最終回、放送されましたね。
ですが僕は大学の講義の一環で遺跡調査に出てるのでまだ見れてません(泣)
五十嵐家side
4月23日…来たる春の天皇賞の日、京都レース場の観客席は多くの人々で賑わっていた。レース開始時刻までまだもう暫くの余裕があるはずなのにこの熱狂ぶりは実に圧巻であったが、今ここにはそんなことを気にする余裕など存在しない一団が焦る心をひた隠しにして鎮座していた…言わずもがな、五十嵐家の面々である。
彼らは何も知らずにこの場に居るというわけではない。
こうしている間にもライスと大二の二人がぶつかり合おうとしていることは事前に本人から報告を受けていたので既に周知の事実であった。勿論彼らは同行を願い出たが、ライスからの自分を信じてレース場で待っていてほしいと言う旨の願いを無碍にすることはできず、結果今ここでレースの開始時刻を待つことになったのだった。
「ねぇ…私達ほんとにここで何もしなくていいの?」
五十嵐家の長女であり、末っ子のさくらはそんな不安な心境を溢す。彼女は昔から面倒見の良いいわゆる姉御気質なものだから一見大切なものを自分が支えられていないと思えるこの現状に焦燥を感じるのも無理はないだろう。言葉には出さないが一輝とて同じ気持ちである。
だがそんな兄妹二人の不安を前に父、元太はこう告げる。
「さくら、なにもかも助けてやるばかりが誰かを思うってことじゃない…時には信じて待ってやることも必要なんだ。」
「…分かってるけど…でも…」
そう言われても心配なものは心配なのだ。
ましてや今戦っているのは手荒なこととは無縁と言っていい程気弱なライス…正直言えばたとえライダーの力を手に入れたとしてもフェニックスの分隊長として戦闘訓練を積んできた大二を相手に勝算は五分でもあればいい方なのではないかとも思ってしまう。
「な〜に心配ないさ、あの子は俺たちが思ってるよりも…」
「「ずっと強い…」」
「!?」
諭す元太の言葉に声を被せてくる者がいた。一体誰なのだろうと声のした方向を見てみるとそこにいたのはお得意様の一人であり、ライスの良き友人である一人のウマ娘…
「…ですわよね、おじさま?」
「マックイーン…!?」「マクちゃん…!?」
「お久しぶりですわね…しあわせ湯の皆さん。」
メジロの至宝、メジロマックイーンだった。
マックイーンと五十嵐家が関わりを持ったのは彼女の友人から、しあわせ湯を紹介されたのが始まりだ。庶民派の銭湯というものが不慣れだったのか通いたての頃は少し緊張気味だったのをよく覚えている。だが慣れた頃には風呂上りのフルーツ牛乳に舌鼓を打つ姿が特に印象的だったが、しかしここ最近はめっきりと姿を見せなくなり先程彼女が自分で言ったように会うのは非常に久しぶりのことだった。
「久しぶりぃ〜!最近来ないから心配してたんだけど!」
「ふふっ…ごめんなさい。どうしてもやらなければならないことがありましたの…ようやく一段落ついたところですわ。」
お互いの両手を合わせて再会を喜び合う二人。かたやアイドル顔負けの武闘派ガール、かたや文武両道の令嬢ウマ娘…その二人が並び立つ姿は非常に絵になり、見るものは感嘆の息を漏らすだろう。
「ウォッホン!一応ボクもいるんだけどなぁ〜!」
「テイちゃんは暇さえあれば来てるんだから別にいいでしょ!」
「ああ〜!ひっどぉ〜い!」
そしてもうひとり…同じく文武両道にして令嬢ウマ娘にあたるがマックイーンとはまたタイプが違ったウマ娘、トウカイテイオーもまたその場に居合わせていた。
どうやら最初からマックイーンと一緒に同行していたようだった。
「ねぇ、一輝ぃ〜…ほらぁ、か弱いレディが傷付いてるんだからさ…慰めてよ〜!」
「な〜に言ってんだよ、お前はか弱い…とかレディ…なんてガラじゃないだろ?」
気心知れた仲の一団は他愛のないやり取りを交わす。ただそれだけでも今まで感じていた焦燥を一時でも紛らわすことができた。
「なんだよそれ〜!?ふ〜んだ!デリカシーのない男はモテないんだからね!」
(いや…一輝なら大丈夫じゃね…?)
