ツーサイなお兄様   作:仮面ライダー四季鬼

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エビリティライブ…
あんなん惚れるに決まってるやろ…




アンビバレンスなライス

狩崎side

 

あの春の天皇賞の日から様々な目まぐるしい変化が起こった…

怒りに任せて仮面ライダーになり観客を襲ってしまった五十嵐大二こと仮面ライダーライブは分隊長の地位と権限を剥奪され、トレーナー免許も停止…

捕縛が行なわれるも五十嵐大二はこれを拒み逃亡した。現在フェニックスが独自に調査を進めている最中だ。

 

「全く数奇なものだよ、以前カゲロウがやっていたことを今度は大二が、しかも自分の意志で行なっているなんてね…」

 

何となくひとりごちてしまったが、それも仕方ないだろう…何故なら今私は彼を仮面ライダーに選んだ責任を取らされて謹慎中の身だ。何でもいいから言葉を捻り出して気を紛らわすくらいしかやることがないのだ。

謹慎になる前に大体やることは終えてしまっていたからね…今は行きつけのジムに顔を出している。

あの後、ライスシャワー君に今まで向けられていた偉業を阻んだ刺客に対する敵意の目線は鳴りを潜め、代わりに同情する目が向けられるようになっていた。

曰く冷酷で残忍なトレーナーの指示に従わされ、レースの悪役に仕立て上げられた悲劇のヒロインだかなんとか…

全く馬鹿馬鹿しい話だ…彼女を悪役に仕立て上げたのは大二でもなく、ましてや彼女に負かされてしまったメジロマックイーンやミホノブルボンでもない…

他ならぬ自分達自身だと言うのに…

それを自覚しない目の前の面白そうなことに飛びつくだけの憐れな馬鹿共め…

そんなふうに柄にもない苛立ちを誤魔化すために来ていたトレーニングジムでもの思いに耽っていたことは今思えば幸運だったのかもしれない。

なぜならそこに居なければジムのガラスの向こうに写った眼に涙を浮かべ走り去るライス君を見かけることはなかっただろうから。

 

「あれは…ライスくん…?」

 

何やらただならぬ雰囲気を感じる。彼女が外で自主練をするのが珍しくないことは知っているが服装は制服だったし、この時間は既に一般的な学園でも門限外になるはず…

実際このジムも開いてこそいるものの私以外に利用者はいない。それほど遅い時間にも関わらず彼女は何をしているのだろうか?

 

〜♪ 〜♪

 

思考に耽っていると私のガンデフォンに連絡が入る。

 

『カリさん!今暇!?だったら手伝っ…』

『あァァァ…!ラ"イ"ス"ち"ゃ"ん"ど"こ"行"っ"ち"ゃ"っ"た"ん"だ"ぁ"〜…!』

『あ〜もう!パパうるっさい!しずかにしてて!』

 

……大体の事情は把握した。同時に何たる偶然とめぐり合わせだろうと思いつつ、こちらの状況を伝えた。

 

「…ライス君なら先程見つけたよカラテガール…こちらで保護しておこう…元太さんにもそう伝えてくれるかい…」

 

『マジ!?カリさんすごっ!ありがとね!ほらパパ見つかったんだから泣き止んで!』

『うぅ…狩崎さん…俺からもお礼を言わせてくれ…ありがとう…それから…』

 

「御安心を、元太さん…一輝くんにも伝えておきますよ。」

 

『すまないな、何から何まで…ライスちゃんに皆帰りを待ってると伝えてくれ…それじゃ…』

 

通話が切れたその手を返して一輝に連絡を取る。

 

……

 

さて…ライス君を見かけたのはほんの数分前だがおそらくもうそれ程近くにはいないだろう。ウマ娘の脚力はハンパじゃないからね…

 

「しょうがない…裏技を使わせてもらおうかな…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ライスシャワーside

 

「ふぅ…ここまでくれば平気…かなぁ…」

 

ライスシャワーは今までずっと走り通しだった身体を休めるために座り込む。そしてふと周りを見渡すと…

 

「ここ…いつもお兄様と一緒に来てた公園…」

 

そう…ここはいつも自身のトレーナーである五十嵐大二とお出かけした際に必ず訪れる場所だった。

五十嵐家がいつもピクニックで訪れていた思い出の場所をライスにも知って欲しかったというのがここに来るようになった経緯だ。いつも二人で腰掛けていたベンチに座る。

右側が少し寂しい…

無意識に向かう場所がこことは、どれだけ自分は彼を好いているのだろうと少しばかり自嘲の笑みが溢れるがそれもすぐに消えてしまう。

 

「だからこそ…ライスはいなくならなくちゃ…これ以上…大好きな人を苦しめたくないもん…」

 

だからこそすべてを置いてきたんだ。

自身の夢を信じてくれたトレーナー…大切な友人たち…

その人達との思い出が詰まっている学園もなにもかも…

 

今頃みんなはどうしてるかな…?

