転生したら、女傭兵二人に迫られてる件について 作:門番A
続くかは気分次第です。
ちなみに私はFGO二部六章が好きです(自分語り)
唐突ですが、何故俺は今修羅場に巻き込まれているのでしょうか。
「ちょっと、何のつもり? 灰色の悪魔って意外に節操ないのね」
左手を握られる。すっごく力入ってて痛いです。後何か、変身してるね貴方。
「彼の面倒は私が見る。キミじゃ力不足だよ」
右手を握られる。こっちもめっちゃ力入ってる。後、何か視界がチカチカしてるんだけど貴方も何か力使ってない?
「……」
俺の前には、二人の女傭兵がいる。
紫色の長髪が特徴的な女性のシェズ――記憶喪失も同然だった俺を拾ってくれてベルラン傭兵団で面倒を見てくれた人。料理も振舞ってくれたり色々と世話を焼いてくれたりと頭は上がらないのだが何かと距離が近い。後、胸の部分の露出結構凄いんで正面から堂々と覗き込むの辞めてもらっていいですか?
緑色の髪で無機質な表情が特徴的な女性のベレス――ベルラン傭兵団が壊滅した時、何故か俺を狙いに来て、あのままどこかへ連れ去ろうとしてきた。そこに駆け付けたシェズとバチバチにやりあい―ちなみに俺も加勢したけど、普通にボコられた―そこから二度三度激突している。
「……あの」
「ウィルはそこにいなさい」
「貴方はそこにいて」
ちなみにウィルとは今の俺の名前です。ベルラン団長がつけてくれました。
正直言うと何で二人がこんな険悪なのか分からないんだよなぁ……。特にベレス先生がやたらと構ってくる理由が分からん。
ねぇ、俺ただの傭兵崩れだよ? そりゃ、この世界がファイアーエムブレムの世界だってことを知っててそこそこやったぐらいの前世しかない一般人だよ?
結局人を殺す事に決意を持てなくて、格闘だったり特注の棒で殴り倒してるだけの軟弱者よ?
「――」
「――」
聞こえてくる声を聞き流しながら、今までの記憶を振り返る。
俺の知ってる風花雪月とは、大きく離れてしまったと思いながら。
「――ウィル、起きてる?」
「うん、まぁ一応」
眠気に抗い、重い瞼を開く。気怠さも残る眠気も毎度の事だが、この体はハイスペックな癖して、こういう所は妙にポンコツなのだ。
目を擦ると、目に映るのは紫の髪。
「……ちょっと、大丈夫? 私の名前言える?」
「シェズでしょ。大丈夫だって、まだそんな年じゃない」
「放っといたら野垂れ死にそうな光景が目に浮かぶわ。まだまだ甘えておきなさい」
三食作ってくれる人のどこを、これ以上甘えろと言うのか。
まぁ、それはさておきとしてそういえば今から仕事だったと思い出す。
「……ねぇ、本当に大丈夫? 酷くうなされてたわ。今までよりもずっと」
「そんなに?」
「そんなによ」
確かに最悪な夢を見る事はある。
森の中で誰かが倒れる夢、血塗れの夢、悲鳴飛び交う夢――人々が死ぬ光景。だからいつも寝起きは最悪だ。
思い当たる節は無いけれど、もしかするとそういう光景をどこかで見たのかもしれない。
――そこまで考えたところで、額を小突かれる。
「相手はジェラルト傭兵団なんだから、休める時に休んでおかないと」
「……」
ジェラルト――その名前が何を意味するのかなんて、言うまでも無い。
主人公であるベレト或いはベレスの父親。そして類まれな実力故に本編途中で暗殺された人。
この世界で傭兵家業を始めて、猶更あの人の凄さを思い知る。もう伝説よ、伝説。
「何、弱気になってるのよ、気合入れなさい。貴方はベルラン傭兵団の切り札なんだから」
「買いかぶりすぎだってば」
シェズから渡された鉄製の棒を受け取る。うん、剣や槍よりもコイツの方が躊躇なく振るえる。
殴る蹴る用の手甲や足甲も問題ない。
これなら多分あの人達相手でも一分は持つ。後は知らん。
「さ、行きましょう。大丈夫よ、ウィル。私がずっと傍にいてあげる」
優しく微笑む彼女の手に引かれて、今回の戦場へ向かう。
あぁ、やだなぁ。戦いたくないなぁ、殺したくないなぁ。もう血を見たくない。
死にたくない。
ジェラルト傭兵団は圧倒的だった。瞬く間にベルラン傭兵団は蹴散らされ、壊滅した。
残るはシェズと俺だけ。
片膝を着く彼女を背後に、棒を構え神経を研ぎ澄ます。
「中々やるじゃねぇか坊主。若いのに大した腕だ」
「……そいつはどうも」
やべぇ、ジェラルトさんクッソ強い。
一撃受けるだけでも、体ごと持っていかれそうな衝撃が走るって言うのにそれが連発してくるんだもん。
そりゃ、やみうごさんも暗殺に走るわ。正面から挑んでも勝てねぇよこの人。
さっきから全神経集中させてるのに防戦一方。どうしろって言うんだこれ。
「だがどうにも妙だな、お前さん……どっかでやりあった事あるか? 俺の槍を、分かってるように受けやがる」
知りませんよそんなの。こっちは生きるのに必死なんすよ。
