縦穴の先に辿り着いたロアたちの視界に映ったのは真っ白い壁に囲まれた一つの大きな部屋であった。その光景にロアの頭に最悪の考えが浮かび上がる。
中層の知識を十分に身につけてきたロアは、この特徴的な階層に心当たりがあった。十七階層に存在する部屋全体見渡す限りの白い殺風景。
その名を『嘆きの大壁』と呼ばれ、この空間には一体のモンスターのみが生まれ落ちる。その存在は特定の階層のみに出現する『
そして、十八階層の『
目の前に広がる白い景色とは対照的な灰褐色の巨人がロアたちを待っていたかのように仁王立ちの姿勢をとっていた。
「エウリカっ!」
真っ先にエウリカの存在に気づいたケーレにロアとルドロットもゴライアスを注意しながら、後を追っていく。
酷い状態だった。どこまでも白いその壁はエウリカを中心に大きなクレーターが出来上がっており、辛うじて意識のある状態であった。頭からも血を流しており、ゴライアスに殴られその勢いで壁と衝突したのだとロアは考えると、Lv1のエウリカがゴライアスの一撃を耐えたのは奇跡の一言に尽きる。
「………けー、れ、さん…?」
「よ、良かった、生きてた…!」
意識のあるうちに急いで最後の
しかし、ここにきてしまった以上逃げるという選択肢が消えしまったのも事実だ。もう重傷を短時間で治すことが可能な
他に方法があるとするのならば、『
それをこの状況、この面子でゴライアス討伐は天と地が逆さまになったとしてもあり得ない所業であった。そんなことをするのであれば、自分たちの力で地上に戻る方が手っ取り早く楽である。
─────奴が逃してくれるなら、の話だがな。
こちらを観察するかのようにじっと睨んでくる灰褐色の巨人は、その眼と呼べるのか疑問に思えるほどの濁った瞳をドロドロと輝かせ、その巨体は一歩こちらへと歩みを進める。
「……ケーレ、構えろ。ルドはエウリカを見ててくれ」
心の中で覚悟を決めたロアは、それぞれに指示を出す。ルドロットは未だに心の乱れを拭いきれておらず、今始まる死闘には足手纏いだ。
ゆっくりと立ち上がったケーレは、エウリカを一瞥してルドロットに頼む、と伝えて双剣を抜き放つ。
「……えらいことになったね」
「……そうだな」
「手の震えと汗が止まらないよ。こんなの久しぶりだね」
「冒険者にはこんな危険つきものだ。俺が言えることはただ一つ」
「生きて帰るぞ」
死闘が、始まった。
☆☆☆
酷い頭痛が響くボーっとした頭の中で夢をみる。それは、私がまだ小さな子供だった頃。今もまだまだエルフとしての寿命では、未熟だったがそれよりもまだ幼かった頃。
私は生き物が好きだった。彼らが幸せそうに生きているのをみるのが好きだった。
昔から村から抜け出してはさまざまな生き物と触れ合うのが私の趣味であったそんなある日。一匹のモンスターと出会ったのだ。
モンスターとは危険な存在だ。両親や村の人たちから耳にタコができるぐらい教えられたこの世界の常識であった。
モンスターを見つけた時、私は教えに従って全力で逃げた。全長が四メートルを超えていたので、それはもう顔を真っ青にして躓きながら。
でも、モンスターは追って来なかった。不思議に思った私は恐る恐る振り返ると、悲しそうな瞳で私のことを見つめていたのだ。
私は意を決して話してみることにした。
「………こ、こんにちはっ!」
私の言葉にモンスターは驚き半分、嬉しさ半分って感じでとても面白い表情をしていたのを覚えてる。彼はドラゴンのような見た目をしていたけれど、その瞳には確かな知性が感じられた。
「……僕のこと、怖くないのかい?」
まさか話し出すとは思ってもいなかったため、私は驚きで後ろの木に頭をぶつけたのは悪くないと思う。きっとさっきの彼よりも面白い表情をしていたことだろう。
「ははは! 君は面白くて優しいんだね」
「ん〜! バカ!」
そのドラゴンは緑色の鱗をキラキラと太陽の光で輝かせて、とても綺麗なドラゴンであった。
