ミートギアス 〜筋肉のルルーシュ〜   作:ベルゼバビデブ

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 ご機嫌よう!読者の諸君…私の名は…ゼロ!

 追手の対処は思ったよりも時間を食った。それにスザクめ…結局奴は裁かれるために俺の誘いを断って軍事法廷へと向かっていった。

 …馬鹿め!

 しかし、あの女…マーヤとか言ったか?あの筋肉量、マーヤ…どこかで聞いた覚えが…

 まぁ良い、それでは本編開幕だ!


STAGE04′

 熱い…熱い…。炎と煙で前が見えない。

 苦しい…苦しい…。炎の向こうに人影が見える…

『マーヤ…強く、生きて!』

 あれは…

 

「…はッ!?」

 腹部に凄まじい痛みを感じ、私は目を覚ました。それに、何か懐かしいものを夢で見た気がした。

「…知らない天井だ。」

 視界には知らない天井と…点滴の袋、それに仕切りのカーテンが見えた。どうやらここは病院のようだ。腕から点滴のチューブを引き抜き、点滴薬を全て飲み干す。うん、全身に栄養が回る感じがする。

「あ、目を覚ましたのね!?もう、心配したんだから」

 声がした方を見るとクラリスさんがいた。この人はまた泣いているのか…

「ごめんなさい、心配かけて。…また寝る」

 クラリスさんから逃げるように私は寝返りを打ち、背を向ける。もう眠気などなかったが、クラリスさんと話す気にはならなかった。

 

 検査の結果、骨や内臓に異常はなかった。でも、お医者さんの話では常人では骨は粉微塵になり、内臓が爆散していてもおかしくない衝撃だったらしい。ゼロはそれを可能にするほどの身体能力と戦闘センスを兼ね備えた強敵ということのようだ。

 クラリスさんは仕事に行ったようで、クラリスさんの置き手紙を丸めてカバンに放り込みつつ病院を出ると、スザクがピンク髪の女の人と一緒に…というか、スザクがピンク髪の女の人を抱えて疾走するところに出くわした。何事かと私はそれを追った。

「スザク!」

「…マーヤ!よかった、無事に退院出来たんだね、それに元気そうでよかった」

「スザクこそ無事に釈放されたみたいね。でも何してるの?」

 何故スザクはピンク髪の女性をお姫様抱っこして疾走しているのだろう。

「まぁ!こちらの方は凄い筋肉ですね、驚きです」

 この状況でニコニコとしているピンク髪の女性…

 

 ははーん、さてはこの人天然ね?

 

 走る速度を緩めず私たちは街中を疾走する。

「実はこの人、悪い人に追われてるらしいんだ」

「本当に!?大変じゃない…!だから逃げてる訳ね?」

「そういうこと。」

 しばらく走った後、私たちは公園で息を落ち着けていた。

「そういえば、その人って名前なんていうの?」

 スザクに聞くとスザクは返答に詰まっていた。…もしかして名乗ってない?

「あら?私のこと気になります?私の名前は…ユフィ」

 ユフィさんは微笑みながらそう答えた。

「私はマーヤ ディゼルです。」

「よろしくお願いしますね、マーヤさん」

「僕の名前は枢木 スザクです。」

 スザクが名乗り終える前にユフィさんの興味は猫へと移っていた。失礼にも程がある。しかしスザクもそこまで気にしていないようで、ニャーニャー言っているユフィさんと戯れる猫にキスをされていた。

「いきなりキスするなんて中々人懐っこい猫みたいね。」

「あれ噛まれてるんじゃないですか?」

 私が手を近づけてもゴロゴロと言いながら体を擦り付ける止まりだった。キスはしてくれないらしい。残念だ。

「猫って可愛いなぁ」

 そう言ってスザクが手を近づけるとまたキスをされていた。いいなぁ。

「あの、やっぱり噛まれてません?ねえ?聞いてます?あれ?私がおかしいんですか?」

 

 その後、ユフィさん曰く猫が怪我をしていたので手当てをすることになった。近くの薬局で包帯と薬を購入し、私が猫の手当てをした。

「手際、良いんですね」

「…よく子供たちの怪我を手当てしてましたから」

「…優しい方なのですね、マーヤさんは」

 優しい…か、私のは所詮自己満足。ただの偽善だ。結局ブリタニアを否定しながら今も結局ブリタニア人として、ブリタニアの軍の世話になって子供たちを保護してもらっている。ブリタニアを嫌いながらも切り離せない…私はそんな…卑怯者だ。