もう寝ちゃったかな…?

それとも夜ふかししちゃってるのかな…?

 

ブルボンさんはきっと復帰を目指して今もリハビリを頑張ってる…

 

マックイーンさんはもしかしたら明日食べるスイーツのことを考えてるのかも…

 

ロブロイさんは寝る前のご本を読む時間かな…

 

ウララちゃんはきっとキングさんに寝かしつけてもらってるんだろうな…

 

ゴールドシップさんは…想像つかないや…

 

一輝お兄様はバイスくんが騒いで眠れてないかも…

さくら姉様お友達とお電話してたりして…

お父様やお母様は二人仲良く一緒に寝てて…

ぶーさんに太助おじさん達は世界のために今も努力してる…

 

 

 

 

 

お兄様は今頃どうしてるかな…

お兄様は今、どんな気持ちなのかな…

お兄様は…幸せだったのかな…

 

「…うぅっ……う…うぁ……ぁ……」

 

思い出を振り返るたびに幼き心が軋みを上げる。

あの人が与えてくれたものもあの人に失わせてしまったものもあまりにも大きくて…

それを自覚するたびに胸が締め付けられて、このままでは心の壁が破裂して隠すべき本音が漏れそうになってしまう。

 

自らの身体を抱いて溢れそうな本音を押し留めようとするも罅の入った心からどうしても流れ出てしまうのを感じた。

 

だめなのに…

こんなこと思っちゃいけない…

望んじゃいけないのに…

それなのに…

 

「……一緒に居たい…っ……」

 

一度溢れてしまえばもう止まらなかった…

離れてまだそれほど時間は経っていなくとも、これから顔を合わすことも話すこともできないんだと思うたびに寂しさは大きくなる。

だからこそその本音が出るのは必定だった。

 

「…っ…ずっと…!一緒に居たいよっ…!…」

 

「学園の皆と…!…しあわせ湯の皆と…っ…!」

 

「お兄様と…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だったら、そうすればいいんじゃない?」

 

そのとき突然声が掛けられた。

驚きでつい勢いよく頭を上げる。

そこにいたのはある意味予想外の人物だった。

 

「ジョージおじさん…?」

 

「やぁライス君!門限を破ってこんなところに居るなんて…とんだバッドガールだねぇ君も…」

 

「ど…どうして…?」

 

どうして自分がここにいることが分かったのだろう?

そもそもここに辿り着いたのは無意識の行動故だし、もう戻らないつもりだったから誰にも出ていくことを告げていないはずなのに…

 

「たまたま君が走り去っていくのを見かけてね…追いつくのにとても苦労したよ。」

 

「え…?どうやったの…?」

 

その疑問は至極当然だ。曲がりなりにも自分はウマ娘、こう言っては悪いが人間が車やバイクも使用せずに追いつくのは至難の技、ほぼ不可能のはず…

すると狩崎は懐から3つのアイテムを取り出しライスに見せた。

 

「ちょっとしたチート技…いや…"チーター"技といったところかな?」

 

狩崎が取り出したのは最近完成した量産型デモンズドライバー、そしてスパイダーバイスタンプとチーターバイスタンプだった。

これでもう分かるだろう…

狩崎はデモンズに変身、チーターゲノミクスによる超スピードによってライスに追い付いたのである。

 

「あはは…凄いね…ジョージおじさん…」

 

「もっと褒めてくれてもいいが、ひとまずそれは置いておこう…君はどうしてこんな時間にこんな場所にいるんだい?」

 

さっきまでの得意げな顔から一転。

真剣味を帯びた表情に変わってこちらに質問を投げ掛ける。その表情を浮かべる理由が渾身の洒落を流されたからではないことはありありと理解できた。

 

「お願い…ジョージおじさん…ライスのことは見なかったことにして…」

 

その問いを無視して自身の意志を伝える。

少し心が痛んだが自分は早くいなくならなければならない。悠長にしているには時間的にも精神的にもそういうわけにはいかなかった。

 

「それは無理だ。もう五十嵐家の面々にはきみを見つけたと報告して…「だったらせめて見逃して!!」……」

 

最後まで言い切る前に遮ってしまったが言わんとしていることは既に理解できた。だったらなおさら悠長にしていられないはずだ…

あの人たちは優しいから…

きっと自分のことを探してしまっているだろう…

そして見つかってしまえばきっと、自分は甘えてしまう…

でもそれでは駄目なのだ…

 

