インフィニット・ストラトス・アライズ-Dominater of Battlefield-   作:天津毬

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 お久しぶりです、アマツです。
 …いつの間にか、年も明けてしまいましたね…。
 今年もよろしくお願いします。

 今回はゴーレム戦の翌日のお話となります。





#12 平和と火種

 

4月18日

トキオ自治区・元女島台

────IS学園職員用団地2号棟201号室

 

 ぱちり、と目が覚めた。

 視界に入ってくるのは天井と、内側に少しホコリが溜まった室内灯。

 …ここは布団の上で────ああ、そうだ。

 

「────朝、か…」

 

 眠く重い瞼を擦りながら箒は身体を起こす。

 ────時計の針が指す時刻は午前5時47分。

 本格的に起きるには、まだ1時間程早い。目覚まし時計が鳴るまでまだ30分はある。

 しかし、どうも寝付くことも出来なさそうだ。

 瞼はきっちりと開いてしまい、閉じようとすると余計な力が入って眠れない。

 …仕方がないと箒は起き上がる。

 カーテンを開けると女島台────旧男女群島・女島跡南部の標高140メートル地点に位置する職員用団地は、トキオ自治区を一望する景色が飛び込んでくる。

 コロニア不法占拠時代に改造された旧女島灯台灯台を前身とする職員用団地は、高級ホテルめいた学園の生徒寮と比較すると貧相だが、眺め自体は良いものだった。

 だが、今はあまり見えて欲しくないものばかりが目に映る。

 ────仄かに煙の匂いがする。

 見ると、西側の地平線────昨日激戦区となったアッパーウィンディ区やセントラル区────では、未だに火の手が上がっている。

 消火活動は進んでいない。

 消防活動を担っていた都市防衛隊が先日の戦闘で壊滅したからだ。

 現在では、一足先に災害派遣された陸上自衛隊の消火用バスケットを装備したヘリコプターや海上保安庁の巡視艇に積まれた放水装備による鎮火作業が実施されている筈だった。

 

(…じきに、消火が終わると良いのだが…)

 

 そう内心呟きながら、箒は顔を洗って、食事の準備をしようと身体を起こす。

 普段はナガトが準備しているのだが、今日はそうもいかなかった。

 ナガトは────先日の黒騎士戦で日方風の内装フレームが破損した破片と、少なくないタキオン粒子を全身に浴びた。

 日方風から降りた直後のナガトは酷い有様で、全身から破片とタキオン粒子被曝による流血が確認されていた。

 四肢の切断という事態には至らなかったものの、重傷であることに変わりはなく、しばらく身体を動かす事は控える様にと医者からも言われていた。

 

(いつもお世話になっている分、こんな時くらい役に立たなくては────!)

 

 そう言い聞かせ、せめて朝食くらい作らねばとリビングに続く戸に手をかける。

 ────ふと、リビングの方からギシギシという音が鳴っていた。

 

(そういえばいつもはこの時間帯、ナガトは早朝の筋トレをしていましたね……いや待て、ナガトは今安静にしてろと言われているハズ────!?)

 

 そう思うなり、箒は戸を急ぎ開けた。

 そこには────

 

「────よう、おはよう。」

 

 ────なんでもない顔をして右手で天井の梁を掴み、懸垂をするナガトがいた。

 服装は黒のタンクトップにBDUのズボンを履いただけのラフな格好。

 そこから覗く身体は痛ましい限りとなっていた。

 額には裂傷した箇所を覆うガーゼと、それを押さえつける包帯────どちらも、乾いた血が滲んでいる。

 血が垂れて目に入らないようにする為か、左目には眼帯が取り付けられている。

 左肩から肩甲骨を通り、ぐるぐる巻きになった包帯とガーゼ。

 左手は破片で傷が出来たのか、肘関節から手首にまで包帯が巻かれている。

 服の上からでもこの重傷だというのに────だらしなく捲れたタンクトップの裾からは、血の滲んだ包帯が見えた。

 …昨日、黒騎士と交戦した際に弾け飛んだコアブロック内部のフレームが突き刺さって出来たという傷。

 本来1週間は動くなと言われている重傷のケガ人。

 それが現状のナガトだ。

 だというのに、ナガトはいつも通りに筋トレをしていて────!

 

「………っ、な────…」

 

 呆気に取られ、一拍おいた沈黙の後。

 箒は正気を取り戻して。

 

「何をやってんですかナガトはァ────ッ!?」

 

 ────早朝という事も忘れて絶叫した。

 

 

 

 

 

 

────先程の絶叫から20分後。

 

『次の話題は、昨日起きたトキオ自治区での戦闘の件ですね。これ自治区の半分が壊滅する被害が出たそうです────』

 

 リビングに置かれたTVが朝のワイドショーの音声を吐き出す空間。

 テーブルには箒とナガトが手がけた作りたての朝食が並んでいる。

 朝食の献立は、トーストした食パンにスクランブルエッグのソーセージ和え、ザウアークラウト、ヨーグルト、コーヒー。

 それを挟む様にしてナガトと箒は向かい合い────気不味い雰囲気を醸し出していた。

 

「なあその…、箒。悪かったって…。」

 

 困り果てた顔でナガトが箒に声をかける。

 

「お医者さんからも動くなと言われていた筈ですが。」

 

 それに箒は、コーヒーを啜りながらジトりとした視線をナガトに向けつつ、釘を刺す。

 

「いやその…、身体鈍るかなって…」

 

 それにナガトはドギマギとした口調で箒に応える。

 ────これでは埒が明かない。

 そう思った箒はコーヒーカップをテーブルにダンッと叩きつける様に置き────

 

「それ以上悪化して使い物にならない身体にしたいと?」

 

────これ以上ない程低い声で、ナガトを睨み付けた。

 …それで観念したのか。

 

「────すまん、悪かった…。」

 

 降参だ、とでも言わんばかりの表情でナガトは謝罪する。

 

「分かれば結構です。」

 

 それを未だむくれた顔をして箒は言うと。

 食事の手を再開し、スクランブルエッグを切り分けて口に放り込む。

 

「────美味しい。」

 

 相変わらずむくれたまま────だが、僅かに氷解した様な顔で箒は言う。

 

「…そいつぁ良かった────。」

 

 ホッと肩を降ろしながらナガトは言う。

 緊張が解れたのか。

 ナガトは食パンにザウアークラウト────ドイツ料理のキャベツの酢漬け────を敷き、その上にスクランブルエッグとソーセージを乗せ、そのまま食パンを谷折りにすると、谷折りした部分にケチャップをかける。

 ────即席のホットドッグの完成だ。

 それにナガトは豪快にかぶり付く。

 口の中で、ふわふわとした卵の食感と。

 パリッとしたソーセージの食感と脂。

 ザウアークラウトのシャキシャキとした食感と酸味。

 そしてケチャップソースの甘さが混じり合う。

 その食感と手軽さから、ナガトはこの食べ方を好んでいた。

 それとは対照的に、箒は野菜、卵、パンとお手本のような三角食べをしている。

 

「…ナガト、美味しいのは分かりますが、それ他所(よそ)ではやらないでくださいね。」

 

 そう箒は一定の理解を示しつつもナガトに釘を刺す。

 …まぁ、お世辞にも行儀の良い食べ方では決して無い。

 

