やっと…やっと書き上げることができました(泣)
今まで更新を待ってくれていた読者のみなさん、お待たせして本当に申し訳ございません、そしてありがとうございます!
大二side
仮面ライダーエビリティライブ…
帰ってきたカゲロウと大二の心が共鳴し、同調することで生まれた奇跡の存在…
その佇まいは流麗にして可憐、まるで天の遣いである熾天使のような印象を与えるものだが、その身に悪魔を宿し、共に戦うことを考えればその表現も似つかわしいとは言えないだろう…
大二は改めて、生まれ変わった自分自身に目を向けて、自身の変化を静かに体感していた。
敵を迎え討つ前に、言い忘れていたことをあったのを思い出し、側にいるライスに声を掛ける。
「ライス、今までごめん…それと、こんな俺を見捨てないでくれて…ありがとう。」
「お兄様…」
「掛けた迷惑は戦いで…いや、これから先の人生全部掛けて償うよ。
その為にもまずはアイツを倒す…
だから、行ってくる…」
「えへへ…うん!ライス待ってる…!」
「あり得ない…人間と悪魔が手を取り合うなど、出来る訳がない…そんなはずはないのだ!!」
赤石は眼の前の状況を呑み込むことができずに激昂し、右手を高く掲げてゲートを作り出しそこから尖兵を送り出す。
無数のギフジュニアはもちろんギフテリアン、遂にはヘルギフテリアンまでもが多くその場に現れる。
先程までの大二であれば、この状況に危機感を覚えていたのだろう。
しかし、取り戻した相棒と融合し新たな力に目覚めた今、大二の心にあるのは身を焦がす焦燥ではなく溢れんばかりの闘志であった。
大二は緩慢な足取りでこちらに向かってくる雑兵達のもとへ駆け出していく。
「ハァアアアッ!」
大二は跳び上がり、手に持ったツーサイウェポンに搭載されているフェザングラウムを切り下ろすように振るい、数体のギフジュニアを一気に吹き飛ばす。
その荒々しさはこれまでの清廉さを感じさせる戦い方とは別物で、形容するなら彼の相棒であるカゲロウを思わせるものであり、現に戦っている大二に重なるように剣を振るうカゲロウの姿が幻視できる程だった。
ガチャンッ!『ブレード!』
『エビル/ライブチャージ!』
敵を吹き飛ばした瞬間に、大二はツーサイウェポンをガンモードからブレードモードに変形させ、そのまま流れるようにアクティベートノックを押して必殺技の待機状態に移行する。
今までのライブ、そしてエビルではその性質上プラスエネルギーとマイナスエネルギー…
そのどちらかしかフルに活用することができなかったが、大二とカゲロウが完全に手を取り合うことで生まれたこのエビリティライブはそのどちらのエネルギーも完璧に制御して扱うことができるのだ。
『エビリティパーフェクトフィニッシュ!』
「フッ…!ハッ…!タァァッ…!」
エビリティライブがブレードモードで振るうのはエビルの必殺技、ダークネスフィニッシュ。
しかし、その威力はパーフェクトウイングバイスタンプで極大化されたマイナスエネルギーによって大きく強化されており、攻撃範囲も広く流れるように敵を切りつけた後には、ギフジュニアやギフテリアンといった雑兵は一人残らず消え去っていた。
「ガァァァッ…!!!」
「!…フッ!」
『ガン!』ドンドン!!
