ようやく暇ができたので投稿を再開します。感想などもお寄せ下さればすごく喜びます。
──大洗町・発砲禁止区域──
先程まで試合会場としてあらゆる箇所で戦闘が行われていた市街地では、被害がない発砲禁止区域の道路上で、見せしめと言わんばかりの“アレ”が行われていた。その様子を遠巻きながら眺める聖グロの何人かはマイセン焼の高級ティーセットを広げ、優雅にお茶会を開いている。
「ウェールズさん……いったいアレはコンプライアンス的に大丈夫なんでしょうか?」
と、オレンジペコは紅茶を飲む手を止め、ある意味
「まあ問題はないんだろう……多分。だが正直──あれだけ挑発したとはいえ、あちらの惨状を見るとさすがに申し訳なくなってきたな……」
いくら戦う前に散々煽ったとはいえ、彼とて一人の男子高校生、彼女らの格好と踊りを見ては申し訳なくなるのも仕方がない。
「しかし挑発したせいでうちが負けていて、“アレ”をやらされていたらと思うと……寒気がするな」
「いえ──データによれば、ウェールズが挑発しなかったとしても、私たちが大洗に負ける確率はそこまで高くありませんでしたし、あなたの杞憂でしょう」
「そうですわ!私たちのクロムウェルは最後に撃破されましたけれど、結局チャーチルは健在でしたもの!」
「馬鹿言え……あっちは素人なのにこっちのマチルダを2輛も撃破したんだぞ。いいか?
聖グロは各々の個性が強く、隊長である〝格言
「なんというかまあ、予想できた結果ではあるんですが……流石に可哀想ですね……」
そう、先程まで大洗の38(t)戦車に乗り聖グロリアーナと戦っていた男、〝
「あら、我々が匿っていなければ、今頃櫻井さんは本来あちら側で踊っているはずでは?」
「は、はは……まあいずれにせよ、僕はあとでこってり油を搾られることでしょうね」
櫻井が乾いた笑い声を洩らし、ダージリンが悪戯っぽく微笑む。
「あとで全員の前で独りあんこう踊りぐらいは覚悟しておいた方がよさそうですわね」
「誰が得するんですかそれは……」
「あら、少しは彼女たちの鬱憤も晴れるでしょう。なにせ一人だけ
「ま、まあ、ともあれ──今回は対戦ありがとうございました」
櫻井は半ば強引に話を逸らす。今から「独りあんこう踊り」のことなど想像したくもないといった顔だ。
「話を逸らしましたわね……まあいいわ。ええ、こちらこそありがとうございました。なかなか楽しめたわ。あれはあなたの指導の賜物かしら?」
「いえ、僕は編入されてからまだ浅いので……みほ──いえ、西住の指導が大きいでしょうね」
「みほさんの……なるほど。それで?全国大会には出場なさるのかしら?」
「さぁ……今は何とも。まだ弱小ですので」
「そう。もし出場なさるなら、また戦う機会があるかもしれませんわね。その時はもっと楽しませてくださいな。いいこと?『犬の喧嘩において体のサイズは必ずしも重要でなく、闘争心のサイズこそが肝心である』のよ」
「
櫻井が言い終ると、ダージリンは唐突に後ろの籠から箱と手紙を取り出した。箱の正体は、縁が唐草模様で彩られた美麗なラベルに包まれた紅茶
「これをみほさんに渡しておいてくださらないかしら」
「これは────ええ、確かに受け取りました」
「よろしいわ。では仕切り直して、紅茶を一杯いかが?自家栽培の美味しいアッサム・ティーが入っていますのよ」
──大洗学園艦・第IV娯楽区画──
さて、親善試合の日の夜――聖グロリアーナのお茶会で優雅に紅茶を飲んでいた時とは打ってかわって、俺はあんこうチームの面々──主に沙織──からきついお叱りをうけていた。
「……だからね、いくらダージリンさんに誘われたからって勝手に罰ゲームを抜け出すのは絶対ダメなの!わかった?」
「誠に申し訳ない」
「わかればいいの!──じゃあ、今度みんなの前であんこう踊りね!」
「……は?」
どうやらダージリンの冗談が現実となったようだ。沙織が悪戯っぽく笑う横で、みほが苦笑いをしている。──おそらく助けてはくれないだろう。今の俺の顔はさぞかし蒼いにちがいない。
「あ、
途方に暮れる俺の精神に、
「……そうだ、そういえばダージリンからこんなものを預かっていてな」
そう言って俺はみほに手紙と紅茶罐を渡す。全員の視線がいい具合にみほの方に誘導され、彼女のもつ紅茶罐に視線が集まる。
「これ、は──」
「西住殿!それは聖グロリアーナが好敵手と認めた相手だけに贈るといわれる紅茶では!?」
「「えっ!?」」
みほが絶句するなか、優花里が興奮気味に解説を挟み、華と沙織が驚愕をあらわにする。当然と言えば当然だ――結成から間もない弱小チームに天下の聖グロが「紅茶罐」を渡すなど、古今未曾有のことなのだから。
「幸先がいいな。チームの士気も上がること請け合いだ――」
そこまで言って、俺の口は
曇った俺の顔を皆が一斉に見つめ、何事かと眉をひそめる。
「あの……櫻井殿?どうかしましたか?」
「い、いや――なんでもない。少し考え事をしていただけだ」
そう言って、俺は平静を装う。だが、俺の長年の勘がけたたましく警鐘を鳴らしていた。
──
出来のわるいB級ファンタジー小説でもあるまいし、こうトントン拍子に事が進むのは
いや、よそう。昔からの悪い癖だ──良いことが続くと、その
※筆者が現時点で書く気をなくしているので「戦車紹介」はお休みです。気が向いたら追加しますが期待はしないでください。
※また、レオパルトさんから修正依頼が入ったので後半部分削除・改変および第11話削除を行いました。