マーヤくん達の通ってる学校、この前の事件の関係でマスコミが賑わってるみたいだねぇ!
お め で と う !
それじゃあ本編スタートだよぉ!
激しい『功績』は要らない…そのかわり大きな『失敗』もない…。『窓際族』のような仕事を…そんな『安定した仕事』こそ私の目的だったのに…
「直接会うのは初めてだな。私が神聖ブリタニア帝国第2皇女のコーネリア リ ブリタニアだ。君の勇気ある行動により民間人が犠牲になる事なく作戦を終えられた。ブリタニア軍人として模範的な行動だ。そして…ユフィを守ってくれてありがとう、感謝する」
「あ、はい。恐縮です。」
政庁から呼び出しを受けたときは終わったと思ったけど、なんというか別の意味で終わったと思う。なんかこう、平穏さとかそういうアレが。
「ところで君はナンバーズの孤児の面倒を見ているそうだな?」
…もしかしてハーフだとバレた…!?上げて落とすつもりなのか…!?
「兄上から支援があるそうだが、私からもそう言った孤児に対する支援を手厚くできるように働きかけようと思わされたよ。それが支配する側の責務だとな。」
…支配する側の責務…?
「…?どうした?」
「…いえ。なんでもありません」
「そうか、では下がると良い。今後も活躍に期待する。」
「イエス ユア ハイネス」
…コーネリア殿下はなんというかブリタニアの傲慢さそのものって感じで好きになれないな。でもまぁ…支援が手厚くなるってことは陽菜達の生活がもっと良くなるって事だし、余計な事を言って路頭に迷わせるわけにもいかないしね。
登校しようとすると凄まじい数の報道陣が学園の正門に並んでいた。そして私の前には恐らく私と同じことを考え、迷っているだろう紅い髪の生徒がいる。
「おはようカレン」
「あ、おはようマーヤ」
「ねぇねぇ…カレン。どうする?アレ」
私は報道陣を指差し、カレンにある提案をする。
「…もしかしてサボりのお誘い?」
私は頷くとカレンも頷いてくれた。よし、赤信号二人で渡れば怖くない、だ。早速サボろう…と踵を返すと視界にスザクが現れた。まずい…
「やあマーヤ、それにカレン…何故今学園に背を向けたんだい?まさか…サボろうとなんてしてないよね?…マーヤ、セシルさんに言い付けられたいのかい?」
「チッ」
あ、カレンが舌打ちした。
その後、スザクが声を掛けて報道陣を退かし、なんとか学園に入ることに成功してしまった。無念。
昼食時になり、最近は恒例となった生徒会室でのランチを取る。まぁ、今日は鶏胸とブロッコリーだけだけど。
「うわぁ…マーヤとルルーシュの弁当中身だだ被りじゃん…」
リヴァルに言われてルルーシュの弁当と見比べると確かに中身が同じだった。まぁ、同じように筋肉を鍛えているもの同士なら当然とも言える。そして雑談が始まると話題は当然ホテルジャックの話になった。そして話の中でホテルジャックのせいでユフィ…つまりユーフェミア殿下との遊ぶ約束がおじゃんになったという話になり、それに何故かルルーシュが反応した。
「め、珍しいね…ルルが他人に興味を示すなんて!」
それにいち早く反応したのはシャーリー。こういうのはいつもならミレイ会長だと思うが、電車のときもそうだけど何故かユフィの話題には触れないようにしているようにも思える。
「いや…学園の人物じゃないから気になっただけだよ。」
「なになに?どんな子?女の子!?可愛い!?写真とかある!?てか連絡先とか知ってる!?」
食い付くリヴァルを引っ叩き大人しくさせるが、見た目を聞かれてニーナが返事をしていた。
「えっと…とっても上品だったけど…どこが天然っぽくて…髪がピンクの美人な人だったよ…?」
「髪がピンクでユフィ…」
ルルーシュの様子では思い当たる節がある様に見えるけど…どうしたんだろう?そして不思議なのが何故かスザクも焦ったような顔をしている事だ。別にミレイ会長達と交流がある以上それくらいの情報は差し止める方が寧ろ怪しい気がするんだけど…。
「シャーリー、そのユフィって人とはどんな話で盛り上がったんだい?」
「それこそルルとナナちゃんの話ししたら食いついたよ?」
ルルーシュの疑問にシャーリーが答えると、ルルーシュ目が一瞬だけ目を見開いた。すぐさま元の興味なさそうな顔に戻したけど、よーく見れば顔の筋肉の緊張からポーカーフェイスを維持しようとしていることがわかる。
「も、もしかしてルル…」
「!」
口を開いたシャーリーに何故かスザクが激しく反応した。だからなんで貴方が反応するの…?
