乾杯からそれほど間をもたずに話題はレースの激励になっていく。

 

「いや〜それにしてもすごかったなあのレース…ライスちゃんが先頭でゴールしたのを見たらもう感動して…」

 

「さくらなんて号泣してたからな!」

 

「ちょっと一輝兄!それ言わないでって言ったじゃん!」

 

「恥ずかしがるようなことでもないじゃない!…あっ!ライスちゃんは遠慮せずどんどん食べてね!」

 

「は…はぃ〜〜…」

 

「ははっ…母ちゃん…そんなに盛っても食べ切れないだろ?なぁ…大二!」

 

「…あぁ…いや…(兄ちゃんは知らないんだろうなぁ…)」

 

実際には余裕どころか腹ごなしにもなりはしないのだがとりあえずこの場では黙っておくことにしよう。

すると突然父、元太が思い出したかのような声を上げた。

 

「おっ!そういえば撮った写真の現像が終わったらしいから預かってたんだ!」

 

そして父は自分のテーブル周りを空かすと何枚かの写真を広げた。

 

そこには様々な瞬間が切り取られていた。

応援している五十嵐家やご近所の方々、ライスと大二のツーショットなどもあり、ライスを中心に皆で笑い合うさながら家族写真のようなものもあった。

その中でも特に目を引いたのは燦々と照る陽光に照らされながら笑顔でゴール版を駆け抜けるライスの写真だった。

 

「どうだ〜!とっておきの一枚なんだ!」

 

「すごい!ライスがライスじゃないみたい!」

 

「パパすっご!こんなのどうやって撮ったの!?」

 

「ここしかないってシャッターチャンスが訪れたんだよ!…ぶーさんに…」

 

「「「だと思った…」」」

 

「ガ〜ン…ショックダディ〜…」

 

自分の手柄にしようと思ったが直前に良心が勝ったらしい。ちょっとした意地汚さと人の良さを見せる自らの父に五十嵐三兄妹はほんの少し呆れた。そんな楽しい時間について過ごすうちにふと兄がこんな言葉を漏らした。

 

「でもさ、兄貴としてすごく誇らしいよ…これも大二とライスが手を取り合って努力した結果だな。」

 

「…いや、俺はなにもしてないよ。ライスが頑張ったんだ。」

 

激励してくれる兄に対して頭を落としそう零す。実際自分は何もしていない…ライスが勝つことができたのはそれこそライス自身の頑張り故のもので自分はほんの少し背を押したにすぎない。それなのに勝利の要因に自分がいると宣うなどおこがましいにもほどがある。そんなことを思っていると…

 

「そんなことないよ…大二お兄様…」

 

ライスがいつの間にか目の前にいて確かにそう告げた。

その眼にはいつもの自信なさげな気持ちが渦巻き揺れている色ではなく確かな気持ちを言葉に表そうとする決意の色を感じた。

 

「ライスね…今まで自分にできることなんてなにもないって…一人で真っ暗な世界に閉じこもってた…」

 

「でも…大二お兄様はそんなライスの手を取って…一輝お兄様やさくらお姉様…お母様、お父様…ぶーさんや太助おじさんたち…」

 

「色んな光をライスに繋いでくれた…だからライス…走り出すことができたの…」

 

「だからね…ライスにとって大二お兄様は…一番大切な光なんだよ…?」

 

ああ…駄目だ…目頭が熱くなり、視界が滲む。

 

「…ッ!…あぁ…っ…ありがとう、ライス。」

 

「えへへ…お礼を言いたいのはライスの方なのに…変なお兄様…」

 

ちゃんとトレーナーをやれてる自信なんてなかった。たしかに自分が選んだ道ではあったけど…フェニックスの業務が滞ってトレーニングをしっかり行えなかったこともあったし、約束も破ってしまったことも、寂しい思いをさせることも何度もあったはずだ。

こんな奴、嫌われてしまってもおかしくないというのにそんな自分を変わらず慕ってくれている目の前の存在がとても愛おしく感じた。

 

「ライス…俺達からもお礼を言わせてくれ…」

 

そして家族もその想いを聞き届け、自身たちの思いの丈をぶつけ始める。

 

「ありがとな…大二の担当になってくれて…」

 

「うん…ライスちゃんが大ちゃんの担当でほんっとによかった…!」

 

「ああ…俺たちも一輝たちと同じ気持ちだ…なぁママさん…」

 

「ええ…ライスちゃん…これからも大二のことを支えてあげてね…」

 

「うん…ライスもお兄様のこと…支えたい…お兄様が大好きだから…」

 

「…あら〜?」

 

その言葉を聴いた瞬間母、五十嵐幸実の目には慈愛から悪戯の色に変わった。

 

「ライスちゃん、今…大二のこと大好きって、言ったわよね…?」

 

「ふぇ…?う…うん…」

 

「もしかして…大二のお嫁さんは心配しなくてもいいってことかしら〜?」

 

「ふぇ…!?////」

 

は?????