それが私とこのドラゴンさんとの出会いであった。
彼はカールと名乗り、毎日訪れる私の他愛もない話を笑って聞き流してくれた。彼がなぜこんなところにいるのかというと、このエルフの森の近くにある世界樹が彼に力を与えてくれるらしいが、小さな私にはそんなことどうでも良かった。
「君は面白いね、その紅い瞳もとても素敵だ」
「ふふん、そうでしょうそうでしょう? あ! もしかして口説いてる? ママからなんぱ? には気をつけてって言われてるんだー」
「君が私のこと褒めてって言ったからそう言ったんだよ…?」
困ったような表情を浮かべる彼に私はニシシとイタズラが成功した子供の悪どい笑みを作る。
そこで、ふと思い出したことがあったので気軽に聞いてみることにした。
「どうしてカールは、ここから動かないの?」
「…………それはね、ちょっと転んじゃったからなんだ」
「なにそれー、だっさーい」
「地味に傷つくからやめて欲しいな?」
今の私なら小さな私に色々と配慮した言い方だったということには気づいている。でも、あの頃の私にはそこまで思慮が深くなかったので、本当に転んでしまった間抜けなドラゴンさんだなぁと思い、ドラゴンも人も同じなんだと感じたのだ。
そして、こんな日々がずっと続くんだと心の底から思っていた。
「おいっ! こっちに本当にいるんだろうな!? エルフの森が近くにあるから早く済ませねぇと奴らが来るぞっ!?」
「こっちで間違いねぇ! クソ、デケェ図体のくせに妙に上手く隠れやがって…!」
私たちの森が、燃えていた。カールのところに向かう途中で遠くに煙が見えて、数分後には私の方にまで火の手が迫ってきていた。
頭の中が真っ白になってフラフラと覚束ない足取り。もうどこを歩いているのかもわからなくなって、途方に暮れている私の肺の中に煙が入り込み酷く咽せてしまう。そして、倒れてくる燃えた木に気づくことができなかった。
「ッ! あ、熱い熱い熱い! 痛い痛い痛いっ!」
背中に感じる熱が私の脳に痛みとなって警報を鳴らしてくる。涙と鼻水で顔はぐちゃぐちゃになってしまい、もう意識がいつ途切れてもおかしくなかった。
「エウリカっ!? 今助ける…!」
私を助けてくれたのはモンスターのカールだった。彼は私にのしかかる倒木を顎で丁寧にどかしてくれた。それでも火傷の痛みで我慢なんかできないほどの苦痛を感じていた私は泣き叫んだ。
「う、ああああああああぁぁぁぁ、痛い痛い痛い! パパぁ! ママぁ!」
「………ご、ごめんね、僕には何もできない……」
その時の私から彼の顔は覗き込まなかったが、きっとものすごく悲しそうな表情をしていたのだろう。彼は、何も悪くないのだ。
私の呼びかけに答えてくれたのかママが助けに来てくれた。ママはとっても強い魔法をたくさん使える。だからこの窮地もこの森も犯人さえも全部解決してくれると思った。
でも、現実は違った。
魔法の詠唱を唱え終わった時、私の視界に映っていたカールが歪んだと思ったら弾け飛んだ。それはもう、呆気なく。
その後、耳の奥を貫くような轟音が響き渡り私の意識は完全に途絶えた。
☆☆☆
あれから森はしっかりと鎮火された。そして、私の日常が無事戻ってきた………わけじゃなかった。
カールはもう死んでしまった。ママの手によって。
でも、カールもママも誰も悪くなかった。カールは私を守るために、ママも私を守るために動いてくれた結果がこんなに悲惨なことになるなんて、夢にも思わなかった。
私は塞ぎ込んだ。もう、外の世界に出たくなかった。見たくなかった。
そんな時だった、
物語の主人公であるアルゴノゥトは、ユニークに面白おかしく人々を救っていく。そうか、なるほど、私もこんなユニークささえあれば、ママを上手く説得できたのかもしれない。私が痛みなんかに悶えてなければ、もっとしっかりと話し合えたのかもしれない。
私は、英雄になる。自分の大切な人を守れるように。
