ミートギアス 〜筋肉のルルーシュ〜   作:ベルゼバビデブ

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ブリタニアの少年、ルルーシュは、力を三つ持っている。
一つはギアス、如何なる相手にでも命令を下せる絶対順守の力。
一つは黒の騎士団、父が統治するブリタニア帝国を破壊するための、彼の軍隊。
最後の一つは筋肉。筋肉は全てを解決する。純粋な腕力の前に全ては平伏す。

それでは本編スタートです。


STAGE11

 コーネリア総督はナンバーズに厳しいお方だ。今回の包囲作戦でも僕ら特派は参加を許されず後方にて待機となっている。河口湖での囮作戦成功の功績を認めて僕を准尉に特進させたことを考えると、やはりユフィのお姉さんということもあって根は優しい人に違いない。…あ、これはなんだろう、口に出したら不敬なんだろうなぁ…。今回の包囲作戦は圧倒的物量で徹底的に日本解放戦線を潰す予定らしい。テロという間違った方法をとる彼らには申し訳ないけれど潰れてもらうしかないだろう。同じ日本人…イレブンを手に掛けなくて良いということで内心ほっとしている自分がいる。僕は卑怯者だな…。

 

 作戦が始まると当初の予想は覆り、苦戦を強いられていた。山全体を要塞化しているらしく、神出鬼没な日本解放戦線に不意を打たれる事態が多発した。

「あら〜?苦戦してるみたいだね〜これはもしかしたら出番あるかも?おめでと〜!」

 ロイドさんが言うようにこのままだとランスロットの出番があるかもしれない。そうなれば容赦なく叩かせてもらう。僕はブリタニアで評価され始めたんだ。このまま功績を上げ続ければきっとイレブンへの風当たりは良くなる筈だ。

 

 コーネリア総督の部隊から驚くべき通信が入った。日本解放戦線と黒の騎士団が協力しているらしい。そう考えればコーネリア総督の苦戦も理由がわかる。相手の指揮官はゼロ…即ちルルーシュだ。ルルーシュ、戦場であったら容赦は出来ない。ナナリーを悲しませることになるかもしれないが、君を止めなければもっと多くの人が悲しむことになるかもしれない。学校では…彼への恩もあるしそれは出来ないけれど…。

 暫くするとランスロットに出撃命令が下されることになる。総督の背後を守る部隊が何者かによって討ち取られているらしい。ロイドさんがユフィ…ユーフェミア副総督に直々に総督の救援を申し出たのだ。

『イレギュラーは大人しくしておれ!』

「まぁまぁ、うちらがやられてもそちらの損失にはならないんですし、いいじゃないですか」

『枢木准尉、お願いします。ランスロット、出撃してください。』

 僕は力強く頷く。

「イエス、ユア ハイネス!」

 

 僕は総督の背後に迫る敵部隊と接敵すると既に総督の背後を守る部隊は全滅していた。

「敵の数は…たった五機…?戦い慣れてるのか…!」

 見れば手に刀を持っている。こちらはMVSで応戦する。見たところグラスゴーを改修した機体の様だけど、動きが違う。機体の性能差を腕と立ち回り、数で補われている。数度攻撃を受けてみればわかる。並のサザーランドではこれは止められない!

「いくら数が多くても!」

 僕はヴァリスを向け放つが、残骸のサザーランドを盾にする様に前に放り投げられ防がれてしまった。

『スザクくん!方向に気を付けて、ヴァリスの流れ弾がもし総督の方に向かって当たりでもしたら…』

『あっはぁ!クロヴィス殿下殺害疑惑の次はコーネリア殿下殺害疑惑だねぇ!あっちょ…やめ…』

 確かに…今の防御でもわかったけれど迂闊にヴァリスは使えない。それに背後からの斬撃!シールドで受けたけれど、エナジーを消費するシールドの多用は厳禁だ。

『へぇ、やるじゃん』

 ただでさえ人数不利、次々から斬撃を捌くのに僕は両手にMVSを握ることにし、隙を窺うことにした。一人でも減らせればそこから勝機が見えるかもしれない。

 

