ファミリア・テイル   作:烏兎 満

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はよオラリオ行きたい


第一話 オラリオへ

 アフロディーテと出会ってから、今後の方針についてを考えてみることにした。

 

 まず、自分には力なんてものはない。これから噂に聞く神の恩恵(ファルナ)をアフロディーテから授けてもらうと言う話になったのだが、それだけじゃ力は足りないかもしれない。

 

 強くならなければ、アフロディーテを守れないかもしれない。

 

 世界の情勢は6年の月日でかなり安定してきたが未だに安全と言えるほどの治安ではない。

 

 今から6年前、世界は混沌へと落とされた。

 

 世界最強ファミリアのゼウス・ファミリアとヘラ・ファミリアの世界の悲願たる三大冒険者依頼(クエスト)の失敗。

 

 これにより、世界の中心であるオラリオには暗黒期が訪れた。

 

 世界の中心たるオラリオの暗黒期は世界にも影響を与えた。

 

 どの国でも暴動が起き、どの国でも悪が蠢いていた。

 

 

 それから6年。ある程度世界の混乱は収まったが、安全とは言い難い。

 

「で、あなた様は俺と出会った後どうする予定だったんで?」

 

「それはもう………オラリオに行きましょう!(みんな)もそこでうまくやってるって聞いたし」

 

「はぁ、今思いついたのかよ…。まぁ、オラリオなら強くなれるか」

 

「……あなた、まだ十歳なんだからもっと子供らしくしなさいよ」

 

 ロアは顔を顰めて自分の体を見下ろす。そこには、十歳の平均身長よりは高いがまだまだ幼い体つきをした自分の体があった。

 

「いや、ディーテの方こそもっと女神らしくしろよ」

 

「はー?プッチーン、今キレた。あー、私を怒らせてしまったわね?ガキのくせに生意気言って、このアフロディーテ様を馬鹿にしたわね?」

 

 あー、めんどくさ、とロアは心の中で呟きながらアフロディーテの頭を叩こうとしたが、身長が足りずその手は彼女の肩を叩く形で終わってしまう。

 

「はっ、やっぱり子供ね。その身長じゃ私にはまだまだ届かないわよ!オーーーーホッホッホッ、ゲホゲホ」

 

「むせてんじゃねぇか。これからディーテを抜かすからいいんだよ」

 

 と、強がって見せたが内心かなり傷ついていた。アフロディーテを守ると決めた自分が守る対象より背が低いとなれば、示しもつかない。

 

 いや、大丈夫、大丈夫、俺は必ず伸びる、と自分に言い聞かせてからこれからのことを考えるために思考を切り替える。

 

「さて、我が主神がオラリオに行くと言うのなら反対はしないが、本当にいいのか?今のオラリオは落ち着いたとはいえ未だ暗黒期。何があるかわからないぞ?」

 

「あなたどれだけ落ち着いて物事を考えてるのよ…。ふふ、私がオラリオに行けば全員が私の虜になるのよ?私が暗黒期とやらを終わらせてあげるわ!」

 

 相変わらず単純な思考だ、とロアは思いながらアフロディーテに対して一つ自分の我儘を言っておく。

 

「言っておくが、その神の力とやらの魅了を使わないでくれよ?」

 

 そう言うと、アフロディーテは眉間に眉を寄せて訝しげな表情でなおかつ不満そうな顔で疑問を投げかけてきた。

 

「どうしてよ?私の魅了を使えばちょちょいのちょいよ。それに、暗黒期も止められて眷属も増やせる。一石二鳥じゃない」

 

「ディーテが一石二鳥なんて言葉を使っただと…?明日は槍が降るな」

 

「そろそろ殺すわよ?」

 

「あー、ごめんって。だからそうだな、ただの俺のわがままだ。ディーテの眷属は俺だけでいい。それだけだ」

 

 それを聞いたアフロディーテはニヤニヤとしながら、

 

「へー、嫉妬してるのね?あぁ、唯一の私の眷属を嫉妬させてしまうなんて私はなんて罪な女なのかしらっ!」

 

「……そう言うわけじゃない。まぁいい、さっさと恩恵を授けろ」

 

 自分の顔がりんごのように真っ赤になっていくことを自覚しながら、ロアはさっさと服を脱いで恩恵を授けてもらうように背中を向ける。

 

 背中を向けるときに見えたアフロディーテのニマニマとした笑みはとてつもなくムカついたが、少し可愛かった。

 

「神に嘘はつけないのよー?ふふ、本当に罪な女ね私は」

 

「早くしろ」

 

 そろそろマジでイラついてきたロアの気配に気づいたのかステイタスを刻む儀式を始めようとする。

 

「そこの岩に寝っ転がりなさい。そうじゃないとやりにくいわ」

 

「はいはい」

 

 ロア自身恩恵を刻む時の儀式の仕方を正確には知らなかったため素直にうつ伏せで寝っ転がる。

 

 アフロディーテはロアの上に馬乗りになり、自分の血をそのロアの白い背中に静かに垂らす。

 

「どうー?私に乗られている気分は。興奮するでしょ?やっぱり、恋はいいものよね!」

 

「うるさい早くしろ」

 

 自分の腰あたりに感じる柔らかい感覚になんとか我慢しながら、恩恵が刻み終わるのを待つ。

 

「はい、終わったわよー。ふむふむ、いきなり魔法を発現しているなんてすごいじゃない。流石は私の眷属ね!」

 

 魔法。それは精神力(マインド)と呼ばれるエネルギーのようなものを消費して超常現象を引き起こすことのできる力のことだ。

 

 魔法とはとても強力なもので、恩恵を授けてもらったものも最大三つまでしか魔法を覚えることはできない。

 

「それに…………ん、なんでもないわ。これがあなたのステイタスよ」

 

 ボロボロな羊皮紙に雑に書かれた文字を読んだ。

 

ロア・バートハート

『Lv 1』

 力 : I 0

 耐久 : I 0

 器用 : I 0

 敏捷 : I 0

 魔力 : I 0

 

《魔法》

【レイシム・グロウ】

・付与魔法

・雷属性

・速攻魔法

 

《スキル》

【────】

 

 

「おい、この不自然な空白はなんだ?」

 

「あー、それはちょっと失敗しちゃってね。私としたことが手を滑らせてしまったわ」

 

 ロアは、ふーんと興味のなさそうな声を上げた後、羊皮紙を五回六回折ってポケットにしまい込む。

 

「さ、港に向かおう。オラリオは遠い遠い東の海から行った場所だ。生憎と孤児院にいた頃からお金は貯めていたからな」

 

「え、船に乗るの?…やっぱり、オラリオに行くのはやめましょうか」

 

「うるせぇ、方針変えんな」

 

 ロアとアフロディーテはなんやかんやと言いながら、迷宮都市オラリオへの旅を始めたのであった。

 

 

☆☆☆

 

 

 船の上でのこと。

 

「おええええええええええっ!気持ち悪い…」

 

「女神がなんて体たらくを晒してんだよ…」

 

 ロアたちの長い長い船旅では、女神としての尊厳が崩れてしまった(元から崩れていたが)アフロディーテがひどい有様になったが、無事にオラリオ南西にある港町メレンへと到着したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 




心境の変化をうまく書けるように頑張る
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