2体のヘルギフテリアンは、先程のダークネスフィニッシュの攻撃範囲外に咄嗟に退避していたようで、そのまま2体同時に攻撃を仕掛けてくるも大二は冷静にツーサイウェポンをガンモードに変形して、冷静に対処する。
牽制されたヘルギフテリアンはその銃撃によって大きく怯み、その一瞬の隙をついて懐に一気に近付いた大二はそれぞれに鋭い拳撃を放ち、終いにアッパーを当ててヘルギフテリアン達を上空に吹っ飛ばす。
『エビル/ライブチャージ!』
アクティベートノックを押して必殺技の待機状態に移行する。
大二は上空にいるまだ体勢が整えられていないヘルギフテリアン達にライブガンを向け、その引鉄を一切の躊躇なく引いた。
『エビリティパーフェクトフィニッシュ!』
エビリティライブがガンモードで放つのはライブの必殺技、ジャスティスフィニッシュ。
その威力も先程と同様に極大化されたプラスエネルギーによって大きく強化されており、弱点を正確に狙い撃つビーム射撃から攻撃対象を一片の欠片もなく消滅させうる程の極太のビーム砲へと変化する。
ろくに防御もできないヘルギフテリアン達はその砲撃が直撃したことによって、跡形もなく消滅してしまった。
これでは再生云々の話ではないだろう、自己修復は修復する身体がなければできないのだから。
これで赤石が作り出した尖兵達は全滅、エビリティライブの実力をただ示すだけの結果となった。
「…す、すごい…すごいよお兄様!」
「バカな…どこにそんな力があったというのだ!
ギフ様の御心を理解できない人間の分際で…っ!」
「赤石…」
酷く狼狽して先程の冷静さとは打って変わって無様に喚き散らすだけになってしまった赤石を一瞥した大二は今までと同じ侮蔑と同時に一種の哀れみを覚えてしまう。
しかし目の前にいるのは只の癇癪持ちの中年などではなく、ギフという人類の敵の寵愛を受け人であることを捨てた怪物であることには変わりない。
その事を重々理解している大二は、ライブガンを赤石に向けて威嚇しながら警告をする。
「後はお前だけだ、赤石…」
「ぐぅっ…その力を振るえるのは誰のお陰だと思っているのだ…!
貴様がその身に宿すギフ様の遺伝子!
その恩恵に預かっていながら…
何故ギフ様に抗おうと思え…『ドン!』
グハァ…!」
喚き続け、果てにはふざけたことを抜かそうとした赤石の口を大二は銃撃を不意にぶちこむことで黙らせる。
到底看過できる筈もない、今あの男はこの世界を守るために立ち上がってきた全ての戦士に対して礼を失する言葉を吐こうとしたのだ。
「俺達がギフのお陰で戦えてるだと…?
思い上がるな!!
俺達がこの力を振るえるのは、そこに誰かを守り助けたいと思う意志が在るからだ…!
奪うことしか知らないお前達とは違う!」
大二は今まで幾人もの戦士達の勇姿を目の当たりにしてきた。
困っている人がいたら放っとくことができなくて、必ず誰しもが納得して幸せでいられる世界を目指す日本一のお節介とその相棒…
誰かを助けられる真のヒーローになる為に命を賭けたちょっと不器用な戦士…
自分の力を直視して向き合い、弱さをも受け入れて立ち上がった無敵の闘士…
いつぞやの未来騒動の際に、共に戦った剣士達…
そして、
普段は弱気で守ってあげたくなるけど、いざって時は誰よりも強くて、どこまでも愚かだった自分の目を覚ましてくれた大切な人…
彼等が立ち上がってこれた理由がそんな陳腐なものであると断じる権利など存在する筈もない!
