ツーサイなお兄様   作:仮面ライダー四季鬼

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大変長らくお待たせしました…取り敢えず生きております!

ちょっとモチベが低下してしまったので少しの間執筆から離れておりましたが、現在放送中のギーツや映画やウマ娘の新情報のおかげである程度モチベが戻ってきたので続きを投稿します!

アイネスフウジンの声優さん、変わってしまうみたいですね…
でも、これから新しいアイネスフウジンを演じて下さる方には頑張って頂きたいですね!




未来への両翼 中編

五十嵐家side

 

数多くの人々でごった返す京都レース場…

その中には食事を摂っている者、予想を話し合い盛り上がっている者、ゲームをして暇を潰している者など様々な様相を見せているが、それと反してその心中にある事柄は一致している。彼等は今日ここで行なわれる筈のレースの開始を今か今かと待ち侘びているのだ。

しかし何故かいつまで経ってもレースが開始されずそのせいでレース場の空気がピリつき始めてきているのだがそれとは別の件でまた心穏やかではない者がそこにひとり…

 

「………………………………」ジ~

 

「…あ、アハハ………えっと……うぅ…」

 

威圧感を御気に入りのはちみーのように固め濃いめ多めダブルマシマシで隣で座っているアイネスフウジンに対してたっぷり御馳走しているのは名ウマ娘の一人、トウカイテイオー…

一応アイネスフウジンは年上であり、敬って然るべき先輩なのだがそんなことは恋する乙女にはお構いなし。

人の恋路を邪魔する者あれば蹴っ飛ばしてでも排除するのがウマ娘という生き物の性だ。天真爛漫を絵に描いたようなテイオーであったとしてもそれは変わらない様である。

 

「…ねぇ、アイネスさんは一輝とどういう関係なの…?」

 

「え?…いやだから、さっきも言った通り同じ中学の先輩後輩で…」

 

「それにしてはすっごく仲良さげだよね…二人っきりでどっか行って秘密のお話したりしてさ…」

 

「え、えぇと…えっとね…?」

 

変わらず威圧感を放ちながらも、鋭い目つきで質問を繰り返すテイオー。その威風に完全に気圧され、アイネスの冷や汗は止まらなくなってしまう。

もし下手な回答をしようものなら市中引き回しも辞さないからな、帝王を無礼るなよというメッセージが無言の圧の中に内包されているのが容易に想像できる。

もしあの質問が飛び出してしまったらと思うとアイネスは気が気ではなかった。

 

「…もしかしてアイネスさんってさ…」

 

「な…なに…?…(まさか!?)」

 

「一輝のこと、好きなん…(ガンッ!)…いっだ!?」

 

「いい加減になさい、このおバカ…

今の貴女は余りに不躾がすぎますわよ?」

 

「イッタァイ…」

 

しかしそのテイオーに拳骨をお見舞いし、見事完璧に収めてみせたのは彼女の親友にして先程まで何故か気絶していたメジロマックイーン。おかげでテイオーが纏っていた威圧感は霧散され、元のトウカイテイオーに戻ってくれたようだ。

最大限の感謝の意を込めた目線を送るとマックイーンは困ったような苦笑いを浮かべる。少なくともこれで怯えながら話をする必要はなくなったと見てアイネスは言葉を紡ぎ出す。

 

「あのねテイオーちゃん…心配しなくても一輝さんとあたしはそういう関係じゃないし、そうなる予定もないから安心してほしいな!」

 

「うぅ、それほんと…?」

 

「うん!一輝さんは大事な人だけど、それはあくまで友達として!

