ギーツ第2話…面白かったですね!
まさかのマグナムレイズバックルをダパーンが獲得してしまうとは…これからどのように入手するんでしょうか?
ギンペン…
いつだって子供の為なら命を賭けれるものなんですよね、父親って…
英寿くん、ブーストレイズバックルを使用する為の言葉ではあったけどそれは厳密にはウソではなくてそういうウソを付いたっていうウソだったと…
とことんまでキツネらしく、化かす人ですよね…
大二side
「あんたは…赤石長官…!何でこんなところに…」
「長官…その呼ばれ方も懐かしい、今や私はフェニックスを追われた身だからね…」
突然この場に現れたのは赤石英雄、かつて政府特務機関フェニックスの最高責任者を務めていた者だ。しかしそれはあくまで仮の姿であり、彼の本当の正体は数千年前からギフと契約を結び人類の裁定を行なってきた、デットマンズの発足にも一枚噛んでおり、言うなれば全ての元凶の一人であると言ってもいいだろう。
そんな存在が自分達の組織のトップであったという状況は非常に厄介なものであったが、先程彼が自分でも述べた通り今や彼は逃亡者であった。
それは何故かというと…
「実に驚きだった…
隙は見せていないつもりだったが、まさかフェニックス内部に外部組織…メジロ家の保有する諜報部を紛れ込ませるとは…」
そう、彼が追われる身となった理由はそれである。フェニックスには裏があるという情報を手に入れた五十嵐兄妹の話を聞いていたライスシャワーが力を借りるため自発的にマックイーンと接触…
フェニックス内部にメジロ家お抱えの特殊部隊をフェニックスに潜入させることで赤石の秘密が早期の段階で露呈、公表され最高責任者から一転し逃亡中の指名手配犯となったのだ。
「君達の動向に目を光らせてはいたが、それ故に他への警戒が疎かになった…反省せねばならんようだね…」
「御託はいい、俺の前に現れるってことはそれ相応の覚悟ができていると判断するぞ…」
「何ができると言うんだ君に…?
今や君は私と同じ逃亡者だというのに…」
「!?…くっ…」
痛いところを突かれ口をつぐむ大二。
今や五十嵐大二は特務機関フェニックスの分隊長ではなく、罪を犯し逃亡する指名手配犯。赤石を捕縛する権利も義務ももう存在しないのだ…
「しかしまぁ、それはそれで丁度いい…
ここ最近で君はよ〜く理解したんじゃないかと私は思うんだ、大二君…今の人類がどれほど愚かで度し難い存在なのかを!」
「…?」
ギフに心酔するが故にそれと敵対する人類を卑下する赤石。だが、その言葉にはそれ以上の意味が込められているようにも感じた。
言葉の意味を測りかね、頭に疑問符を浮かべる大二だったがそれをよそに赤石の弁論はまだ続く。
「人類は度重なる進化によってこの地球上で特筆すべき力を持つ生物となった…だが、そのせいで人類は調子に乗りすぎた!
圧倒的な力を持つギフ様と対話ではなく対立を選択してしまうほどに!」
赤石が言うには今人類と敵対するギフはその姿を表した数千年前には人類との対話を望んでいたらしい。
しかし人類はその要求を突っぱねて異形であるギフを敵対視し、対立を行なったのだという。
対話を求める異形を一方的に敵視して対立する、アニメや映画なんかでよくある話だろう…赤石はその原因こそ人類の進化そのものにあると考えたようだった。
「愚かな人類がその選択を恥じ、ギフ様と対話を行なうためには、人類そのものの戦略的退化が必要だ…
同時に、退化した人類には導き手が必要となるだろう…
そうなれる人材は一握り…」
「…何が言いたい…?」
ここまで演説を聞かされ続けた訳だがあまり赤石の意図が読み取れる言葉があったようには思えず大二は問を投げる。
しかし、赤石のその問への答えはとても衝撃的なものだった。
「大二君、私と来るといい…
今の人類に絶望し、ギフ様の遺伝子を継いでいる君こそ退化した人類を導き救う存在に相応しい…」
「…っ!」
彼の目的は大二をあちら側に引き込むこと…そのためにこのタイミングに姿を表した。
今までの大二ならば考えることすらしないだろう、間違いなくこの提案を蹴っていたはずだ。
(ギフへの服従…そうすれば人類を、ライスを守ることができる…?)