「その腐った性根に刻み付けてやる…覚悟しろ、赤石ィッ!」
「…ぅぅうヴぁぁぁあッ!」
示し合わせたかのように同時に駆け出す両者。
そのスピードはまるで高速移動が如く凄まじいものであり、互いの閃きがぶつかり合う攻防が行われる。
一進一退、二人は数旬の内それを繰り返すが次第に大二のスピードに赤石が追い付けなくなり、一瞬反応が遅れた赤石にフェザングラウムの一閃が直撃する。
「ぐぅっ…!ハァっ!」
大きく仰け反り体勢を崩した赤石は苦し紛れに光弾を連続で発射するも、大二は冷静に背にはためくマントを翻させる。
光弾は真っ直ぐ進み、そのまま大二を正確に狙い撃つかと思われた。
「!…お兄様!」
「大丈夫…俺には届かない!」バサッ
バシュゥゥウーーン……
だがその光弾は着弾する前に弾けるようにして霧散し、大二にダメージを与えることができずに終わった。
排熱機構を有するエビリティライブのセレニティーマントを利用し、熱風の結界を作ることで赤石の放った光弾を防いで見せたのだ。
大二はそのままフェザングラウムを畳み必殺技待機状態に移行する。
『エビル/ライブチャージ!』
『Fly High!』
『エビリティパーフェクトフィナーレ!』
大二は赤石に狙いを定め、銃撃を放つ。その銃撃は赤石に着弾するもダメージを与えることはなく、代わりに球体状のエネルギーフィールドを形成することで赤石を拘束する。
「くっ…ここから出せぇっ!」
「あぁ、出してやるよ…」
『エビル/ライブチャージ!』
大二はツーサイウェポンをベルトに戻しながらフェザングラウムを畳み必殺技待機状態に移行する。
『Wings for the Future…! Wings for the Future…!』
『Fly High!』
絶対的に揺るがない自信から来る余裕さを感じさせる佇まいで、ゆっくりと歩を進めながら操作を完了させる大二。
拘束から未だに抜け出すことができない赤石の元にたどり着くと、その拳を強く握り締めてエネルギーを集中させる。
『エビリティパーフェクトフィナーレ!』
「ハァァァァアッ!」
「グァア…アアァアッ…!」
極限まで高められたエネルギーが蓄積された拳で繰り出されるパンチは想像だにしない威力を発揮させることだろう。
拘束によって無防備になっていた赤石にはその威力がダイレクトに身体に伝わり大ダメージとなった。
赤石を吹き飛ばされ、転がり落ちる。
「ァ…あぁ、ァ……ァ…、だ…だぃ…じ……く……」
「…あんたは人類の可能性を信じることを諦めた…
だから戦略的退化なんて方法を選んでしまった…」
「…ァ、あぁ……あ…」
「そんなあんたに…人類は救えない!」
『エビル/ライブチャージ!』
大二はその背に翼を生やして飛び上がる。ホーリーライブの翼であるイノセンスウイングが進化した、エビリティライブのパーフェクトウイングで行われる飛翔は凄まじい速度を誇る。
その速さ、実にマッハ4.2…
音速の4倍以上のスピードで舞い上がったエビリティライブは一瞬で超上空へと辿り着く。
そして今度は右足にエネルギーを集中させ、ライダーキックの体勢に移る。
「終わりだ…赤石ィ!!」
『エビリティパーフェクトフィニッシュ!』
「ガッ…ガア"ア"ア"ァ"ア"ア"ア"ァ…!」
ドォーン!!
上昇するのに使用したマッハ4.2のスピードを今度は急降下するのに使用する、そのスピードで繰り出される蹴撃は食らえばひとたまりもない必殺の一撃となる…
それを満身創痍で食らう者がいるとするなら、その命は終焉を迎えることになるだろう。
事実、それをまともに受けた赤石はその人生に"一度"ピリオドを打たれる結果となった。
勝利を確信したライスは降り立った大二のもとに駆け寄り言葉を掛ける。
「や、やったね…お兄様!」
「………」
「…お兄様?…ぅん…」
しかし大二はその言葉に答えようとはせず、ライスの頭に手を置いて一撫でしながら赤石が爆散した方を見つめるだけだった。
「往生際の悪い奴だ…」
「え?」
「………ククク…ハハハハハハ…」
大二のその不穏な発言に不安に駆られたライスは大二が見つめる方向に目を向けてみる。するとそこには燃え上がる焼け野原と、そこから這い出ながら笑い声をあげる異形の姿があった。
「!?…そ、そんな…」
「君の言っていた通りだよ、大二君…
確かに今の君の力は強大だが、ギフ様の恩恵に預かっている訳ではないらしい…」
赤石はそう言いながら、立ち上がる。
そこには無傷とは言わずとも、先程までの死に体など微塵も思わせない状態で立つ姿があった。
徐々に傷が回復していっているのを見るに、どうやらエビリティライブでは赤石の不死性を貫くことはできないようだ。
赤石の不死性とヘルギフテリアンの超再生は似ているようでその実、本質が大きく異なっている。
ヘルギフテリアンの超再生はその名の通り、どんな傷を受けたとしても再生して復活できる。
しかし、再生する身体を跡形もなく消滅させてしまえば倒すことも可能だ。
一方で赤石にはそもそもとして死という概念そのものが存在しない、たとえ必殺技を命中させて消滅させたとしても瞬く間に復活してしまうだろう。
このままではジリ貧になってしまう…
対処としては何度も叩き潰して、心身の疲弊を促す方法があげられるが、太古の時代からギフを狂信し続けてきた赤石の精神性の堅牢さは強固なものだ。
とてもではないが現実的ではない…
他に方法があるとすれば…
『アンビバレンスドライバー!』
「…ライス、君は無理しなくていい…
休んでてくれ。」
「ううん、もう十分お休みしたから…
それに、ここでライスが頑張らなきゃ…!」
赤石の不死性を剥奪する方法の一つ、それは悪魔と相反するウマソウルの力を持った仮面ライダーローゼス、ライスシャワーの力を借りることである。
彼女の力の有用性は、遥か太古の昔からウマ娘の祖先達によって証明されている。
赤石にその力を届かすことができれば、かの異形を打ち倒すことも可能だろう、だが…
「君にはこの後やるべきことがあるんだろ?