そう思ってしまったバイスを誰も責めることはできないだろう。なんせバイスは一輝の中でかの場面をその場でじっくりと見せ付けられたのだから。そんなことに思いを馳せるバイスをよそに話はやがて周って戻ってくることになる。
「それにしても…マックイーンも信じてくれてるんだな、ライスのこと…」
「当然です、あの子は私の…大切な友ですから。」
そう言葉にするマックイーンの表情は先程のような淑やかな微笑のままであり、まるで決意表明のようなものとは違う当たり前のことを言っただけであるかのようにあっけらかんとしていた。
「うん、ボクもおんなじ気持ち!だってライスが強いってこと、ボク達はちゃんと知ってるもんね!」
「テイちゃん…」
「さくら、二人の言う通りだ。ライスは俺たちの家族なんだからちゃんと信じてやらなきゃ…だろ?」
「…そうだね、一輝兄。私、ライスちゃんのことしっかり見えてなかったのかも。あの子が強いってこと、とっくの昔に知ってたはずなのにね…」
二人の真っ直ぐな気持ちを受け止めたことで今まで暗雲の立ち込めていた心は少しずつ晴れていく…
ライスの、そして自分たちの大切な友人がここまで信頼してくれているというのに、家族であるはずの自分たちが信じないわけにはいかないとそう感じた。
「あぁ…にしても…
テイオーってそんな立派なことも言えるんだな!
ずっとはちみーのことしか考えてないと思ってたぞ!」
「…ハァ!?」
一輝達は自分の焦りに整理をつけた途端、ほんの少しばかり余裕が出てきたようで…
ちょっとした悪戯心が芽生えてきたのは両者とも示し合わせたかのように同タイミングだった。
「あ、それ私も思った。」
「え〜!もうなんだよ二人して!ふんだっ!もう知らないっ!」
…とはいえ少しからかいすぎたようだ。このままでは恩を仇で返しかねないのでしっかりとフォローを入れることにする。こういうときは相手の好きなものを与えれば大体は丸く収まるだろう。大人の場合はその限りでもないが、テイオーはまだ子供だしそれで大丈夫のはず…
「悪い悪い!今度はちみー牛乳奢ってやるからそれで勘弁してくれよ、な?」ナデナデ
「あ、えへへ…///
もう〜しょうがないなぁ、許してあげる!」
(テイオー…貴女、もしかして…)
マックイーンはそのやり取りを見て何かを察する。恐らく自分の親友がその煌めくような笑顔を浮かべている理由はきっとはちみー牛乳とやらに惹かれたからというだけではないだろう。親友が向き合うことになるであろう前途多難な道のりへの憂いを余所に、今戦っているであろうライスに思いを馳せる。
(ライスさん、頑張りなさい…
貴女の大切なものを取り戻す為に…
最高の手土産を持って待っていますわよ…!)
ライスシャワーside
「ハァァァァっ!」
「ぐっ…!」
白き裁定者の銃剣と黒き追跡者の短剣が鍔迫り合う。
その力の拮抗は黒き追跡者…もとい仮面ライダーローゼスことライスシャワーの方に若干の軍配が上がる。
というのもその理由は白き裁定者…もとい仮面ライダーホーリーライブこと五十嵐大二がこの状況に理解が、そして納得がいっていないことによる戦闘のモチベーションが低下しているが故である側面もあった。
「うぅ…なんで君が仮面ライダーに…
こんなことをしてなんになるんだ!?」
「言ったはずだよ、お兄様…これは喧嘩だって!ライス達が…ずっと一緒に居るための!」
『ガン!』ドン!ドン!ドン!
吠えるや否やすぐさま鍔迫り合いの状態から距離を取りその要領でブレードからガンに変形、射撃による牽制を行う。
射撃訓練など一度も受けたことのないはずのライスの射撃によって放たれた弾丸は正確に目標に向かって進んでいくも、
「はぁっ!」ドン!ドン!ドン!