むしろテイオーちゃんのこと応援するし、できる限り協力もするの!」

 

その言葉を聴いたテイオーの心に一筋の光が指す。アイネスフウジンが協力してくれるというのなら、それは今まで彼女に抱いていた危惧がそのまま自分のアドバンテージに変化するということと同義だ。

これなら現在の劣勢気味の恋のダービー、逆転で差すことも夢ではないかもしれない。

 

「そ、そっかそっか…えへ、えへへへ…////」

 

「(よかった、喜んでくれてるみたい…)」

 

正直に言えばアイネスは自身が一輝に対して抱いている感情がどういうものなのか図りかねていた。一輝のことを説明しようとするとただの先輩というのはなんだか引っかかりを覚えるし、親友というのも近いようでなんだか違うなとも思ってしまう。

先程投げかけられそうになっていた質問に対して危機感を感じていたのはそれが理由だ。自分でも把握しきれていない感情であるが故にしっかりと納得してもらえる芯を持った解答をすることができるとは到底思えなかった、だからその質問が来ることを恐れていたのである。

しかし、そんな疑問もどうやら瑣末事だったのだろうと今更ながらにアイネスは結論づける。

 

「(だって…一輝さんのことを好きだったら、こんなテイオーちゃんを見て焦らない訳ないもんね…)」

 

愛する人との明るい未来を思い浮かべ、悦に浸っているテイオー…その姿はまさしく可憐。

こんな女の子に想われているであろう人がもし自分の想い人であったなら、多少なりとも焦燥を感じるのが乙女として自然というものなのだ。

だが、それを目の当たりにしてアイネスが感じているのはこんな娘に想われている一輝が羨ましいという気持ちと二人が結ばれ、幸せに笑い合う未来を夢想した際の多幸感のみであった。

これすなわち、自分は一輝に恋い焦がれているという訳ではないということの証左だ。

さて、協力すると決めたのならテイオーには自分が出来得る限りのアドバイスをしてあげるべきだろう。

さしあたっては彼の好きな食べ物の話でもしようかと思っていると…

 

ピンポンパンポーン……

 

『現在、出走予定のライスシャワー様の御到着が大幅に遅れているため、レースの開始時刻を延期させて頂きます…繰り返します。現在、出走予定のライスシャワー様の御到着が………』

 

「お、おい…どうしたんだろうライスシャワー…何かのトラブルか?」

 

「何度かでかい音が聞こえたけどなんか関係あんのかな…」

 

「というかなんで延期?失格にしてさっさと始めればいいじゃん?」

 

「まぁ流石に一回も延期なしに失格はあんまりってなったんだろ多分…」

 

その突然のアナウンスに騒然とする観客たちはそれぞれ思い思いの言葉を口にする。それらは心配だったり疑惑だったり予想だったりとまちまちだったが、中にはレースが早く見たい一心で心ないことを言う者もいた。

 

「……なによ、皆好き勝手言っちゃって…」 

 

「好きに言わせとけばいいさ!

俺達のライスちゃんは約束を破るような娘じゃないからな!」

 

それに静かに憤るさくらだったが、父元太はそんなさくらを宥めて落ち着かせる。その声は陽気さを感じさせる一方で先程までカードゲームに興じていたとは思えない程に真剣味を帯びた声音だった。

いつもは頼りないくせにこんなときは格好良いことを言うのだからと思っているとさくらはふとあることに気付く。

先程、二人で話があると言ってこの場を後にしたっきり片方は既に戻って来ているというのに肝心のもう片方は一体どうしたのだろうか?

 

「…ってかさ、いつの間にかフウ姉戻って来てるけど…一輝兄は?」

 

「……………………と、トイレ?」

 

余りに誤魔化しが下手すぎる。

いくら方便とはいえ嘘をバレないようにつくにはアイネスフウジンはあまりにも良い子すぎた。

自分の発したその発言にどれだけの信憑性を込められたかも分からないのでついつい聞き返すような形になってしまい、結果として不自然さが付き纏う。

そしてそれを見逃すほどさくらも鈍感ではなかった。

 

「なんで疑問系?

それにだとしても遅すぎるし…なんか隠してる?」

 

「う…ううん…?」

 

「…………………………」ジ~

 

「…………………………」(汗)

 

「…………………………」ギラッ

 

「…………………………………………ハイ、実は…」

 

結局アイネスフウジンは嘘を突き通すことができず、ボロポロと一輝がどこに何をしに行ったのかを包み隠さず話してしまった。

話していくうちにどんどんと鬼のような形相に変化していくさくらを見てアイネスは恐怖で縮み上がって俯き気味になってしまう。

正直、いつ拳が飛んでくるかと思うと気が気ではなかったが駆け出すような音と共に目の前の威圧感が消えたのを感じて顔を上げるとやはりそこにさくらは居らず、苦笑いをする元太と幸実の姿しかそこにはなかった。