「マーヤ?どうしたの?」

「…なんでもない。」

 スザクに声が掛けられると同時に処置が終わり、猫はどこかへと駆けて行った。猫って自由で良いわね。

 

 話を聞くとユフィさんは本国から来たらしい。観光だろうか?ならばと思い、どこか行きたいところを聞いた。

「それではマーヤさん、ぷるるぎさん、私にゲットーを案内してください。

「ユフィ、僕はそんな柔らかそうな名前じゃないよ。僕の名前は枢木だ。」

「失礼、噛んじゃいました。」

「違う、わざとでしょ」

 そしてゲットーの慰霊碑に辿り着き、私たちは死者の冥福を祈った。ブリタニア人として生きる卑怯者の私がこんなことをしてもただの偽善、自己満足なのは承知しているが、これをやらないと私は私が許せなくなりそうだ。

「沢山の方が亡くなったのですね…悲しい事です。」

「ユフィさんはブリタニア人なのに日…イレブンの死が悲しいの?」

「マーヤさん、命にブリタニア人もナンバーズもありません。…私はそう思います」

 本当に悲しそうな顔をしているユフィさんを見ていると、少しだけ私も救われた気がした。そうだよね、命に産まれなんて関係ないはずだ。

 

 慰霊碑を離れると、特派のトレーラーがやってきて中からセシルさんが降りて来た。

「スザクくん、マーヤさん大変よ」

「どうしたんですか?セシルさん」

「近くでナイトメア同士が闘ってるの。純血派の内ゲバでね…」

 私たちも特派のトレーラーに乗り込み、詳しく話を聞くと、元々リーダーをやっていたジェレミアさんは最近になって純血派の方針を変えようとしていたらしい。しかしそれに反発したキューエルが発言力を持とうと功績を上げる為にクロヴィス殿下の殺人犯をスザクだとでっちあげた。しかし、知っての通りスザクは冤罪、ゼロという真犯人が現れた訳だが、それを取り逃がしたのは作戦に参加しなかったジェレミアさんのせいだということになったらしい。そしてキューエルはジェレミアさんを始末せんとナイトメアによる粛清を敢行しているとのこと…知らない相手でも無いし、このまま見殺しにするのは気が引ける。

「セシルさん、ランスロットは出せますか!?データを取るいい機会だと思うんです!」

 よし、ここはスザクに便乗しよう!

「私もいい機会だと思います。正規兵にも勝てるとなればランスロットの実用性はより証明できるのでは無いでしょうか!」

「それは…」

「あはぁ〜!面白い意見だねぇ〜!」

 いつのまにか現れていたロイドさんはそう言うと、ランスロットの発進準備を指示していた。

「彼は名誉ブリタニア人ですよね?ナイトメアに乗るんですか?」

「えぇ、彼、すごく才能があるみたいなので」

「そうなのですね」

 …なんでユフィさんはしれっとトレーラーに乗り込んでるんだろう?

 

 そして急に肩を叩かれ振り向くとロイドさんだった。

「はいこれ。マーヤくんにプレゼント!」

 渡されたのは青い鍵…なんだろう?サザーランドのキーに似ているけど…

「それは君のナイトメア『ボールス』の起動キー!戦うのはスザクくんだけだと思ったぁ?残念でした!」

 案内された先で見たのは私専用のナイトメアと言われた『ボールス』見た目はあまりサザーランドと変わらない気がする。でも、普段から予算が無い予算が無いと…雇った私の給料すら絶賛滞納中…陽菜達の方は問題ないらしいけど…の現状で新しくナイトメアを作る余裕なんて…

 

 …うん?サザーランドを改造した様なナイトメア。この前の残骸回収…

 

 …ま、まさか…

「この機体に使われてるパーツってもしかして…」

「あ、もしかして気付いちゃったぁ?そ!マーヤくんにこの前回収してもらったサザーランドをベースに作ってるんだぁ〜!」

「それって横領になるのでは…?」

 この場には…というか私のすぐ隣にはユフィが居るのでもはや揉み消せないと思うのだがどうするつもりだろう。

「大丈夫だよぉ、どうせテロリストに回収されたら鹵獲されたりして正確な数なんてわかりっこないんだから」

 だからそれを言っては揉み消せないんだけど…

 

 …私は何も見てないし、何も聞いてないわ。

 

 そしてユフィと目が合った

「…わ、私は難しいことは分かりません。それにボーッとして何も聞いてませんでしたよ…」

 うん、これで何も問題はないわね!うん!問題ない!きっと!

