神の一手   作:風梨

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約6700字



第10話

 

 

 第二回戦。

 

 勝ち上がった院生たちと、プロ棋士たちの更なる熾烈な戦いが繰り広げられる。

 

 準備時間はさほど与えられない。

 1回戦の対局が終わって、2回戦の対局が始まるまでの間。

 その時間だけが、二回戦に進んだ者たちに与えられる猶予時間だった。

 

 その中でも比較的早く対局を終わらせたヒカルも、その足であかりや奈瀬、伊角、和谷、越智、本田。

 目に付いた対局に顔を出して盤面を見守った。

 

 奈瀬は勝利して、次の対局に塔矢を見据える。

 あかりは敗北したが、冴木四段に褒められた。

 

 ヒカルはその二人以外の盤面を覗いていた。

 

 

(──佐為、伊角さんってやっぱ強いよ)

 

『はい。非常に落ち着いた打ち方をする若者ですね。先ほど対局した村上という者よりも、おそらくは伊角の方が強いでしょう』

 

(だよなー。なんで去年プロに成れなかったんだろ、伊角さん。この真柴ってのより、ずっと良い碁を打つよ。すっごい真剣で筋が通った、真面目な打ち方してるもん)

 

『その真面目さ故に、かもしれませんね』

 

 佐為はそこで一度言葉を区切って、心の内で言うべき言葉をまとめてから再度語り出した。

 

『……彼は、その真面目さ故に些細な事でも受け止めてしまうのでしょう。それは心が未熟という事ですが、しかし、真面目さ故の強さも持っている。彼が安定した実力を引き出せるように成れば、先ほど見た奈瀬でも危ういでしょうね』

 

(……うん。そーだろな、奈瀬もすっげー成長したけど、それでもまだ伊角さんの方が上だ)

 

『はい。奈瀬の穏やかな一手は私もその成長の喜びに震えるほどですが、それでも。──プロ試験では、この者が最大の関門かもしれませんね』

 

(もっと鍛えてやんねーとな)

 

『はい。まだ時間はありますからね』

 

 佐為とヒカルがそんな会話をしている最中でも、伊角の優位は揺るがない。

 そう判断したヒカルはその場を後にした。

 

 

 

(──和谷、か。和谷も良い碁打つよな、オレ好きだよ。友達って事とは関係なくそう思う)

 

『はい。私も同意見です。彼の碁は一言で言えば若い。それは未熟さという意味ではなく、溌剌とした活気に満ちています。和谷は好奇心が強いのでしょうね』

 

(あー、何となくわかるよ。虫取り少年感っていうかさ、そんな感じ)

 

『……ヒカル。それ、和谷本人に絶対言っちゃダメですよ? きっとすごく怒られますから』

 

(わ、わかってるよ、そんくらい。──でも、相手の中山プロ、だっけ。和谷の勢いを上手く凌いでるよ)

 

『そうですね。腕試しのような気配を和谷からは感じます。それを受けて立ちつつも、要所要所でしっかりと締めている。プロのお手本のような碁ですね』

 

(けど、それはまだ和谷と中山プロとの力量差があるってことだ)

 

『それは仕方のない事、と言えれば良いのですが、和谷もプロを目指す身ですからね、そうも言っていられません』

 

(んだな。この対局を活かせるかどうか、って感じか)

 

『大丈夫。彼はいつもヒカルに立ち向かって来ていますから。この対局も糧にして、これからきっと伸びますよ』

 

(だといいなぁ)

 

 

 しみじみと心の内で呟いたヒカルの声は外には漏れない。

 観戦していたヒカルにも気がつかない程に集中して打っている和谷から離れて、ヒカルは別の盤面の観戦に移った。

 

 

 

(……越智も、何だかんだ強いよ。オレから見たら脇が甘いって思うこと多いけどさ、最近はそれも少なくなって来たもんな)

 

『そうですねぇ。『私たち』に散々地を荒らされたからかもしれませんが、あえて地に拘らない事も増えて来ましたね。良い傾向です』

 

(地に拘りすぎだったんだよな、越智って。だから、最近は一皮剥けたって感じだ)

 

『まだまだですけどね。しかし、成長は著しいです。奈瀬ほどではありませんが、越智も伸びています』

 

(めちゃくちゃ負けず嫌いだもんなぁ。甘い手を咎め続けたら、面白いくらいにちゃんと修正してくるもん。指導のやり甲斐があるよ)

 

『……でも。ちょっと、やりすぎちゃったかもしれませんね』

 

(ウン。それはオレも思った。でも、あれくらいで心折れるんならプロになんかなれねーって。現にプロ相手に堂々と打ってるし、大丈夫だろ)

 

『そうですねぇ。ヒカルってば、最初は『根に持って』ネチネチと攻めてましたけど……』

 