しかし、彼は相対する存在の強大さがどれほどのものか既に理解している。それ故にこのまま対立し続けることは人類にとって正しい選択なのか分かりかねていた。
そして何より彼には自分の命に代えても守りたい存在がいる。そのためなら意味のある選択なのではないかという囁きが頭の中に響いていた。
「ふざけないで…!」
しかしその囁きは一つの声によって遮られる。その声の持ち主は今までのやり取りを沈黙して聴き続けていたライスシャワーだった。
その表情は憤怒に塗れており、心の内の炎が激しく燃え上がっているのを感じる。
「人類は愚かなんかじゃないし、お兄様も連れて行かせない!
ライス達は一緒に皆の所へ帰るんだから…!」
そう毅然と言い放つライスの姿を見て思い直す大二。
そうだ、今まで自分達は何のために戦って来たのか…
人類を脅かすギフという存在から大切なものを守るためだ。それにギフに服従したところで人類を本当に手を出さないでくれる確実な保証はない。そんな信頼に足らない存在に身を任せる訳にはいかない!
「あぁ、ウマ娘ェ…実に忌々しい!
貴様らこそギフ様と人類、その和平の最大の障害であるということになぜ気付かないっ…!」
「!…どういうこと…?」
聞き捨てならない言葉だった。
先程赤石は進化した人類がギフとの対話を拒んだことが対立の原因だと自分でそう言った筈だ。それなのにウマ娘がギフと人類の講和を乱す最大の要因というのはどういうことだろうか。
「ウマ娘は古来より人類と交流を図り、その道を同じくしてきてた同志達…ギフ様はウマ娘達から人類との対話のための学びを得んとし、コンタクトを図った…」
「もしかして…」
「ウマ娘も…ギフとの対話を拒んだ…?」
それなら赤石がウマ娘を嫌う理由にも説明が付く。だがしかしそれでは人類とやったことは大差ない、それだけでウマ娘が人類とギフの和平の障害であると断定するには合点がいかないと思えるが…
「いや、その逆だよ…ウマ娘は人類とは違い、ギフ様との対話に肯定的な姿勢を取った…
元々ウマ娘は力があるにも関わらず人類を下に見ず対等に接する思慮深き一族…
ギフ様が異形であることなど彼女等からすれば些細なことだったのだろう…」
赤石の語る話は非常に信じがたいものだった。ウマ娘の祖先達がギフを受け入れようとしていたことにも驚きだが今の話を聴いた限りではウマ娘はギフ達にとってもとても好意的に映るであろうことが伺えるために赤石がウマ娘を嫌う理由に説明がつかなくなる。
「私が仲介役を担い、ウマ娘とギフ様の話し合いは極めて円滑に進んでいった…
彼女等との交流をきっかけに、人類との対話もじきになされるだろうとそう考えていた…
しかしっ…!」
「全ての交渉、話し合いを終え…
講和が結ばれた証として手を取り合った瞬間、何が起こったと思う…!」
「触れた先が焼け爛れ、崩れ落ちたのだよ…!