「これ機体のマニュアルね。ランスロットを突き詰めるのも楽しいけど、気晴らしに新しくナイトメア作るのも楽しいよねぇ〜」

 私は気晴らしで作ったものに命を預けるのか…この人の倫理観どうなってるんだろう…?

 スペックやマニュアルを軽く流し読みして頭に叩き込む。操作感はサザーランドとは大差なさそうだ。ロイドさんの手書きメモなんかによると、どうやらランスロットの予備パーツや廃棄予定だったパーツ…そんなものを使って安全性があるのかは疑問だが…開発予定で没になったパーツなどを組み合わせたワンオフの機体らしい。更にクラリスさんからの試供品の新型エナジーフィラーを乗っけてるとか。…大丈夫かな。不安しかない。不安な要素しかない。もはやサザーランドに乗って出た方がマシと思えるレベルだ。

 コクピットで発進許可を待ちつつ、武装類の項目に再び目を通す。プロトタイプであり、廃棄予定だったとは言えアサルトライフルとは比較にならない火力のプロトヴァリスと、ランスロットにも搭載されている実弾を弾くブレイズルミナス…これには付箋で稼働時間を著しく食うとセシルさんの文字で注意書きがされていた。…これだけでも強力なのはマニュアルを読めばすぐにわかった。それに切り札もある様だ。ただ、最後のページに思わず言葉を失う。

『ランスロット発進!続けてボールス、発進!』

 ボールスを発進させるが、マニュアルの最後にセシルさんのものと思われる走り書き…『脱出機構が外されてる』には笑えなかった。

 

『本当に私を殺す気か…!キューエル!』

『黙れオレンジ!最近貴様が賄賂に手を染めていたことは知っているぞ!だからあのゼロとかいうテロリストは逃走に成功したのだ!お前が全て手を引いていたのだろう!この裏切り者め!』

『何を言う!私が賄賂などと!』

 内ゲバの会場となっているスタジアムからスピーカーの声が聞こえてくるが、ジェレミアさんがそんなことをする人間には思えない、どうやらでっち上げで自分の失敗の責任をジェレミアさんに被せようとしている様だ。争いの場に突入すると…

 

『ヴィレッタ!貴様!』『キューエル卿、流石に看過できません!』『済まぬヴィレッタ』『ジェレミアだけでも始末しろ!』『イエスマイロード!』『オールハイルブリタニア!』

 六体のサザーランドが乱戦をしていた。

 

『マーヤ、聞きたいことがあるんだけど』

「何?」

『どれがジェレミアさんかわかるかい?」

 ふふっ、勿論!

 

 分かるはずがない。

 

 全員同じ装備、同じナイトメア、同じカラーリングだ。私には全部同じに見える。これがもし、どれか一機を取り囲むかの様にしていたのなら判別もできただろうが、しかし現在は絶賛乱戦中。よってこの場合、私たちのとるべき行動は…

 

「スザク、サザーランドを全部倒せば解決よ!」

『なるほど!マーヤは賢いね!』

 

 ブレイズルミナスを展開し、そのままタックルをかましてサザーランドを押し倒す。

『何をする貴様!』

 どうやら乗っているのは女の人らしい。そのままプロトヴァリスで頭と腕を吹っ飛ばし、胴体を蹴っ飛ばす。

『ヴィレッタ!お前もジェレミア同様始末を…』

 私のことを味方だとでも思ったらしいサザーランドは私がボコボコにしたサザーランドに対して銃を構えていたのでドロップキックを叩き込み押し倒す。

『おい!何をする!?敵は…って貴様。サザーランドじゃない!?』

「さよなら」

 踏み付けで頭を破壊し、両腕を引き千切る。

 スザクとやり合っているサザーランドに対し引きちぎった腕を投げ付ける。

『卑怯!背後をバック…しかし、当たらずッ!』

 中々の反応に感心するが、既に王手、私とスザクは速度を緩めず、挟み込んでのドロップキックをブチかます。

 脱出して出てきたパイロットを見ればジェレミアさんの様だ。

「良かった!無事だったんですねジェレミアさん!」

『いや、危うく君達に殺され掛けたんだが…?』

 すると、ボールスの近くをヴァリスが掠めた。…うん?ヴァリスが掠めた?