(オレじゃねーって。打ったのはお前だろ)

 

『……そう言えば、そうでしたね』

 

(だろ? ほら、次いこーぜ)

 

 ヒカルは佐為に打たせている。

 それは間違いない。

 では、佐為が打ったのに、ヒカルが打ったように感じた錯覚はなんだったのか。

 不思議に思い首を傾げながらも、佐為はヒカルの背を『トコトコ』と追いかけた。

 

 ──『本当』の意味で、二人が共に打つ時はそれほど遠い未来の話ではないのかもしれない。

 

 

 

 ヒカルが次に足を向けたのは本田のところだった。

 院生の中で、ヒカルが注目している内の一人。

 その実力は院生の中では上位に入るが、あまり目立ってはいなかった。

 

(──地味にさ、本田さんも強いよな。他の院生たちの影に隠れてるけど、しっかりした碁を打つよ)

 

『そうですね。派手さはありませんが、堅実な碁を打ちます。彼も未だ自らの完成形が見えていないのでしょうね』

 

(いや、そりゃそーだろ。奈瀬だって、ようやくそのカケラを掴んだくらいだぜ?)

 

『ふふ、そうでしたね。しかし、この道で生きてゆくのなら、いずれ見つけねばなりません。つまり、どのように打ちたいか、です』

 

(……ま、オレはシンプルだよ)

 

『おや。そういえば、直接は聞いたことがありませんでしたが、ヒカルはどんな碁が好きですか?』

 

(決まってんじゃん。シビレるような碁だよ。ギリギリで戦わないと勝ちを拾えないような、ヒリつくような碁が打ちたい)

 

『奇遇ですね、私もです』

 

 二人は顔を見合わせる。

 佐為は嬉しそうに微笑んで、ヒカルは少年らしく破顔する。

 和気藹々(わきあいあい)とした雰囲気だった。

 

 

 

 全ての対局が終了すれば、当然第二回戦が開始される。

 ヒカルもそのアナウンスに従って席に着き、対面に座る、あかりに勝利した冴木四段と向かい合った。

 整った顔立ちに興味深げな色を滲ませる冴木と視線が交わる。

 

 スピーカーから流れる音声が始まりを告げた。

 

『──始めてください』

 

 

 

「お願いします」

 

「うん。お願いします」

 

 ヒカルの一声に、落ち着いた様子で冴木が返答を返した。

 院生とプロの対局であるため、ヒカルが黒番を再度握る。

 気合は十分。

 けれど、急くような碁はもう必要ない。

 初戦は気が逸ったが、2戦目は落ち着いて打つ心算だった。

 

 視線は既に盤面に向いている。

 ヒカルは視線をそのままに、碁笥に手を差し込んで盤面に第一手目を放った。

 

 鋭い手つき。

 迷いのない盤面への向き合い方から、冴木はヒカルへの警戒度を一段上げた。

 プロと対局するなら、多少であれ気負いがある。

 だが、ヒカルにはそれがない。

 まるで絶対に勝てると確信しているかのような気配すら滲んでいる。

 

 冴木はそれを、舐められているとも、若者特有の無謀とも受け取らなかった。

 塔矢アキラの存在。

 それが冴木に『もしかしたら』という可能性を。

 つまり、進藤ヒカルが強者である可能性を脳裏に過らせた。

 

 冴木は微かに緩んでいた気持ちを引き締め直す。

 碁笥から手を出して、解すように握って開いた。

 再び碁笥に手を差し込んだ冴木に油断はない。

 

 冴木がまるで何かを予感するように、しっかりと打つスタンスに切り替わる。

 意気を新たに冴木は握り直した白石を盤面に打った。

 進藤ヒカルに負けない、鋭い手つきでの一手だった。

 

 そこから応酬が始まる。

 一見穏やかに見える盤面も、手数を重ねるごとに複雑に変化してゆく。

 僅か十数手の段階で冴木は自らの直感が誤っていなかったことに気がついた。

 

 冴木は森下九段門下生である。

 その研究会で森下九段とも打ったことが当然ある。

 それ以上の圧力を、盤面から感じた『気がした』。

 

 一瞬だけ手を止めた冴木だったが、その時に周囲の状況を観察する余裕ができた。

 軽く見渡せば、2回戦とは思えない豊富なギャラリーが周りを埋めている。

 緒方九段、記者の天野、1回戦で敗退した村上プロ、先ほど対局した藤崎あかり。

 それ以外にも、ギャラリーが付く事によって興味を引かれた面々が集まって来ていた。

 

 冴木はプロだ。

 ギャラリーを背負っての対局に動揺などする理由がない。

 だが、そのギャラリーの中に緒方九段が混じるとなれば話は別である。

 