ギフ様の恩恵を預かり、不死となっていた筈のこの身体がね…!」
そう言いながら赤石は左手の黒い手袋をとり、こちらへ見せるとそこには皮膚は裂け、骨がところどころ見え隠れするという手の形をかろうじてとどめているように思えるほど焼け爛れた酷い状態の掌があった…
「…ヒィッ…!」
「…!ライス!見ちゃ駄目だ!」
両の掌を口元に沿わせ、息を呑むライス。
彼女にはあまりに惨いこの光景は目に毒過ぎる。すぐさまライスを抱き寄せ目を塞ぐ大二だったが時既に遅し、ライスの頭にはしっかりと赤石の無惨な掌が焼き付いてしまった。
「おやおや、どうやら年頃の女の子には刺激が強かったようだね…フフフ…」
「赤石…!貴様ァ…!」
赤石の様子を見るにどうやらこちらがどんな反応をするか分かっていたらしい。そしてそれを踏まえた上でわざとそれを誇示し、こちらに揺さぶりをかけてきたようだ。
やることがいちいち姑息で非常に腹立たしい…
「まぁ落ち着きたまえ…
こうなった原因はウマ娘に宿る悪魔とはまた別の存在が原因だった…君達ならそれが何か分かるだろう…?」
「もしかして…うぅ…ウマソウルのこと?」
抱き締められていたライスは気を持ち直し、自身の予想を答える。
しかし未だに口元を片手で押さええづきそうになっていることから完璧に復帰できたわけではないようだ。
ウマソウル…それは未だ全容が判っていないがウマ娘に宿るウマ娘本人とはまた違う別の魂であり、一説によればそれは別世界の何かの魂であり、それがこちらで受け継がれることによってウマ娘が生まれるとされている。
「その通り…
人間に宿る悪魔とウマ娘に宿るウマソウルは似通っていながらもそれでいて相反する性質を持っている…
判るかね、悪魔と深い縁を持つギフ様にとってウマ娘は謂わばその身を蝕む害毒そのものだ…!
そんな者共が蔓延っていてはたとえ戦略的退化が成されたところで人類との対話を果たすことなどできない…!
ならば私がやるべきことはもう一つある…」
その先の言葉は言わずして理解ができた。
彼にとって最も敬愛する存在であるギフを根底から脅かす存在、そして人類存続のための計画の一番の障害…そんな存在があればどうするべきなのかは明白だろう。
思わず腕の中のライスを守るように強く抱き締める…
そして赤石が続けた言葉はやはり予想通りのものだった。
「人類の戦略的退化、そしてこの世の全ウマ娘を駆逐すること…それが人類を救うための私とギフ様、そして君の目標だよ大二君…」
その言葉を耳にしたことではっきりと回答は固まった。全ウマ娘の駆逐…それはつまりライスやその友人達、学園の皆のことも含まれるのだろう。大二にとって欠かすことのできない大切な存在たち、彼女達を傷付けることは絶対にしない。
ならば返すべき答えはこうだろう。
「寝言は寝てから言え…
そんなことは俺達が絶対にさせない…!」
「うん、行こうお兄様…
ライス達が皆を守る…!」
『ホーリーウイング!』『Confirmed!』
『ブルーローズ!』『connection!』
「「変身!」」
『ホーリーアップ!』『ホーリーライブ!』
『レイスアップ!』 『仮面ライダーローゼス!』
答えは否である。
それを突きつけるように二人は同時に変身を行ない、臨戦態勢をとる。
今ここで赤石を倒さなければ今現在平穏にいきている全てのウマ娘が危険に晒されることとなるだろう、そうさせないためにも二人の守護者が名乗りを上げる。
今ここに聖戦の狼煙を上げよう…
「やれやれ、縁なき衆生は度し難し…!」
『ジュニア!』
五十嵐家side
「大二達、遅いな…
もしかしたらなんかあったんじゃ…」
(心配しすぎだぜ、一輝〜!
きっとどっかで迷子になってるだけだって!)
