ツーリング・キャンプ仲間のおじさんがピンク髪の美少女になってた件 作:キサラギ職員
「今日は短めに……三十分とか?」
「いーよん。あとでねぇ」
神社から南東に戻ってきた二人は、一日の汗を落とすために西武秩父駅前温泉
時間が若干押しているので、ここはささっと入ることにする。長風呂が基本の飛鳥には少々物足りない入浴時間だが、入らないよりマシなので我慢するとする。
「ふろーふろー」
「そっちじゃない!」
「いけねぇ」
いつもの癖で男風呂に入りかけたところを制止され、女湯に進む。
「ふんふんふん」
着替えをしながら、それとなくほかの女性を見てみる。目線があっても悲鳴を上げられることもない。なぜならば飛鳥は今は女性だからだ。
「ぴくりともこねぇや」
女性の裸を好き放題見られたら夢のようだろうなという小学生並みの願望を持っていたが、いざ見られるようになっても食指が動かないのは、自分自身が女になってしまったせいであろうか。仮に男のまま見られるようになったとしても別に興奮で我を忘れるほど
まずは体を洗う。備え付けのボディーソープで肢体を擦り、泡立てて、上半身も綺麗にしていく。大きく張り出した胸元も忘れずに、首も洗う、お尻も洗う。
続いて髪の毛もお湯で濡らして洗っていく。ピンク色の地毛を、特製のシャンプーで油分を落とすように指先を使う。特製というのは、女性もののシャンプーと男性用のスースーする清涼シャンプーを自宅で混ぜて容器に詰め込んだものである。
『刺激が欲しい!』
という欲求にこたえてくれる女性ものがどうしても見つからないので自分で混ぜたのだった。ちなみに育毛トニックも持ってきている(男性用)。これ以上毛が増えると梳かすのに小一時間はかかってしまいそうな毛量であるというのに。
習慣というのは恐ろしいもので、顎を突き出して指で擦り髭を地肌から引き出そうとして全く生えていないことに気が付いた。
毛剃りは持ってきている。一応。使い道は一つだけだが……。
「………」
ぐるりと周囲に視線をやって確認。してる人もいる。してない人もいる。悩んだがここはやらないことにした。やるなら自宅である。
「一般的にはどうすんだろうねぇ、風俗のお姉ちゃん達みたいにすればいいのかねぇ。ハート型とか?」
聞かれたら絶句されそうなセリフを漏らしつつ、湯船に目をやる。
さてと。髪の毛を頭上でくるくると一纏めにして、クリップで留める。見よう見まねである。立ち上がると湯船へと近づいて、湯温を確認。タオルを取ってそろそろと右足から順番に入浴開始である。
「ぷはー……いぎがえ゛る゛……」
などとゆっくり浸かっていると、時間が押してきた。湯船から上がると脱衣所に急いだ。
「酒、肉、つまみ、明日の朝食と………」
夕方前のスーパーマーケット。買い出しを済ました二人はキャンプ場に向かうところであった。
「いこーか」
「そうすね」
向かう先は秩父の西にあるキャンプ場である。
「その、名前聞いて調べてみても全然情報でてこないのは大丈夫なんですかねぇ」
「最近できたばかりみたいだしね。だがそれがいい」
距離としてはさほど離れているわけではないが、のんびりしすぎていると日が暮れて設営が困難になる。キャンツーの厄介なところはそこだ。これがキャンプではなく宿やネットカフェであれば、夜に到着しても寝床にありつけるのだが、自力設営を考えるならば夜の到着は厳しい。仮にできてもゆったりと時間を過ごす暇なく寝ることになってしまう。
荷物を後部のボックスに入れた飛鳥は、ひょいと軽業師のように巨体を誇る車体に跨った。足はかろうじてついている程度で、倒れてしまいそうだった。
「しかも六百円で寝泊まり出来て薪使いたい放題やで。すごくない?」
飛鳥はぺちぺちとハンドルにマウントしたスマホを指で操作しつつ言う。
「いいっすねぇ! ちなみに水場は」
「ぶへへへへ!」
「ぶへへじゃねぇよ!」
不穏な笑い声に突っ込みを入れつつ瀬戸もバイクに跨りキーをひねりエンジンをかけた。
ドルン! エンジンを唸らせスーパーマーケットから出発する。
ドドドドドという車格の割には小さいエンジン音と、ドッドッドッドッという車格に見合ったエンジン音が協奏曲を奏でつつ、スーパーから遠ざかっていく。