「わぁってるよー。」

 

 それにナガトは、むすー、と膨れながら。

 母親の小言を鬱陶しそうにいなす悪ガキ(クソガキ)のような顔をして応えた。

 それに、箒が追撃に釘を打とうとして────

 

『こんな人達に税金を使うんですか!?他にもっと使い道あるでしょう!』

 

 そんな声がしたのは、その時だった。

 声の主はテレビ────の早朝バラエティ番組に登壇している30代くらいの芸能人コメンテーターだった。

 ────番組内で取り上げられていた議題は、トキオ自治区被災補正予算案を巡っての話…早い話が昨日襲撃を受けたトキオ自治区を日本帝国が支援する事について、だ。

 それについて、先程のコメンテーターの口から。

 

『日本はただでさえ地震や台風が多く復興から立ち直り切れてない地域の防災支援が要る、加えて地方では昭和期に造られたインフラ設備の老朽化も激しい。更に去る2月末の首都圏同時多発テロやロシアの東欧侵攻を受けて防衛体制の見直しも迫られている。

 ハッキリ言って渡す金なんて無いし、現政権は魚人なんか支援してないでそちらに金を注いで欲しいです。』

 

 テレビの中では相変わらず嵐の様に過激な発言が飛ぶ。

 

「…魚人って今は放送禁止用語ですよね…。」

 

 箒がポツリと言う。

 魚人────旧コロニア出身の人間に対する差別的意味を込めた呼び名だ。

 現在の放送倫理的に、その呼び名は不味いということで取り締まるべきだが────困ったことに旧コロニア出身者を侮蔑する差別用語が出ると視聴率が凄まじく跳ね上がるので、テレビ局も取り締まらずにいる。

 …それどころか、むしろ金の卵として寵愛してすらいる有様だ。

 そんなわけで日本帝国本土での旧コロニアに対する憎悪感情、差別感情は根強い。

 特に産業の半分近いシェアをトキオ自治区に奪われ、経済的復興が阻害されていた九州各県の反発は凄まじく、『コロニアにくれてやる県民の財産(ぜいきん)は1円たりとも存在しない』と県知事が記者会見で発言する程だ。

 

『まぁ、コロニアの末裔とはいえ今や彼らも帝国臣民ですから…』

 

 そんな過激な発言を繰り出すコメンテーターをそろそろ落ち着かせようと番組司会者が宥める様に言う。

 コロニアという枠組みが崩壊した現在、各自地区は所在する各県────IS学園が所在するトキオ自治区の場合は長崎県────に帰属している形となっている。

 だから本来ならば日本帝国国民と同等のサービスや支援を受けられる立場にある。

 

『税金を吸うだけ吸って、帝国に還元してすらいないのに臣民扱いはおかしいでしょう。』

 

 別のコメンテーターが言う。

 …そう、問題があるとすればそこだ。

 旧コロニアの自治区は無尽蔵に帝国や自治体からの支援を受けて自給自足(自転車操業)して来たものの、支援された金が一切還元される事がなかった為に、サービスや支援が縮小ないし凍結されてしまったのだ。

 トキオ自治区もその例外に漏れず、現在帝国から借りた負債の返済に負われているという。

 そんな中での無人機襲撃────自治区としては支援を要請しなければ死んでしまう状況。

 だが日本帝国臣民からは────いっそ死んでしまえとすら思われているだろう。

 金食い虫とも思われているだろうし、白騎士事件以降敵対し続けた存在。

 加えて、自治区を温床にテロ活動を実施している輩もいる。

 2月末の東京同時多発テロを実行した難民解放戦線もそのひとつ。

 だからこそ、余計に納得出来ないし、信用出来ない。

 …いずれにせよ、こんな事態になっても手を取り合える様にするには、敵対している期間が長過ぎた。

 ────などと考えていると、ナガトがリモコンを手に取り、テレビの電源を切った。

 

「はぁ〜〜…ッ、朝から飯を不味くさせやがる。」

 

 そうボヤきながらナガトは朝食を平らげ、先に食器を洗い始めた。

 

「…ところで、しばらく忙しくなりそうだ。同じメニューが2日くらいは続く事になるが……カレーとフリカッセ、どっちがいい?」

 

 ────フリカッセとは、煮込んだ鶏肉とクリームをバターライスにかけたドイツのシチューだ。

 元々はフランス発祥で、訪独したフランス人によってドイツにもたらされ、アレンジされ、家庭料理として普及したものだ。

 ────横浜の旧ドイツ人居留区出身であるナガトは、自然と和食よりドイツ料理の方が『オフクロの味』として口に馴染んでいた。

 …そしてそれは、ナガトと10年近くを過ごした箒もまた同じだった。

 

「ではフリカッセで。まだ唐揚げ用に買った鶏肉が余ってた筈ですし。」

 

「ん。あとバターライスも試してみるかね。」

 

 などと口にしながらナガトは皿をカチャカチャと鳴らし、洗っていく。

 

「ああそうそう、通学には俺のチャリを使え。」

 

 ────先日の騒ぎで通学用のトロリーバスも止まってる筈だからな、と付け加えながら箒に言う。

 トロリーバスとは、路面電車のようにパンタグラフからの電力供給を受けて道路を走行する、交通システムだ。

 乱暴に言えば、『パンタグラフを載せただけのバス』といったところか。

 日本帝国では大破壊期に都市部のトロリーバスは破壊され、再構築戦争後の復興期も自動車の高性能化や交通量増加によって廃れた為、あまり馴染みが無い。

 しかし国が定めた都市計画によって街が整備された東側諸国や旧東側諸国、中央諸国では未だ現役であり、それはこのトキオ自治区においても同様だった。

 普段箒は通学にこのトロリーバスを利用しており、団地から徒歩10分の最寄りの後浜駅から北西にあるIS学園前駅まで続く学園線に乗っている。

 一方のナガトはというと、普段はトレーニングも兼ねて自転車で出勤。資材を大量に持って行かねばならない時に限り、私用車で出勤…というスタイルを採っていた。

 ────と、いうことは。

 

「…今日、現場(・・)ですか?」

 

 ナガトの言葉にふと、箒は直感的に問いかけた。

 

 

 

 

 

────午前7時30分

トキオ自治区セントラル区女島台・滑り坂

 

 ────結論から言うと、ナガトは現場直行だった。

 今日は学食で一緒に昼食が食べられないのか────と少しガッカリしながら、箒は自身の跨る自転車のペダルに力を入れた。

 マウンテンバイク特有のゴツゴツとした車輪が路面を蹴り、軽快な音を鳴らしながら進む。

 早朝の冷えた空気と潮風が吹きつける感覚は、思いの外悪くない。

 教員宿舎から市街地に向かう滑り坂────女島スベリという地名が由来の坂道────はなかなかの勾配だ。

 周りには女島台がまだ島として存在していた名残りである樹木が大量に生えていて、マイナスイオンに満ちた空気を形成している。

 それ故に行きは中々に心地良く走り抜ける事が出来るのだ。

 …とはいえ『行きは良い良い帰りは怖い』と言うように帰りは大変だ。

 何せこの急勾配の坂道を登らなければならないのだ。

 ────箱根という山岳地帯で育った箒からすれば、多少堪えるものの行けない事はない。

 しかし一般人からすれば拷問以外の何ものでもない。

 …そうしているうちに坂道も終点だ。

 樹木がまばらになり、勾配も緩やかになっていく。

 坂道を降りて、曲がったところには、普段使っているトロリーバス乗り場────『トキオトロリーバス女島台駅』────と駐輪場、そして無人販売の駄菓子屋がある。

 いつもなら駐輪場に自転車を停めてトロリーバスに乗るのだが────

 