「そうだったらいいんだけど…なんか嫌な予感がする…」
先程まで続いていた大きな音、おそらくは戦闘音だろう。それが止んでからしばらく経つ。
ライスのことを信じてここで待つということはさっきまでの皆との話し合いで決めたことだったが、少し時間が経ったところでまた一輝の心配は再燃し始めていた。
何故か酷く覚える胸騒ぎも相まってなんだかとてもソワソワしてしまう。
その頃さくら達はというと…
「それ!UMA!」
「テイちゃんまたリーチ!?」
「へっへへ〜!これはまたボクの勝ちかな〜♪」
「いやいや!まだ分かんないぞ〜!なんてたって父ちゃんもリーチだからな〜!次の手番には…」
「はい、ドロー4の黄色。」
「同じくドロー4、緑ですわ。」
「じゃあ、ママさんもドロー4の青♪」
「ええ…ちょ、ちょ!そんな殺生な〜!」
カードゲームをしていた。
確かにライスを信じて待つと決めたとはいえいくらなんでも自由すぎるのではないだろうか…しかしそれが正しいのかもしれない。自分は本当に心配性過ぎるのだろうと一輝は思案する。一旦息を抜いて落ち着いたほうがいいだろうと考え、少々脱力していると…
「お飲み物、いかがですか…ってあれ?」
「あぁ…じゃあ一杯ください…って、あ…!?」
飲み物を売り子さんが持ってきてくれたようでお言葉に甘えて飲み物を貰おうと相手の方へと向き直るとそこには意外な…いやまぁそこまで意外でもないが驚きの人物がそこに居た。
「一輝さん!?…わぁ!久しぶりなのー!」
「フウ!?めっちゃ久しぶり!元気してたか?」
そこに居たのはアイネスフウジン。言わずと知れたお姉ちゃんウマ娘であり、数々のバイトをこなすバイト戦士でもある。全力を振り絞りまくる逃げを持って猛威を振るったが、ダービーを制した後に屈腱炎を患い現在は療養に努める傍らにバイトに専念しているようである。
「あれ!?フウ姉じゃん!」
「あぁ!さくらちゃんにおじさんおばさんも!はろはろー☆」
このやり取りからして気心知れた仲であるということは既に理解できるだろうがでは一体どういった関係なのか。そう疑問を感じた一人の乙女が極めて冷静に問を投げる。
「ああああの、アイネスさんと一輝ってしししりし、りしり…知り合い…?」
「落ち着きなさい、テイオー…
でも不思議な組み合わせですわね…もしかして以前から交流が…?」
訂正、全く冷静ではなかった。
焦りに焦ってしまいどもりまくっていたテイオーに代わり、マックイーンが質問をする。
特に秘密にするようなことでもない為、一輝は正直に返答する。
「あぁ、俺の中学の時の後輩だよ。俺が3年の時に1年生だったんだ。」
「色んな相談に乗ってもらったり、しあわせ湯のお手伝いとかもしてたの!
えっへへ〜、久しぶりに先輩って呼んであげよっか?」
「ハハッ!やめろよ恥ずかしいだろ〜!」
「え〜もう〜♪恥ずかしがっちゃって〜♪」
和気あいあいとする一輝とアイネスフウジン。そんなやり取りはただの同学の先輩後輩関係というには余りに色濃くきらびやかに見える。見る人が見ればほっこりとする光景だがそれを見ていたテイオーの心に浮かんでいるのははっきりとした焦燥だった。
(ど、どうしよう〜…!
たづなさんだけでも強敵なのにアイネスさんまで…このままじゃ………)
「…ねぇ、一輝さん!折角なんだしちょっとの間二人っきりで話さない?」
「ウェ!?」
「ああ、いいぞ!でも売り子の方はいいのか?」
「それなら大丈夫!バイトリーダーからは今の時間帯の休憩は自己判断で摂っていいって言われてるから!じゃ、行こっか!」
「ピエ…」
まずい、このまま二人を行かせた日にはどうなるか分からない。
もしかしたら、帰ってきた時に…
『俺たち…』『私たち…』
『『付き合うことになりました〜♡』』
なんてことになるのでは…!?
そんな結果になるのだけは絶対に阻止しなければならない。そのためにはまず、二人を行かせないことが最優先…
こうなったら離れようとしている二人についていってせめて恋バナにならないように誘導しなければならない。
そうと決まったら早速行動開始だ!
「ちょ、ちょっとまってよ!だったらボクも…フガッ…!」
「あ〜ら、勝ち逃げは許しませんわよテイオー…!」
だが、計画を実行に移そうとしたその瞬間にマックイーンに取り抑えられたことによって大きく出鼻を挫かれる結果となった。
何故こんな時にただのカードゲームに躍起になっているのか分からなかったが、マックイーンが耳元に直接届けた囁きが答えだった。
「焦る気持ちは察しますが、状況を考えなさい…
あの二人は久しぶりに再会した同学の士ですのよ、その二人の会話に貴女が混ざるのは余りに不自然でしょう…?」
「で、でも…でもさぁ〜…」
「どうせ幾つか順序をふっ飛ばしたような心配事をしてるのでしょう?