何を言い出しているんだこの人は…?

 

「おお〜!ライスちゃんみたいな良い子がお嫁に来てくれるなら父ちゃんは大賛成だぞ!」

 

まずい…この流れは…早く止めなければ!

 

「父ちゃんも母ちゃんも何言ってんだよ!ライスが困ってるだろ!」

 

「大二…」肩ポン

 

「兄ちゃん…?」

 

「お前も意外と隅に置けないな♪」

「幸せにしてあげなよ大ちゃん♪」

 

「兄ちゃんたちまで…?!」

 

「…ライスが…お嫁さん…?…お兄様の…///」

 

「ライス!?」

 

その後、上の空のライスが戻ってきてからもその祝宴は続き、そして笑い声が絶えることはなかった。

こんな幸せがこれからもずっと続いていくだろう。自分の使命はこんな誰にでも与えられるべき幸せな日常をずっと守っていくことなのだと強く痛感する一日だった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう…思っていたのに…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

⚠これから先は胸糞展開です。苦手な方はここで閲覧を中止することをおすすめします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ライスシャワー完全に先頭!2バ身から3バ身!ライスシャワーだ!昨年の菊花賞でも、昨年の菊花賞でもミホノブルボンの3冠を阻んだ ライスシャワー!

春の天皇賞ではメジロマックイーンの大記録を打ち砕きました!』

 

「おい!いい加減にしろよこのヒール!」

「お前が勝つことなんて誰も望んじゃいないんだよ!」

「そうよっ!私達の夢を返して!」

 

観客席にいる無数の存在から放たれるのは聞くに堪えない罵詈雑言…

そしてそれとともに投げつけられるゴミの礫をライスシャワーは甘んじて受け入れていた。腕で守ろうともせず、歯を食いしばり目をギュッと瞑って涙を堪えながら一人立ち尽くしていた。

 

「やめろ…やめてくれ!」

 

大二は急いで駆け寄り、その身を盾にすることでライスシャワーを守る。だが、それはある意味ではなんの役にも立っていないと言える…たとえ身体が傷つかずとも彼女の心は依然として傷つけられ続けているのだから。

 

「やめろ…やめろぉぉぉぉぉ!!」

 

大二の絶叫が轟く…その慟哭が響いたことでレース場は一瞬の静寂を迎える。

この隙に大二は観客たちへ説得を試みる…

 

「やめてください…!ライスは何も悪いことなんてしてないじゃないですか…!他のウマ娘と同じように努力して、今までのウマ娘と同じようにただレースで勝っただけだ!なのになんで…ライスばかり責められないといけないんですか!」

 

「………」

 

「…おねがいします…確かに偉業の達成を目の当たりにはできなかったかもしれないけど…!今はただ…ライスの健闘を称えてやって「うるせぇ!!」……えっ…?…」

 

 

「そいつが勝とうが負けようがどうだっていい!俺達はマックイーンの三連覇が見たかったんだよ!」

「ミホノブルボンの三冠もよ!」

「よりにもよってなレースでばかり勝ちやがって!身の程を知りやがれ!」

 

どこまでも自分たちのことしか考えていないその言動の数々に大二は激しい怒りを覚える。そしてその激しい怒りによって周って冷静になった大二の頭に浮かんだのは純粋な疑問だった。

 

「どうしてだよ…俺たちは…正しいことをしてるだけなのに…」

 

そうだ…自分たちは正しい。

それなのに何故こんなにも糾弾されなければならない…

一体何を間違えた…?いいや、なにも間違えてない…

なら、誰かが間違えた…? 

 

ああ…それなら明白だ…

 

間違えているのはこいつらだ…

罪を持っているのはこいつらだ…

罪人なのはこいつらの方だ…

 

なら"断罪"しなければならない。

なぜなら俺は誰かの幸せを守らなければならないから…

そのためにも罪人を野放しにするわけにはいかないから…

だから…誰よりも"正しい"俺がやらなくちゃいけないんだ…

 

『HOLY WING!』 『cofirmed!』

 

「お兄様…?」

今まで目を閉じていたライスがその目を開ける…

その目に不安を浮かべ、自分を見上げている…

 

「大丈夫だ、ライス…君を傷つける悪いやつは…皆俺がやっつけてやるから…」

 

『WING UP!』

 

「…変身…!」

 

『HOLY UP!』

 

『wind…!wing…!winning…!』

 

『ホーリー!ホーリー!ホーリー!ホーリー!』

 

『ホーリーライブ…!』

 

背から現れた翼が胸に顔を埋めるライスもろとも自分を包み込み、変身を完了させる。その様相はさながら雛を守る為に翼で覆う親鳥のようだった。

 

さぁ…準備は整った。

既に撃鉄は下ろした…なら後は引き金を引くだけだ。

断罪を下すため、ホーリーライブは咆哮を上げ駆け出す。

 

