大洗に現れた山猫   作:レオパルト

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Leo - [未記入]

Rei - おひさしぶりです。ようやっと11話です……ただこれから先は更新ペースが落ちると思います。


第11話 This is 戦車道

──試合会場・大洗学園側待機区域──

「Hi!あなたたちが大洗学園teamね?私はケイ、よろしく!」

ザクッ、芝生を踏みしめる音と共にやってきたのは、サンダース大附の生徒たちだった。──ケイと名乗った隊長と思しき金髪の女子生徒は、両手に茶色の紙袋を抱えている。彼女の横では、見下すようにこちらを見る小柄な赤髪と、落ち着きはらって黙々とガムを噛んでいる大柄な超短髪(ベリー・ショート)の生徒がいた。大柄なほうはどちらの性別にも見えるが、着ている制服からみるに女子だろう。

快活に話しかけてくるケイにやや気圧されている俺とみほを尻目に、角谷会長が齧りかけの干し芋を片手に暢気に応えた。

「そーそー。そっちはサンダースの人?」

「Yes!試合前の挨拶をしたかったのと──もうすぐ(ひる)だしお腹すいたでしょ?ウチの拠点(ベース)移動調理車(クッキング・カー)も有るからランチしない?」

そう言いながら、ケイは自らの拠点に対戦相手である俺たちを招こうとする。こちら側に情報を晒しても勝てるという挑発とも受け取れる彼女の行動に河嶋先輩の眼が険しくなるが、ケイの底抜けの明るさに敵愾心(てきがいしん)のなさを読みとった会長は明るい表情のまま返した。

「よろしく~。私は生徒会長の角谷杏、こっちは西住ちゃんと櫻井君ね。んで私の後ろにいる強面が桃ちゃん」

「名前で呼んでください!」

河嶋(かーしま)は神経尖らせすぎ。そのうち禿げるよ?あ、お招きとあらばありがたく行かせてもらうとするよ〜」

会長がケイを誤解して勝手に敵愾心を抱いている河嶋先輩を皮肉まじりに注意しつつ俺たちを紹介したことで、サンダースの三人の視線がこちらに向く。

「Oh!あなたたちが例の二人ね──聖グロリアーナ戦での活躍、見てたわよ!Mihoと……キミ、下の名前は?」

「……惟輝(いつき)だ」

「Itsukiね、覚えたわ!──()()()()、この二人が今回の切札(ジョーカー)かしら?」

「そうかもね〜?でもそれは教えられないねぇ〜」

「あらケチねぇ……lunchのお礼に教えてくれたっていいじゃないの」

「だーめ。それに試合が始まったらすぐ判るでしょ」

「……ま、それもそうね。それにfair playのspiritに(もと)るのもよくないわ」

ケイの言動は一見単純なようだが、その根底に自校への自信に裏打ちされた確乎(かっこ)たる信念を持っているのが伺える──流石はサンダース大附の隊長といったところだろうか。さっさと情報を諦めたあたり、相当の自信があると見ていいだろう。たとえ元黒森峰の選手2人を相手取ろうと敗けはしない──という意志の表れだ。

史実の米国のように物量に物をいわせて攻めてくれば、数で劣る我々は圧殺されるしかない。よくも"fair play"などと言えたものだな──などと考えていた矢先、俺はケイの続く言葉によって自分の浅慮を恥じ入ることになった。

「そっちの車輛は──5輛ね!アリサ、試合には私たち3輛と、あと2輛で出るわ。出場者輛を選んでおきなさい」

「Yes, ma'am!」

俺を含めた大洗学園の面々は鳩が豆鉄砲を食ったような表情をした。無理もない、「物量は正義」的な校風であるサンダースの隊長が、相手チームの数に合わせて自チームの数を減らしたのだ。

「な──なに!?」

「あらItsuki、なにを驚いてるの?」

「い、いや……てっきりお前たちは制限ギリギリの車輛を用意して俺たちを圧し潰すものとばかり思っていたからな。少なくとも、俺ならそうする」

ケイはしばしキョトンとしたような表情をした後、(たが)が外れたように笑い出した。

「HAHAHAHA!そうかもね、確かにそうすれば確実に勝てるかもしれないわ。でもね──」ケイはビシッと俺を指差し、誇らしげな表情で続ける。「This is 戦車道! 戦争じゃなくてスポーツよ? Fair playのspiritで臨むのは当たり前じゃない」

「そう、か……」

俺は小さく呟いた。──黒森峰学園は、相手が豆戦車であろうが重戦車であろうが、持てる全戦力を以て全力で叩き潰してきた。「戦車道(スポーツ)」ではなく──あたかも「戦争」のように。そして俺は、戦車道とは()()いうものだと思い込んできた。

だが、そのような固陋(ころう)な思考をもたない彼女らのような存在が、これからの戦車道を牽引していくのかもしれない……そんなことを考えながら、俺はケイの方に手を差し出した。

「よくわかった。ではお互いフェア・プレイといこう。よろしく」

「Yep! お互い楽しみましょう!」

挨拶を済ませ、サンダースの方へ昼食を食べに行く両チームの面々の背中を見ながら、俺は奇妙な心地よさに浸っていた。

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