『────先日発生した大規模な戦闘により、現在トキオトロリーバスは空港線を除く全線で運転を見合わせております────』

 

 ────と、駅前電子掲示板に描かれている状況だ。

 まぁそれは織り込み済み。

 元から自転車で行く予定だった身だ。

 だから箒は駅前を素通りして行く。

 駅を超えると学園に直結する大通りと支線が交わる十字路がある。

 そこは事故警戒ポイントとして知られている場所だ。

 だから意識はそっちに向く。

 

(それにしても、今日は車が少ない様な────)

 

 ふと、箒は思う。

 いつもなら通勤ラッシュの時間帯。車がよく通りを走り抜けて行く筈だ。

 しかし今日はいつもより数が少ない。

 普段の半分くらいしか走っていない様な────そんな感じだ。

 どうしたものだろうと正面を見て────

 

「────あ」

 

 ────原因が視界に入り、間抜けな声を出した。

 眼前には、十字路がある。

 そこは本来、大通りを自動車が飛ばす、交通事故多発エリアでもあるのだが。

 ────そこには十字路そのものに、都市防衛隊の無人フリゲート艦が突き刺さり、へし折れた艦体が交差点に面した建物のひとつを圧し潰している様が広がっていた。

 主要な交通経路が使えない事を知らずに飛び込んできた哀れな自動車が列を成し、交通渋滞が発生していた。

 警視庁、あるいは神奈川県警、大阪府警と書かれたベストを身に纏った────本州から派遣されたらしい警察官らがそれらの交通整理に当たっているが、いかんせん捌き切れていない。

 …この分だと、歩行者にも影響が出ているだろう。

 

(…他を当たろう。)

 

 そうして迂回路に入る。

 使うのは、マストタワー方面に向かう道路だ。

 …先日激戦地となったそこは、惨憺たる光景となっていた。

 高層ビルの壁面には、突っ込む形で墜落したと思しき無人戦闘機の残骸が生え、その周辺は黒く焼け焦げている。

 周囲の低層ビルも同様で、黒焦げになった無人戦車と、その車輌火災の煽りを受けたらしい全焼したコンクリート造りの廃墟が延々と続いている。

 傍らの街路樹も、もはや何が植えられていたのかすら判別も出来ない程焼けて、炭や灰と化してしまっていた。

 道路は所々、流れ弾によって出来たであろう直径3メートルの大穴で潰れており、マトモな交通インフラとしての体を成さない。

 ────周辺では、未だ復旧作業と行方不明者捜索が本土から派遣された本州の警察や消防、災害派遣された自衛隊、そして多国籍の合同救助チームによって続けられていた。

 更にその西側────遠くに見えるアッパーウィンディ地区、ウィンディ地区が所在していた旧コロニア03跡は基盤から崩壊していた。

 ようやく火災は落ち着いたようだが、農業型スマートシティとして機能していた同地区の原型は既になく。

 高熱で幾何学な形に溶けたコンクリートの塊が突き出す水没都市となっている。

 その惨状を前に、箒のペダルを漕ぐ足は止まってしまった。

 

「────これは…」

 

 ────分かってはいたが、被害の実態を見せつけられると気が滅入る。

 しかも被害の何割かは自分達の戦闘で生じたものだ。

 

(…一体、何人犠牲になったのか────)

 

 思わず箒は独りごちる。

 恐らく100人はくだらないだろう。

 そしてこれからもっと、その数は増える事になる────。

 現実を前に、暗澹たる気持ちになる。

 だから────地面を蹴る足音に気付かなくて、

 

「おっはよーモッピー────!!」

 

「え?ぐはァ────?!!?!?」

 

 場違いな声音と共に背中から衝撃が走る。

 そのまま箒は、バランスを崩して────視界は街の風景から青空に移り変わり。

 がしゃーん、と派手な音があたりに響く。

 ────完全なる奇襲であった。

 

「痛ッ、なっ…、なっ…?な、ぁ…?」

 

 唐突に訪れた事態に理解が追いつかず唖然とする。

 振り返ると、そこにはおっとりしつつも小動物的というか、否、活発というか、イタズラ好きの犬というか────そんな印象を受ける、IS学園の制服を纏った少女が立っていた。

 思い出した、彼女は確か────

 

「…布仏、本音────」

 

 布仏本音(ぬのほとけ・ほんね)。通称のほほんさん。

 1年1組の自己紹介時、一番明るくおっとりしていた少女だ。

 そのせいで印象に残ってはいたが、今日まで一夏の訓練やら雷火の調整やら先の無人IS戦やらでとにかくマトモに関わる機会がなかった。

 

「あははっ、モッピー朝から暗いね〜」

 

 だからコレが、初めての会話だ。

 …だが、しかし────!

 

「…貴様自転車に乗ってる者に飛びつくとは何を────」

 

 ────考えている、と言いかけて。

 ばしーん!という音と共に本音の頭頂部にチョップが彼女の後ろから叩き込まれ────

 

「あ痛ァ?!」

 

 ────本音が頭を抱えて蹲る。

 その背後には、蒼い髪と赤い瞳の少女が立っていた。

 彼女も知っている。

 クラスは違うが、確かそう────4組クラス代表にして日本代表候補生の更織簪だ。

 セシリア程では無いが優秀な成績を残しており、何より、彼女もライカン隊のA-CIS部門のメンバーだからこそ、知っていた。

 無論、面と向かって接したのは本音同様今日が初めてだ。

 

「…本音、自転車に乗ってる人に飛び付いたら駄目。」

 

 ジト、と冷たい視線を向けて、簪は本音に対して窘める様に言う。

 

「う〜〜〜…かっちん…」

 

 頭をさすりながら、本音は抗議の声を上げる。

 いきなりぶつなんて酷いよ────とでも言いたげな声で。

 

「だって常識的に考えて危ない。何かあったら責任取れる?」

 

「う〜〜〜…」

 

「あのね、『う〜』じゃない…のッ!」

 

「いひゃい、いひゃい、いひゃい〜〜〜!!」

 

 簪は本音の頬っぺたをギューと引っ張りながら言う。

 その顔は無表情で、対して本音は折檻されてる悪戯小僧そのままの反応で────

 

「くっ────、ははっ」

 

 ────それが少しおかしくて。

 思わず箒は腹を押さえて笑った。

 先程まで重苦しかった空気が嘘の様に霧散する。

 

「いや、大丈夫。気にしてないさ。義父譲りで頑丈だからな。」

 

 そう、箒は笑ってみせる。

 ────悪い事ばかりじゃない、戦うことでこの2人の今を守れたかもしれないのだ。

 そう思うと、先程まで辛気臭く悩んでいた自分が馬鹿みたいに思えてくる。

 だから、笑わずにはいられなかった。

 