 

(ごめん一輝さん、全然誤魔化せなかったの…

多分、超特急でさくらちゃんがそっちに行くから気を付けてね…)

 

結果的に約束を違えてしまったことを心中で謝罪しつつ、きっと全てが終わった頃には自分と一輝は揃ってお説教を食らうのだろうなと思うと憂鬱な気分になるアイネスフウジンであった。

 

 

一輝side

 

「たぁぁぁっ!!」

 

『オーイングスラッシュ!』ジャキーン!

 

「ぐっ……!」

 

アックスモードのオーインバスターを使った攻撃はアルティメットリバイが振るったということもあり、ベイルに少なくないダメージを与える。

突如として始まったベイルとの戦闘はやはりと言えばそうなのだが、こちら側の優勢で進み続けていた。

当然だ、今一輝達が使っているその力は敵の総大将と言えるギフの力と同質であるのは勿論、彼等の家族がその命を懸けて創り出したまさに奇跡の産物でもあるのだから、それが妄執に取り憑かれた哀れな悪魔の力になど屈するはずもなかった。

 

しかし、その力の差が直接この場の勝利に繋がっているわけではないというのは非常に歯がゆい思いを感じざるを得ないだろう。

ベイルを完全に倒し切ってしまえば、その命と繋がっている父元太の命も道連れになってしまう。

故にこちらの決定打が完全に失われているのだから、これ以上足止めという目的において秀でている存在も中々居ないだろう。

 

「ぐぅ…ふ…ふふ…ふはははははっ…!

どうした…もっと手品を見せてくれてもいいんだぞ…」

 

「どうしよう、一輝!このままじゃ…」

 

「あぁ…このままじゃ大二達の所に行けない、折角送り出して貰ったって言うのに…!」

 

力の差は歴然、なのに倒すことが出来ず完全に足踏みを強いられているこの状況をどう打破したものかと頭を悩ませる一輝とバイス。

大切な家族が窮地に立たされているかもしれない状況も手伝って焦る心はますます募るばかりだったがそこへ…

 

 

 

『イィヨォオーーーっ!』

 

 

 

 

突如としてその場には似つかわしくない声、歌舞伎の掛け声のような声が大きく鳴り響いた。

 

「な、何だこの声…!?」

 

「えぇ、ナニナニ!?

もしかしてこれが噂のGEISHAってやつ!?

ブハハハハハッ!おもしれえ!!

それでは読者の皆さん、ここで例のbgm…スタート!!」

 

 

 

 

 

 

 

「ハァァーーハッハッハッハッハァァッ!」

 

耳をつんざいてしまうのではないかと大きく、剛毅で抑えきれない度量と派手さを全面に押し出したかのような高らかな笑い声。

その声がした方へ目を向けてみるとそこには驚きの光景が広がっていた。

 

神輿…そう神輿だ。

最高潮に盛り上がったお祭りでよく見かけるであろう神輿とそれを担ぎ上げる屈強な半裸の男達、その周りを紙吹雪を散らす女人と美しい天女が舞うように漂っている。

これだけでも目を剥く異様な光景だがその中でも一際異質だったのは、その担がれた神輿の上に存在する特殊な形をしたバイクとそれに跨り自らを扇子で扇ぎながら声を張り上げる真っ赤な姿をした男であろう。

 

「やあやあやあ、祭りだ祭りだ~!

袖振り合うも他生の縁、躓く石も縁の端くれ!

共に踊れば繋がる縁!この世は楽園!!

悩みなんざ吹っ飛ばせ!! 笑え笑え!

ハーハッハッハッハ!!」

 

「な、何なのだあれは…?」

 

「いや〜オレっちたちも知らね。」

 

この異様すぎる光景に流石のベイルも困惑と疑問の声を上げるも、バイスに一蹴されてしまう。

なんというかもう、先程までのシリアスな雰囲気が一気に台無しになってしまった。

 

バッ…パンッ…

「ふっ…!」ブゥオンブオオォン!