大好きだからこそ…自分は…

 

「ライスはいちゃ駄目なの!皆を不幸にしちゃうから!…あの日だまりに居ていい子じゃないんだよっ…!」

 

「…仮に君がいなくなったとしよう…だからといって彼等のもとに大二が戻ってくるわけじゃない、根本的な解決にはならないね。」

 

「…っ…!」

 

「あまり非科学的なことを言うのはナンセンスだが…君は彼等を不幸にするだけしておきながら自分だけ逃げ出すなんてそんなの無責任だと思わないのかい?」

 

「…そ…それ…は…」

 

「なるほど…これは傑作だ!

誰より努力を怠らない敬虔なウマ娘の正体は不幸を振りまいてそれを見てみぬふりする悪女だったとはね!」

 

「うっ……うぅ……ぁぁ…」

 

「だったらいいさ!好きにすればいい!君みたいなのにいられるのは迷惑だ!開発中の事故死なんて間抜けな死に方はしたくないからね!」

 

彼の口から紡がれる言葉の数々が鋭さを持って自分に突き刺さっていく感覚がする。

痛い…痛すぎる…身体ではなく心が痛い…

涙を堪えることができない…とめどなく流れてしまう。

そしてついに…心の堤防は決壊した。

 

「…っう…うっ……うぅ……うわぁぁぁ…!」

 

感情の赴くままに慟哭する。

その姿はまるで赤ん坊のように見えるほど儚く、弱々しいものだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

狩崎side

 

言い過ぎてしまった自覚はある。

苛立ち紛れに感情をぶつけてしまったのも事実なので仕方がない。

だがそれでも言わずにいるわけにはいかなかった。

彼女を連れ戻すためにもその絶望を希望にしなければならない。でなければ本当の意味で彼女がこちらに戻ってくることはできないから…

 

「…落ち着いたかい?」

 

「…………」

 

無視された。

まぁそれも仕方ないか…嫌われるようなことをした自覚はあるからね。

 

「なんで…?どうしてあんな…」

 

「君と同じ事をしたまでだよ。」

 

無視したかと思えば今度はあちらから声を掛けてきた。何やら質問があるようだが予想がつかないわけじゃない。どうしてあんなひどいことを言うのかということだろう。先読みして私は答える。

 

「そんなはずないよ…!だって…だってライスは…!」

 

「皆のためにやった…とでも言うつもりかい?」

 

「…えと…それは…」

 

押し黙ってしまった反応を見るにおそらく図星だろう。

まったくこのウマ娘は…

そんな方法では誰も救えない。

傷つく人が増えるだけだとなぜ気付かないのだ。

 

「大切な人のために自分が消えようなんてのは、ただの独りよがりだよ…残された側は虚しいだけさ…」

 

その言葉を吐いたとき…ある一人の男が頭に浮かんでしまったが、これは秘密にしておこう…どうでもいいことだからね。

 

「それにさっきも言ったが、このまま君が逃げたところで何も変わりはしない。この状況も、君自身もね。」

 

「えっ…?」

 

「いつかのとき、私に語ってくれただろう?君が何故レースを走るのか…」

 

大二と隣り合いながら自身の夢を語る君の姿はよく覚えている。その時の眼の輝きようは自身の夢が叶うことを信じて疑っていないことが理解できてひどく眩しかったものだ。

 

「君は変わりたかったんだろ?誰かに幸せをあげられる…そんなウマ娘になりたかったんだろ?

なのにここで逃げ出せば君は何も変わらないし変えられない…私はそう思うけどね。」

 

自身がかつて抱いていた希望を改めて目の前にしたことで、またライス君に葛藤が生まれる。ここで思い直してくれれば楽なんだがきっとそうは問屋が卸さないだろうね…

 

「…でも…どうせライスは変われっこないよ…今だって…」

 

少しの思考の後に現状を見つめて言葉を発する彼女…その言葉は求めていた希望を諦めるという旨のものだった。

全く頑固だね彼女は…少し発破をかけてみようか。

 

「そうかい…君がまだそんなふうに思っているのなら大二はきっと君に何もしてやれなかったんだろうね。」

 

「… !?……どういう意味……」

 

彼女の表情がほんの少し変わる。

どうやら糸口はここにあるみたいだね。このまま刺激し続ければおそらくは…

 

「だって大二は君のトレーナーだろ?君がその夢に前向きになれるよう支援してやるのも彼の仕事のはずだ。それなのに君がそんなふうに考えているということは彼がしたことなんてなんの意味もなかったってことさ。」

 

「…………で……」

 

「思えば彼は実に面白みのない男だったからね、きっと君への指導も教科書通りのつまらないものだったんじゃないかい?」

 

「……ないで……」

 

「カゲロウに打ち勝ったのを見て見直したと思ったが…結局…彼はそこまでの男だ「お兄様を悪く言わないで!!」…ぐぅっ…」

 

「ライスのことはなんて言ったっていいけど!