「えー血縁無いから絶対関係な────あ痛ァ?!」

 

「本音、ちょっとは空気読んで!!」

 

 本音が空気を読まずに呟き、簪がツッコミを入れる。

 それもまた箒のツボを刺激した。

 

「ははっ────と、いかんな遅刻してしまう。では急ぐとしよう。」

 

 ────もう少し、頑張ってみよう。

 そう箒は思った。

 

 

 

 

◆◆◆◇◆◆◇◆◆◆

 

 

 

 

────同時刻

トキオ自治区セントラル地区

 

 箒が自転車でIS学園に向かう中、ナガトは愛車のデリカを行政府目掛けて走らせていた。

 四輪駆動のミニバンであるデリカ・スペースギアは、アウトドアやアクティビティ系の愛好家たちから高く評価されており、舗装された道路はもちろん未舗装のオフロードを駆ける事にも向いた車だ。

 仕事柄そうしたところに赴く事の多いナガトはこの車種を好んで乗っていた。

 …最も、初めて乗った車だからという、思い出による補正も強いのだが。

 しかしナガトの顔は朝方箒に見せたものとは違い、その顔は険しさで塗り潰されている。

 デリカの窓を開けずとも漂ってくる煙の匂いと、コンクリートが砕けた粉塵が未だに宙を舞い、鼻を突く。

 消化出来ない火災がそこかしこから黒煙を吐き、本土から消防が送られない分、苦し紛れの判断として周囲の建築物を破壊し、延焼を防ごうと重機でビルなどを崩していく。

 それを住民達が止めようと妨害して────火災が拡大する。住民達の建築物も燃える。黒煙が更に大気を汚染する。

 ────向こうでは食料配給所が設けられているが、そこに来たのはお行儀良く並んで待つ市民ではなく食料を略奪しに襲撃する暴徒の群れだった。

 先に並んでいた住民を薙ぎ払い、暴徒達が配給所に殺到する。

 数少ない食料を少しでも多く独占しようと10人以上の人間がたちまち押し合いへし合いを演じた挙句、赤子を抱いた母親を突き飛ばし、杖を突いていた老人を踏み潰し、自らが無理矢理奪おうとした食料────見る限りシチューのような代物────を自身の頭に被り絶叫する中年親父や服が汚れた女が自業自得だというのに食料を作っていた者達へ口汚い罵声を放つという愚劇が繰り広げられていた。

 ────都市防衛隊の連中だけでは状況を制御出来ていない。

 少なくとも、この辺り一帯はああした暴動を抑制出来ず都市機能が完全に麻痺してしまっていた。

 今は配給所だけだが、次第にエスカレートし、次は通行人や乗用車を襲う様になるだろう。

 ────ナガトはダッシュボードに入れたニューナンブM57A9ミリ拳銃の弾倉を確認し、万が一に備えていつでも取り出せる様にする。

 ふと────水色の装甲バスが配給所の近くに停車する。

 その車両を、ナガトは見た事があった。

 確かそう、警察の────機動隊移送用バスだ。

 停車すると同時にバスの扉が開き、成人男性1人分はありそうな大きさの防盾(シールド)を担いだ重装備の機動隊員らが配給所に群がる暴徒目掛けて一斉に組み掛かる。

 

「何抜け駆けしとんねん大の大人がァ!!!」

「先並んどったモン突き飛ばして食う飯はそないに美味いんかア゛ァ!!!??」

「子供や年寄り蹴飛ばすとかどないな教育受けたんや土人かおどれらァ゛!!!!」

 

 暴徒を取り押えながら、機動隊員が怒鳴る。

 ────口ぶりからして、大阪府警から派遣された機動隊員なのだろう。

 流石は合法ヤクザと畏れられ、治安全国最下位の大阪府を任されるだけの事はある。

 並みの暴徒など、お茶の子さいさいだ。

 それを傍目に、ナガトはデリカを進める。

 向かう先は、先日まで自治区行政府があった場所────マストタワーだ。

 

 

────同・マストタワー

────被災地救援臨時仮設指揮所

 

 先日まで立派な行政府ビルとして機能していた自治区行政府(マストタワー)はクレイドールの放ったレーザーによって上層部が崩落しており、建物自体が使えなくなっていた。

 ────故に指揮所は、自治区行政府(マストタワー)向かいにある広場に構築された、プレハブ小屋と連結型コンテナハウスや野戦テントを組み合わせた複合仮設陣地に置かれていた。

 戦場特有の雰囲気を醸し出す現場に辿り着くとナガトは車を停める。

 仮設指揮所入り口には既に警視庁から派遣されたらしい機動隊と銃器対応部隊が警備にあたっていた。

 厳ついライオットアーマーを纏い、防盾(シールド)とサブマシンガンで武装した隊員らは、存在するだけで場の空気をピリ付かせる。

 ────ナガトはそちらに足を進めた。

 

「お疲れ様です────帝国陸上自衛隊外派・学園駐在武官、八雲です。」

 

 その一団に自衛官身分証を提示すると、銃器対応部隊のが装備しているMP5サブマシンガンの引き金に指をかけた────いつでもナガトを射殺できる体制に移行する。

 

「…本人確認を行います。身分証明書────武器などはこちらに。」

 

 指揮官と思しき機動隊員がそう告げる。

 

「分かった。…金属類も出した方が良いか?どうせ金属探知機使うだろう?」

 

 些か物騒だが仕方ない、現に2ヶ月前にこの国は内閣総理大臣を含む閣僚を数名テロで暗殺されている。

 更に先程の食料配給所を見れば分かる話だが、トキオ自治区は本土と離れた二重政治体制だった事があり、独自の倫理観を持った者────要するに世間知らずや常識欠落者が多過ぎる。

 本土の被災地等と同じ対応をしていては復興どころか自らの足元が危ない。

 ────だからこれくらいの対応がちょうどいいのだ。

 機動隊員に差し出されたトレイにナガトは自衛官身分証とデリカから持って来た9ミリ拳銃(ニューナンブM57A)、車の鍵や家の鍵を付けたポーチ、サイフ────金属類を乗せていく。

 

「────ご理解が早く、助かります。規則に従い、失礼します。…確認しろ。」

 

 指揮官の合図で機動隊員らの一人が身分証の照会、もう一人がナガトのボディチェックをしていく。

 更にもう一人がいざという時にナガトを取り押さえられる様に防楯をこちらに向け、銃器対応部隊も同様────引き金に指をかけたまま、いつでもナガトに銃口を向け蜂の巣に出来るように備えている。

 

(…自爆テロ対策も隆々…。自治区行政府の連中よりかは遥かに頼れそうだ。)

 

 ナガトは思わず内心うんうんと頷いた。

 先日の連中はハッキリ言って頼りになるどころか足を引っ張っていただけだ。

 …最も、そいつらは先のクレイドールによるレーザー照射で自治区行政府(マストタワー)上層階ごと消し飛んだ────同じ上層階にいた数名の職員と織斑先生は奇跡的に無事だった────そうだが。

 そう思っている間も、黙々と機動隊員らがナガトを検査する。

 空港のターミナルに置かれているような潜るタイプに身体にかざしてスキャンするタイプの金属探知機────などがナガトを隅々まで調べ上げる。

 