 普段から塔矢門下を目の敵にしている森下九段の研究会メンバーの一員であることもあって、その行動原理(興味のない対局は一切見ない)はよく知っている。

 冴木はここまで油断などしていなかった。

 全力ですらあった。

 しかし、『全力』と言い切れるほどの気合は込めていなかった。

 邪魔をしていたのは『院生』であるというフィルターだった。

 それも緒方九段の存在、そして盤面から感じる、先を見通せない朧げな圧力を前に霧散する。

 

 冴木が手を止めたのは一瞬だけだった。

 瞬く間に気を取り直し、闘志を身に宿した冴木は碁笥に手を差し入れる。

 

 この勝負。

 一瞬たりとも気の抜けない戦いになるかもしれない。

 

 冴木は内面でそう直感して、引き締めた表情で盤面に向き合う。

 右手で掴んだ白石の冷たさが伝わる。

 興奮しているのか、掌の熱さがそう感じさせた。

 ひんやりとした心地よい冷たさと共に、冴木は盤面に新たな一手を放った。

 

 

 数十手の手数が積み重ねられた。

 盤面では四方に石が散りばめられ、そこらかしこで黒石と白石がぶつかり合っていた。

 重要である形勢は、やはり黒番優勢で推移し続けていた。

 

 1回戦のような押し潰す気魄(きはく)をヒカルは発していない。

 落ち着いた碁を打っているが、それでも滲み出る強さに冴木はひたすらに押されていた。

 

(強い……。これが院生だなんて。冗談みたいな強さだ。──そういえば、和谷が塔矢アキラのライバルが院生の中に居る、って言ってたか。……それが、この子か)

 

 打てば打つほど、その確信が深まった。

 いや、これは。

 

(これは、塔矢アキラなんてレベルじゃないぞ……!?)

 

 打つほどに圧力が増してゆく。

 徐々に徐々に抑えきれない闘志が溢れるように、ヒカルの碁は厳しく変化してゆく。

 隅の戦いを有利に進めながら、空いた手番で中央に進むための布石を積み重ねていく。

 咎める冴木の一手もヒカルは軽やかに躱して、なおも先手を保ったまま隅の戦いに戻っていく。

 

 盤面が、完全に支配されていた。

 ヒカルが打つたびにその対処に追われてしまい、冴木は応じる形でしか戦うことが出来ていない戦況。

 苦しい思いを抱えながらも冴木は諦める事なく打ち続けた。

 

 展開は緩やかではあるが、真綿で首を絞められるような戦いが続いている。

 何とか打開策を模索しながら打つが、冴木の想像を上回るタイミングで予想外の一手が放たれる。

 この局面でそう打つのか、と唸らざるを得ない一手は一度ではなく複数に上る。

 応手を積み重ねながら、まるで玉手箱から飛び出してくるような興味深い一手の数々ではあったが、観戦しているならまだしも冴木は今、対局しているのだ。

 呑気に喜んでも居られない。

 

 少しでも打開の可能性を探るべく、必死の思いで粘り続けるがヒカルの碁は厳しさを増すばかり。

 そのまま緩めることなく、黒番の圧倒的な優勢で盤面が決定付けられる。

 これ以上の対局は引き際を誤った判断になる。

 素直に冴木は頭を下げた。

 

「……ありません」

 

「ありがとうございました」

 

 要した手数は163手。

 冴木四段の完敗での終局となった。

 対面のヒカルは落ち着きを払った仕草でペコリと頭を下げた。

 対局結果を受けて、周囲は騒めいていたが、冴木はそれに構わず話しかけた。

 微笑んでいるが、少し苦味も混じったような表情だった。

 

「良い対局だった。……院生っていうには、ちょっと強すぎたけどね」

 

「あー、あはは」

 

「悪い悪い。こんなこと言われても困るよな。──進藤ヒカル、か。今日は覚える名前がいっぱいだな、ははは」

 

 そんな会話を皮切りに、これまで沈黙を保っていた周囲の者たちが口々に碁の内容に関して語り出した。

 興奮した様子で、一斉に詰め寄って来て話し出したものだから人が壁のように作られて盤面の周りを埋めていた。

 

「いやぁ! 凄かった! 冴木くんもよく打ったね、特にここなんて、ホラ。中央との連絡を上手いこと取ったじゃないか。あの状況でここまで打てるんだ、私はシビれたね」

 

 篠田先生が興奮したように感想を述べて、それに追従して緒方も所見を続けた。

 

「冴木くんも良い内容だったが、それよりも進藤くんでしょう。四段相手に、圧倒的と呼べる内容ですから」

 

 まるで忖度せずに、本人がいる目の前で『圧倒的』と言い放つのは緒方にしては配慮の欠ける珍しい発言だったが、言い訳をするなら、それだけ進藤ヒカルの打った碁の内容に興奮していたからだった。

