ツーリング・キャンプ仲間のおじさんがピンク髪の美少女になってた件 作:キサラギ職員
「はえー登山。そっちの趣味はないですわ。めっちゃキツイイメージが強くて二の足を踏んでるというか」
「鍛えればそうでもないと思うけどなぁ。この体じゃへろへろで高尾山が関の山だろうけどォ。とにかく歩く練習をしていって徐々に慣らせばいけるっしょ」
「登山やってる人のいけるは一般人の無理に該当するんだよなぁ」
「いけるいける。初心者向けと言えば富士山……!」
「無理無理無理無理!」
実は昔登山もやっていたという話に相槌を打ちつつラムネのソフトクリームを舐める。
一方で飛鳥は抹茶のソフトクリームを舐めていた。
タイムズマート飯能店。商店街の通りに位置するこの店も例のアニメの聖地として知られている。残念ながら元の場所から移転してきているので、アニメそのままの風格ではないが……。今は多種多様なアイスクリームを楽しめるお店として繁盛している。
「じゃいきましょっか」
「そうっすね」
目的地はここではないので一休みはこの辺にして、バイクに跨る。
高麗川をさかのぼるような形で北西へと下道をトコトコと走っていけば、秩父盆地へと出る。水の浸食作用で作られた面白い地形を楽しめる場所で、素直で走りやすい道が多く、ライダーのメッカとしても知られている。
瀬戸は左右に振れる道に合わせて車体をバンクさせつつ、インカムに話しかけた。
「それで今日どこに泊まるんすか」
「いいとこ見つけたんだよねぇ」
「六百円で泊まれるんでしたっけ。不安しかねーや」
いいとこ。飛鳥が言い始めるいいところというと余りいい思い出がない。どう見てもただの高架下だったり、死ぬほど寒かったり、カップルがいちゃつく公園だったり、そのセンスのなさはある意味天下一品で、今回も任せてしまったが無事に帰れるのだろうか?
秩父市内に入った。盆地であることを強調するかのように、周囲を見回すと山が聳え立っている。石灰岩を採取しているのだろうか、山肌が段々状に削り取られている部分もある。
「最初は―――――」
瀬戸は口に出しながら予定を思い出していた。
キャンツーは楽しいが計画性が必要だ。日暮れ後にキャンプ場に到着するわけにはいかない。今の時期であれば最低でも午後五時前には到着して設営をしたいところだし、風呂に入るなら早め早めに行動しなくてはならない。
「ちょうどいい時間だなぁ。この線路で待ってみよう」
「あぁSLすかね」
「うん。そのためにちょっと遅めに出てきたんだよね。フッ! 私の計算が正しければあと二、三分でここに到達するッッッ!」
「へいへい。あっ来た」
線路横でバイクを止めて雑談しつつ待っていると、遠くから線路をえっちらおっちら黒煙を吐きながら汽車がやってきた。主に土日を中心に熊谷駅から三峰口駅間を運転しているSLパレオエクスプレスである。予約すれば乗ることもできるが、二人はもっぱら自分で運転する派なので眺めるだけだ。
しゅっぽしゅっぽと蒸気を吐き出しながらゆっくりと黒い車体が通過していく。せっかくなので二人はスマートフォンにその光景を収めた。
二人はバイクに跨ると相談し始めた。
「お次はどこでしたっけね」
「野さかで腹ごしらえしないかぃ」
「豚の……豚の……」
「豚味噌丼やね。やっぱ秩父まで来たらこれ食わなくちゃ。バイク弁当の方でもよかったんだけどどうする?」
バイク弁当 大滝食堂。端的に言えばバイカー御用達のバイクのタンク型弁当容器に豚味噌丼を入れて出してくれる食堂である。評判は上々だったのであっちでもよかったのだが、今回は飛鳥の提案でこちらになった。
野さかにつくと、既に人が並んでいる。さっそくバイクを止めると列に並んだ。
「結構並ぶなぁ」
「人気店やからね」
と二人が話している間にも列はつつがなく進んでいき、席に座ることができた。
「大盛り二つください!」
言うまでもなかったが飛鳥も瀬戸も大盛を注文。やってきた分厚い肉の乗った丼に食らいつく。濃密な味噌の塩辛さとうまみに肉汁が絡みつきご飯が進む、進む!