ただでさえさっきの攻撃でボロボロなんだ、これ以上負担は掛けられない…」
「…お兄様…でも!」
ライスシャワーには先程のダメージがまだ残っている…その状態で変身して戦えばどうなるか分からない。
彼女は本来、こんな戦いとは無縁のアスリートでありその身体には幾人もの人間の努力が詰まっている。
こんなところで壊してしまっていい訳がない。
大二は膝をついて、ライスの目線に合わせながら説得の言葉を紡ぐ。
「ライス、大丈夫だ…言ったろ?
君や皆を傷付ける悪い奴は、俺が何度だってやっつけてやるって…」
「お兄様…」
「強がるのは辞めたまえ、大二君…
君一人でどうやって私を倒すというのかな?」
どうやら回復が完全に完了したらしい。改めて赤石の方に向き直ると、そこにはまるで無傷の状態で立っていた。
ギフデモスの姿なので、その表情は表立って変わっているようには見えないがなんだかしたり顔をしているように思える雰囲気だった。
それはそうだろう、自身の身体で体験した強大な力が自分を倒し切ることのできないものだったのだから。
【急に得意気になりやがったなぁ?
さっきまで手も足も出せなかった癖してよぉ…】
「なんだと…?」
【お?なんだ怒ったか?
やれやれ、更年期ってのは怖ぇなぁ?
何せこの世界で一番の年寄りだもんなぁ?】
すると、突然その場にいる全員の頭の中に響くような声が聴こえ始める。
その声の主、カゲロウは憎たらしく赤石を煽るような言葉を発しており、先程まで喜色を孕んでいた筈の赤石の様子は静かな怒りを堪えているようだった。
「カゲロウ、集中しろ。」
【はっ…別に構いやしねぇだろ大二?
今やあいつは頑丈さだけが取り柄の雑魚だ…
所詮は俺達の敵じゃねぇなぁ…】
「………石に漱ぎ流れに枕す…
好きなだけ減らず口を叩くといい。
そのウマ娘が戦えない以上、運命は今や私の手の上…
君達に勝機などありはしないのだァァ!」
カゲロウの煽りに激昂した赤石は隠れた双眸を一瞬赤く煌めくとその両手を掲げて、巨大な光弾を生成する。
その大きさから絶大な破壊力を想起させることだろう…あんなものを食らえば周辺一帯もろとも塵と化すだろう。
そんな光弾を赤石はなんの躊躇もなく、此方に放つ。
しかし、大二はそんな状況の中でも焦る様子もなく赤石をその眼の中心に見据えていた。
巨大な光弾が迫ってくる…
草木を焼き尽くし、大地を削り、命を簡単に吹き飛ばす災禍の象徴…
大二達はなす術もなく、その胸の中に後悔しか残さないまま、憐れに災禍に飲み込まれ、吹き飛ばされる
ことはなかった。
『リバイ…』
「もうそろそろか…」
『バイス…』
【あぁ、ムカつく助っ人様の御登場だぜぇ…】
『ギファードフィニッシュ!』
大二達に迫っていた巨大な光弾は、その役目を全うすることなく消えていった。何故ならそこに内包されたエネルギーを遥かに越えた力をぶつけられたことで、相殺されてしまったからだ。
しかし、それを行なったのは大二ではない。
それを行なったのは他でもない…
現状のライダーの最高戦力にして日本一のお節介…
「大二、待たせたな!」
「どうよ~!