そう考えた時、ふと――空気が凍えたような錯覚を覚えた。
「――変わる。彼は私が引き受ける」
黒髪、見覚えのある服、変わりの乏しい表情。
ベレス・アイスナー――本編主人公が出てきやがった。
嘘やん、ジェラルトさん一人もキツいって言うのにこっからベレス先生も来るのかよマジかよ。
「おいおい、向こうは終わったのか」
「終わらせてきた。それよりもジェラルト。
早く変わって欲しい」
ベレス先生、やる気満々です終わりました俺。
あぁ、でもどうにかしてシェズだけでも逃がさないと。
「……そうか、その坊主は中々やる。油断するなよ」
「知っている」
去っていくジェラルトさん。
さて、ここからどうしたら生存ルートに行けるかな。
「……」
「――」
ベレス先生は構えない。けれど、油断はしない。
相手は主人公であるからと言って、俺を殺さない理由など無いのだ。ましてや生徒と戦うこの世界なら、至極当然の話である。
「……ああ、やっと」
「……?」
何故か歩いてくる。殺意も何もない。
ただ俺を見つめながら少しずつ。
どうするべきか、どう対処するかを考えてる間に気が付けば手が届く距離まで近づいていた。
「……キミはいつも変わらないね」
「へ?」
「大丈夫、今度こそ救う。何としてでもキミとの未来を掴んで見せる」
頬に手を伸ばされる。
え、ちょっと待って顔近い。めっちゃキレイ。
ねぇ、ベレス先生何で俺の首に顔を近づけて――。
「――女の匂いがする」
「はい?」
「私以外の女と寝たの? 答えて」
「え、ちょっ」
「答えて」
何で浮気バレたみたいな会話になってるんすかコレ。
途端、ベレス先生の殺意が背後へ向いた事を察した。
「ああ、そこの女だね。許せないな」
「!」
今、言葉の内容や経緯はどうでもよい。彼女の敵意がシェズに向いた。
マズい、それはマズい。目の前で恩人を殺される事だけは看過できない。
「何で、庇うの?」
「恩人だからですよ。殺される訳にはいかないんです」
見えたのは崖。確か下には川が流れている事を思い出した。そこそこの深さはあった気がする。
シェズはまだ満身創痍。ベレス先生は戦ってすらいない。加えて、俺程度の腕で勝てる筈もない。
ならばやるしかないだろう。
「!」
「抱えるぞ!」
咄嗟に離れて、シェズを抱えた。そのまま崖目がけて走る。
先ほどまで彼女がいた場所の地面が、砕かれた音がする。
「ウィル、何を」
「ごめん、これしか浮かばなかった」
彼女を強く抱きしめて、崖から飛び降りる。
川の激流に体が流されていく――そこで意識は閉ざされた。
あぁ、はいそんな事もありましたね。
それから何故かシェズが覚醒して変身みたいになって俺を川から救ってくれて看病までしてくれましたね。
そこから急に彼女の独り言が聞こえてきたけど、多分あれだなぁ。ソティス見えてる先生と同じ現象起きてるのかな。
シェズにベレス先生との関係を聞かれたり―マジで身に覚えがないのを説明して納得してもらうまで半日かかった―、彼女と修行の日々を送りながら傭兵家業で食いつないだり。
そうして、士官学校の級長三人と出会って。士官学生になって……。それで、戦争が起きたりして。
目まぐるしい日々だったのだ。激動の日々だったのだ。
そうして、またジェラルト傭兵団と何度か激突して。シェズとベレス先生が本気の殺し合いをする中で、どっちも死なせたくない俺は何とかして誤魔化し誤魔化し立ち回って。
やっと、陣営にベレス先生とジェラルトさんが来てくれて。
――今に至る。至るのだけれど、ベレス先生がイメージとほぼ違う。
「ウィル、教えて欲しい事は無い? 何でもいいよ、訓練なら付き合おう。お茶でも雑談でも遠乗りでも構わない。
寧ろ行こう。時間ならいくらでも作るよ」
めっちゃ俺に構ってくるやん、支援会話埋めたいって思うぐらい迫ってくるやん。
「ウィル、私が先約でしょ? 前々から言ってたけど?」
いや、それ多分ルーチン的なアレなんすよ。
あぁ、今日も女傭兵二人が迫ってくる。
なんで?
そして私は、水面に沈む小さな蛹の夢を見る。
ウィル
風花雪月は前世である程度やっていた記憶があるオリ主。覚えているのは、傭兵団に拾われた時からで、それ以前の事は覚えていない。
何故かシェズ(女)とベレスがクッソ重感情ぶつけてくるから困惑している。
得物は格闘と槍紛いのただの棒。魔法は頑張ったら行ける。
本人の記憶では戦闘経験はそんなにない筈だが、そこらへんの騎士なら一蹴してしまう程強い。
森の中にいると不安になる。血と死体を見るのが苦手。でも仲間が戦ってるなら、何とか頑張って自分も戦うタイプ。戦闘後は仲間に見られないところで吐いてる。
紋章(?)
味方が使う英雄の遺産の威力を大きく増加させる。敵が使う英雄の遺産の威力を大きく減衰させる。
風花雪月本編では、如何なるルートを辿ろうとも決戦前に必ず消失する。