ミートギアス 〜筋肉のルルーシュ〜   作:ベルゼバビデブ

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純血派にしてゼロとスザクを逃した賄賂疑惑のある軍人、ジェレミアはとあるバーの中で未だに友好的に接してくれる同僚のヴィレッタのグラスを交わしていた。
「例のオレンジ事件…」
「うぅ…」
「失礼。枢木スザク強奪事件の時、記憶がないというのは本当でしょうか?」
「信じて貰おうとは思わん。」
「実は私もシンジュク事変の時に記憶を失っているのです」
「それは真か!?」
「えぇ、あの時は頭に激痛があったので何者かに殴られた事が原因かとも思うのですが」
「記憶を失わせる殴打…ゼロか」
「ええ、おそらくは」
「くそ、何かもう少し手がかりがあれば良いのだが…」

それでは本編スタートです。


STAGE10

 黒の騎士団は入団希望者が増えた。とは言え有象無象を無駄に団員にして足がついては意味がない。俺は背筋を鍛えながらパソコンで作業を行い、入団希望者の情報を見ていく。するとその中にブリタニア人がいるのが目に入った。

「うん?主義者か?それとも俺と同じ復讐者か…」

 

 キョウトというテロ支援組織から紅蓮弐式と呼ばれるナイトメアを受け取った。更に複数の無頼と、先行試作型らしいが月下と呼ばれる機体も受け取る事ができた。キョウトからのメッセージで正式量産前に紅蓮と合わせてデータが欲しいらしい。

 組織が多くなった為か、玉城は何故か幹部を自称しているが、長くいるだけで幹部に指名するほど黒の騎士団は甘い組織ではない。とは言え現時点では能力を見ようにも活動そのものをしていないのだから評価しようがない。よって暫定的に玉城以外の初期メンバーを一旦幹部として扱う事にしている。それにしても暫定幹部達は部下が出来たからなのか少し浮かれている様だ。戦場でもそんな調子では困るが、まぁ今は目を瞑ってやろう。

「カレン、紅蓮弐式は君が使え。月下は私が使う」

「わかった。でも指揮官があんなピーキーな機体使って大丈夫なの?」

「ピーキー?なかなか良い乗り心地だったぞ?」

「…」

 カレンは俺のことを呆れたように見ているが…俺は何か変なことを言ったか?

 

「ゼロ!ちょっと来てくれ、すごいお客さんがきてる!」

 焦った様子の扇がこちらに駆けてくる。息切れをしているあたり鍛錬が足りないようだ。

「キョウトの紹介で来た。私は日本解放戦線の藤堂 鏡志朗だ。」

「ほう?かの有名な藤堂氏が我々に何用かな?」

 藤堂は徐に頭を下げる。

「頼むゼロ。日本を解放するため、我々に協力してほしい。」

「無論、私は日本人を含めたすべての人々を守る正義の味方だ。だが、草壁のようなブリタニア人を見境なく殺すような非道に手を貸すつもりはない」

 思い出されるのは河口湖における草壁だ。今頃水の中でおねんねしているだろうがな。

「承知している。草壁のことは我々は水に流すつもりだ。」

 安心して欲しい、既に水の中だ。とは言わない。

「君はシンジュクでブリタニアを倒し、枢木スザクを救い、今も日本人のために正義を行っていると聞く。キョウトが紅蓮をはじめとするナイトメアを渡すのも、その方がより日本の為になると考えてのことだろう。だから我々にも正義を成す為の知恵を授けてほしい。」

 駒として、この藤堂が手に入るのならありがたいが、果たして日本解放戦線は駒として使えるのだろうか?草壁の様な輩が居るとも限らない。この男は水に流すと言ったが、同志を殺されて簡単に割り切れるだろうか?

「それは日本解放戦線の総意なのかな?」

「…いや、あくまで私個人の意見だ。だが、私が他の者を説得する。確かに我々は数こそ多いが君達の様な実績は少ない。一度成田連山に来てはくれないだろうか」

「…良いだろう。但し条件がある」

 

 週末のある日、黒の騎士団はハイキング…ではなく、日本解放戦線との話し合いのためナリタを訪れていた。藤堂から貰ったのは地形データ、基地の位置データ、そして武装の内訳。なるほど、確かに規模としては黒の騎士団と比べるまでもなく、山を丸ごと改造し、要塞化しているのは流石と言える。これだけの隠し通路があれば簡単には陥落もしまい。だが、こんな山に籠って日本が解放できると本当に思っているのだろうか。俺はナイトメアから一度降り、迎えを待った。

「来てくれたかゼロ」

 指定されたポイントで待っていると、地面が盛り上がり隠されていた入り口が現れた。そこから複数の無頼と周りに護衛を引き連れた男が現れた。

「初めましてだな。あなたは…少将の片瀬だな?藤堂から話は聞いているな?協力するに相応しい相手かどうか見極めに来た。…ところで藤堂はどうした?出迎えは奴がすると聞いていたが?」

