転生したら、女傭兵二人に迫られてる件について   作:門番A

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次話からやっと書きたい話が書けまする…。


金鹿

 

 

 

 

 

 撤退していくパルミラ軍の後ろ姿を見ながら、地面に腰を据える。

 竜騎士の数、半端じゃなかったなぁ……。火とか噴いてこられたら、火傷ではすまなかったんじゃなかろうか。

 

「あー、疲れた……」

 

 今回は傭兵の仕事として、パルミラ軍の撃退を手伝っていた。闇に蠢く者の追討こそしてはいたけれど、一応俺やシェズの形式上は傭兵である。

 レスター諸侯同盟から依頼金を受けた以上、仕事ではあるし力になりたいと思っていた所はある。

 

「お疲れさん、助かったよ。お前さんのおかげで楽が出来た」

「こちらこそ、今後とも何かあれば」

 

 ベレス先生とシェズの二人はお留守番である。さすがに修道院が襲撃される可能性がある以上、全戦力をパルミラ軍の撃退に向かわせる訳にはいかない。

 ジェラルトさんが説得してくれたおかげで助かりました本当。今度お肉奢らせてください。

 

「……ウィル、もし良かったら同盟に来ないか? いい値は約束するぜ」

「雇われるって事ですか?」

「ああ、待遇もきちんと考えさせてもらうさ」

「……あー、今はちょっと保留ですかね」

 

 今は闇に蠢く者との戦いが一段落するまでは落ち着けそうにないのだ。

 気がかりな事はいくつかあるけれど、やはりベレス先生の事がどこか気になる。あの人は図太い神経の持ち主だ。

 そんな人物が、不安げな表情を隠せていない事実を笑って見過ごすなど出来ない。

 シェズにそれを知られたら浮気扱いされそうだけど……。

 

「そうか、そいつは残念だな。お前さんとなら、いい関係を築けそうだと思ったんだが」

「まさか、どこまで行っても傭兵ですよ俺」

「そんな事大した問題じゃないさ。レスターどころかフォドラには訳ありなヤツなんて山ほどいる。

 力もあって心を許せるヤツなんて中々いないんだコレが」

 

 いや、そんなこと言うのなら俺結構怪しい気がするんですが……。

 未だに自分の強さの理由分からないし、過去の記憶も無い。言っちゃなんだが、結構不審な点が多すぎる。

 こう見えて実は敵のスパイだったとか、裏切りポジションの人物なら大分ヘコむ自信がある。と言うか裏切れないし。

 

「……まあ、高く買ってくれてるって事は受け取っておきます」

「おう、頼むよ。中身がいいなら値段は二の次なタイプでね」

「不良品の可能性とてありますが」

「生憎、目には自信があるんだ」

 

 そこまでクロードから評価高い理由は思い至らない。

 多分、面白そうぐらいの理由な気がする。……でも、クロードそういうタイプじゃないような気もするんだよなぁ。

 マジでこの人は、よく分からん。

 

「さあ、帰ろうぜ相棒……はシェズと傭兵殿に殺されかねないな」

「うん、本当にやめといた方が良い」

 

 この前、どっちがパートナーに相応かでバチバチにやり合ってたから。

 

「モテる男は羨ましいね、文字通り両手に花だ」

「片手で簡単に摘める花じゃないけど」

 

 後、結局ベレス先生は俺との関係について話してくれるんだろうか。

 何か知ってるような気配があるのは、間違いないけれど。

 

「……ん、なんだアレ」

 

 クロードが何か見つけたようだ。

 つられて空を見ると、何か小さく煌く光が一つ――否、少しずつその数が増えている。

 アレは、どこかで見た覚えが――

 

 

 

 

「――見つけたぞ、贄の蛹よ」

 

 

 

 

 屯所でふとベレスは空を見上げた。

 何か胸騒ぎがする。こういう時は決まって何か嫌な事が起こる。

 

「急報! 急報! パルミラ軍との交戦を終えた同盟軍が謎の組織から奇襲を受け、被害甚大! 重傷者多数!」

 

 その声に幕から出て、目に飛び込んできたのはボロボロの同盟軍の兵士達。

 命からがらここまで来たと言うのが否応なしに分かった。

 

「これ、は」

『……動き出したか! くそ、狙いはあやつじゃぞ!』

「ベレス殿! 助力願いたい!」

 

 見れば、ディミトリとエーデルガルトの姿が見える。二人とも武装しておりこれから出撃するようだった。

 

「目的は」

「クロード達の救援だ。クロードは軽傷なようで、残った同盟兵を率いてこちらに撤退している。

 それを援護しつつ、敵を殲滅する」

「――ウィルは」

「無事みたいよ。彼も前線で敵を食い止めてくれるみたい」

 

 内心、胸を撫で下ろす。

 だが――闇に蠢く者にとって同盟はどうでも良かった筈だ。今すぐ攻撃する理由は無い筈。

 ならば、狙いは彼だろう。

 

「急ごう、間に合わなくなる」

 

 今度こそ、今度こそ彼を救う。

 

 






「贄を焚べよ、獣共を駆逐せよ」
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