「異常ありません。身分証の照会も完了しました。ご協力、ありがとうございます。」

 

 指揮官が告げると、機動隊員らが警戒体制を解く。

 同じく銃器対応部隊もサブマシンガンの引き金から指を離し、安全装置をかける────ナガトを指揮所内へと受け入れる体制に移行したのだ。

 …しかしまぁ、こんな厳重な警戒を人が出入りする度にせねばならんのだ。

 その労力には、同情を禁じ得ない。

 だが、そんな彼らが欲しいのは同情などでは無い。

 同じ立場に何度か立ったナガトもそれは知っていた。

 気持ちは二の次────一番は、業務に支障をきたさない存在。

 

「────ご苦労様です。」

 

 だからこそ────ナガトはそう告げると、そそくさと指揮所内へと足を運んだ。

 

「指揮所を含む旧男女群島以西地域はほとんど壊滅。依然として復旧の目処が立っておらず────」

「先の白騎士が撒き散らしたタキオン粒子による被曝量測定を急いでくれ────」

「中央第3環状道路を境に旧コロニア03方面を無期限封鎖。被曝線量の許容基準を下回る事が確認されるまで人一人入れるな!」

「セントラル東6番街で新たな暴動との報告。配給用食料輸送車が襲撃された模様────」

「電話回線の復旧を急いでくれ。行政府専用回線、公衆回線、自営回線を組み合わせて頼む────」

「各地の配給所が暴徒に襲撃されており被災者に負傷者多数!暴徒に対する発砲許可の申請が多数上がって────」

「医療従事者が足りない。近隣各県の医療機関に協力を要請!県立市立私立、どこでも構わん────」

「この分だと、行政府はセントラルからデジマに移転ですかね…」

「衣食住物資や医療物資が圧倒的に足りない。だがそれよりも暴徒をなんとかしてくれ!このままじゃいくら物資が届いても被災者に行き渡らない!!」

 

 ────指揮所の中は、無数の、そして良くない状況報告が飛び交う阿鼻叫喚の地獄絵図だった。

 それを傍目に見ながら、ナガトは指揮所全体図が描かれたプリントを見る。

 プリント用紙には、割り当てられた部屋を赤のマジックで乱雑に『この辺』とマーキングされている────この雑さは多分高木の仕業────に向けて、足を進める。

 そして辿り着いた部屋は頑丈なつくりのコンテナハウスだった。

 12メートル級の輸送用コンテナを2つ繋いだ代物で、まぁ広さは────(お察しの狭さだろうが無いよりマシか)と内心腹を括り、戸に手をかけた。

 

「おはようさん。状況はどうなっ────ゲッ…」

 

 先に出勤しているだろう面子に挨拶をしたナガトの視界に入って来たのは、澄んだ蒼い髪に赤い瞳の少女────更織楯無。

 その後方に立つ、防衛省帝国憲兵隊の士官。

 そして視界の端から『よっす、はよー』と気軽に声をかける高木の姿だった。

 後者は良い。

 前者を見た瞬間────ナガトは心底苦手なものを見る様な顔を浮かべた。

 

「え〜顔合わせていきなり『ゲッ』とかその顔は失礼じゃないですかぁ?八雲一尉。」

 

「…黙れお喋り娘。お前は学園生徒会長だろうが。道草食ってないで通学しろ。」

 

 ────露骨に関わりたくない、という態度でナガトはカバンを部屋内に置かれていた机に置き、仕事の準備に取り掛かる。

 

「いや〜、そうもいかないんですよ────」

 

 その無愛想ぶりにも関わらず、楯無はにゃはは〜とした口調で言って────

 

「────ちょっと早急に対処しなきゃいけない案件が湧きましてね。」

 

 ────それは、空気を凍らせる冷徹な声音に転じた。

 …よく見ると、部屋に窓は少なく、換気扇が僅かにあるだけで、壁に至っては高級防音素材で出来ている。

(────なるほど、密会か。)

 それで、初めてナガトは楯無に視線を向ける。

 

「2月末の首都圏同時多発テロ────アレのテロ首謀者に関係した人らの動向を全国の監視カメラから調べ上げたら、出元が自治区(ここ)だったんですよね。そこで我が国家安全保障局は────」

 

「回りくどい話はいい、俺に何をさせたいかだけ言え。」

 

「────八雲一尉には、自治区内に残留するテロリスト勢力掃討作戦に協力して頂きます。」

 

 ────楯無は務めて、冷静に言い放った。

 

 

 

 

 

◆◆◆◇◆◆◇◆◆◆

 

 

 

 

 

────午前9時15分

セントラル区・IS学園図書館

 

 四方の壁が本がぎっしりと敷き詰められた本棚で囲まれた空間。

 圧迫感を抱きそうな構成だが、部屋全体が吹き抜けの2階建構造となっており、所々に白い大理石の柱が2階を支える様に立っている。

 また本棚や壁も赤みを帯びたバイオ樹脂製合成木材が用いられている事で圧迫感を軽減している。

 天井は白一色の基盤に金粉を乱雑に散らしただけに見えるが、天井の隅に埋め込まれたフロストLED照明の黄色みを帯びた光がそれらを和紙の様な美しさを演出する。

 壁に天井がこうなら床に家具もそうだ。

 床は赤みを帯びた木材を基調にしつつ、そこに淡いクリーム色の模様を埋め込む事で落ち着きと変化を調和させ、通路代わりに敷かれたワインレッドのカーペットが空間を引き締める。

 机や椅子等の家具は本棚と同じ色で作られており、レトロな作りのものとなっているが、机そのものは立体映像を投影するモニターや焦茶色のコンセントプラグを備えているというハイテク具合。

 ──── IS学園の図書館は外装こそ、その辺にあるちょっと造りが凝ってるビル程度だが、内装は"世界最古にして最大"と名高い『オーストリア国立図書館』の内装をモチーフに造られており、まるで魔法やファンタジー小説の世界に迷い込んだ様だった。

 ────そこに箒はいた。

 …箒だけでは無い。

 隣には2組の凰、そして────

 

「防御の時は右半身を斜め上前方へ五度に傾けて、回避の時は後方へ二十度反転ですわ」

 

「わからんわからんわからん待って」

 

 ────机から立体投影されたクラス代表決定戦時の動画を見ながら一夏にレクチャーするセシリアや他の生徒らが多数いた。

 本来ならば1限目が始まっている時間。

 しかしHRが始まるなり先程担任の織斑先生から告げられた事は────

『今日も今日とて貴様らをしごきたいところだが、教員はやる事が多くて授業にリソースを割けん。────喜べ貴様ら!今日は自習だ!!』

 ────という事だった。

 …まぁ、冷静に考えればそれはそうだ。

 クラス別トーナメントの裏側で無人ISの襲撃以外にいくつの問題が発生したのか。

 コンペートや学園内通信機器は未だISコアネットワークから送り込まれたウイルスのバグ取りが終わっていない。

 よって学園内のコンペートはバグ取りが終わるまで無期限稼働停止。

 通信機器に関しては無線型を全て廃棄し有線型での通信形態で一時を凌ぎ、後程日本本土の民間通信会社に業務を委託する────逆をいえばそれまで外部との通信がままならないという事だ。