なかなかイかす登場だったんじゃないの!?」
仮面ライダーリバイこと五十嵐一輝とその相棒の悪魔、バイスの最強コンビだった。
その姿は既に最強の姿であるアルティメットリバイスへと成っており、臨戦態勢は万端である。
「一輝お兄様にバイスくん!?」
「おう、ライス!…って怪我しちゃってんじゃないかよダイジョブか~!?
ほら俺ちゃんが持ってきた絆創膏!」
「あ、ありがとう…」
「遅いよ…兄ちゃん。」
「悪い悪い!
でも、ちゃんと間に合ったろ?」
「なっ…なぜだぁァ!?
なぜ五十嵐一輝がここにィ!?」
その疑問は尤もであろう、五十嵐大二はつい最近まで自身の周囲の人間と離縁状態にあり連絡を取り合う手段も暇も存在していなかった。
それなのに先程のやり取りからしてこのタイミングに駆け付けるように、示し合わせていたように思える。
「簡単な話だ、俺がやったことはただ一つだけ…
兄ちゃんのことを信じただけだ。」
そう言うと大二は五十嵐一輝を呼び寄せることに成功したからくりを説明する。
「兄ちゃんは自他共に認める日本一のお節介…
そんな奴が家族の喧嘩に首を突っ込まない筈がない、きっと俺とライスのことを心配して動き出す筈だ。
そして、実際その予想は的中した…」
一輝side
数分前…
「大二…ライス…一体どこにいるんだ?」
一輝は京都レース場から離れ、外に出る。
ドンブラザーズの面々がベイルを引き受けてくれたとはいえ、相当に時間を喰ってしまった。
もしそのせいでもしものことがあったらと思うと気が気ではないが、ここで変に焦って行動すれば元の木阿弥…一輝は努めて冷静に頭を働かせる。
音の響き方からして、そこまで遠くではない筈なのだ。
詳しい場所さえ掴めれば、そこまで行くのに対した時間は掛からないような…
「…え?」
思考の波の中で漂っていると、ふと目の前を白い羽根と黒い羽根がよぎったような気がした。
不思議に思って周りを見渡してみるが、近くに羽根のようなものはどこにも落ちていない。
気のせいかと思ったその時、自分にしか見えない相棒が声を張り上げる。
(お、おい!一輝!あれあれ!!あれぇ~~~!)
「ッ、なんだよバイス!急にでっかい声出すな!」
(いいから早くあっち見てみろって!)
訳の分からないことを言い出す相棒を尻目にバイスが指差していた方向に目をやる。
そこで見えたのは上空に飛び上がっていく人影だった。
一輝は少し驚くが、すぐに人影の正体を掴む為に注視する。
この短い間に二度驚くことになる一輝だった。
「………大二?」
一輝が見た人影の正体、それは赤石にライダーキックを放つべく超上空へと舞い上がった時の仮面ライダーライブだった。
しかし、今まで見たことのない形態になっている…
ホーリーライブに似通ってはいるが、背中のマントや黒いラインなど様々な様相が異なっている。
あれは本当に大二なのだろうかと危惧するも、件のライブらしき仮面ライダーは少し見渡して一輝を見つけると…
「………」スッ
「!!」
ほんの一瞬、一秒にも満たないような注意しなければ見逃すほんの少しの時間だけだけ、その仮面ライダーはあのポーズをとった。
手を開いた左腕を縦にして手前に、握った手の右腕を横にして胸の前に置くようにして作る十字のポーズ…
忘れもしない…