お兄様を悪く言うのは許さないから!!」

 

ウップス…

まさか胸ぐらを掴んでくるほど怒るとは思わなかったな…

だがそれでいい…その激情を待っていたんだ。

何故なら…

 

「ほぉら…変われたじゃないか?」

 

「……うぇ…?」

 

私の意味がよく分からない発言に彼女は怒りをしばし忘れて呆けてしまう。さっきまで牙を剥きそうになっていたとは思えなくて少し可笑しく思ってしまったが、吹き出すのを堪えてしっかりと真意を伝える。

 

「少なくともさっきまでの君のような弱々しさは感じないよ…ゴホッ」

 

「ああぁ!?ごめんなさいぃ〜…!」

 

自分の行動を反芻してしまったことで元の調子を取り戻してしまった。すぐに手を離し頭を下げ謝ってくる。だがこれは確かな彼女の成果だ。そのことを暗に含めるように私は言葉を続ける。

 

「ん"ゔん、ふぅ…どうだい?変わるってのも案外そう難しいもんでもないだろ?」

 

「ど…どういうこと…?」

 

「難しく考えすぎなんだよ…だから変な結論に行き着くのさ…」

 

彼女はさぞ誰かを不幸にする自分を呪ったろう…

そんな自分を変えることができていない現状を憂いたろう…

だからこそ彼女は自分が姿を消すことでしか誰かを不幸から守る手段はないと考えてしまったのだ。

だがそんなのは間違っている…間違っているなら正してやるだけだ。

 

「君には変えたいものがいくつもあるはずだ。

自分のこともそうだが…今の頭にあるのは大二のことだ、今の彼の世間からの評価を君は憂いてる…そうだろ?」

 

「……っ…」

 

答えはない。

だが先程の反応からしてそれが間違いでないことは明白だ。

 

「君にはそれを変えられる…その力が君にはある。なのに今逃げ出せば君は一生後悔するよ。」

 

「…じゃあ………」

 

ライス君が声を発する。

その声色は迷いと憤りを同時に孕んでいることを感じさせるものだった。

 

「…じゃあ…どうすればいいの…?」

 

「ジョージおじさんは簡単だって…ライスにはできるんだって言うけど!」

 

「どうすればいいか分かんないと…意味ないよ…」

 

方法がわからない?

そんなことで躓いているのなら教えてあげよう…

その方法は…

 

「何かを変えるために必要なのは自分の信念を貫くことさ、口だけではなく行動でね…

そしてその信念を貫く行動っていうのは自分で考えなきゃいけない…君はもうどうすべきか、理解ってるんじゃないかい?」

 

「…ライスの…すべきこと…」

 

俯くライス君、今彼女の頭の中では様々な思考が交錯していることだろう。正直言ってもう引き出しはあまりない。思春期のJKのお悩み相談なんて経験はあまりないからね。ここまでして何も進展しませんでしたではお手上げだが…

 

「…………!」

 

どうやらその心配はしなくてもいいらしい。

思考から帰還し、再びその顔を上げたライス君の表情はもう迷い悩む少女の顔ではなくなっていた。

 

「ありがとう、ジョージおじさん…おかげで分かった気がする…ライスのすべきこと…したいこと…」

 

「礼には及ばない、やるべきことが分かったなら頑張りたまえ…多少の手伝いくらいならしてあげるよ。」

 

「えへへ…じゃあ早速一つお願いしてもいい?」

 

「……内容にもよるが…なんだい?」

 

「うん!それはね…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………Say what's!?」

 

思えばこのとき、随分と安請け合いをしてしまったものだと感じてしまうが彼女の真剣な表情と直前の自分の発言の手前、断れるような空気ではなかった為にこのあと私は非常に困った状況に身を置くことになってしまった…

彼女から要請された手伝いの内容とは何だったのかはこれから語ることにしよう。

 

 