「ユフィと恋人だったりするわけ!?」
「こ、恋人…!?なんでそうなるんだシャーリー!?」
「だ、だって!今思えばユフィはルルとナナちゃんのこと知ってそうな反応だったし、ルルもユフィを知ってそうだし!それに最近ルルって気付いたら居なくなること多いし!学園外の人と恋人になってるなら…!」
するとルルーシュは少しだけ恥ずかしそうな顔…しかし顔の筋肉を見ればそれは偽物であるとわかる…をして
「元…恋人なんだ。その、過去にいろいろあってね…そうか、彼女こっちに来てたのか」
と答えた。…皇女様とルルーシュが元恋人?うーん、ルルーシュの顔の汗を見る感じテカってるし嘘じゃないの…?
「な、なーんだ!元…、そっか、元か!なーんだ!元ね!い、いろいろあったんだね!そっかそっか元かぁよかったぁ!」
安心したようなシャーリーと対照的に、セシルさんの作ったおにぎりを食った後みたいな顔をしているスザクが印象的だった。あと、なんでこんな好きそうな話で会長は終始無言だったのだろう?
その後は午後の講義だが…ブリタニアの歴史の授業だったので受ける気にならず屋上という青空の下で筋トレをして時間を潰すことにした。鐘が鳴ったので下校の準備をするため教室に戻ろうとしたのだが、その前に身だしなみを整えていると、屋上の扉が開いてしまった。
「やばっ」
もしシャーリーやミレイ会長、先生とかだったら怒られると思い、急いで隠れるとやって来たのはスザクとルルーシュの珍しい組み合わせだった。…普段喋ってる様子もないのに。しかもルルーシュは扉に何かをしている。
「…ルルーシュ?扉に何をしたんだい?」
「扉を歪めておいた。これで誰も屋上に来れない。安心しろ、帰る前にちゃんと元に戻しておく。…まぁ、講義が終わった後だし屋上に来る奴なんていないだろうけどな。…それで?話ってなんだ?」
…どうしよう、今更出るに出られなくなってしまった。
「ルルーシュ、どういうつもりだい?ユーフェミア皇女殿下と元恋人だなんて嘘を吐いて!」
「仕方がないだろう!ああなってはアレしか手がなかった!それに一応…その、初恋だった。…しかしこんな形で俺が生きていることがユフィに知られてしまうとはな…。姉上にも知られていると考えるべきか…?いや、実際に会うまでは流石のユフィも黙ってるか…。しかしまずい事になった、俺を匿ってくれているアッシュフォード家にも迷惑がかかる…!」
「ルルーシュ…君の初恋なんて…聞きたくはなかったよ!」
その意見には同意だ。そして大変申し訳なく思う。…?姉上?ルルーシュ達には姉なんて居ないし…もしかしてコーネリア総督のことを言ってる?なんで総督のことをルルーシュは姉上だなんて…ん?そういえば歓迎会の時ナナリーが…
『なんだか懐かしいです。…はい、なんだかお姉さ…あっ…いえ、なんでもないです』
って言ってたような。…え、まさかルルーシュ達って皇族…?そう考えれば辻褄は合う…ナナリーの姉が懐かしい発言に、ルルーシュとユーフェミア皇女殿下が知り合い、そしてルルーシュによるコーネリア総督の姉上呼び。…でもなんでそれをスザクは知って…そういえばスザクって枢木ゲンブ首相の息子…。首相の息子と皇族なら交流があってもおかしくはない…?…そうか!だから歓迎会の時点でスザクはナナリーのことを知ってたんだ。昔に会ったことがあるから…!というか、アッシュフォード家?え、なに?会長も関わってるの…?
「頼む、スザクの方からなんとかユフィに俺と元恋人同士だったということで話を合わせてくれるように頼んでくれないか!?」
「そんなの無理に決まってるだろ!?マーヤならともかく、僕なんてユーフェミア副総督と1回しか話したことないんだよ?名誉ブリタニア人の僕が皇族の人と話す機会があるはずなんてないじゃ無いか!」
「クソ…!このままではいずれ俺達が生きていたことが本国バレてしまう…!そうなればナナリーが政治の道具に…!」
「…さ、最善は尽くすよ。そうだ!マーヤに頼んで…」
…生きていたことがバレる?つまりルルーシュ達は死んでいるべき皇族ってこと…?