「キョウトから急に無頼・改を渡すと話があってな、藤堂と四聖剣は外している。まずは基地の中に入ってくれ。ここは我々の勢力範囲とは言えナイトメアは目立つ」

 案内に従い、基地に入ろうとした時偵察隊から連絡が入った。それは日本解放戦線でも同じなのだろう、動きが慌ただしくなった。

『大変ですゼロ!ブリタニア軍です!囲まれています!』

「どうやら我々は袋のネズミの様ですね」

「なんということだ。日本解放戦線と黒の騎士団、この二つを失えば日本の抵抗活動はお終いだぞ!」

 こんなに早く藤堂から貰ったデータが役に立つとは思わなかったが、ここはやるしかない。

「片瀬、私の機体に日本解放戦線の基地からデータを送って頂きたい。そして私に指揮権を委ねてほしい」

「…それで勝てるか?ゼロ」

「任せてほしい。私はゼロ、藤堂と同じく、起こして見せよう!奇跡を!」

 

 型落ちのグラスゴーを改造した無頼を主な戦力とする日本解放戦線ではコーネリアの親衛隊達のグロースターの相手は荷が重い。

「P-1、P-2、P-3!右方向に一斉射撃!K部隊は兎に角弾幕を張り敵を釘付けにしろ。B-4からB-8は次の地点に移動し罠を仕掛けろ!R-3はエリアV7を爆破して足止めだ!」

『承知!』

 山という地形上、高台を抑えているこちらの方に地の利はある。様々な隠し通路を用いて背後を取ることも可能だ。正面戦闘を避けたゲリラ的戦術によって敵の数を着実に削っていく。規模も質に目を瞑れば十分な数がある日本解放戦線ならばこの包囲網でもなんとか耐えられるだろう。これで膠着状態を作り出すことには成功した。あとは突破力がある上に大将でもあるコーネリアさえ抑え、こちらが押し込めば勝機はある。コーネリアと交戦し始めればどれだけ攻められようともブリタニア軍はコーネリア救援のために戻らざるを得ないからだ。

「片瀬、我々黒の騎士団はこれよりコーネリアの部隊に突撃する。暫くの間私の送った作戦書の指示に従い耐え切ってほしい!」

『わかったゼロ。君の武運を祈る』

 

 コーネリアにたどり着くまでの道中、現れるナイトメアをボコボコにして突き進む。

「紅蓮の物に劣るとはいえこの武装は凄いな。」

 紅蓮弐式の右手の輻射波動機構、その予備パーツで作らた簡易版とはいえ、威力は絶大。ナイトメアを一撃で屠れるとは俺の拳にピッタリだ。

『これ以上は行かせん!』

 行手を阻むサザーランドのスタントンファを蹴り飛ばして防ぎ、左手で頭部を掴む。

「砕けろブリタニアッ!」

 輻射波動を受けたサザーランドはボコボコと内側から膨れ、ついに爆散する。

『ゼロはどこだ!ゼロォー!!』

 こちらに突っ込んでくるサザーランドが現れるが、その前にカレンが立ち塞がった。

『あんた今のでエナジー厳しいでしょ?さっさと交換しなさいよ、ここは私が抑えるから!』

「あぁ、任せる。扇!」

『任せてくれ』

 俺は一旦退がり補給物資を抱える扇の無頼によりエナジーの交換を行う。試作だけあって武装の燃費はあまり良くない。これは必殺としては十分だが改善の余地ありだろう。

『間合いさえ取ればァ!』

 カレンとサザーランドの戦いを見れば既に決着がついていた。紅蓮弐式の右手は展開する事で伸びる。延長された腕により間合いを詰めたカレンはそのままサザーランドを掴み輻射波動を叩き込む。

『弾けろブリタニアッ!!』\ぽぺっ/

『お前達仲が良いな』

 通信を入れてきたのはC.C.。C.C.には俺とカレンがコーネリアと戦っている時の戦闘指示を命令してある。前にも思ったがC.C.はその実優秀だ。たまに皮肉や屁理屈を言うが真剣に教えれば飲み込みは早い。

「なんだC.C.嫉妬しているのか?」

『誰に向かって言っている。この肉ダルマめ。そろそろ想定地点だろう?私は当初の作戦通り背後を警戒しつつ援護する。他の部隊が現れたら足止めに入るから期待はするなよ』

「その前にケリを付けるさ」

 

