ツーリング・キャンプ仲間のおじさんがピンク髪の美少女になってた件   作:キサラギ職員

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江の島はいいぞ


《えのしま》

 

『江の島いかない?』

『いいっすねぇ』

 

 というやり取りの後、二人は江の島に休日を利用して出かけた。

 今回はキャンプではなくツーリングメインなので着替えやら洗面道具やら水筒やらを持って行くだけなので準備は楽だ。雨の予報もゼロに等しいので雨具も省略した。

 愛車は今日も絶好調だった。いつも定期的に整備しているお陰もあってか、どこにも問題がない。チェーンも昨日油を差したばかりだった。

 この暑さの中で一般道を走る気にもなれず、高速道路を使ってサービスエリアでおっさんこと多治見飛鳥と合流する。

 

「おいすー! お久しぶりだねぇ」

「ついこないだあったばかりじゃないすか」

 

 白のフルメッシュジャケットを着込んで横合いにアライのフルフェイスヘルメットを抱えた飛鳥がやってきた。

 バイクのエンジンを切って降車すると、ハンドルをロックしてキーを抜きポケットに突っ込んで手を振る。ヘルメットを脱ぐとさわやかとは言えない風が吹き抜けていくのがわかった。

 

「そういやヘルメットなんかも新調した感じなんすかねこれ」

「まーね。おじさん時代は頭でかかったけどこの体になって被ったらスッカスカでさあ。新しいの買ったよ」

「金持ってるっていいなぁ……」

 

 アライのヘルメットのグレードが高いやつをニコニコしながら見せてくるので、羨望の目つきで眺める。ヘルメットには金をかけろというが、瀬戸のように金がない人種にとっては金をかけたくてもかけられないものだ。

 飛鳥はふふんと得意げにヘルメットを見せつけておいて、おもむろに被った。長い髪の毛は後頭部で結んであるようであった。ふふんと得意げに胸を張ってくる。

 

「マ、君も頑張って働いて稼いでください。それか稼いでくれる嫁さんでも見つけるんですな」

「ヒモになりたい」

「主夫といいなさい主夫と」

 

 などという会話があったりしたのだった。

 二人は今日は身軽な愛車に跨り江の島を目指した。横浜の南西で高速道路を降りて下道を走る。しばらく行けば、南国ムード漂う藤沢、湘南が見えてくる。

 

「列車が来てる。タイミングいいねぇ私達」

 

 ちなみに、飛鳥の一人称は“私”である。仕事ではいつも一人称が私であることが影響しているのだろうが、女の姿になった現在では意味合いが少し変わってくる。たまに本来の一人称らしい“僕”も使うがそれはそれで意味合いが違うことになってくる。

 湘南名物の江ノ島電鉄が路面を走っているのをかすめるように進路を変更して、江の島へと向かっていく。正面に江の島と言えばこれであろうという江の島シーキャンドルが入ってきた。そのまま、江の島本島に続く橋を低速で流していく。

 

「こっちの方が涼しくないですかねぇ」

「東京はね…………温度がぶっ壊れてるから。風が通らないのが悪いんだよねぇ」

 

 不思議と言うか必然と言うか南国のイメージの強い湘南、藤沢近辺の方が涼しい。風が通るせいであろう。東京都心は一説によると湾岸に建物を建てすぎて風が通らないと言われ、そのため暑いのだと。

 本島に入って左方向に曲がれば、バイクを止めておける場所がある。だが今回は宿に泊まることになっているので、左折してから宿へと入っていく。時間帯はまだチェックイン前だが、止めることくらいは許されるであろう。

 バイクをバイク置き場に置くと、二人は宿の扉を潜って受付に向かった。

 制服姿の女性が一人で受付で業務中だった。飛鳥がひらひらと手を振りつつ話しかける。

 

「二人で今日予約入れてた多治見と瀬戸ですけどぉ、お姉さんまだチェックインには早いけどバイク止めさせてもらってもいいですかね」

「確認しますね………一部屋でご予約の方ですね、大丈夫ですよ。所定の場所に止めていただければ」

「ありがとうございます。ちょっと遊んで戻ってきてチェックインしますわ」

 

 会話を聞いていた瀬戸は違和感を覚えたが、すぐに気が付いた。女性と一つの部屋で泊まるのはまずいのではないかと。だがもう予約は入れているらしい。すたすたと歩いて行ってしまう。

 

「一部屋で泊まるってまずくないすか」

「なにが~?」

 

 のんびりとした返事をしてくるので、ごほんと咳払いをしてから意見を申し立てる。

 

「いちおうは男と女で泊まるわけなんでさ………多治見さんまずくないすか」

「瀬戸君が僕のことを襲ってくるならわかるけどさぁ、そこまで自制心のない人間じゃないでしょ。二部屋取るなんてもったいないよぉ。今までそうしてきたんだし、別に一部屋で泊まっても問題なくない?」

「うーむ、多治見さんが言うならそうしますけど」

 

 バイクへ戻り、荷物を整頓する。暑苦しいジャケットは脱いでしまって、軽装備で挑む。

 

「ふう」

 

 おもむろに飛鳥がジャケットを脱ぐと、『SUGOI DEKAI』とプリントされたシャツが現れる。

 

「でかくないこれ?」

「あのーセクハラやめてくださーい」

 

 瀬戸は、飛鳥が文字通りの大きな胸を前かがみでウィンクするという古臭いポーズで強調してくるので、目線を逸らして対応することにした。

 見覚えのあるシャツだ。何かの漫画だかアニメのキャラが着ていたシャツだったはずで、わざわざ買ってきたのだろうか。

 その上に麦わら帽子をかぶり始めると、なるほど様になる。見た目麗しいだけに何を着ても様になるのだが、夏と言う情景に一層似合っている。

 瀬戸もジャケットを脱いでバイクに引っ掛けると、ウェストポーチを付け、隣に並んだ。

 

「行きましょっか、じゃ」

「そうっすね」

 

 江の島は一見すると高低差のない島に見えるだろうが、実際には違う。46mも高低差があり、これを登ろうとするとなかなか体力を使ってしまうのだ。

 江の島入口まで歩いて数分。戻ってきたところに風情を感じさせる青銅鳥居が立っており、休日だけあって観光客でごった返している。鳥居の奥には弁財天仲見世通りがあり、各種土産屋や食事処が並んでいて、江の島の頂上にあるサムエル・コッキング苑への道が広がっている。

 休日はまだ始まったばかりだが、今日はどれくらい遊べるだろうか。

 脳内で江の島をどう巡ろうかを考えつつ、まずは自動販売機で冷たいスポーツドリンクを二本分買うと、開幕から土産物を見ている飛鳥の手に握らせた。

 

「ちべたっ!? くれんの? ありがとうねぇ」

「熱中症は怖いすからね」

「そーね。熱中症になりかけながらのツーリングも楽しいけどさ」

「それはあんただけだよ……」

「ぶへへへ」

 

(いやこれさ)

 

 白い歯を覗かせて風に麦わら帽子を押さえる飛鳥を見つつ、自分も一口スポーツドリンクを飲み、思う。

 

(これデートじゃん……)

 

どんな展開がいいのだよ?

  • ツーリングしまくれ
  • キャンプしろ
  • いちゃいちゃさせろ
  • R18版まーだ時間かかりそうですかね?
  • とにかく書け
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