淫妖蟲~斬~   作:白ノ兎

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夜倉純の憂鬱の完結!!!


12話:夜倉純の憂鬱⑤

「おえええええ!」

 

 大量の血とともに剃刀を吐き出す夜倉純

 

「はあ!?なんだこりゃあ!?」

 

 その光景に神吊は驚愕し

 

「ええ!?」

 

 アンは目を見開いた

 

 その中で驚かないのは日花ただ一人

 

「げっほごっほっ!はあ…はあ…なに…これ…?」

 

 目の前の血だまりと剃刀に震える夜倉純に日花が近づく

 

「あ~あ…本当はこんなことしたくなかったんですが仕方ないですよね?」

 

 その目を夜倉純に向けて囁く

 

「貴女が強情だからいけないんですよ?」

 

「嬢ちゃん…まさかこれアンタの仕業か?」

 

「その質問にはyesと答えましょうまあ方法は教えませんが」

 

「へ~日花いい趣味してるわね」

 

 各々の冷や汗をかいたり興奮したりしている一行

 

「答えてください、なんでチームメイトを囮にしたり私たちを見捨てたりしたんですか?」

 

「どうして…?」

 

「質問を質問で返すな!疑問には疑問で返せと学校で習ったのか!」

 

「ひい!?」

 

 その日花の豹変に涙が溢れる夜倉純

 

「と言いたいところですがどうして?でしたよね?簡単ですよ」

 

 そして日花は個人的に言いたいセリフランキング第7位のセリフを放つ

 

「質問は既に拷問に変わってるんだぜ?」

 

「がっっ!?」

 

 その言葉と同時に夜倉純の頬から大量の針が生える

 

「さて。この後どうしましょうかね?まず指を切り落としますか?」

 

「っっ!?」

 

「それに目玉をえぐるのもいいかもしれませんね?その後お腹を引き裂いて内臓を搔き回して――」

 

「怖かったのよ!!!」

 

 そして遂に本音を叫ぶ夜倉さん

 

「だってそうでしょ!?捕まったら妖魔を生まされる苗床にされるか餌にされるのよ!?」

 

 そう泣きながら叫ぶ夜倉さん

 

「なるほど…だから負ける確率が高いと思ったらチームを捨てて自分だけ逃げたんですね」

 

 当然といえば当然の理由に特に反応もない日花

 

「そうよ…どうせ負けるのよ?それだったら私だけでも生き残りたい、これって悪いことなの?」

 

 同意を求めるように私たちを見つめる夜倉さん

 

「はあ…なんも言えねえ」

 

「ええっと~これって笑っていいやつ?」

 

 神吊は冷たい視線を夜倉純に向けアンは反応に困ってるみたいだ

 

 その夜倉純の様子を無言で見る日花

 

「私だってこんな仕事したくなかったのよ?でも大学も受からなくて…会社もどこ受けても内定貰えなくて…でもやけで受けたこの会社で受かっちゃって…戦うのは怖いけどでも辞めても他に行くところもなくて…ここでは優秀って言われたけどそれでも貴女達みたいに強いわけじゃないのよ!?自分の命を守って何が悪いのよ!!!」

 

 自分の中にたまってた思いを吐き出す夜倉純その内容にさすがの神吊とアンも複雑な心境のようだ

 

 しかし日花は違った

 

「はあ…そうでしたか」

 

「え?」

 

 夜倉純は日花の目を見るとゾクッと身震いした

 

 日花の夜倉純を見る目は失望、落胆、軽蔑等が混ざり合ったどす黒いものになっていた

 

「な?え?」

 

「貴女がもっと最低な人間だったらどれだけよかったか…貴女がもっと強い意思のある人間だったらどれだけよかったか…貴女が私の逆鱗に触れないもっと単純な人間だったらどれだけよかったか」

 

 その言葉を聞く限り夜倉純の嘆きは日花の逆鱗に触れたそうだ

 

 そのまま日花は夜倉純の首に血威を突き付ける

 