ママは最初は引き留めて来たけど、私の決意が堅いと感じたのか止めることは諦めてしっかりと励ましてくれて私は村の全員に見送られながら迷宮都市オラリオを目指した。
☆☆☆
あれから八年の時が過ぎた。ちょっと色々あって遠回りをし過ぎたのだ。一番やばかったのは、お金がなくなって娼婦にさせられそうだったところだが、なんとか逃げ切りオラリオに到着した。
しかし、ここまでの道中で疲れ果てた私の精神は擦り切れていた。何年も自分の在り方を否定され続けたのだ。前よりも自分に自信を持てなくなり、どのファミリアにもいらないと蹴飛ばされ続けたが、ある一柱の神に出会った。
「ん! びびっと来たで! 自分、ウチのどタイプな顔や! ウチのファミリアに入らへんか!?」
なんかえらく胸の薄い神様だな、と大変失礼なことを考えながらようやく自分の入れるファミリアが現れたことに内心感動していると、いきなりもう一柱の神に背後から羽交締めにされた。
「この子はこのアフロディーテが貰っていくわ! さらばっ!」
「あ、ちょい待ちっ!? このあんぽんたん! って逃げ足はっや」
金髪のアフロディーテと名乗ったこの女神様は、とても美しい女神だった。なんでも美を司る神の一柱らしい。
「私の眷属にならない?」
何かものすごい強引さを感じるが、彼女の瞳には本気だという気持ちが見えていた。
「あの、なんで私なんか誘ってくれたんですか…?」
「んー、面白そうだったから?」
「あの神のところ戻って来ますね」
ちょちょちょ! と今すぐにでも戻ろうとする私を呼び止めて、アフロディーテ様は私の目を見て懇願した。思えばあの神もタイプがどうたらとか言っていたので、戻っても意味なかったかもしれない。
「私のファミリア、ロア………団長が言ってたんだけど魔導士が欲しいんだって!? だから、エルフのあなたにそれを頼みたくって……」
アフロディーテ様の必死なお願いに私は応えることにした。この八年間騙されることが多くあって色々と信じられなくなっていたのだが、この神様の言葉を信じてみるのは何かいいかもしれない。何より、必要とされているのはどこか心地よさがあった。多分、この八年間騙され続けたのはこの感性のせいなので自業自得。
「ありがとうっ! よーし、行きましょう!」
それからファミリアの人たちに本当に必要にされているのか不安になり直前で弱音も吐いてしまったが、彼らは優しかった。
嬉しさ半分悲しさ半分だったが、ママと同じ爆発魔法を発現することができた。私はこの魔法を必ずこの人たちのために役立てると決意を固めたんだ。
☆☆☆
私はあの日のことを強く覚えている。中層進出を果たした日の宴会で、彼らと共に盃を交わしたことを。
あの日はあまりにも楽しかった。こんなにも一緒に喜びを分かち合える仲間が私にいたと実感した日でもあった。
そして宴会も終盤に差し掛かりケーレさんとアフロディーテ様が酔い潰れた時、ロア団長が食事の余り物の処理をしていた私に話しかけて来た。
「どうだ? 楽しかったか?」
「はい! 柄にもなく少し興奮してしまいました。私も、何かみんなにできることがあれば、よかったんですが……」
先ほどまで浮かれていた気持ちが沈み込むかのように俯いてしまう。あぁ、私はすぐにネガティブな方向に感情を向けてしまうと心の中で自己嫌悪を募らせてしまう。
「………エウリカ、お前のおかげで俺たちは安心して中層に潜れたんだ。サポーターという役割も冒険者にとっては大事な仕事だ」
「………でも」
「あまり、突っ込みたくないが聞かせて欲しい」
するとロアが真剣な表情を作って、私の目を見て今まで聞かれなかった、聞かせたくなかった私の過去について聞いて来た。きっと、彼なりに配慮しているつもりだったのだろうが、ウジウジしている私に我慢の限界が来てしまったらしい。こ、これを答えなかったら脱退しろとか言われてしまうのだろうか…?