 多数の日本解放戦線の無頼のロストを確認する。コーネリアだ。俺は一気に距離を詰めコーネリアのグロースターに攻撃を仕掛ける。

「コーネリアッ!!」

 まずは廻転刃刀、コイツは輻射波動と異なり燃費が悪いなどと言う事はなく使い易い手持ちの近接武器だ。

『ゼロか!?まさかノコノコと現れてくれるとはな!』

 ランスと廻転刃刀がぶつかり火花を散らす。

『姫様!』

 向かってくるグロースターにスラッシュハーケンを撃ち込み牽制しつつ距離を取る。

「カレン!コイツら以外の雑魚は任せる。C.C.!お前は戦況を見つつ柔軟に援護射撃をしろ!」

『簡単に言ってくれるわね!』

『つまり自由にやれと言うことか』

 

『数が多いからって調子に乗るなァ!!』

 カレンの暴れっぷりは目を見張るものがある。圧倒的数の不利を感じさせない立ち回り、輻射波動という一撃必殺を早々に見せつけ、警戒した機体をC.C.の援護射撃により浮き足立たせ生じた隙を逃さず更なる追撃、見事というべきだろう。

『ゼロ!藤堂達はそちらに合流出来なくなった』

「何が起きた?」

 俺がコーネリアともう一人を相手していると片瀬から連絡が入る。

『コーネリアの背後を突こうとしたところ、突出したところに配置されていた白いナイトメアにより足止めを食らっているそうだ。』

 スザクか。いくら5対1でも厳しい筈だ。カレンの方を見れば先ほどまでの勢いはない。連続で輻射波動を用いたことで輻射波動を使うだけの余力は残っていないようだ。C.C.達の援護チームもコーネリアを守る為に戻ってきた部隊と交戦、押され始めている。藤堂達も動けない、ならばここで押し切らなければ負けだ。

「片瀬、作戦行動εだ、ここで予備を含めた全部隊を投入しろ。」

『勝てるかゼロ?』

「包囲網の一部を崩せば勝機はある」

 とりあえず、兵隊同士の闘いが拮抗していた以上、予備を出した分こちらの方が優勢になる筈。既に隠し通路等の情報が出尽くして不意が打てなくなったとは言え、単純な数の増加は侮れない。更に一方向に集中させることで包囲網の一つを崩す。包囲網さえ崩せばこちらの士気は上がり、逆に向こうは下がる筈だ。

『そろそろ終わりだゼロ!』

 決着を焦っただろうコーネリアの一撃を左手で防ぎ、輻射波動を放つ。

『なんだこれは!?』

 チッ、勘のいいやつだ。右腕をパージして被害を最小限に抑えるとは。

『姫様!』

『構うな!ゼロを落とせば勢いは止まる!』

 俺はコーネリアではないグロースターに廻転刃刀を投げ付ける。

『野蛮なイレブンが!』

 狙い通りランスで弾いたか、ライフルでコーネリアを牽制しつつ、俺は距離を詰め再び輻射波動を放つ。

『その左手にさえ気をつけていればそんなもの!』

 躱されるがそれすらも俺の狙い通り。右手のライフルを投げ輻射波動で爆破する。左手はダメになるがダメージは与えられる。そのまま輻射波動の使えなくなった左腕を伸ばしつつグロースターをブン殴り、ランスを奪う。奪ったランスで串刺しにする直前脱出されたが、コーネリアを単騎にできれば十分だ。

「覚悟しろコーネリア。サイタマでの屈辱を晴らしてやる」

『甘いなゼロ、敵の武器を利用するのは貴様だけではない!』

 コーネリアのグロースターの手に握られているのは俺が投げ付けランスで弾かれた廻転刃刀。どうやらブリタニアの魔女と呼ばれるだけのことはあるようだ。

 再び刀と槍がぶつかり火花を散らす。とは言えリーチはこちらの方が上だ。コーネリアは初めて使う刀を上手く使いランスをいなすが押し込めている。

『ゼロ!こちらは終わりました!そちらの援護に!』

「でかした!」

 日本解放戦線の押し込みにより防衛ラインの押し上げには成功している。紅蓮弐式の右腕がコーネリアのグロースターの脚を砕くことに成功する。

 

 これで俺の勝ちだ!コーネリア!

 

 




ギアスと殴打による記憶欠落によりアッシュフォード学園の生徒を怪しめないヴィレッタはディートハルトのもとを訪れず、ディートハルトもナリタの情報が貰えないので今回の流れになりました。

ブリタニアの侵攻を知らないのと、日本解放戦線と手を組もうとしているので土石流作戦は未実行。

・月下先行試作型についてはロストカラーズというゲームから設定を持ってきました。調べた感じ、原作月下と同タイミングの入手みたいですが、月下より先行してロールアウトしていて、そもそも紅蓮と月下か基本的構造が同じなことからこのタイミングで入手することも可能かなーと。流石に無頼ではルルーシュが無双できないので。
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