あの後は夜も遅かったというのもあって彼女を急遽予約したホテルに送り届け、私は隣の一室で夜を明かした。

朝には迎えに来た一輝と共に学園へと向かったが個人的に大変だったのはその後だ。生徒を保護してくれたお礼にと学園側の職員が用意してくれた物品が実に曲者だったのだ。

あちら側は私が仮面ライダー好きであることしか把握していなかったのだろう…

用意してくれた物品の名前はDXリバイスドライバー…

私の開発したドライバーのレプリカだった。

そういえばそうだった…

フェニックスは玩具メーカーと提携してグッズ展開を行なっていてドライバーのレプリカも販売していたんだった…

 

自分たちが売り出してる…しかも自分が開発したドライバーのレプリカを渡されるとこんな気分になるんだね…

職員の口から、

 

「仮面ライダーがお好きと聴きましたので…」

 

と出てきたときは心が踊っただけになんだかなといった感じだ…

隣で気まずそうにしてた一輝の表情を見るに発端はおそらく彼なんだろうな…

彼は後でおしおきすることを心に決めた瞬間だった。

 

そうそう、ライス君から頼まれたことが何だったのかまだ話していなかったね。

結論から言わせてもらうと、私はトレーナーになった。

 

何故こうなったのかというとそれは実に単純な話で大二が戻ってくるまでの代理を努めてほしいというライス君からの要請だった。

曰くやるべきことの為にレースに出る必要があるが信頼できるトレーナーがいないのでそれなら信頼できる人間にトレーナーをやって貰えばいいという結論に至ったとのことだ。

 

やることがぶっ飛んでいると私も思う。吹っ切れた彼女の行動力には眼を見張るものがあるよ。

 

あ、因みにトレーナー試験のことは心配しなくていい。

多少専門知識をかじってしまえば私の頭脳は自ずと適解を導き出せるからね。

あまり天才科学者を舐めないでくれたまえ。

 

その後私はライス君と様々なレースを経験した。私自身は一切手を抜いたわけではなかったが、やはり免許を取ったばかりで経験不足の私の指導では多少無理があるらしく、ついぞ何度も行い続けたレースで白星を上げることは叶わなかった。

こればっかりは天才の頭脳でどうにかなるものではないからね。大二はしっかりと彼女を勝たせることができていたのだからその手腕を感じさせる。彼の指導を教科書通りなんて詰ったことをいつか本人に謝らないといけないね。

だが私は諦めるつもりなど毛頭ない。次こそは勝たせてみせるとトレーニングメニューを考案する。現在は春の天皇賞に向けて調整を行なっている最中だ。奇しくも彼女が最後に上げた白星にして運命が狂ったあのレースと同じ…気合をいれなければ…

そんなときに…

 

「ジョージおじさん、ちょっといいかな?」

 

「どうしたんだい?今はメニューの修正で忙しいんだが…」

 

ライス君が急に話しかけてくる。

一体どうしたというのだろう?

 

「実はね…お願いがあるの…」

 

おや…珍しい。彼女は私と組んでいる間に何かしらの我儘を言ったことなど一度もなかったので尚更そう思う。

まぁ勝ててこそいないが最近はとても頑張っているんだ、どこか遊びに行きたいといった位ならいいだろう。

そう思っていたが彼女が自身の懐から取り出したものを見せた瞬間息が詰まった。

 

「…それは…!…ツーサイドライバー…!?

どうして君がそれを…?」

 

「…カゲロウくんがいなくなったあの日に…ライスが拾って持ってたの…カゲロウくんが…遺したもの…」

 

彼女が見せたのはツーサイドライバーとバットバイスタンプ…

口ぶりから察するにカゲロウが使用していたものだろう。しかし不可解だ。彼女は私にお願いがあって声をかけたはず。そのタイミングでこのカミングアウトはどういうことだろうか?

その疑問は彼女がすぐに発した言葉によって霧散することになるがその内容は実に衝撃的なものだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これを使って作って欲しいの…ライス専用のドライバーを………」

 

 

 

つづく…




皆さんは覚えていますか?
本編でフェーズ2に進化していながら対した苦戦もなく、エビルの賑やかしで終わってしまったチーター・デッドマンフェーズ2こと医者の前園孝治のことを…
一輝はきっと覚えてません。
契約の影響とかではなく素で。

笑えない冗談はさておき、皆さんはチーターバイスタンプのライダーレリーフって誰になると思います?予想とか聞いてみたいです!

迷うライスを救ったのは意外や意外…
狩崎さんでした。
途中でボロクソ言ってるシーンあるけど狩崎さんのことは嫌いにならないであげてください…
あれが狩崎さんなりの説得なんです…

執筆して欲しい方はどっち?(詳しくは活動報告へ)

  • リバイスとテイオー主体の物語
  • ライスシャワーが主人公の物語
  • その他
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