寸分の狂いもなく弾丸をぶつけることで相殺されてしまう。流石は特務機関フェニックスの分隊長を務める男、その戦闘技術は極限まで磨き上げられている。
今のところ二人の力関係はライダーとしての出力はほぼ同格、そして大二側の戦闘技術とライス側のウマ娘としての身体能力で均衡は保たれている。
このままではお互いにジリ貧になってしまう、なにか起死回生の一手が必要だと今の攻防だけでも理解できてしまった。
「くっ、こうなったら…
マックイーンさん、力を貸して!」
ガチャン!『リード!』
今まで右手に持っていたアンビバレンスウェポンを左手に持ち替えるとブルーローズバイスタンプのつまみを回すことでバイスタンプリード待機状態に移行する。
『エレファント!』 『ドレイン!』
そしてバイスタンプを起動して読み込ませトリガーを引くことで…
『アームズアップ!エレファント!』
これこそアンビバレンスドライバーの真骨頂…
それぞれのバイスタンプに応じたゲノムウェポンが形成することができるのだ。
エレファントバイスタンプによって形成される象の意匠が施された柄までもが太ましい巨大な斧、『ゾウノマサカリ』は常人なら抱えるようにしなければ持つことができないが、ライスはウマ娘としての身体能力によって片手で扱うことができる。
その重量級の一撃は…
「ハァァァっ!」
「はっ…!?(あれは喰らったらまずい!)」
ドッゴォォン!
たった一振りで必殺級の一撃となる。
それを瞬時に察知した大二はいち早く回避をしたが、彼の代わりにその一撃を受けた地面は大きく抉れておりその破壊力を物語っている。失礼ながら大二はそれを目の当たりにしたことで若干引いてしまった。
ライスは再度ゾウノマサカリを振るい始める。
あの威力からして完全に受け止めきることは不可能だろう、なるべく回避を優先しつつどうしても避けられない場合は受け流すようにして最小限のダメージになるよう注意…それを繰り返していくことで既にゾウノマサカリへの対応策は構築され、その脅威を失い始めた。
そして遂に…
「やぁぁぁっ!」ブォン! ドゴッ!
「今だ…!ハァっ!」
『ウインドチャージ!』
『ウイニングジャスティスフィナーレ!』
バキャーン!
「きゃっ…!」
ゾウノマサカリを振り下ろし、地面に食い込んだことで生まれた一瞬の隙を突かれて必殺技を叩き込まれ直撃を受けたゾウノマサカリは見るも無惨に破壊されてしまった。
これではもう一度ゾウノマサカリを形成したところで無意味だろう。
「だったらこれで…!」
『オオカミ!』
『アームズアップ!オオカミ!』
今度はオオカミバイスタンプを起動し、リード。狼の意匠が施された刀剣、『クレッセントヴォルフ』を形成し、振るい始める。
クレッセントヴォルフを振るうことで放たれる三日月状の斬撃は類稀な破壊力を誇り、並の相手ならばそれだけで脅威足り得ただろう。
しかし…
「無駄だ…!ハッ!」
ホーリーライブは翼を展開し、飛翔する。剣の間合いからは完全に離れてしまった大二に対してライスは斬撃を放ち牽制を行うも尽く回避されてしまう。
「当たって…!お願い…!きゃっ…!」
パキィン! カランカラン…
最終的には空からの銃撃を避けきれずにクレッセントヴォルフを正確に狙い撃たれ、取り落としてしまう。武器のみを落とすために行なわれたことが容易に分かる攻撃だったためにライスには一切のダメージはないが、実力差は歴然…それが痛いほど分かってしまった。
「もうやめよう、ライス…俺は君を傷つけたいわけじゃない。」
この戦いに意味を見出だせていない大二は問答を投げ掛ける。その言葉に込められた意味は即時の戦闘行為の中止を促すものであった。
彼の説得はまだまだ続く…
「君はきっと騙されてるんだ…どうせ狩崎さんの差し金だろ?
君相手なら俺が手を出せずに一方的にやられるだろうと踏んだ…あの最低野郎が考えそうなことだ…!」
彼は自分を拘束するための手段として、狩崎がライスのことを騙してライダーに変身させることで無抵抗になった自分を捕獲する計画を立てたと考えたようだが、それは的外れな推理としか言いようがない。
そもそも彼女の依頼で狩崎はドライバーを製作したのだから。ライスにとって言えばむしろ我儘を聞いてもらったも同然なのだが、彼がそれを知る由もなかった。
「違うよ…ジョージおじさんはそんな悪い人じゃないよ…!」
「だからそう思うように騙されてるんだよ!