 

真っ赤な男は張り上げていた声を納めると持っていた扇子を頭上に放り、自身の頬を一度叩いてから静かに息を吐きながらグリップを捻る。発進した勢いでジャンプするように神輿から地面に着地した後、ベイルの周囲を爆走しやがてはバイクと一緒に回転しながら乗り捨て、そのままベイルに斬りかかる。

 

「さぁ、楽しもうぜ!勝負勝負!」

 

「ぐっ…本当に訳のわからんやつめっ…!」

 

ベイルはメガロドンバイスタンプの力を具現化させた刃で真っ赤な男と鍔迫り合う。しかしそれも一瞬、男は自身の剣が止められたことなど一切意に介さず、すかさず次の攻撃を叩き込む。そのまさに猪突猛進を体現した攻めにベイルはたじろぐ。しかも男はただ剣を振るうだけではなく、身体の可動範囲を最大限活かした変態軌道でベイルの攻撃を回避する。

そしてそのまま蹴りを入れて一旦距離を取った隙に一輝は男に問を投げた。

 

「あ、あの!貴方は一体…?」

 

「ん?」スタスタ…

 

すると男はあれほど苛烈であった攻撃の手を納め、ゆっくりと一輝の方に歩み寄っていく。

 

「貴様、どこを見ている…!」

 

「うわぁ!急に落ち着くなっての!」

 

それを隙と見るやいなやベイルは男に攻撃を仕掛けようとするもバイスがそれを未然に防いでみせた。

男はそんなことには意に介さず、変わらず一輝に近づいていく。

もしかして次の標的は自分かと思い、思わず身構える一輝だったが…

 

「今、俺に名を尋ねたな?これでお前とも縁ができた!」

 

「…はい?」

 

「だが礼儀がなっていない!人に名を尋ねるのならまずは自分が名乗れ!それが人としての常識だ!」

 

急に神輿に乗って現れた訳の分からない事を言う真っ赤な変人にまさか常識を説かれるとは思っていなかったので、一瞬固まる。

そもそも名を尋ねた訳ではなく一体何者なのか聞きたかっただけだが、まぁほぼ同じ意味だろうと思い直し、取り敢えず言われた通りに名を名乗ることにする。

 

「あ、えっと…俺は五十嵐一輝!

家族で銭湯やってて、今は仮面ライダー頑張ってます!よろしくお願いします!」

 

「ほぉう…良い名だ!名付けた者の真心を感じる!」

 

「ありがとうございます!」

 

「さて、名乗られたなら名乗り返すのが礼儀!行くぞお供たち!

 

 

………オォイ何をモタモタしている!さっさと集合だ!」

 

キュイーン…シュボン!

 

「…え!?なになに!?

も〜、ベルちゃんの原稿手伝ってたのに…!」

 

「…だからラーメンでバンジージャンプはできないと何度言えb……おや?」

 

「…みほちゃんのお弁当どこに落と…えぇ!今ですか〜!?」

 

「…だから、お前は逃げてもい……っておい!話の途中に呼ぶな!」

 

その男の大きな一声によって突如として、厳密には色や装飾が異なっているがおおよそ男と似た装いをした4人組が現れる。

 

黄色い姿の女性は比較的普通の体型だったのだが他3人が明らかに異常だった。

 

腕が異様に発達した、まるでゴリラのような青い男と…

 

翼の装飾とスラッと長い脚が特徴的なピンク色の男と…

 

小さな身体に大きい手足と頭といったまるでSDみたいな体躯をした黒い男(の子?)…

 

もう何が何やら分からない、まさに…

訳の分からない集団が訳のわかっていない様子でそこにいたのだった。

 

「名乗りを上げるぞ!お供たち!」

 

「え〜…ちょっとめんどくさい…」

 

「まぁそう言うな、きっとあのときの名乗りに味を占めたんだろうさ…」

 

「僕はイヌさんに邪魔されてろくに名乗れませんでしたけどね…」

 

「ん?名乗り?邪魔?何の話だ?」

 

「ごちゃごちゃうるさい!さっさとやるぞ!」

 

「「「「はぁ〜い…」」」」

 

前置きが少々長かったが、ようやく名乗りを上げてくれるようだ。

5人並んで、まず赤い男から名乗り始める。

 