あれは五十嵐家の思い出のポーズであり一輝が世界、そして家族を守る決意を固めるため変身の度に行なっていた所謂『五十嵐ポーズ』と呼んでいるものだった。
ポーズを解くとライブはキックの体勢をとり、急降下して視界の外に消えていった。
一輝はそれだけで確信することができた。
ライスは自分の意地を貫き通すことができたのだと…
そして、弟が遂に家族のもとに戻ってきてくれたことを…
そして自分が今からどこに向かえばいいのかを。
『レックス!』ポーン
「バイス、やること分かってるな?」
スタッ
「おっとと!…当ったり前よ!レコード更新する勢いで行くぜ!」
『『リバイスドライバー!』』
一輝とバイスは同時にドライバーを装着する。
そして一つの巨大なバイスタンプを二つに分裂して分け合うとベルトのオーインジェクターに押印し、装着。
『『ギファードレックス!』』
『『ビッグバンCome on!ギファードレックス!』』
「「変身!」」
『アルティメットアップ!』
『仮面ライダー!リバイ!バイス!』
『Let's Go! Come on!』
『ギファー!ギファー!ギファードレックス!』
アルティメットリバイスに変身を完了させた二人はそれぞれ地面に磁力エネルギーを流してそれに反発するように同じ磁力のエネルギーを身体に纏う。
これで反発を利用した人間ロケットの完成だ。
二人はクラウチングスタートの体勢をとって作用する反発を強めていく。少しでも力を緩めれば一輝達の身体は発射されるだろう。
「大二、直ぐに行くからな!待ってろよ!」
そう決意を言葉にしながら一輝達は少し足を緩め、とんでもないスピードでスタートダッシュを切った。
大二side
現在…
「ば、バカな…ではあの時の攻撃は…」
「遠くにいる兄ちゃんに合図を送るため、そしてお前にダメージを与えて兄ちゃんが到着するまでの時間稼ぎをするため…
お前の不死の事なんてとっくに織り込み済みだったんだよ。」
「あ…ああ…あ…」
自分が踊らされていたことを完全に理解した赤石は怒りも驚きも通り越して呆然としてしまう。
これでは大二達にとってはいい的だろう。
しかし、全てに決着を着ける前に大二は一輝に言うべき事があった。
「よし、それじゃさっさとケリを…「兄ちゃん!」…ん?」
「ごめん…それと、ただいま。」
「…ああ、おかえり…」
目を覚まさせる為に奮闘してくれたのは、ライスだけではない。
いつまでも大二の事を信じて帰りを待ってくれていた家族や友人達がいたからこそ、大二は帰ってくることができたのだ。
それを重々承知している大二はまずは目の前の肉親に謝罪する。
そして兄はそれを受け入れ、温かく迎えてくれた。
「大二、アイツに普通の攻撃は意味がない。ならどう戦う?」
一輝は既にこの場に来ている時点で自分のすべき役割に関しては理解しているだろう。しかし、改めてそれを問うことで大二に対する信頼を示す。
「俺が引き付ける。兄ちゃん達はギフの力を使えるんだろ?ならその力で奴の不死を無効化できる筈だ。
そこに強力な一撃を叩き込んで、完全に消滅させよう!」
「お~!うはははは!なんか大二って感じだな!」
「ああ、頼もしい弟が帰ってきた!カゲロウもよろしくな!」
【はっ、相変わらず悪魔使いの荒いお兄様だぜ…ハハッ!】
「ふっ、よ~し!行くぜ大二!」
「うん!」バッ!バッ!パンッ!