 そんな緒方はヒカルに問いかける。

 

「──私を覚えてるかな? 進藤くん。塔矢名人との対局を傍で見ていた男だよ」

 

「あ、ああ! あの時の! ……えーと、塔矢の親父も来てんの?」

 

『キョロキョロ』と周囲を見渡し始めたヒカルに緒方は薄く微笑みながら首を振った。

 

「いや、名人はどうしても予定が空かなくてね。代わりに私が来た、という訳さ。改めて名乗らせて貰うが、緒方精二だ。段位は九段を名乗らせてもらっている」

 

「ど、ども。進藤ヒカル……。い、院生です」

 

「ははは。──いや、すまない。キミを笑った訳じゃないんだ、気を悪くしないでほしい。ただつい、キミほどの実力者が院生だと言うのが少しツボでね。……良い対局だったよ、私が対面に座りたいと『願う』ほどにね」

 

 常ならば、緒方は『思う』と言っていただろう。

 しかし、今回緒方の口から出てきた言葉は『願う』だった。

 それだけ強い興味と関心をヒカルに対して抱いていた。

 

「どうかな? この後一局打たないか?」

 

「い、今からぁ!?」

 

「ああ、そうだ。何なら景品でも付けようか。……そうだな、キミくらいの歳なら寿司……なんてのはどうだろう?」

 

「うぇ!?」

 

「良いところを知ってる。ああ、言っておくが、回らない方の寿司だよ」

 

「……回らない、寿司……」

 

『ジュルリ』と唾液を流しそうな様子のヒカルを見て、焦って両手を『ワタワタ』させていた保護者目線の佐為が、誘惑に駆られそうなヒカルを見てさらに慌てふためいてヒカルの背後から話しかけた。

 

『ひ、ヒカル!? こんな見え見えの誘いに乗っちゃいけませんよ!? ……あ、いえ。打ちたいですが、すごく、すごく!! 打ちたいですけどぉ!! でも、初対面の人にホイホイついていっちゃダメですよ!?』

 

(しょ、初対面じゃないやい。ほら、前に塔矢の親父さんも居たし。悪い人じゃねーよ)

 

『でも! 結局それってヒカルがお寿司食べたいだけですよね!?』

 

(うっ、いや、そーだけどさ……)

 

 迷っている様子のヒカルを察して、緒方がさらにダメ押しの一言を告げた。

 

「ふむ、そうだな。もし一人が不安だと言うなら、アキラくんも誘ってみるかい? 彼なら喜んで付いてくると思うが」

 

「……それなら、良いかな?」

 

『……まぁ、それなら良いかもしれませんね。塔矢がこの者の身を保証してくれるなら、恐らくは大丈夫でしょう』

 

 佐為も打ちたい気持ちが強かった。

 塔矢がいい子であるのは周知であるし、これほどの面前で誘うのだから問題はないだろう。

 ヒカルと佐為は緒方の提案に頷きを返して、どよめく周囲を置いてその場を後にした。

 

「──という事ですから、篠田さん。進藤を借りていきますよ」

 

「あ、え? わ、わかりました。──進藤くん、失礼のないようにね!」

 

 院生師範である篠田も、ヒカルの対局を観戦していたために、緒方から声を掛けられてすぐに応じた。

 そこにさらにもう一つの声が掛かった。

 一回戦で負けたため、同じく観戦していた藤崎あかりだった。

 

「あ、あの! ……私も、私も連れて行ってくれませんか!」

 

「キミは、院生かな? 進藤くんの友達かい」

 

「ウン。えっと」

 

(緒方、だったよな)

 

『はい。その名前で合ってますよ』

 

「緒方。さん、ソイツ、あかりも一緒に連れてってよ。オレの弟子なんだ」

 

「……弟子? ほぅ、それは面白そうだ。いいとも、キミも付いてきなさい」

 

「は、はい! ありがとうございます!」

 

「やれやれ。少し大所帯になりそうだが、まぁいいか。キミと打てるなら安いもんだ」

 

 その後に塔矢アキラを誘って、その場に居た奈瀬明日美も参加する事になって、合計5名の大所帯で一行は移動を開始した。

 現役のトッププロ。

 緒方とヒカルの対局を前に、少女二人と少年一人は興奮と期待に頬を高揚させていた。

 

「──さて。先に腹ごしらえでもしようか。構わないかな?」

 

 ヒカルに否がある訳がない。

『ブンブン』と首を縦に振ったヒカルを見ながら、余裕たっぷりに微笑んだ緒方に連れられて、一行は回らない寿司屋に向かうのだった。

 

 

 






・・・あれ?
どうしてこうなった?

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