「桃から生まれた!ドンモモタロ〜ウ!」

 

「ウキ世におさらば!サルブラザー!」

 

「マンガのマスター!オニシスター!」

 

「逃げ足No.1!イヌブラザー!」

 

「トリは堅実!キジブラザー!」

 

     「暴太郎戦隊!」

 

「「「「「ドンブラザーズ!」」」」」

 

 

暴太郎戦隊ドンブラザーズ…

これがこの変人集団の名前なのか…

 

「すっげぇ〜!!なぁなぁ一輝!俺達もこういうの考えようぜ〜!」

 

「いや…俺達は…どうかな〜…」

 

こういったお祭りごとに目がないバイスの琴線に触れたらしく、ベイルを抑えながらも自分達も格好いい名乗りを考えようと思ったようだ、だが流石にこれをやるのは恥ずかしいので一輝は遠慮した。

しかし未だ困惑が抜けきっていない一輝達をよそにドンモモタロウは再び仲間達と共に臨戦態勢をとった。

 

「鬼退治…いや、悪魔退治だ!」

 

先陣を切るのはドンモモタロウ、先程と同じように卓越した剣技を用いてベイルを翻弄する。そしてベイルが怯むほどの一撃を放った後に、即座にスイッチし別の戦士が切り込む。隙が一瞬でも見えた瞬間にも、それぞれの戦士たちは思い思いに攻撃を行う。

 

「今回は出血大サービス!

お供たち!アバターチェンジだ!」

 

「はいは〜い!」「よしきた!」

「任せてください!」「さっさと片付けるぞ!」

 

そう言うと彼等は懐から赤と黄というこれまた派手な配色の銃を取り出すと赤い特殊な形をしたメダルかギアのようなものを銃の窪みに嵌めて…

 

『アバターチェンジ!』

 

『イィヨォオーーーっ!』

 

『ドン!』『ドン!』『ドン!』

『ドンブラコー!』『ゴセイジャー!』

 

ドン! キュイーン シュピーン

 

『よっ!天装戦隊!』

 

一瞬光に包まれたかと思うと、そこには先程までの戦士達とはまた違う戦士が立っていた。しかもそれだけではなく、それぞれ異様に発達していた部分が変化して普通の体型になっている。

まぁ、約一名何故だか女装になっているのは気になるが…彼の趣味だろうか?

 

「いくぞ!合わせろ!

ツイストルネードカード!」

 

「任された!プレッシャワーカード!」

 

「オッケー!スパークエイクカード!」

 

『天装!』

 

『エクスプロージョン!スカイック!パワー!』

 

『スプラッシュ!シーイック!パワー!』

 

『スパーク!ランディック!パワー!』

 

別の姿となったモモサルオニの3人組がゴセイカードを使って天装術を発動!

組み合わせによって発動する特殊な天奏術、トライアングローバルの威力は絶大でベイルは大きなダメージを受けるが、そこへすかさずトリイヌコンビが追撃を行う。

 

「スカイックショット!」ドンドン!

 

「ランディックアックス!」ジャキン、ジャキーン!

 

「ぐぁぁあ…!」

 

「ハーハッハッハッ!まだまだ祭りは終わらんぞ!!アバターチェンジ!」

 

『よっ!特命戦隊!』

 

そしてまた先程の操作をして、また別の戦士へと変身した。

しかし、変身したのはモモサルオニの3人組のみでトリイヌコンビは先程までの姿のままだった。

 

「うさちゃん?なんかかわいい…」

 

「なかなかどうして、親近感の湧く姿じゃないか…」

 

「無駄口を叩くな!