「ごちそうさんでした」
「早い! 早いよ!」
ものの数分で完食して手を合わせる異様な早食いを披露する飛鳥。
対する瀬戸は半分も食べきっていなかったりする。
「さてお次はどうしましょっかねぇ」
「多治見さん食べるの早すぎませんかね」
「ん~? 昼飯とかのんびり食ってる時間がなくて掻き込んで食ってたらこうなったってゆーか。お陰でお腹も大きくなりましたとさ。今は引っ込んでるけど。のんびり食べる練習もせんといかんねぇ、むちむちになっちゃう」
かつての姿ならともかく、今現在の多治見飛鳥という女はスマートで出るところはきちんと出ている理想的な体型である。
瀬戸が箸を止めてぼそりと呟いた。
「太られるのは嫌だな……」
「安心しときなさいって。運動はきちんとしとるよん。体重減って動きやすいんだわこれが。マ、一部分は凸っておりますけども」
飛鳥が口元を緩めにへらーと朗らかに笑った。
それから、すぐにいやらしい笑い方に変貌する。
「みたい?」
「みたくない!」
「うおおおお追いつけねぇぇ!!」
「まだまだヒヨッコだねぇ!」
秩父ミューズパーク。秩父中央に位置する広大な緑地で、各種アトラクション、食事や買い物、散策が楽しめる公園である。
F1リゾート秩父。ゴーカートで遊べる場所にて、一勝負をしようということになったのはいいが、先頭を譲ってもらって発進して十秒と経たずにインからブチ抜かれ、以降アライの高級ヘルメットの後頭部を拝むことしかできない。
「重心移動か!? 重心移動なのか!?」
小柄をひょいひょいと左右に振り回すのをみつつ、見よう見まねで真似してみようとするが、ゴーカートの癖に襲い掛かってくるGのせいでうまくできず、かえって車体が安定性を失う。
先頭を行く飛鳥が声を張り上げた。
「こちとら峠で膝擦り上等してきてんだぁヒヨッコに負けるわけにはいかねぇなぁ!」
「くそおおお!」
ぐんぐんと引き離される。同じ車を使っているとは思えぬくらいに速い。ラインギリギリ擦るような絶妙なハンドルワークで駆け抜けていき、ついにゴール。だいぶ遅れて瀬戸がゴールラインを踏んだ。
降車してヘルメットを取りドヤ顔を晒してくるのが実に腹立たしい。
「峠で~って嘘かと思ってましたわ」
「失礼なガチだぞガチ。ツーストって知ってる? アレのはやーいやつ乗って警察おちょくってたんだぜ。たまにスクーターでもやってたし、まあこんくらいはね」
今でこそ規制速度を絶対に越えない慎重な運転をするが、昔は相当“やんちゃ”していたらしい。
レースで規制速度はない。それがゴーカートでもだ。
「とほほ。約束の六百円……」
「サンキュ。たまにはこういうのもイイネ」
本日の宿代驚異の六百円を取られる。金額としては微々たるものだが金は金である。
「さてと、お次は神社かね。神社行ったら宿向かっても良い頃合い……頃合いじゃない?」
「そうすね。神社って言うとバイク神社? とかいう神社でしたっけ」
バイク置き場に戻ってきた二人はさっそくバイク神社こと小鹿神社へ向けて出発したのであった。
どんな展開がいいのだよ?
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ツーリングしまくれ
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キャンプしろ
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いちゃいちゃさせろ
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R18版まーだ時間かかりそうですかね?
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とにかく書け