あの人はそういう人だ…そうやってヒロミさんのことも騙して利用し続けた!」
言葉を返しても大二は頑として自分の主張を曲げない。いつまでもライスの言葉に優しく耳を傾けていた筈の彼だが、今やその面影は綺麗サッパリ消えていた。
何よりもライスが騙されているという主張はまるでライスのことを信じていないように聞こえて酷く心が痛んだ…だがその心はすぐに奮い立つことになる。
「それにこんなくだらないこと…やってる場合じゃないだろ?」
「…っ!…」
…いよいよ堪忍袋の緒が切れてきた。
この戦いはライスだけのものではなく…今まで支え続けてくれた人達の思いも背負っている戦いなのだ。
それを言うに事欠いてくだらないと吐き捨てるのは納得いかない。
でもある意味丁度良かったのかもしれない。
さっき自分も言った通り、これは喧嘩だ。これからは本当の本当に全身全霊でいけるというものだ。
「くだらない…?
これからお兄様がやろうとしていることの方がよっぽどくだらないよ…!」
『リード!』『キツネ!』
『ドレイン!アームズアップ!キツネ!』
ライスは吠えるや否やブルボンから託されたキツネバイスタンプを起動し、リード。
キツネのゲノムウェポンである籠手、その名も『フォックスハウンド』を装着、陰陽玉型のエネルギー弾を周囲に配置し、一斉掃射を行なう。
「ぐっ…くっ!うぁぁぁぁあっ!」
隙のない弾幕の嵐をかいくぐるのは容易ではなくその証拠に撃ち漏らしたエネルギー弾を連続でまともに受けたことで大二は少なくないダメージを与えられてしまう。
「うぅ…どうしてそんなことを言うんだ、ライス…俺は、ただ君のことを思って…」
「そんなのお兄様の独りよがりだよ…ライスはそんなことしてほしいなんて思ってない!」
「…!?」
そうだ、そもそもこの戦いを始めたのは何故だったか…
それはぶつからなければ伝えられない思いを、しっかりと伝えるためだったのではないか。このまま手をこまねいて出し惜しみをしているようではなにも伝えることなどできない。
本音を…紛れもなく嘘偽りのない思いをぶつけなければ…!
『ブレード!』
「そもそもお兄様は思い込みが激しすぎるよ!なんでそんな風に悪い方にばっかり考えられるの…!?」
ガキィィンッ!
「なっ…!?そんなのライスが言えたことじゃないだろ!
何かあるたびに君が自分のせいだって言い始めた時はあぁまたかって思うんだからな!」
ドンドン!
「あ〜ひどい!そんなふうに思ってたんだ!
どうしてもそう考えちゃうんだから仕方ないもん!」
「なら俺だってそうだろ!」
「違うもん!」「何が違うんだよ!」
普通の兄妹のような口喧嘩の応酬を続けながらも、その攻防はまさに一進一退…どちらも引かずに攻め続け守り続ける。
そのちぐはぐさは他人から見れば滑稽に映るかもしれない…だがしかしそれは今まで互いを思うあまりに自分を抑え続けてきた者たちがようやく本音で語り合う、そんな輝かしい時間だった。
「俺はカゲロウから託されたんだ…
君のことをあいつの分まで守るんだって!
そのためならなんだってする覚悟がある!
それなのになんで分かってくれないんだ…!?」
「ライスを守るってなに…!
意にそぐわない誰かを傷付けるってこと…!?
そんなの守るって言わないよ!
カゲロウくんだって…そんなの望んでない!」
「それは…!くっ…!」
一瞬口をつぐんだ大二。
その一瞬はこの戦いにおいて大きく致命的なものとなった。
均衡を破り徐々に押し始めるライスシャワー…
そしてその最中においてもライスは攻撃と口撃を緩めることはしなかった。
「周りを見ようとしないで…自分が正しいって盲目的に信じ込んで…!」バキッ…!バキッ…!
ライスはフォックスハウンドを武装した右手を中心に拳を叩き込み続ける。ヒールブレードは既に折り畳まれ、腰のゲノムトランシーバーに装着されていた。もはやこの戦いに剣は必要がなくなったということなのだろうか…
「そんなの独りよがり以外のなんだっていうの…!」バキィッ!