私が団長の質問に答えるべきかどうか悩んでいると、団長は瞑目して悪かった、と口にした。
「無理に聞きたいわけじゃない。ただ、きっとお前がこの俺の質問に答えられる時が来た時には、エウリカはトラウマを克服したということだ。それを他人が治すことは不可能らしい。俺にはトラウマらしいものはないから何とも言えないが、これだけは言っておく」
一呼吸おいた団長は、私の心の奥の奥まで見透かすような瞳で核心をついた。
「仲間が命の危機に陥った時でさえ、お前はトラウマに縛られるのか?」
ドクンと心臓が高鳴る。全身に鳥肌が立ち、最悪の未来を想像する。
こんなにも暖かい仲間たちを私の心の傷一つで救えない未来。
そんなの絶対に嫌だ。
英雄が仲間を見殺しにするのだろうか。私が目指していた英雄はそんな自分の過去に縛られてなんかいなかった。
「答えはお前が出せ、行動で示すんだ。期待してる」
団長はそれだけ言い残すと、お店の会計を行うためにミアさんの方へと進んでいった。
期待してる、か。やっぱり、我らが団長には敵わないな。
☆☆☆
頭がズキズキと痛みを訴えてくる。ひどい耳鳴りの中で大きな地響きが轟いてここがどこなのかを即座に思い出した。
確か闇派閥と戦った後、私がヘマをしてしまい縦穴に落ちて……!
すぐに立ち上がり状況を把握するためにまわりを見渡すと、一つの大きな影が暴れ回っていた。そして、明らかに劣勢を強いられている小さな人影は、団長とケーレさんであった。
「まだ立ってはいけない、ゆっくり休んでいてくれ」
私のすぐそばで看病してくれていたであろうルドロットが寝ているように促してくる。かっちゅうを取り外した表情をよくみると、彼は後悔を隠しきれない顔で歯を食いしばり握りしめた拳からは、爪が食い込んで血が流れていた。
「俺のせいで、兄貴が……!」
ルドロットの言葉を聞いてすぐに団長の姿を捉える。注視して見てみると、彼の手首と膝の間の腕が曲がってしまっていたのだ。団長は残った片手だけを駆使して槍を操っている。
なんということだ。彼は、ロア団長は痛みを感じないのだろうか? 私は彼が曲がっている腕を気にせずにまっすぐゴライアスを見据えていることに戦慄を抱いてしまった。
「俺が、加勢しようなんて考えたから、こんなことに……!」
大体の予想はついた。団長はルドロットを庇ってああなってしまったのだ。
私は立ち上がった。まだズキズキと痛む頭も無視して、『敵』を見据える。
魔法を、唱えよう。
彼は自らの腕を犠牲にして、仲間を守り切ったのだ。私は、彼の期待に応えたい。
それでも、足が震える。あの日のことを思い出すと、正気でいられない。涙が出そう、胃の中を吐き出しそう、絶望が溢れそう……。
いじいじと悩んでいた時、ケーレさんがゴライアスの蹴りに反応できず、地面を数度跳ねながら吹き飛ばされ、勢いの止まった頃には意識はあるが立てそうになかった。彼女は、私に優しく接してくれた一人の先輩だ。さん付けはしないで、と言われているがあんなに私に親切にしてくれた彼女のことを呼び捨てにできるものか。
怒りが湧いてくる。沸々と煮えたぎる怒りは、自分へのものでもあるが、ゴライアスという生物に対しての確かな敵意から生まれるものだ。
私なら、できる。
「【爆ぜよ】」
私の声に気が付いたのかロアは、ニヤリと笑うともう戦うことのできないケーレさんの分まで片腕でゴライアスの相手を務める。よく見れば、彼のゴライアスの重い一撃一撃を槍で綺麗に受け流しているその動きはまるで美しい舞を見ているようだった。