 更に通信機器のみならず、第2アリーナをはじめとする校内各所のインフラ問題。

 ハッキングによる自動ドアや隔壁などが作動したままの区画が未だ残っており、それらもバグ取りが必要になる。

 ハッキングだけなら良いが、更なる問題はインフラ設備の物理的破損。

 無人ISによる攻撃と警備部隊が交戦した結果、校舎が一部崩壊した他、海水を汲み上げ真水を濾過・生成するプラントが破壊されたのだという。

 結果的に現在、学園はウイルスのバグ取り・通信網代替手段確保・飲料及び整備工業用水不足・崩壊した校舎の瓦礫撤去など、問題を幾重にも抱えている。

 ────そりゃ、教員も授業どころでは無い。

 そう思いながら箒は中間テストに向けての授業を自習する。

 少し気が早い様にも感じるが、言っている間に試験当日というものはやって来るものだ。

 確かIS学園は5月半ばにタッグトーナメントというイベントがあり、その直後である5月末に中間テストがあるのだ。

 更に期末テストはこのちょうど1ヶ月後────6月末にやって来る。

 一般高校の平均的な実施期間と比較すると少し早く、その理由はIS実技項目特化期間たる臨海学校────今年は確か修学旅行と併せて実施される────が7月上旬にある為だ。

 その為、中間テストで基礎的な知識を固めて、その後追加される知識と併せて期末テストに挑むのがセオリーだろうか。

 …まぁ、そんなわけでIS学園の生徒は凄まじく忙しい。

 なんなら先日の襲撃でクラス別トーナメントは今年は中止となった為実技成績に反映されず、その分は筆記成績に回すとさえ噂されている程だ。

 今年の生徒らは勉学にひたすら励むか、次のタッグトーナメントでの実技成績にかけてひたすら訓練に励んでいる────というのが現状だ。恋愛だなんてしているヒマはない。

 

(それはそれで、詰まらんが────…)

 

 ふと、向かいでセシリアから参考書と動画を基にISの細かな知識を教授されている一夏が目に入る。

 セシリアは必死で教えているのだが、いかんせん一度に放つ情報量が膨大過ぎる。

 お世辞にも要領が良いとはいえない一夏は暴力的な情報量に脳を撹拌され、頭からシューと煙を上げていた。

 

「ハンッ、そんな細かく言わなくたって良いのよ。感覚よ感覚。それでだいたいなんとかなるわ。」

 

 ふと────箒の隣に座っていた鈴が言う。

 かなり自信に満ちた声。

 しかし────一夏はというと。

 

「いや…無理…。てか、分からん…IS動かすならともかく…試験で感覚とか事故でしかねぇって…」

 

 死にそうな声でそう返す。

 

「はぁ?なんで分からないのよ基本的な知識おさえてりゃだいたい感覚でコレだなって解答出来るじゃない。馬鹿なの?」

 

 ────そもそもその基本的な知識があれば一夏は誰かに教えてもらう必要はない。

 さらに彼は武術家でもない。

 ────自身の感覚だけで世界が回っているとは思わないで欲しいものだ。

 …と箒は思うが、そういえばそもそも鈴は一夏が参考書を電話帳と間違えて捨てた事を知らないのだ。

 基礎知識は既に抑えている────と言う前提で話していればそうした反応にもなるものだろう。

 …ここはひとつ、一夏の名誉の為に参考書の件は黙っておいてやろう────

 

「いや俺…この参考書間違えて捨てちまったから…」

 

 ────いや自分で言うんかい!!!

 箒が一夏の名誉の為に黙る選択をした直後、一夏は自らの口で自白してしまった。

 それに鈴はズッコケ、セシリアは苦笑し、箒は虚無の顔を浮かべる。

 ────お前恥じらいとか無いのか?と言いそうになるのを必死で堪えて箒は内心呟く。

 

「まずは基本的知識を備えるべきだな、とりあえず。…あとIS操縦は、お前がやりやすい様に最初は感覚でも良いかも知れんし────」

 

 とりあえず一夏の課題と、鈴のフォローも兼ねて箒は口を開く。

 ────一夏が存外感覚派なのはクラス代表決定戦、クラス別トーナメントの対ゴーレム戦を見て察していた。

 感覚派の一夏と鈴が互いに競い合い、セシリアが細かな知識や機動制御を伝授する────これが今後クラス代表としての一夏にとって理想的な強化パターンだ。

 

「…そーいうアンタは一夏に教えたりしないワケ?」

 

 ふと────鈴が箒に話しかける。

 それに思わず箒はビクリとして────

 

「い、いや…私は、その……教えるの、下手だから…」

 

 思わず箒はぎこちなくそう告げる。顔は何処となく赤面している。

 …言えない。

 死んでも言えない。

 ────こう、ズバッとやって怯ませる!

 ────次は反対の手でガンッってやってからミサイルをぶわわーッだ!

 ────ミサイルで脚を再度怯ませたら打撃目的で刀でズンッドッゴンッの3太刀を叩き込む!!

 …なんて、クラス代表決定戦前の訓練で一夏に言ってたとか死んでも言えない。

 これは墓まで持って行く秘密だ。だから頼む一夏喋ってくれるなよ────

 

「結構擬音系だもんな、箒。」

 

 ────言ったァ!??!?!!??

 

「なっ、おまっ、お前ェ────!」

 

 図書館なので、静かにしようという理性がギリギリ働いたのか声は努めて静かに────しかし顔は怒気と羞恥心で赤く染まっていた。

 

「あ、れ、ほ、ど!黙って!いろと!!!」

 

 一夏の肩を掴んでぐわんぐわんと揺する。

 頭の中で、図書館でやるべきでは無いと理解していても心は別だ。

 申し訳ないが一夏に当たる心を抑えられない。

 ────だって恥ずかしいんだ!!

 

「篠ノ之さん、篠ノ之さん…!」

 

 ふと────オルコットの窘める声でハッとする。

 …眼前の一夏は、ゆすったせいか、目を回してキュウ…と伸びていた。

 それで箒は、やり過ぎた────と理解する。

 

「…すまん、一夏…。ちょっと、頭冷やしに飲み物買って来る…。お前達は何か要るか?」

 

 やり過ぎた行いの謝罪がてら、少し席を外すと箒は立ち上がって2人に聴く。

 

「────では(わたくし)はアフタヌーンティーのストレートを。」

 

「アタシはフューズティーのインテンス。」

 

「一夏は…アクエリアス辺りが良いだろうか…」

 

 イギリス連邦らしく、2人は紅茶関連の飲料物を頼む。

 …正直、飲料水すら不足している中で自販機の紅茶が残っているのか怪しいところではあるが、行くと言った以上脚を運ぶ他あるまい。

 …しかし一夏はのびているので、正直確認のしようがない────本当に私の身勝手ですまない…。

 そう内心思いながら歩こうとして、ふと、箒は思い出した。

 昨日からゴーレム戦の被害ばかりに意識を取られていたが────

 

「────そういえば、2人は一夏と一緒に戦ってくれたらしいな。」

 

 ────オルコットと凰が、一夏と共にゴーレムと戦っていた事を思い出す。

 

「え?ええ。まぁ…」

 

「…それがナニよ?」

 