バスターズ、レディ…ゴー!」

 

そう言うとドンモモタロウは一瞬身体がブレたように見えた瞬間、とんでもなく高速な動きでベイルを翻弄する。

あそこまでのスピード…スピード特化のジャッカルやプテラにゲノムチェンジしたとしても追い付くことはできないだろう。

それ程までに次元の違うスピードだ…

そうしている間にサルブラザーは近くの太い柱をボッキリと引き抜き思い切り振り回してベイルに回避不可の大打撃、吹っ飛んだベイルに驚異的な跳躍力で追い付いたオニシスターが空中で短剣のような武器を用いた連続攻撃を行なう。

ここまでされてはもう既にベイルは満身創痍だがまだドンブラザーズの猛攻は続く。

 

「最後に大アバレだ!アバターチェンジ!」

 

『よっ!爆竜戦隊!』

 

「ウオオオオォ!元気莫大だぁぁぁ!」

 

「君はこれ以上元気にならないでくれ…」

 

「うるささ割増なんだけど〜!」

 

「この黒い戦士、なんだか親しみを覚えるな…

主に恋人で悩んでいそうな感じが…」

 

「え…あの…これ、女の子のやつ以前に…

コスプレ…なんですけど…」

 

また先程の操作をして姿を変化させるドンブラザーズだったが、キジブラザーは他の戦士然とした姿のメンバーと異なり、まるで女の子が刺繍で作ったようなコスプレ衣装になっていた。

あとあの言動から察するに女装は彼の趣味ではなく変身の仕様上の問題だったようなのでそこは一安心である。

そのままでは足手まといなので、キジブラザーは変身を解いて元の戦士の姿で応戦する。

 

「ティラノロッド!」「ダイノスラスター!」

 

    『ダブルサークルムーン!』

 

ロッドと剣で円を描くことで球状のエネルギー体を形成、同時にぶつけることで二重の月がベイルを包み込み衝撃を与える。

そしてモモサルオニイヌの4人はそれぞれの武器を合体させた巨大なランチャーを構える。

 

「必殺!」「スーパーダイノダイナマイト!」

 

そのランチャーから放たれる巨大な閃光は直撃したベイルの身体を焼き尽くす。

様々な攻撃を受けたベイルはそのダメージから呻き、藻掻いている。

ドンブラザーズは変身を解いて元の戦士の姿へと戻り、ドンモモタロウはどこから取り出したのか扇子で自らを扇ぎながら高らかに声を上げた。

 

「ハーハッハッハッ!どうだ俺達の祭りは!」

 

「凄い、色んな戦士の力を使えるのか…」

 

これは戦闘においてとても大きなアドバンテージとなるだろう、使える手札が変身できる戦士の数だけ存在するのだから。

彼等はきっとこんなふうに様々な戦士に変身して戦う戦隊なのだと一輝は思った。

 

「これやったのすっごい久しぶりじゃない?」

 

「最近、こういったことはタロウに任せきりだったからな〜。」

 

そういうわけでもなかったらしい。

的外れなことを言ってちょっと恥ずかしい…

 

「どれ…ではとどめを刺すとするか!」

 

「え…あっ!ちょっと待ってください!」

 

「なんだ?邪魔をするな!」

 

今まで呆気に取られて気付かなかったが、ベイルを完全に倒されてしまっては困る。

何故ならベイルの命は元太の命と繋がっており、どちらかの命が失われればもう片方の命も失われてしまうのだ。

 

「うええ!?それヤバいじゃん!」

 

「我々、かなりの全力でぶちのめしてしまったが…!?」

 

「まずいじゃないですか!

もしそれを知らずに倒しちゃってたら…」

 

「お前!そういう大事なことはいち早く共有しろ!手遅れになってからじゃ遅いんだぞ!」

 

そのことをドンブラザーズに伝えるとお供と呼ばれていた4人組は危機感を現し始める。

イヌさんからお説教を受け、一輝は反省するがドンモモタロウの声がその雰囲気を霧散させた。

 

「狼狽えるな!一輝!お供たち!」

 

「ドンモモタロウさん…?」

 

「案ずることはない、俺達の攻撃がアイツの命を奪うことなど万に一つもあり得ん!」

 

「モモちゃんすっげぇ言い切るじゃん?なんか秘密があるって感じぃ?」

 

「こら、バイス…失礼だろ?」

 

しかしそうは言ったものの一輝もそんな秘密があるのなら聞いてみたいところだった。

ここまで自信満々に言い切るところを見るにきっとあの変身システムにはそういった機能が搭載されているに違いない。そのシステムを応用させてもらえれば、これから先の戦いも余計な犠牲を払わずに済むようになるかもしれない。