そう言うと二人は腕タッチをした後にハイタッチ、そして拳をぶつけ合わせるという独特の仕草をする。
いつもは一輝がバイスと息を合わせるために行なっているルーティンだが、今回は特別だ。
「あ!ちょっと!?なにやってんだよ、ねぇ!それ俺っちと一輝のやつ!」
「「はぁぁあ!」」
それが面白くなかったバイスは二人に食って掛かるが、一輝と大二は気にせずに赤石に突貫。
同時に拳を繰り出して赤石を盛大にぶっ飛ばし、赤石は悲鳴をあげることもなく転がっていく。
「イヤッフゥー!中々やるじゃねぇかよ!」
「バイス!一緒にやるぞ!」
「あいー!」
ド派手な攻撃を見て直ぐに気分を良くしたバイスは大二に向かって激励の言葉を贈る。そして一輝は赤石から不死性を剥奪すべくバイスと共にドライバーを操作して必殺技を発動する。
『リバ/イスギファードフィニッシュ!』
「「フッ!ハッ!」」
一輝とバイスの二人は腕を合わせて互いを同調させ、その身に宿るギフの力を最大限に高めて目の前の赤石に波動を放つ。
「ぐっ…こ、これは…まさかっ…!?」
その波動を受けた赤石の身体に変化が生じる。自分の身体の中身が根っこから組み替えられているような気持ちの悪い感覚を感じたかと思うと直後には虚しい喪失感を覚える。
赤石は自分の身体に起こった変化を感じ取り、焦燥が頭の中を埋め尽くす。
「今だ!大二!」
「しっかり決めてけよ!」
「頑張って!お兄様!」
「兄ちゃん、バイス、ライス…ありがとう!」
『エビル/ライブチャージ!』
『Fly High!』
波動を放ち続ける必要があるために動けないアルティメットリバイスの二人とライスシャワーからの激励を受けて、大二は駆け出してドライバーを操作する。
『Wings for the Future…! Wings for the Future…!』
「これでさよならだ…赤石!」
【地獄で後悔しやがれっ!】
「ヒッ…ヒィイイッ!だ、誰か…!
誰か助けてくれぇぇえ!ギフ様ァァ!」
アルティメットリバイスの波動によって不死性を剥奪され、同時に拘束もされている赤石はもはやその場でもがくしかなく、無様に命乞いを始める。
そんなものに耳を傾ける大二ではない、悠久の時の中で幾度となく人々の命を奪ってきた外道に掛ける情けなど存在するわけがないのだ。
大二は飛び上がり、ライダーキックを放つ。
そしてライダーキックを放つ大二、エビリティライブの隣にはカゲロウ、仮面ライダーエビルの幻影が同じようにライダーキックを放っていた!
「【ハァァァァアッ!!!】」
『エビリティパーフェクトフィナーレ!』
「ガッ…ガア"ア"ア"ァ"ア"ア"ア"ァ…!」
ライブとエビルのダブルライダーキックを食らった赤石はその大きすぎるダメージを受け止めることができずに爆散…
これが意味することは一つ、仮面ライダー達の勝利だ。
仮初のものではない、正真正銘一輝達は悠久の時を生きた怪物を倒すことができたのだ。
「どんなもんじゃ~い!…へぇ…へぇ…」
「はぁ…はぁ…」
ギフの力を高め続けて波動を放っていた一輝とバイスは流石に疲労困憊のようで息も絶え絶えという様子で変身を解いた。
しかし、全て終わった筈なのにこの戦いの最大の功労者である大二は戻ってくる気配はない。二人が彼のいる方へ目を向けてみるとそこには…
「……」
爆心地である焼け野原の真ん中に、変身を解いて生身になって立つ大二と死に体となって倒れている赤石の姿という衝撃の光景があった。
「あ~!アイツ…まだ!」
「いいんだ、バイス…!
多分だけど、アイツはもう何もできない…」
一輝に言われてバイスは注視してみると、赤石の身体は足から赤い灰のようなものになって朽ちていっており、もう既にその命は風前の灯火なのだと理解できた。
「ライス、俺達は先にレース場に戻ろう…
皆を安心させてやって欲しいからな…」
「ああ、そうだな…大二なら直ぐに追い付くと思うからさ!
ほぉら、俺っちの背中に乗れよ!
意外と快適だぜ!」
一輝とバイスはこの場は大二に任せるべきと感じ、自分達はいち早くライスをレース場に連れていって皆を安心させてやる事にした。
怪我をしているライスになるべく無理をさせないように配慮したバイスは自分の背にライスを誘導する。
「…うん、それじゃバイスくんのお背中借りるね?よいしょ…」
「おうよ!それじゃバイスタクシー、発進しま~す!ポッポー!
ってそれじゃ電車…いや機関車じゃん!ブハハハハハッ!」
その背にライスを背負ったバイスはいつものような軽口を叩きつつ、あまり揺らさないようにしながらレース場に向かっていった。
一輝はその後を追おうとするがその前に大二に声を掛けておく。
「大二!