 箒の問いに、オルコットは少し恥ずかしげな反応を。凰はイヤな事を思い出したのか少し不機嫌な反応をする。

 …箒は、そんな2人に向けて────

 

「…いや、言うのが遅くなって悪かったなと思ってな…」

 

「「?」」

 

 …一拍の呼吸、そして沈黙。

 ────箒は2人に向かって告げた。

 

「…一夏を守ってくれて────ありがとう。」

 

 そう2人に告げると、そそくさと箒は図書館を後にした。

 …一方の2人は────一瞬のフリーズの後、凄まじい羞恥心が込み上げて来たという。

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◇◆◆◇◆◆◆

 

 

 

 

 

 

────同時刻

マストタワー

────被災地救援臨時仮設指揮所

 

『────八雲一尉には、自治区内に残留するテロリスト勢力掃討作戦に協力して頂きます。』

 

 先程、更織楯無(お喋り娘)が言った言葉がナガトの頭の中で今一度反響する。

 

「今回の作戦は、旧コロニア03地下(船倉)区画を根城にしている難民系テロ組織《難民解放戦線》の殲滅および制圧です。」

 

 部屋の壁に投影された地図を見ながら、楯無は口を開く。

 既に内部構造も割れている様で、青ベースのトキオ自治区のマップに赤色で難民解放戦線の拠点が投影される。

 

偵察部隊(フロッグマン部隊)の情報によれば、敵は20機近いEOS及び複数のコンペートを保有しており、今後日本帝国本土からの政府および民間からの復興支援にあたって脅威となるでしょう。」

 

 …楯無はさらりと言うが、重要な話がいくつも圧縮されている。

 まずトキオ自治区は復興にあたって、日本帝国政府および民間企業の全面的な協力を得なければならない。

 そんな機会を、2ヶ月前に現役の内閣総理大臣を暗殺するような連中が見逃すはずが無い。

 そうなればテロリストから復興支援者達への攻撃が実行される事は容易に想像できる────既に暴動という形で被害は発生している────加えて、仮に攻撃して来なかったとしてもトキオ自治区がテロ組織が根を張る事を許していたという事実は拭えない。

 今はまだ公開されていないが、もし日本政府が情報を発表すればどうなるか────そんなものは火を見るより明らかだ。

 現状のままでは、明らかに復興どころではなくなる。いやそれよりも酷い事態になり得るだろう。

 

「今回の作戦目的は主に3つあります。

 まず、復興支援従事者として派遣されている日本国民(帝国臣民)の安全確保。

 次に、トキオ自治区の潔白の証明。

 最後に、帝国領内最大規模のテロ勢力排除。」

 

 ────復興支援従事者の安全を守る為。

 これは当然だ。

 支援従事者らは皆、被災した地域を少しでも早く元の日常に帰せる様にするべくやって来たのだ。死にに来た訳ではない。

 だから復興に携わって貰う以上、これは最低限行われなければならない。

 ────トキオ自治区の潔白の証明。

 もう手遅れな気はするのだが、これは言ったら不味いヤツだろうか。

 既に根を張られている事を自治区行政府が把握していない訳がない。

 更に言えばいかに国内最大規模のテロ組織とはいえEOSやISをコレ程までに揃えられたのは、どう考えても自治区行政府と関係がズブズブだったおかげだろう。

 最悪IS学園すら関係があったのではと疑われても仕方がない内容だ。

 無人ISによる襲撃および虐殺の被害に対して少しでも同情を引くという目的なら、絶対に必須な話だが。

 ────帝国領内最大規模のテロ組織排除。

 むしろ国家安全保障局としてはコレが本音なのではないだろうか。

 国家安全保障局(日本帝国政府)としては、テロ攻撃に対する報復という大義名分がある。それを最大限に、こちらに被害を可能な限り出さず実行に移せる環境が先日の襲撃で整ったという話で。

 

「────国家安全保障局は以前から今年の夏に武力介入(ガザ入れ)を計画していましたが、先日の襲撃を受けて前倒しにする方針にしました。」

 

 それを肯定する様に楯無は言う。

 だがナガトは無視して楯無に問いかける。

 

「──── 手前(てめぇ)の政治的事情はどうでもいい。具体的な内容は?」

 

「現状、敵拠点は誰かさん(・・・・)の引き起こしたブロッケンフレアの影響で北部と南部に割れて真っ二つとなっています。

 南部は私と帝国憲兵隊で制圧────八雲一尉には北部拠点の制圧。高木部長には、脱出者の射殺をお願いします。」

 

 にこりと笑いながら────えげつない事を言う。

 それに高木は冗談混じりで口を開く。

 

「えー捕虜とか取らないんですかー?おじさん尋問は得意ですよー?」

 

「不要です。非戦闘員の射殺も内閣府より許可を頂きましたので。」

 

 それを、楯無はピシャリと否定した。

 …おそらく国家安全保障局は既に捕虜にした難民解放戦線のメンバーから情報を聞き出し終わっているのだろう。

 だから大した情報もない上に目の上のたんこぶでしかないこの拠点は皆殺しにする路線で通すつもりなのだ。

 ────それにしても。

 

「…高木や憲兵隊は分かるが…俺要るか?」

 

 思っていた疑問をナガトが口にする。

 ここまで調べ上げていたならアライズではなく他の代替戦力で対応可能な筈だ。

 偵察部隊を展開可能である以上、国家安全保障局や帝国憲兵隊がそれを上回る実働部隊を投入出来ないとは到底思えない。

 だとすると、(ナガト)/アライズを投入する理由が不明だ。

 ────こんなの、アリの巣を潰すのに核ミサイルを使う様なものだ。

 

「理由は2つあります。1つは既に復興支援従事者が到着してしまっている為、可及的速やかに遂行する必要がある事。アライズの制圧能力の高さと速さは貴方が良くご存知かと。」

 

 ────現に、2ヶ月前の首都圏同時多発テロは、警察が幾度もIS部隊突入を失敗させていたにも関わらず、ナガトの日方風を1機投入したところ1分30秒で事態は解決した。

 そして旧船倉(地下)区画とはいえ二次災害を警戒して迅速な対応が必要ならばアライズを投入しないという手はない。

 

「そして2つ目は────まぁ、単純に貴方に対する踏み絵です。」

 

 ────その言葉に、場の空気が凍り付いた。

 

「────ほう?」

 

「テロ組織の拠点とはいえ文民の居住地を巻き込む戦闘を展開した────普通なら、軍法会議ものです。」

 

 楯無の言葉に、ナガトは醒めた視線を向ける。

 如何にアライズが国家間の抑止力として機能する存在とはいえその担い手であるヘズナルが人間である以上、それは一般の兵士同様軍法会議にかけられる。

 

「…再構築戦争で《味方殺し》の実績がある貴方なら良くご存知だとは思います。今回の件だって厳罰に処されてもおかしくない────」

 

 楯無は冷気のように冷たい声で、歌う様に言う。

 ナガトは《味方殺し》の言葉に一瞬ぴくりと指先を戦慄かせたが、すぐに昂りを押し殺し、楯無を静かに睨み付ける。

 

