僕のヒーローアカデミア~生まれ直した天翼種《フリューゲル》~ 作:暁月鈴
目が覚めると見知らぬ天井があった。一瞬酔った勢いのまま友人の家で寝てしまったのかと考えたが、自分にお酒を飲み交わす友人なんて1人もいないし、そもそも昨日は何処にも出かけていない。だとしたらここはどこだ?
「・・・・・・?」
不思議に思い、体を起こそうとして体重をかけた手は、何にも振れることなく空を切るばかり。その現象に疑問を覚え、ふと下をみると……
なぜだか、私の身体は宙に浮いていた
・・・って、あ、あれ?今、私って・・・
「私の一人称は……って、何ですかこの声!?」
自身の身体が宙に浮いているだけでなく、一人称が俺から私へと変わっていたことを疑問に思い、思わず声を上げる。しかし、今度は自分から発せられる声に驚愕した。普通の男性だった私の声が少女らしい綺麗な女性の声になっていたのだから。驚いて自分の体を見ると体が石化したかのように固まった。自身の腰あたりに翼が生えて、お腹が出る服を着ていた。その上、男性には無い胸があった。
「一体何が起こったのでしょうか……口調まで変わっておりますし……」
今現在、自身の身に起きている現象に驚きを隠すことが出来ずに、私は思わずこう呟く。すると、下の方から『カツン』と何かが落ちたような音が聞こえた。その音が聞こえた場所まで降りると、そこには一つの手鏡と一つの封筒があった。
私は落ちていた手鏡を拾うと、自分の顔を確認するべく覗き込む。すると、案の定と言うべきか。その鏡に写る顔は自分の顔では無かった。
頭上には、幾何学的な模様を描き
長く流れるような髪は、風のない屋内にもありながらもなびき──。
そのつど、プリズムのように光を反射させ、虹のようにも見える。
そして、瞳は琥珀色に輝いている。
空いている方の手で自分の頬を軽くつねると、鏡に写る少女もまた、同じように頬をつねる。間違いない……この少女は私だ。それに、私は鏡に写る自分の姿に見覚えがあった。
「………ジブリール───?」
ジブリール
【ノーゲーム・ノーライフ】という作品に登場するキャラクターの1人で、
今の私の姿は、そんな彼女の姿と完全に一致していた。
なぜ自分がジブリールになっているのか考えていると、床に落ちたままだった封筒がひとりでに浮き上がり、私目掛けて飛んできたため、私はそれを反射的に掴む。そして、掴んだ封筒を見ると、そこには『ジブリール様へ』と記されていた。
「………どうやら、これを読むしかなさそうですね」
そうして、覚悟を決めた私は封筒を開けて、その中に入っている手紙を読み始めた。
『ジブリール様へ』
いきなりの状況に混乱していると思いますが、まず私達は貴方に謝らなければなりません。実は私達の手違いで貴方を殺してしまいました。本当に申し訳無ありません。
そこで、お詫びとして私達は貴方を転生させることになりました。
体については生前の物が消滅してしまった為、貴方の記憶の中からランダムに選ばせて頂きました。知識や力については手紙を読み終わったら貴方の頭に送ります。今貴方がいる場所……【エルキア大図書館】は私からのプレゼントです。ちなみに、転生先の世界は【僕のヒーローアカデミア】という世界になります。
最後にこの手紙は読み終わると燃えて消えます。それでは、新しき
この手紙から察するに私は神々の手違いで死んでしまったらしい。それ以外に今の現状を説明出来るものはないから、手紙の内容を信じる他ない。両親は既に他界し、兄弟とかもいないから、全世のことに思い悩むこともない。そうして、私が自分の状況を理解するのと同時に──
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と、膨大な情報が流れこんできて、今まで感じたことのないような激しい頭痛が襲って来た。常人では即意識を手放してしまうようなその痛みに、私は歯を食い縛って必死に耐えた──。
★
いったいどのくらい時間が経ったのだろうか、私はフラフラする頭を手で押さえながら仰向けに寝転がり、情報を整理しようと目を閉じる。そうしていると、自分の頭の中に凄まじい量の知識があるのに気が付いた。私の知らないはずの情報……先ほどからずっと、無意識のうちに行っていた空を飛ぶ方法に魔法の使い方、更には【天撃】の撃ち方といった、『ジブリール』の持ち得る知識が頭に入っており、好きな時にその知識を引き出せる。
一通り知識と能力について把握し、閉じていた目を開ける。自分の体を見回して立ち上がり、体の調子を確かめた。生前よりも体が軽い。今なら世界大会の全ての競技にだって金メダル獲る自信がある。そう言えば確か手紙に私が今いる場所は【エルキア大図書館】だと書いてあった。と、いう事は?
私は沸き上がる興奮を押さえきれず、翼を広げ上空に飛び立つ。そして、ある程度の高さまで上がるとそこには──
「神様……ありがとうございます❤」
重力に逆らい天井に立つ本棚でうめつくされていた。その全てに本がギッシリ詰まっており、所々に設置された沢山のろうそくが部屋を照らしている。この場所は、まさに【エルキア大図書館】に相応しい場所だった。近くの本棚から適当に1冊取り出して開いてみる。既に頭の中に内容は全て入っているけど読み直すと、また新しい発見があって面白い。
そうして、しばらく本を読み12冊目に手を出そうとして、とふと気が付いた。
「そういえば……まだ一度も魔法を試したこと、ありませんでしたね」
そうして、私は魔法を使ってみようと思い、今まで取り出していた本を全て本棚にしまうと、本棚から離れる。流石に攻撃魔法を試すとなると、この図書館を壊しかねないから、まずは……
「──ふっ・・・!──」
私が知識に従い魔法…もとい結界を発動させるのと同時に、頭上にある光輪が廻り、何かが身体に入ってくる。この入ってきた何かが【精霊】なのだろう。そして最後に、辺りは緑色の透明な結界のような物で覆われる。
これで図書館は大丈夫。そして──
「全力の──『一 % 未 満』で、参ります❤️」
可能な限り威力を落とした『天撃』を放った。五%でも〝海を割る゛ほどの威力を誇る『天撃』。それは勢いよく放たれ、先ほど設置した『結界』に激突。辺りは地を揺るがすような爆音で包まれる。そして──
その結界に、かなりのヒビを入れるに留まった。
「威力を押さえてコレですか……これなら……確か、『オールマイト』に『
前世の記憶の中にある、【ヒロアカ】世界の情報から、その世界において最も強いとされている二人を思い浮かべる。今なら本当に、誇張抜きで彼らを容易く殺す事が出来そうだ。
──と、そこまで考えて私は一つ気がついた。
「そういえば、【原作】はもう始まっているのでしょうか?」
原作開始の合図は、確か【ヘドロ事件】だったはずだ。そうして、私はかなりのヒビが入った結界を解除し、出口を探した。少しの間飛び回って出口を見つけ、扉を開けて──
「───え?」
目に写る光景に困惑した。この図書館の外は、何処を見渡しても海が見えるだけ。つまり、この【エルキア大図書館】は──
某天空の城の様に、海の真上に浮かび上がっていた──。