「ひっ!?」

 

「貴女はこの仕事に向いていません今すぐ死んでください」

 

「ちょっ!?待て待て待て流石にやりすぎじゃねえか!?」

 

 死のいきなりの死刑宣告にさすがの神吊も待ったをかける

 

「いえ、この人は他の仕事ができないからいやいや退魔師をやってるといったんです、これは死んでいいと思います」

 

「そ、それの何が悪いのよ…!」

 

「はあ…まだ言いますかですか」

 

 やれやれと夜倉純を睨む日花

 

「この仕事退魔師は命と向き合う仕事です」

 

 それは日花が誇りにしてきたこと

 

「命をかけ命を刈り取るそれが退魔師です」

 

 それは退魔師共通の正義

 

「その神聖な仕事を貴女は土足で踏みにじったのです」

 

 その仕事に誇りを持つからこそ

 

「貴女はこの退魔師という仕事その誇りを侮辱した」

 

 日花はこうして怒っている

 

「……」

 

その言葉に夜倉純はただすすり泣くだけである

 

「退魔師として命を賭ける覚悟がない貴女は退魔師になる資格はなかったんですよ」

 

「覚悟って何なのよ!そんなの私にどう持てっていうのよ!」

 

 そう嘆く夜倉純に日花は静かに口を開く

 

「『覚悟とは己を乗り越え恐怖に立ち向かうこと』です」

 

 その答えにポカーンと口を開く夜倉純

 

「はは…何よそれ意味わからないわ」

 

「でしょうね私はこの言葉の意味理解してますよ」

 

「なんで馬鹿な貴女が理解できて先輩の私が理解できないのよ…」

 

「簡単ですよ私はずっとこの仕事と向き合ってきて貴女はこの仕事からずっと目を背けてきたその違いです」

 

 その言葉にさすがの夜倉純も参ったのか大の字で倒れこむ

 

「はあ…私かっこ悪いな…」

 

 その言葉が流石に堪えたのかそうこぼす夜倉さん

 

「そうですね…」

 

「強くてなりたいな…」

 

「なれますよきっと」

 

「そうかな…私やり直したい」

 

「応援します」

 

「そしたら今度こそ――」

 

 その声は水のように澄んで

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「神吊、アンお疲れ様でした」

 

「ああ、しかし嬢ちゃんが転んだときは流石にビビったぜ…」

 

「迫真の演技だったと思いませんでした?」

 

「いや、そうなんだけどな?事前の打ち合わせと違う行動取らないでくれよ…」

 

「お陰でアドリブをとることになったじゃない」

 

 そう、私とアンの意識がリンクしているというのはもちろん噓であるただ憑いただけでそんな高度な意識リンクが起こるわけないのです

 

「私が攻撃系統ダメになったっていう噓も結局つかなわなかったし」

 

「…なあ嬢ちゃん?」

 

 何か気づいたのか神吊が恐る恐る聞いてくる

 

「なんですか?神吊」

 

「もしかしてだが…転んだのは演技じゃなかったってことは流石にないよな?」

 

「……」

 

 5秒ほどの沈黙後滝のような汗を流し始める日花

 

「な、なななな何言ってるんですか!?」

 

 その言葉に動揺を隠せない日花

 

「え?マジで?」

 

「違いますからね?少し靴紐が緩んでいたとかないですから!?」

 

「いや…そこまで自白しなくても…」

 

「あう!?」

 

 

 

 そうそう夜倉さんの自白についてだが上には報告しないことにした、理由としてはまず忘れてたのだが夜倉さん神吊とアンのこと上に黙っててくれてるのだ、その時点でもし報告したら同時打ちになることになる…おーまいがー。そしてもう一つはもう少し夜倉さんのやり直しを見てみたいと思ったから…かもしれない




こんばんは白ノ兎です!12話夜倉純の憂鬱見て頂きありがとうございます!日花さん結構容赦ないですが実は不器用なだけだったりしますそして夜倉さんは変われますかね~ではまた次回!!
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