現実的に考えて急にそういったことになったりはしませんわ…ここは譲りましょう?」
「うぅ…」
マックイーンから説得され、一旦は納得しようと思ったがどれだけ理解しようとしても先程まで浮かび上がっていた悪い考えは簡単に取り払うことはできない。次第に納得しようとする心は小さくなっていき、やがてさっぱりと消えてしまう。
「やっぱりムリ!一輝!ボクも一緒に…!ってあれ?」
やっぱり多少不自然でも二人についていこうと先程まで二人が立っていた場所に目を送るとそこには既に二人は居らず、どうやらもうこの場を離れてしまっていたようだった。
「…………」
「あ〜…テイオー…?」
おそるおそるテイオーに声を掛けるマックイーン…
だが彼女は俯いたまま声を堕さないのでなんだか圧迫感のような恐怖を感じざるを得ない。
どうしたものだろうかと思案するマックイーンだったが…
「い……の………か……」
「え?」
どうやら小さな声で何かを呟いているようだ。その内容を聴き取るために耳を澄ませるがこの時やめておけばよかったとマックイーンは後に語ることになるだろう。何故なら…
「一輝の……!バカァァァーーー!!」
この場が京都レース場のど真ん中であることを忘れた大絶叫が自身のウマ耳の中を迸ったのだから…
この時、大きな音を流し込まれたことで意識が薄れそうになっているマックイーンの朦朧とした頭の中で浮かんでいたのは…
(恨みますわよ…たらし一輝さん…)
親友の想い人への恨み言だったという。
一輝side
バカーーー…
「テイオー…?何騒いでんだアイツ?」
「さぁ?なんでだろうね〜♪」
(あちゃ〜…なんだか勘違いさせちゃったみたい…あとで謝らないと…)
それにしても、急に二人で話そうなんて一体どういう風の吹き回しなんだろうか。
もしかして昔みたいになにか悩んでて皆に知られたくないから二人っきりになったのだろうか?
それなら早くその悩みを聞いてやらなくては…
「急に二人で話そうってのは、もしかして悩み相談か?それならそうと言ってくれれば…」
「う〜ん、あまり間違ってないかも!
でも相談に乗られるのはあたしじゃなくてぇ…」
そこで一旦言葉を区切ったアイネスは近くの自販機に近寄り、缶コーヒーを2缶買うとこちらに戻ってきて1つを一輝に渡しながらこう告げる。
「一輝さんの方なの!はいこれ!」
「え…?」
「で〜?何を迷ってるの?ライスちゃんがレースに遅れそうになってるのと関係あるのかな?」
どうやらアイネスは一輝の様子がおかしいように感じたことからなにか悩みを抱えているのではと思い至り、相談に乗るためにわざわざ二人になるように仕向けたようだ。
「え、は?…いやいや、俺は別になにも悩んでなんかないぞ?」
「ふ〜ん…でもムダだよ?