「ぐあぁ…!くっ…!」
最後に大振りの一撃をモロに喰らい、大きく後退る大二。
必然的にライスと大二の両名はある程度距離が離れ、睨み合いのような形になる。
「もっと周りを見て…!
ライスのこと…"私"のことも見てよっ…!」
『リード!』『必殺認証!』
「…!?」
『必殺承認!』
一番の本音をライスが吐露すると同時にブルーローズバイスタンプのつまみを回し、そして同時にボタンを操作する。そうすることで通常の必殺技を超える超必殺技を発動することができるのだ。
大二は負けじと自身も必殺技を発動する。
『ブルーローズ!チェイサーフィニッシュ!』
『ホーリージャスティスフィニッシュ!』
「タァァァァァァッ!」
「ハァァァァァァッ!」
走り出した二人はほぼ同時に跳び上がり、ライダーキックの姿勢へ…
二人のライダーキックはそのままぶつかり合う。
決着がつくのかと思えるほどの長い拮抗が続いた後に、ついにその時が訪れる。
この戦いを制したのは…
「ハァァ…!タァァァァァ!」
「ぐっ…グァァァァァッ…!」
この戦い、軍配が上がったのはライスシャワーこと仮面ライダーローゼスだった。
破れた大二こと仮面ライダーホーリーライブはその衝撃によって変身が解除されると同時にその身を投げ出される。
「くぅ…!ふぅ…!ふぅ…!」
しかし大二は諦めが悪く、再度変身を試みようとツーサイウェポンをゲノムトランシーバーに戻そうとする。だがしかし…
「お兄様…!もういいんだよ?
…もう、皆の所へ帰ろう?」
変身を自ら解除し、駆け寄ってきたライスによって抑えられることで阻まれてしまう。
この時、大二の頭の中には様々な思考が倒錯していた。
自分を信じて任せてくれたカゲロウに申し訳ないとか、ライスは何故自分の邪魔をしているのだろうとか色々ではあったが、その中でも一際大きかったのは…
「…帰れないよ…俺はもう…戻れない…!」
結局のところ彼も自分で薄々気付いていたのだろう、自分の行いが間違いだらけの独りよがりであったことを…
それでも止まることができなかった。たとえ間違いだったとしても彼の感じた怒りは紛れもない本心だったから…
「もし戻ったら…俺は今度こそあの人達や…家族を傷付けるかもしれない…そんなのはもう嫌なんだよ…」
ライスを守る…そうするために必要だと思ってしまったが故に彼は心を殺し、非情に徹しようとした。だが結局挫けてしまう自分を自覚し彼は遂に本音を吐露する。
「よかった…」
「…え…?」
そしてその本音を聞いたライスシャワーの心に生まれたのは安堵感だった。
何故なら…
「お兄様はなにも変わってなかった…ライスが戻す必要なんてない…
ずっとずっと…優しいお兄様のままだったんだね…!」
「…!?…う、うあぁぁぁ…あぁ…」
「ありがとう…!ありがとう…お兄様…!」
ライスは泣き崩れる大二の身体を包み抱きしめる。れっきとした大の大人で今まで頼りになる大切な人としてあったその人がまるで子供のように泣きじゃくる姿をライスは母性を秘める瞳で見つめ続けた。
「でもね…お兄様が傷付いてまで傷付けなきゃいけない人はもういないんだよ…?」
「?…それは、どういう…」
「最初に言ったでしょ?
人は変われるってことを証明するって…これから始まるレースを見てほしいの!
さぁ、行こう!」
「あ、あぁ…」
ライスは大二の手を取り、京都レース場へと向かう。
もうレースの開始時刻まであと少しの猶予しかないのである程度急がなければならないだろう。
しかしその足跡は数歩を刻んで一度停止することになる。
「実に感動的だったよ、大二君…まさに観感興起というものだ…」
「…!?
あんたは…!」
つづく…
最後の人物…一何石長官なんだ…!?
執筆して欲しい方はどっち?(詳しくは活動報告へ)
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リバイスとテイオー主体の物語
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ライスシャワーが主人公の物語
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その他