「しかし防衛省は慈悲深い────結果的に貴方はテロリストの拠点にダメージを与えてくれたので減俸処分くらいに減刑だそうです。

 そして今回の作戦に無償(タダ働き)で参加していただければ減俸処分も取り消し…つまり先の文民居住地を巻き込んだ点は事実上の不問と致します。

 悪い話では無いでしょう?」

 

 ────減給したら他国に自国のヘズナルが流出するんじゃ無いかと霞ヶ関は戦々恐々としてまし…あと、娘さんの学費とかの件もありますし、従った方が穏便に済みますよ。

 そう、ニコリと微笑みかけながら楯無はナガトに言い放った。

 その笑みは、何処となく蛇のような艶めかしさと鋭さを秘めている。

 

「ちっ────"霞ヶ関のマムシ"め。」

 

 苦虫を噛み潰したような顔で、忌々しげにナガトは楯無の異名を口にする。

 楯無は自らの側に引き込む際、ありとあらゆる要素を用いて相手を絡め取り、決して逃げられない状況へと引き摺り込むのだ。

 その様から着いた異名が"霞ヶ関のマムシ"だった。

 それに、箒にまで楯無(お喋り娘)の手が届き、事態に巻き込んでしまうのは避けたい。

 ────なら、選ぶ道はひとつ。

 

「────いいだろう、精々こき使われてやる。」

 

 ────半ばヤケクソ気味に、ナガトは言い放った。





〜あとがき〜

◉ナガトと箒のナゼナニ劇場12

◽︎箒
「ナガト、トキオ自治区って治安悪過ぎません?」

▪︎ナガト
「普通に暴動や略奪が起きるしテロ組織が潜伏してるし────でか?」

◽︎箒
「はい。」

▪︎ナガト
「では今回は今まで意外と語られていなかったトキオ自治区について解説していくとしよう。」

◽︎箒
「よろしくお願いします!」

▪︎ナガト
「まずトキオ自治区の成り立ちからかな。
自治区の成り立ちだが────再構築戦争前のコロニア統治時代まで遡る。」

◽︎箒
「今から10年以上前…ですか。」

▪︎ナガト
「そうだ。当時コロニアは朝鮮半島や東シナ海で採掘された地下資源や天然ガスの加工・貯蔵プラントを求めていてな。
 そこでちょうど良い場所にあった長崎県・男女群島に目を付けた。」

◽︎箒
「…まさかとは思いますけど、日本帝国政府に無許可で占拠したり改造したりしませんよね?」

▪︎ナガト
「そのまさか、だ。コロニアはISを用いて男女群島を武力占拠。海岸線を埋め立てたりそれにメガフロートを接続して工業都市化したり、ISの整備も可能な軍事基地を建設したり────やりたい放題したみたいだ。」

◽︎箒
「ええ…、帝国政府は抵抗しなかったんです?」

▪︎ナガト
「当時男女群島にいたのは女島灯台の灯台守だけでほぼ無人島だったしな…何より、その当時はまだコンペートに対抗できる兵器が無かったから、見て見ぬフリを強いられていた────といったところだな。」

◽︎箒
「…非常に、歯痒いですね…。それに、海岸線を埋め立てたとなると…近海の海洋生態系はもちろん、九州の漁業にも深刻な影響を与えたのでは?」

▪︎ナガト
「ああ。しかも後者に至っては未だに解決していないからな。九州西部…特に長崎県との関係は劣悪なままだ────話を戻すぞ。
 そんなわけで無人島同然の場所に一大経済圏が構築され、人口が増え過ぎたコロニア艦からの棄民も始まった。
 …当然、コロニア艦に乗っていたのは日本人だけじゃない。アメリカ人、ロシア人、中国人、韓国人、イギリス人、フランス人────その他諸々の人種が乗っていたという。」

◽︎箒
「…良く言えば国際色豊かですが…、悪く言えばトラブルが起きかねない環境な様にも感じます。」

▪︎ナガト
「箒の指摘は最もだ。生まれも育ちも、ましてや風習も違う。そんな連中を掃き捨てたら、当然治安は悪くなる。」

◽︎箒
「…それが日本帝国と比較して、治安が悪い原因なのでしょうか?
 でも、それだけには思えません。普通略奪とかって発想湧かないと思います。…なんだか、物事や考え方とかが昭和あたりで止まってる様な────」

▪︎ナガト
「おっ、鋭いな箒。
 …構成人種以外に、認識や地理的要因も原因のひとつとなっている。
 まずは認識面。唐突だが箒、コロニア艦らが抜錨し地上から離岸したのはいつだったか覚えているか?」

◽︎箒
「えと、歴史の教科書では1975年〜1983年にかけて…と。」

▪︎ナガト
「うむ、その通り。
 さてその年代だが────知っての通り昭和だ。」

◽︎箒
「ええ、昭和は1989年まで続いてましたから、昭和ですね。」

▪︎ナガト
「うん、でもそれは箒が地上の人間だから知ってる事だよな?」

◽︎箒
「…どう、いう────いや、まさか、この令和の世に旧コロニア出身者は未だに昭和が続いてると思ってるなんて言いませんよね?」

▪︎ナガト
「そこまでブッ飛んじゃいないさ────だがそれに近い。
 コロニアは離岸後、地上との交流が無く海という孤立した環境で生活圏を構築していたんだ。そうなれば元が同じとはいえ認識にズレが生まれる。
 外部から情報が入って来なければ尚更な。
 そしてそれは本来地上で更新されていた筈の認識が共有されないという事でもある。
 だから過剰な話ではあるが、お前が言った通り────旧コロニア人が俺たちの生きている令和4年を昭和97年と認識している────というくらいには、認識にズレがある。」

◽︎箒
「そんなに…。で、でも再構築戦争でコロニア体制は解体されましたし────ある程度は認識のズレは埋めれるんじゃ…」

▪︎ナガト
「そこで地理的要因につながってくる。
 箒、トキオ自治区が九州本土からどれくらい離れているか知っているか?」

◽︎箒
「…ざっと150kmです。」

▪︎ナガト
「うん、その通り。つまりは海によって外部との接続をほとんど断たれた絶海の孤島状態なワケだな。今は連絡橋かかってるけど。
 …で、そうして外部から隔離された環境は独自のルールが蔓延りやすい。一時期話題になった因習村とかもその類だな。
 ────トキオ自治区の場合は地上との認識のズレに拍車がかかり、より先鋭化してしまったんだろう。
 他には中国や朝鮮半島方面との交易が利益の大半を占めており、儒教文化が根付いたのもデカいかもしれんな。
 認識のズレ、異なる風土、それに基づく教育────そりゃ、市民意識が日本国民とズレていれば、箒が最初に言ったように『治安が悪過ぎる』と映るかも知れんな。」

◽︎箒
「なるほど…。でも、テロ組織が根城にしてる点は流石に…」

▪︎ナガト
「まぁぶっちゃけそこについては治安悪過ぎると思う。俺も。んじゃ今日はこれで〆るか。」

▫︎箒
「はい!さて、次回はなんだか大変そうですね…ナガトは…」

▪︎ナガト
「だなぁ…。まぁ、次回はシャルが出るらしいしお前も忙しくなると思うぞ。」

◽︎箒
「出会いが増えるのは嬉しいですが忙しくなるのは困りますね…」

 次回も不定期ですが、よろしくお願いします。


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