昔から嘘つくとお鼻がピクピクする癖、まだ治ってないんだね?」
「え!マジか!?もしかして大二達から分かりやすいって言われるのって…!」サッ
「ウ・ソ♪
一輝さんが分かりやすいのはただ単に顔に出過ぎなだけなの!」
「な!?おい、フウ〜!」
しかし、一輝は頼られるのに慣れすぎて頼るということをするのに抵抗が少しあるタイプなのでこういう風に一旦は虚勢を張ってしまう。だがそうすることも織り込み済みだったのかアイネスは一輝が素直になれるように機転を利かせる。
「ごめんごめん!でも隠すってことは思い当たる節があるってことだよね?」
「それは…」
「…あたしは今まで、何度も一輝さんに助けてもらった。だからほんの少しでもお返しがしたいの…駄目、かな?」
問を投げるかのような言葉ではあったがその実、断ることは許さないような凄みを感じさせる瞳をしていた。
人が頼りたくなるような朗らかな優しさとほんの少しの厳しさ、こんなところが彼女が皆のお姉ちゃんと称される由縁なのだろう。
その在り方を見ているとなんだかこっちが歳上の筈なのに姉がもしいればこんな感じなのかなと思えてしまう。
「そうだな。悪いけど聞いてくれるか?」
「…!えへへ~、ど〜んと任せてほしいの!」
数分後…
「なるほどね~、そんなことになってたんだ…」
「言い訳みたく聞こえるかもだけどさ、俺も信じてない訳じゃないんだ…
ライスなら大二を連れ戻してくれるって思ってる…」
すべての事情を話すのにはそこまでの時間を要せずほんの数分で語り終えた…
アイネスは全てを聴き終えるまで一言も発さずしかし表情は優しい笑みを崩さずにいた。おかげで少し話しやすかったように思える。
「でもさ、こんなにも心配な気持ちが溢れてくるのはさ…
心のどっかでライスに出来るわけないって…思っちゃってるのかなって…」
「……」
思えばあの時、さくらに言った言葉は半ば自分に言い聞かせていた側面もあったのかもしれない…家族のことを信じてやれない自分は家族の資格なんてないのではないか。
そんな考えから目を背けたくて出した虚勢の言葉にいつの間にか一輝は縋っていた。
「家族が大事だとか信じようとか言ってた俺が、実は一番家族を信じてないかもしれない…憐れだろ…?」
(一輝…)
一輝の中に宿る悪魔であり、相棒のバイスが心配の声を小さく上げる。
たとえ存在が繋がっていたとしても全てを把握しきれるわけではないということだろう。
いつも近くに居たからこそ一輝のことはなんでも知っているつもりだったが、いつの間にそんなに思い悩んでいたのか…
「な〜んだ、そんなことだったの?」
「…ん?どういうことだ?」
しかし話を聞き終えたアイネスがした反応はあまり気にも留めていないようなものだった。なんだか悩みを軽んじられているような気がして少しムッとしてしまうが、それを感じさせないように言葉を返す。
「大丈夫だよ、一輝さん!一輝さんはちゃんとライスちゃん達のこと信頼してるから!」
「どうしてそう言えるんだよ?」
「だってあたしも同じだもん!」
「はぁ?」
言っている意味がよく分からなかった。一体何が同じなのか、そして同じだからといって何故それがライスを信頼していることに繋がるのだろうか…
「最近ね、レースをお休みするようになってからはスーちゃん、ルーちゃんに走りを教えられる機会が増えたの…
友達とのかけっこもいつも一番なんだって!」
「へぇ、凄いな!そっか…
スーもルーもどんどん成長してるんだな…」
「でしょでしょ!
それにね、いつかお姉ちゃんと一緒にレースを走るんだって言ってくれてるの!
もう全力で相手しちゃうんだから!」
いつの間にか悩み相談から妹自慢に話が切り替わってしまった。自身の自慢の妹たちの話をするアイネスは先程の優しげな笑みとはまた違う得意気なやんちゃな笑顔を浮かべていたが、ふとするとその表情は真剣さを帯びたものになる。
「……でもね、たまに思うの。凄く厳しいレースの世界で、これからもあの子達は走ることを好きでいてくれるのかな…
どこかで大きな壁にぶつかって走るのが嫌いになっちゃわないかなって…」
「それは…そうだな…」
レースに限らず、スポーツの世界というのは酷く残酷なものだ。幼い頃から努力していたとしても上手く芽が出ずに消えていったり、寄せられる期待からくるプレッシャーに耐えられずに諦めてしまった競技者達の存在を一輝は知っている。
何を隠そう一輝だってその一人なのだから尚更だ。
「こんなふうに思うあたしは二人のことを信じきれてないんだって…今の一輝さんみたいに少し悩んだけど、そんな時にお母さんはあたしにこう言ってくれたの!」
「ただ信じてないだけなら、心配なんかしないはずよ…って!」
「!」
「一輝さんがライスちゃん達の心配をするのは、信じてないからなんかじゃないよ!