レースが始まる前には戻って来いよ!」
大二はその声を聞いて、振り向くことはせず片手を上げて答える。
それを見届けた一輝は今度こそ、バイスの後を追うようにして駆けていった。
大二はライス達がその場を去ったことを悟り、目の前で倒れ伏している赤石に意識を向ける。
「最後の最後で中途半端に急所を外すとはね…
滅びゆく私を眺める為だとしたら、中々良い性格をしてるじゃないか…」
「………」
さっきは命乞いをするという無様な姿を見せていた筈の赤石は打って変わって、落ち着き払っている。
いざ死を目の前にして既に諦めが着いてしまったのだろうか、此方に対して皮肉を飛ばす余裕さえあった。
「ふっ、まさか人類が私に終焉を与えることになるとは思っていなかったよ…
これも人の意志が成せる技というわけかな…?」
「あぁそうだ…
人々を助け、守りたいと願う人間の意志がそれを可能にした…そして…」
大二はそこで一度言葉を区切る。
中途半端に急所を外したのは意図的なものだ。それは大二が赤石に言っておきたかったことがあるために最後に話す時間を作るためだった。
「その意志は、あんたの中にもある…」
「………なんだと…?」
「あんたは長い時の中で、俺なんかよりも多くその目で見てきた筈だ。
人類が行なってきた愚かな行動の歴史を…
早々に見限って人類を滅ぼそうとしても可笑しくなかった…
でも、あんたが今まで人類を救うことを辞めなかったからこそ、今の俺達がある。
やり方も考え方も理解できないし、しようとも思わない…納得なんて以ての外だ。
それでも…あんたのその意志だけは、これからの未来に繋いでいくべきものだと思った。
だから…」
「今までありがとう。
これからは、あんたの意志は俺が持っていくよ。」
「…!」
その瞬間、自分が掲げていた目的は何一つ成せていない筈の赤石の心には、解放感にも達成感にも似た不思議な感情が浮かび上がってきていた。
それは赤石がギフの契約者となり、不死となってから久しく感じることのできなかった感情でもあった。
次世代に何かを託すことができたことを喜ぶこの感情は…
あぁそうだ、きっとこれこそが…
「…君のその底抜けのない優しさ、きっと誰しもが持てるわけではない。誇っても良いだろう、だが…」
崩壊が腰辺りにまで広がっている。
もう話せる時間は幾ばくもない。
赤石は言葉を紡ぐ。
「情けも過ぐれば仇となるという…
用心すると良い…」
腕が崩れ始める。
もう四肢の感覚はなく宙を舞っているような気分を覚える。
「………私のやってきたことは、どうやら無駄ではなかったようだ…
それを知ることができただけでも、良しとしよう…」
全身の感覚が先んじて失くなり、自分の身体がどれ程崩れているのかも判別できなくなっていく。
もう自分がしっかりと言葉を紡げているのかも分からなかった。
「先に行って待っているぞ。
また会おう、聖なる男よ…
そしてわた…し…の……」
そこまで言うと赤石はその目を閉じ、そしてその身体は完全に崩壊していった。
そこにはもう、一人の男がいた痕跡は全くない。
今ここに、気が遠くなる程に長い時間を生きた人類の導き手はその生涯を終えた。
彼の最期を見届けた大二は、ほんの少し黙祷を捧げ、そして約束を果たすべくレース場に向かって走り出す。
彼等の運命を変えたレース、『天皇賞(春)』は今まさに始まろうとしていた…
つづく…
次回 ツーサイなお兄様 最終回
いよいよ次回で最終回。
ここまでくるのにまぁまぁの時間が掛かりました。
なんだか感慨深いですね…
タイクーン強化…しかし、なんだか不穏?
いずれにしろ次回が楽しみです!
バックルはプレバン行きでしょうか?
今回の展開はもしかしたら賛否両論あるかもしれませんが、私としてはこういうifがあっても良いんじゃないかなと思っておりましたのでそれを全面に出した形です。
執筆して欲しい方はどっち?(詳しくは活動報告へ)
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リバイスとテイオー主体の物語
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ライスシャワーが主人公の物語
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その他