「【強者、弱者も選ばずただ無慈悲なる鉄槌に震えるがいい】」
私の小さな声で。でも、確かな言葉を紡いでいく。狙うはゴライアスの心臓部にあると思われる魔石。私を守るようにゴライアスと互角にやり合う彼の後ろ姿を私は信頼している。
もう、震えも恐怖も私にはない。
「【仲間、同胞、主神。我が至宝を守護せんとする礎となれ】!」
ちっぽけな私の全力の叫びは、この広い空間におおきく響き渡った。その後に聞こえたのは、耳をつんざくようなあの轟音。
でも、もう私にはその轟音が仲間を助ける鐘の音にさえ聞こえていたのであった。
舞い上がる煙の中で、コッコッコッと小気味よく響く足音の方角に視線を向ける。すでに意識を落としてしまい眠っているケーレと彼女を片腕で抱えるロア団長だ。
「見事だ、エウリカ。トラウマ克服おめでとう」
その言葉を聞いた瞬間、涙が溢れて来た。これは、トラウマのものじゃない。涙が勝手に出てくるのだ。
「………すみません、兄貴。俺がでしゃばったせいで……!」
悔しさか無力感かで顔を歪めるルドロットにロアはため息を一つこぼす。
「はぁ、本当だったら殴ってやりたいところだったが、どうにも腕が動かん。どうしてくれるんだ」
「すいません!!」
「………けど、お前が見た限り俺たちは劣勢に見えたから加勢しに来てくれたんだろ? それは紛れもなく俺の実力不足だ。それを申し訳なく思ってるのなら、もうその兄貴って呼び方やめて団長と呼べ」
「ッ! はいっ! ロア団長!!!」
微笑ましい光景だ。その後にルドロットも私を褒めてくれて嬉しかったし、役に立てたんだと思うこともできたが、ルドロットの表情は少しだけ暗かった。やはり、まだ引きずってるのだろうか? そう、私は一応年上なのだ。今度それとなく相談に乗ってあげよう。
受け入れたくない現実は唐突に現れるものなのだと私は思い知らされる。
明るい話で盛り上がっているとき、爆発による霧が晴れた。
そして、霧の向こうには巨大な魔石が転がっているはずだった。あるのは魔石ではなく、巨大な人影。
それに気づいたのは私だけではないようで、団長も穏やかな表情とは一転して険しい表情を浮かべる。
「……今回だけは空気を読んで欲しかったな」
ロア団長はポツリと呟くと、ケーレさんを私に預ける。
私のせいだ。私が仕留めきれなかったから、こんなことに……。
そして、もう一つ最悪なことに気がついてしまった。
「団長、槍は……?」
「………悪いが最後の奴の拳を防いだ際に限界が来た。思い入れのある武器だったが、仕方ない」
そういう意味じゃないのだ。武器がなければ、人間は何もできない。例えそれが神の恩恵を受けている者だとしてもだ。それに、彼とゴライアスとでの実力差は明白だ。
そういえば、彼には強力な
「魔力はもうそこを尽きた。酷使しすぎたせいで……ゴハッ! このザマだ」
団長は血反吐を吐いて自嘲気味に笑い出す。笑ってる場合か。
私は後一発魔法が打てる。打てば
「ルドロット、応戦を頼む。エウリカ、もう一発いけるな?」
「「はいッ!」」
死闘を覚悟したその時、更なる最悪な知らせが届いてしまった。
「おやおや、まだしぶとく生きていたとは。死に様を見ておこうと思ったのですが、中々実に往生際が悪いのですね」
私たちの背後に