ライスちゃん達が大好きだから、大切に思ってるからなんだよ!」
信じてないだけなら心配なんかしない…確かにその通りだ。信用のない者のことなんて心配しない…ただ諦めてしまうだけだ。
アイネスの言葉は今まで疑っていた自分の家族への想いが確かなものであると考えさせてくれた。
「そっか…俺、ちゃんと信じてやれてたんだな…」
「えへへ…そうそう!
じゃあ次は、一輝さんが自分を信じる番!」
「うぇ…?」
「行きたいんでしょ?ライスちゃん達を助けに!さくらちゃん達には上手く説明しといてあげるから!」
そこまで見透かされていたとは思わなかった…というわけでもない。今までの一輝の口ぶりからしてそうしたいであろうことが読み取れるだろうし、何より一輝のことを知る者なら彼がとりたがる行動など簡単に予想がついてしまう。
近づき、ドンと一輝の胸を叩くアイネス…
「自分の助けたいって気持ち、疑っちゃ駄目だよ!」
「…ありがとうな、フウ。おかげで吹っ切れた…俺、行ってくる!」
言うや否や走り出す一輝。元プロサッカー選手志望の脚力はウマ娘に及ばないまでも凄まじく、あっという間に点に見えるほどに遠くへ行ってしまった。
結局のところ、彼がやりたいことは昔から一切変わっていない。誰かが困っているのなら自分のことを犠牲にしてでも助けずにはいられない、それが五十嵐一輝という男なのだから…
「いってらっしゃい…頑張ってね、一輝先輩…」
アイネスは激励をこぼすも、それはもう走り去って姿も見えなくなっていた一輝には届きはしなかったがもともと伝えようと思って出した言葉ではない。口に出していればある程度心持ちが軽くなるような気がしたのだ。
先程述べたように五十嵐一輝は、誰かのために自分を傷付けられる人間だから…
きっとこれからの戦いでも何か自分の大切なものを犠牲にしてでも人々の平和を守るだろう。正直に言えば、そんな戦いに身を投げ出して欲しくはない。でもそれが彼の本当にやりたいことならば、こちらが止める権利などありはしない。ならばせめてちゃんと送り出してやらなければ…この激励は謂わばそういう意味を込めたものでもあった。
彼の信念は聞き届けた、後やるべきことといえば…
「ああは言ったものの…なんて説明しよう…?さくらちゃんきっとカンカンになるの…」
それにテイオーの誤解も解いておかなければならない。
これから起こるであろう波乱を前にほんの少しだが気が重たくなるアイネスフウジンであった。
つづく…
赤石の話を分かりやすくいうとギフ様は人間に宿る悪魔こと悪性エネルギーが食糧ですが、ウマ娘のウマソウルは言ってしまえば善性エネルギーであり、ギフ様にとっては毒だということです。
さらに現代はウマソウルをより色濃く受け継いだウマ娘(史実馬と同じ名前のウマ娘)が多く存在するようになっていたのでギフ様も赤石も本編ほど大きく動けず、不意を突かれたり、フェニックスも存続しているなどといったある程度平和な膠着状態が続いたというわけなのです。
時系列がおかしく見えた原因のこじつけはこんな感じですが、納得していただけるかは少し不安ですね…
そういえばこれは裏話なんですけど、大二君が新たに設立したのがフェニックス改めブルーバードですよね?
実は最終話を迎える前からライスこと仮面ライダーローゼスの強化アイテムの一案として
『ブルーバードバイスタンプ』
なるものを構想していたんですよ!
幸せの青いバラの元ネタであり、ツーサイの強化アイテムであるウイングバイスタンプ系と同系統ですからピッタリだと思って!
だから本編でそのワードが出たときは絡めやすくなる!
と興奮したものでした!
執筆して欲しい方はどっち?(詳しくは活動報告へ)
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リバイスとテイオー主体の物語
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ライスシャワーが主人公の物語
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その他