『まだ残ってたのか…止めてください戦いなんて!同じブリタニア軍同士でしょう!』

「待ってスザク、何を言って…」

『サザーランドなんかこのランスロットで!』

 まさかボールスをサザーランドだと思ってる!?そう思っているとスザクは剣を引き抜いた。

『あれは…MVS…!実用化されていたのか』

 ジェレミアさんの呟きを聞きつつ思考を巡らせる。あの切れ味じゃ普通に腕で防いでもガードこと切られる…

『食らえ!』

 一撃目はMVSでの攻撃…スザクの性格ならフェイントはないはず!バックステップを取ることで回避し、プロトヴァリスを放つ。しかしそれをブレイズルミナスで弾いてきた。私はすぐそばに落ちていたサザーランドの大型ランスを拾い、ランスロットに対して投擲する。

「これでも食らえッ!」

『なんと見事なアンダースロー!』

『早い!ただのサザーランドじゃないのか!?』

 そうよスザク!サザーランドとは違うのよ、サザーランドとは!

 ロイドさんが私のためにカスタムしてくれたボールスの特徴に投擲力の高さがあるのだ。

 ランスをMVSで弾くスザクだったが、その間に私は距離を詰めている。右手のガントレットを展開し、スパイク型MVSを起動。

「これでブン殴るッ!!」

『これは!?』

 スザクのMVSを一本叩き切ることに成功するが、すぐさまもう一本のMVSで右腕を切られてしまった。しかしこちらは蹴りを叩き込んで距離をとり、腰に手を伸ばす。

『こうなったらバーストモードで消し飛ばす!』

「そんな武器なんかッ!」

 放たれたヴァリスに腰から取り出した投擲式反発衝撃弾『スロウ・ヴァリス』を投げつける。お互いのヴァリスがぶつかり合い、凄まじい爆風が起こる。

『そんな!ヴァリスを相殺した!?』

 次のスロウ・ヴァリスに手を伸ばすと、ユフィが現れた。

 

『私、ユーフェミア リ ブリタニアの名の下に命じさせて頂きます!双方とも、剣を収めなさい!!』




Q.マーヤならルルーシュがゼロだって筋肉で気づかないの?
A.マーヤはつき過ぎた筋肉が仇となり鈍感なので気付きません。

ここで一つ補足を。STAGE02′の回収任務のときに協力を申し出てきたサザーランド居ましたよね?あれ中身ルルーシュです。

STAGE03°の後書きでも書きましたが、展開予想に関しては活動報告を用意したのでご活用下さい。

●オリジナルナイトメア紹介●
『ボールス』(外見イメージはロスストのOPに一瞬だけ出てくる奴を思い浮かべてください。※ペンデュラムとは別物)
・マーヤが回収したサザーランドの残骸をベースにランスロットの予備パーツとランスロットの製造過程で没となったパーツ等を組み合わせたナイトメア。因みに残骸の横領は犯罪である。
・頭部には高コスト化が原因で採用されなかった小型ファクトスフィアの試作版を搭載、結果として頭部形状はサザーランドに似るものの、顔は赤い丸のツインアイタイプとなった。
・ベースはサザーランドであるが、フレームの一部はランスロットの知見を得て改良されており、運動性能だけで言えばグロースターにも勝る。但し、機動力を確保するために装甲はサザーランドよりも薄くなった。
・プロトヴァリスは試作版であり、出力を補うために機体からのエネルギー供給が必要な上、ランスロットのヴァリスに比べてノーマルモードの火力しか出ないと機能が制限されている。
・左腕にはブレイズルミナスを装備。但し、エナジーを著しく食うため稼働時間が大幅に減るし、プロトヴァリスの使用にも影響が出る。
・右腕にはランスロットでは没になった展開式のガントレットを装備している。ガントレットによるマニュピレーター保護とガントレットのスパイク型MVSにより破壊力のある殴打が可能。
・というか装甲が薄い関係で雑に殴ったりするとボールスの方が壊れてしまう。ただし、ロイドがマーヤの癖を見たため、脚部フレームはかなり頑丈。ドロップキックやフットスタンプなどの踏み付けの動きには強い。(スザクのような回し蹴りは壊れる)
・ヴァリスのバーストモードと同等の破壊力を持つ投擲式反発衝撃弾『スロウ・ヴァリス』を2個格納している。
・エナジーフィラーはクラリスの会社からの試供品を使用している。
・なお、ロイドにより脱出機構は外された。なんで?
・ロスストでの名称は「サザーランド・カスタム」のようですね。(11/3追記)

●今話で使用した小ネタ出典
・化物語シリーズ(阿良々木&八九寺)
・ぐらぶるっ!(ラカム)
・新世紀エヴァンゲリオン(碇シンジ)
・機動戦士ガンダム(ランバ ラル)

●次回予告
ナナリー「それではお二人とも、見合って見合って…はっけよーい…のこった!」
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