「もしかして…やめて!お兄様!」

 

ライスの制止が聞こえたような気がする…

でもきっと気の所為だ…こいつらを断罪するということに止める理由など存在しないのだから…

 

観客たちはどよめき、慌てて避難を始めるが仮面ライダーでもウマ娘でもない彼らの逃走能力などたかが知れている。

 

『仮面ライダー!リバイ!バイス!リバイス!』

『仮面ライダー!蛇!蛇!蛇!ジャーンヌ〜!』

 

「やめろ!大二!」「んなことしたらまじやべぇって…!」

「大ちゃん…落ち着いて!!」

 

しかしそんな自分の目の前に3つの影が割り込み、無理矢理抑えつけてきた。

その正体は兄、五十嵐一輝が変身する仮面ライダーリバイとその相棒である悪魔仮面ライダーバイス、そして妹である五十嵐さくらが変身する仮面ライダージャンヌだった。

 

「落ち着いてなんて居られるかっ…!そいつらはライスを傷つけた!兄ちゃんたちこそなにも思わないのか!」

 

大二は静観していた自分の兄妹に心底怒りながらそう問い詰める。その声には怒りの他にも少しの悲嘆が混じっていた。

 

「馬鹿野郎…!そんなわけないだろ!俺だって今までにないくらい怒ってる!バイスだって…さくらだって同じ気持ちだ!」

 

両側から大二を抑えるのに集中しているバイスとさくらは言葉を発さないがその相貌から溢れそうになるほどの怒りを必死に抑えつけていることがありありと分かる。

正面に立ち、ある程度抑えつけながら説得に回る一輝…

 

「でもお前が先に手を出したら、ライスは本当の意味でヒールになっちまうだろ!それでもいいのか!?」

 

「…ッ!…黙れ!」

 

知ったような口を利くな…

お前はあの子がどんな思いで走っていたのか知っているのか…

あの子が初めてヒール呼ばわりされた時、どれほど心を痛めたのか知っているのか…

あの子がもう一度走り出すことができるまでにどんな葛藤があったのか知っているのか…

俺は何もかも知っている!全て見届けてきた!

俺はあの子の想いを背負っているんだ!

 

「兄ちゃんとは…!背負ってるものが違うんだよっ!!」

 

「…ッ!…いい加減にしろ!大二!」

『ギファードレックス!』

「…バイス!本気でいくぞ…!」

 

「でも…くっ…わかったぜ一輝…!」

『ギファードレェックスっ!』

 

『『ULTIMATE UP!』』

 

『『ギファー…ギファー…ギファードレックス!!』』

 

一輝たちが本気を出したことでリバイ、バイス、ジャンヌの三人がかりで漸く保っていた均衡が崩れた。

こちらの攻撃がことごとくさばかれ、手痛いカウンターを何度も食らう…手も足も出ないとは正にこのことだった。

でも諦めるわけにはいかない…

必ず報いを受けさせる、その一心で反撃を続けるも状況は一切好転しない。

 

「…うぅ…!…くそがぁ……!」

『必殺承認!』

『ホーリージャスティスフィニッシュ!』

 

苦し紛れの一発さえも片手間に弾かれる…

力の差は歴然だった。

 

「目を覚ませ!大二!」

 

『リバイ/バイス ギファードフィニッシュ!』

 

「ぐっ…グワァァァああぁぁ……!」

 

強力な一撃を受けたことでこの身は強く投げ出され、変身を維持することもできずに解除されてしまった。

無様に転げ回る自分…悔しい…どうして正しいはずの自分が這いつくばっているのだろうか…?

憤りが収まることはなかったが今このときは体の痛みで呻くことしかできない。

 

「お兄様…!しっかりして!お兄様…!」

 

涙を浮かべ駆け寄ってくるライス…

きっとあいつらに報いを受けさせることができなかったことを嘆いているのだ…

 

ごめんよ…ライス…

今はできなかったけど…いつか…

必ずあいつらを裁いて見せるから…

また君が幸せそうに笑えるようにするから…

そのためなら俺の何もかもを投げ打ってみせるから…

だから…

 

まだ俺を君の大切な光でいさせてくれ…ライス…

 

 

END




大二寄りのの三人称視点だった都合上バイス含む悪魔たちとの絡みは描かれませんでしたが、普通に悪魔の面々も、ライスが大好きですしライスもバイスくん、カゲロウくん、ラブちゃんと呼んで仲良くしてます。
特にカゲロウは大二のクソデカ感情の影響を受けてるだけあってライスには強く出ることができなくなっていました。

「ヒャーハッハーっ!ぶっ潰してやるぜお兄様!」

「そんなことしたらめっ!だよ?…カゲロウくん…」


「…ウルセェヨ…」スンッ

って感じです。

執筆して欲しい方はどっち?(詳しくは活動報告へ)

  • リバイスとテイオー主体の物語
  • ライスシャワーが主人公の物語
  • その他
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