「そこ左折ー」
「はーい」
今回は、先頭を行くのは飛鳥である。幅寄せ、巻き込み確認、徐行、きっちり基本を押さえた動作で左折すると、ギアを上げつつ加速していく。後からスズキのアドベンチャーが追従した。
しばらく行くとコンクリートで補強された斜面と、片側は伐採された森という風景に変わっていく。明らかに人の手が加わっている森である。
「ちょっちおじさんは料金払ってくるから先行ってて。この道まっすぐ行けばいいから」
「はいよ」
この道をまっすぐ。言われて向かった先は『本当にこの先にキャンプ場があるのか』という疑問が湧き出る林道に出る。さらに進んでいくとスクラップヤード(?)が見えてきた。看板も何もなく、大型のテントが設置され、廃車が並び、かと思えば大型のストーブ、冷蔵庫の残骸などが並んでいる。ぽつんと佇む野外トイレが侘しさを醸し出している。
「えぇ………ここ?」
ここはスクラップヤードであってキャンプ場ではないのではないか。道を間違えたのではないか。
しばし呆然としていると背後からエンジン音が接近してきた。
飛鳥だった。カパッとヘルメットのシールドを開くと、隣で停車する。
「ここ、ここ。お金は払ってきたから。ついでに貸し切りだから」
「マジすか」
「マジです」
「住めば都って言うでしょうよぉ」
「そらそうですけど」
ここがキャンプ場らしい。まだできたばかりで設備と言えば、トイレ! 水場! あと薪置き場! 以上! というワイルドな場所で、玄人向けキャンプ場として界隈では話題になっているらしい。
今日はたまたま貸し切りだったので、二人で場所を占有できる。とりあえずトイレと水場からそこそこ近い立地にテントとタープを設置すると、その辺に転がってきた切り株をテーブル代わりに場を整えてみる。
「今日は二人きりだってさ♥」
「………」
「何とか言ってよおじさん寂しいよ」
「何を言えばいいんだよ……」
猫撫で声を使い始めるので対応に困りぼんやりしていると肩をぺちぺちと叩かれる。
二人きりのキャンプ場。これは相当な幸運であるが、何やら緊張感がある。
「熊とかでないですかね」
そう、野生動物の襲撃である。山で気を付けるべきと言えば熊、猪、小型ならば蛇だろうか。蜂もいるしヒルもいるがここでは割愛する。
キャンプ場は山中にあるのだ、熊だって出てくる可能性は皆無とは言えないだろう。
「あ、スプレー持ってきてるんだよね。ホラこれ」
「効けばいいけど………トウガラシかぁ」
「効くっしょ。効かなかったらその時は瀬戸君はおじさんと一緒に死ぬのよ」
「ええ……」
飛鳥が熊除けスプレーなるものを見せつけてくる。準備がいいが、通用するものなのだろうかと成分表記を確かめる。トウガラシ。なるほど、効きそうだ。
時刻はもう夕方だった。焚火の準備に取り掛かる。今回は瀬戸が準備を行うことになった。
「一本飲んどくかーい?」
「メシの時でよくないすか?」
飛鳥が銀色のやつ(500ml)をクーラーボックスから取り出してきたが、首を振った。
「そーね。私も焚火の準備をしますかね」
「あ、それ俺やるんで、料理つーか肉焼く準備してもらっていいすか」
「おーらい」
キャンプと言えば肉、肉と言えばキャンプ。
夜の楽しみとして買ってきていた肉を焼こうと、飛鳥が準備を始めた。
どんな展開がいいのだよ?
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ツーリングしまくれ
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キャンプしろ
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いちゃいちゃさせろ
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R18版まーだ時間かかりそうですかね?
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とにかく書け