 

「ふむ、特別に教えてやろう…」

 

「本当ですか!?」「マジ!?ヤッタァ〜!」

 

「簡単なことだ…」

 

ドンモモタロウはそこで一度言葉を区切り、回答を貯めに貯めていく。

あまりに貯めるので思わず、ドンモモタロウへと近付いて耳を傾けてしまう。気付くとバイスは勿論お供の4人も同じように近付いて耳を傾ける。

そしてようやくドンモモタロウが顔を上げ、声を発しようとする雰囲気を感じ取ったので身構えながらその時を待っていると…

 

 

 

 

 

 

 

 

「そういうものだからだぁ〜!ハーハッハッハッ!」

 

「「……は?」」

 

一瞬の硬直、そして…

 

「……ハアァァ!?なにそれ意味わかんない!

なにテキトーこいてんだよコラァ!!」

 

「バイス!落ち着けって!でも…それじゃ流石に…」

 

「も〜…

まためちゃくちゃ言い出すじゃん…!」

 

「全くだ…それで彼が納得できる訳がないだろう…」

 

流石に冗談ではないと言わざるを得ない。

こちらは父親の命が掛かっているのだから、それをそういうものだから大丈夫だと言われても納得できるわけがない。

同意を求める意味を込めてお供たちに視線を向けると…

 

「でも、多分…タロウがそう言うなら、信じていいと思う。だってタロウは…」

 

「ああ、彼は文字通り…嘘が死ぬ程苦手なんだ。認めたくはないが、そんな奴が問題ないと言うなら恐らく間違いはない……はずだ!」

 

「えぇ…?」

 

先程までその言動に辟易している様子を見せていたというのにオニサルの二人はドンモモタロウの言葉に同意の意を示す。

それ程までに信じるに足るなにかを、もしかすればこの二人はタロウに感じているのかも知れない。

 

「ぐっ…でも…」

 

しかしだからといって一輝はハイそうですかとはならない。なんせ大切な家族の命、それが掛かっているのだから少しでも慎重に物事を考えていきたいのだから。

だがそうして一輝が逡巡を続けていると…

 

『ドラゴン奥義!』

 

「うぇ…?」

 

「ライトニングドラゴンフラッシュ!」

 

『激龍の舞!アータタタタタタ!!』

 

「ぐっ…ぐあああぁあああ……!!」

 

ドガーン!

 

「……あ…あぁ…そんな…」

 

一輝が逡巡している間に、突然現れた金色の戦士がベイルにトドメの一撃を与えてしまっていた。

あれ程の一撃を受けてしまえばどんな生物であろうとタダでは済まない、それはつまり今頃レース場の観客席にいるであろう父の命はもう…

 

「やりましたよタロウさん!

も〜う皆さん、追い詰めたとはいえ敵の目の前でおしゃべりなんて不用心ですよ!

後始末は僕がちゃ〜んとしておきましたからね!」

 

「…あぁ、もう…」 「またかジロウ…」

 

「…よ…」

 

「ん?そちらの方々は…もしかして、僕のファン!?

いや〜照れちゃうなぁ〜…でもダメですよ!

ヒーローというのは一朝一夕で務まるものではありませんからね!

分かったらコスプレはやめて…」

 

「よくもやったなこの野郎…っ!」バキッ!

 

「ぐえっ…!!」ドサー…

 

ふざけたことを宣う金色の戦士に対して、父の死という現実を目の当たりにし、呆然とする相棒の気持ちを誰よりも察していたバイスはその怒りの拳を振るった。

その拳は真っ直ぐ金色の戦士の頬にクリーンヒットして数メートルほどふっ飛ばしたが、それでも怒りが収まらないバイスは追撃を行おうとするも、キジとオニの二人に引き止められてしまった。

 

「お、おお、お、落ち着いてください…!」

 

「そうだよ!一旦待って!」

 

「離せよ!そいつが余計なことしたせいで…一輝のパパさんが…!」

 

「え…どういうことですか…?」

 

未だ状況があまり呑み込めていない様子の金色の戦士にサルブラザーがなるべく詳しく手短に説明をすると、戦士はマスクで見えないはずの顔を段々と青くさせ、全ての事情を飲み込んだ時には即座に土下座の体勢に入っていた。

 

「ぼ、僕はなんてことを…す、すみません!