「ダメだ!マーヤにそんなことを頼めば俺とユフィの関係性に疑問を持たれる!幸いユフィは本国にいた頃は学生として身分を隠していた、皇族と知らずに恋人関係になるのはあり得ない話じゃない!それに、アイツは無関係な人間だ…!巻き込みたくはない」
「そ、そっか…じゃぁ僕がなんとか功績を上げてユーフェミア様に直接話せるような機会を頑張って作るよ!」
「…そ、それしかないか…!それまでバレないことをなんとか祈るしかない…!クソッ!何たる失態だ!」
…だめだ、もう今更出ていけない…今出て行ったら確実に殺される…。頭がパンクしそうだ…ルルーシュとナナリーはブリタニア皇族で、しかも死んでいるべき皇族、そしてルルーシュ達が皇族だとスザクは知っていた。
でも…ナナリーを政治の道具にしたくないってルルーシュの気持ちは伝わった。この秘密は墓まで持っていこう。それに、特別仲が良いわけでもない私を巻き込みたくないという言葉…ルルーシュの本音はその言葉だけで十分だ。幸い嘘を吐いたり卑怯なことをするのは慣れてる。
学園終わりに特派に向かうと、既にスザクはパイロットスーツに着替えていた。
「あ…マーヤ、遅かったね。教室にいなかったからもう来てると思ってたよ」
「う、うん…ちょっとね」
「何がちょっとなんだよ。歴史の授業サボる癖…直したほうがいいよ?」
…スザクは日本人だ。だからハーフの私なんかよりもブリタニアに都合の良い解釈がなされた歴史の授業なんて聞いてて辛いと思うのに、何故そんな平気そうな顔で居られるのだろう…。
「…ねぇ、スザク。」
「なんだい?」
「スザクはブリタニアの歴史の授業、聞いてて辛く無いの?」
こういうのは本人に直接聞くのが一番だ。
「…?どうしてそう思うんだい?…あぁ、僕がナンバーズだから?気にしなくて良いのに、確かに解釈とかに少し気になるところはあるけど、日本が負けたのは事実だからね」
そう言ってスザクはなんでも無いようにパイロットスーツの各所を確認している。
「…そう、スザクは強いんだね」
私もパイロットスーツに着替える為にその場を離れると、私の聴覚でなければ聞き取れないような小さな呟きが聞こえてきた。
「そんなことは、ないよ」
と。
そういえばなんの指示もなくパイロットスーツに着替えたけど、何するんだろう。もう夜なのに。
「はいこれ、今回の任務だよぉ〜!なんとコーネリア総督直々なんだぁ!これで活躍すればきっと予算も増えるよ お め で と う!」
渡された司令書に目を通すと見慣れない言葉が目に入る。
「なになに…『違法プロテイン』…?なんです?これ」
私の疑問に答えてくれたのはセシルさんだった。
「最近、ゲットーや租界の名誉ブリタニア人やイレブンを狙った違法薬物なの。」
どうやら使うと一時的に莫大な筋肉が得られる代わりにその後は肉体が萎み立つことすらままならなくなるらしい…なんだこのふざけた薬は…!筋肉とは日々の地道な積み重ねである物だ…!この薬はそれを台無しにする、冒涜している…!許せない…!
「被害はブリタニア人にはあんまり関係ないんだけどさ〜ぁ?生産率とか、落ちちゃうでしょぉ?コーネリア総督もこういうのに疎い事は自覚があるみたいでさ〜ぁ」
「それで我々に警戒のパトロール任務ですか」
「そういう事!うちとしてもナイトメアを遊ばせるよりはねぇ!コーネリア総督の方から経費は貰えるしさぁ、断れなくって」
正直、闇雲なパトロールじゃぁ被害の軽減は望みが薄いけど…何もしないよりはマシだろう。それに総督も対策してるという形は作れるし。
「やります!僕達のパトロールで少しでも被害が抑えられるなら!」
張り切っているスザクの様子から考えるに…功績を上げてユーフェミア皇女殿下と会うチャンスを作ろうとしてるのかな。なら私もナナリーの為にも協力してあげなくちゃ!
心は日本人のマーヤ、コーネリア総督の無自覚な傲慢さにブチ切れ
●今話で使用した他作品ネタ
・ジョジョの奇妙な冒険(吉良 吉影、ブローノ ブチャラティ)
●次回予告
カレン「ちょっと!いきなり大きな声出さないでよ鼓膜が破れるじゃない!」