転生したら、女傭兵二人に迫られてる件について   作:門番A

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遅筆かつこの話量以上に膨らませられない自分が恨めしい……。
後、2,3話程したら結構急展開になる可能性が高いと思いまする。


アヴァロンルフェ朗読劇すっごく良かった(自分語り)


黒鷺

 

 

「ねぇ、ウィル。今いいかしら?」

「うぇっ、何でしょうかエーデルガルト様……? 殿下? 皇帝……?」

「今はただの士官学生よ。貴方と同じ立場なんだからかしこまらないで。自然体でいて頂戴」

 

 武器の手入れをしてたら、突然後ろからエガちゃんに話しかけられて変な声を上げてしまった。

 今まで何度か共闘した事あるから、初めましてではないけれどさすがに級長と話すのは緊張する。後、クロードとかは何を考えてるか分からないからどこか苦手。

 不思議とディミトリはそうでもないんだけどなぁ……。

 

「単刀直入に聞くけれど貴方とシェズ。帝国で腕を振るってみる気はないかしら?」

「……随分直球ですね」

「それだけ真剣に考えてるのよ」

 

 エーデルガルト――風花雪月において重要となる人物。彼女の一声で帝国は戦争を宣言しフォドラに混乱を齎す事となり、多くの悲劇が起こる。

 今の段階で彼女がどう考えているかは分からないけれど、そう遠く無いうちに決起するのは違いないと思う。彼女の壊したいモノが自然に消滅しない限り。

 

「ええと、お声を掛けて頂いたのは有難いんですけど……俺戦う事しか出来ない人間ですよ。

 そんな人間が必要になる未来が来るって事ですか」

 

 少し遠回しに。けれど彼女の心を探れるように。

 

「……ええ、念には念を入れておきたいの。帝国の中には不穏分子も多い。内乱なんて充分に起こり得る状況よ」

「なるほど、それで」

「答えは……今すぐ聞くつもりはないわ」

 

 話していて感じるのは芯の強さ。そして微かな不安。

 彼女の過去は紋章の実験による悲劇。文章でしか語られていないが、生き物としての尊厳を全て踏み躙られる程の屈辱があったのだろう。

故に目指すのは犠牲となった者達に報いるための世界。自身が諦めてしまえば、彼らの死は歴史の闇に葬られ、忘れ去られてしまう。

 亡くなった人達の想いや無念が、誰にも覚えられないまま世界や記憶から消えていく事。それこそが彼女の最も許せなかった事。

 確かに彼女は戦争を起こした張本人だ。それは紛れも無い事実である。

 でも、ただ戦争を起こしたいだけの人物が五年後の再会を言葉にして願うのだろうか。一人でいる事に不安を覚え、導いてくれる者を慕うだろうか。

 

「いつか聞かせて頂戴。貴方の返事をね」

「……また時が来たら」

 

 去っていく彼女を見送る。

 もし未来が違えば、彼女の学級で共に歩む景色も在り得たのだろうか。

 ――背後から迫る殺気を見なかった事にしてそんな事を考える。

 

「ウィル……浮気?」

「話、聞かせてもらうわね」

 

 いつからいたんすか、ホント。

 

 

 

 

 

 戦いの合間、野原に転がり空を眺める。星の数を数えて眠り、草原を駆ける風で目を覚ます。

 そんな時間が堪らなく好きだった。

 俺と言う異物があるのは何処まで行っても変わりがない。非現実、夢の中――俺が知るゲームの世界に自分がいるなんて事実が未だに受け入れがたいからだ。

 そして過去に人を殺した。自らの手で人の命を刈った。思い出すだけで心の中がぐちゃぐちゃになりそうになる。

 分かっている。分かってはいるのだ。割り切るしかないと。

 

“こんなんでよく傭兵とかやれたもんだよなぁ”

 

 傭兵でありながら自身は死なず殺さずを謳う。

 自分だけが、綺麗なままの手でいたいと願う。

 共に戦い、共に生きる。けれど、心は共に非ず。

 そんな自分がただどこまでも偽善的で、傲慢的で。

 

「気持ち悪ぃ……」

「何が?」

 

 隣に座ってくるシェズ。マジかよ、どうやって気配消してきたん。

 ……そういえば彼女、戦場で普通にワープしてたな。

 

「……さっき食べた物が少し」

「馬鹿ね、嘘つくならもう少しマシなの考えなさいよ」

「……」

「この軍の中じゃ、結構貴方の事見てる自信あるのよ。分かるに決まってるじゃない。

 貴方が戦いを嫌ってる事も、こんな何気ない時間を大切に想っている事も。

 そして灰色の悪魔よりも私を好きな事も」

「ねぇ最後ちょっと待って」

「……今はそういう事にしておくわ」

「あっはい」

 

 せっかく泣きそうになってたのに、全部引っ込んだわ。

 

「割り切らなくてもいいでしょ。今でさえ十分無理してるんだから」

「……そう、なのか」

「重荷になるって言うなら一緒に背負うわよ、相棒だもの。独りにさせないから」

 

 彼女の言葉に小さく息を吐いた。

 少しだけ心が落ち着いたような気がする。

 

「そういえばさ、結局ベレスさんを倒すって事はどうなったんだ」

「その事? ……まあショックだったのは事実だけれど、引きずった所でベルラン団長たちが帰ってくる訳でもないし。

 傭兵ってそういうものでしょ」

「そういうもんかな」

「まぁ、結局は自分が決める事なんだけど」

 

 ――ならばきっと、俺は理由を求めている。

 この世界で自分が生きる理由と、その終わりについて。

 級長達の願いと戦う理由。それに並びうる答えを見つけられるのだろうか。

 そうでなければ俺は、彼らの隣に立つ事すら許されないと思うのだ。

 

 

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