謝って済む問題じゃないけど、せめて謝らせてください!

本当にごめんなさい!」

 

金色の戦士が必死に頭を下げているが、一輝はそんなことを気にする余裕もなかった。

だってそうだろう、今更謝られたところで父の命が戻ってくるわけではない。人懐っこい笑みを浮かべながらバイチューブに上げる動画を作っている父の姿を見ることはもう二度とないのだから。

顔を俯かせ、涙を流す一輝に対して今まで嫌に沈黙を保っていたドンモモタロウがようやく声を上げた。

 

「おい、顔を上げてみろ…」

 

「…………」

 

「お前の父親の命は断たれてはいない!」

 

「…え、それってどういう…」

 

「えぇい、いいから前を向いてみろ!」ガシッ!

 

ドンモモタロウに無理やり頭を掴まれて、前を向かせられるとそこに広がっていたのは跡形もなく消滅したベイルの亡骸の跡…

 

「ぐっ…くぅ……」

 

ではなく、今度こそ立ち上がれないほどのダメージを受けて蹲ってはいるものの未だその生命が続いているベイルの姿であった。

これは一体どういうことだろうか…?

あれほど強大な一撃、しかも金色の戦士の様子から察するに手応えもしっかりあっただろうに…

 

「言っただろう…万に一つもあり得んと…」

 

「でも…なんでなんですか?」

 

「俺達の力は命を奪うためではなく、命を救うための力…一部例外を除くが、それが命を奪うことなどできなくて当然だ!」

 

「えぇ…」

 

「最初からあのように言えばある程度早く納得してくれただろうに…」

 

「あれ、あたし達の時よりしっかり説明してくれてるじゃん…いや、それでも説明不足だけどさ…」

 

「な に か 言 っ た か ?」

 

「「イエ…ナニモ…」」

 

あまり説明にはなっていないのは変わっていなかったが、まぁ目の前でこの状況を見せ付けられては納得せざるを得ないだろう。

彼等ならベイルの命を奪わずに抑えておくことが出来るということだ。

 

「すみません!ドンブラザーズの皆さん!

アイツのこと任せてもいいですか!?弟を助けに行きたいんです!お願いします!」

 

「…友人の頼みだ、無碍にはしない!俺達に任せておけ!」

 

「ありがとうございます!このお礼は必ず!

行くぞ、バイス!」

 

「おうよ!金色ちゃん!さっきは殴ってゴメンな〜!」

 

「僕が悪いので気にしないで下さ〜い!

あ、それと、僕はドンドラゴクウっていいま〜す!」

 

快く引き受けてくれたドンブラザーズ達を後にして一輝とバイスは走り出す。余程急いで走ったからだろうか、もう既に二人の姿は先を行ってとても小さくなっていった。あれなら少なくとも助けなければならないという弟のもとに間に合わなかったということもないだろうと思い、ドンブラザーズは目の前の存在に意識を向ける。

 

「貴様等…一体何者だ…」

 

「…二度は名乗らん、だがその問いに敢えて答えてやるならば…

 

 

 

 

 

俺達は暴太郎…

全てのヒーローの頂点に立つ者だ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…この状況…なに?」

 

 

追いついたさくらはカラフルな6人組と自身の父の悪魔ベイルが睨み合っている現場に居合わせるとと同時にそんな感想を抱いたのだった。

 

つづく…






再開するにあたってまず、モチベが続くようなぶっとんだ話を書こうと思ったのですが、どうしようかと考え倦ねていた矢先に

「あるじゃない、今演ってるぶっとび番組が…」

という天啓を得て執筆したのが今回の回になります。
やべぇと思った方、それが正常です。
むしろ私の文才では表現しきれていません。

そして次回!
引っ張りに引っ張ってようやくあの悪魔が帰ってきます!

お楽しみに!

執筆して欲しい方はどっち?(詳しくは活動報告へ)

  • リバイスとテイオー主体の物語
  • ライスシャワーが主人公の物語
  • その他
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