 左右からの同時攻撃をスラッシュハーケンを使ったジャンプで躱し、続けて孤立した機体に向けてハーケンを飛ばして距離を詰める。一撃目のMVSは刀で防がれるがもう一本のMVS…は接近してきた別のナイトメアの攻撃に対する防御に使用する。仕方が無いのでナイトメアを蹴ることで距離を開け、敵の数を確認する。

 

 …一機足りない?

 

 僕はすかさず回し蹴りを放つ。すると僕の読みは当たったようで、ナイトメアを蹴り飛ばすことに成功した。

『無事か?』

『中々鋭い勘の持ち主だ』

 再び周りを見渡せばきっちり5機のナイトメアに囲まれているようだ。更にナイトメア達は等間隔に距離を開け僕の周りを旋回している。示し合わせたように距離を詰めては斬撃を繰り出してくるのでそれを防ぐ。攻めきれない…!?ランスロットでも!?

 

 すると、ユフィ…副総督から通信が入る。

『スザク!お姉様が!』

 次々と襲い来る斬撃を捌きながらモニターを見れば総督が敗北したらしい。なんとかしなければ…!危険だがやるしか無い。総督のナイトメアが動けないなら流れ弾が当たる可能性は低い。僕はしっかりと方向を狙い、僕を囲むナイトメアが巻き添いになるタイミングでヴァリスを最大出力で放つ。

『何!?』『きゃあ!?』

 5機の内2機の脚部と腕を破壊することに成功し、同時に総督への道も開けた。距離を詰められ襲い来る斬撃をヴァリスを犠牲に防ぎ、MVSを投げつける。

『大丈夫?』『中々面白い闘い方をする…!』

 残すは2機だが、優先すべきは総督の命だ。僕はナイトメア達に背を向け総督の元を目指す。

 

 

 

 突然地面が抉れ、吹き飛ばされた。コーネリアがいると言うのに無茶苦茶なことをする…!こんなことをやる奴の心当たりは一人しかいない、スザクだ。

「藤堂、そちらは無事か?」

『済まないゼロ、突破された。二人は動けるがどうする?』

「これ以上は消耗戦だ。破損したナイトメアは廃棄してこちらに合流しろ!」

 先ほどの攻撃の巻き添えで紅蓮はボロボロだ。C.C.に頼んで下がらせるしかない。そして現れたのは白いナイトメア…スザクだ。

『ゼロだな!?君を止めに来た!』

「やれるものならやってみろ!」

 ランスを投擲しつつ廻転刃刀を拾い上げ一気に距離を詰める。ランスは弾かれるが隙は作れた。廻転刃刀の一撃はシールドに防がれるがそれくらいは予想済み。俺は蹴りを繰り出す…が、それを脚で防がれる。やるなスザク、こちらの手を読んでいる!

『ゼロ!加勢する!』『藤堂さんがそう言うなら僕も!』

 スザクはスラッシュハーケンによる跳躍で背後からの攻撃を躱し、すぐさまコーネリアのグロースターに接近する。しまった、狙いは初めからコーネリアか!

 こちらは遠距離攻撃を持たず、ハーケンによる跳躍とそもそもの機動力が勝る白いナイトメアに追いつく・追い討ちを仕掛ける余裕はなく取り逃がしてしまう。

『ゼロ、聞こえるか。片瀬だ。包囲網の突破に成功した。我々はこのまま包囲網の穴を広げる。黒の騎士団だけでも今のうちに撤退してくれ。』

「馬鹿を言うな!ここで黒の騎士団が撤退しては再び押し返されるぞ!」

 今辛うじて抑え込めているのは我々黒の騎士団と日本解放戦線の両軍が居るからこそだ。ここでの戦力分散は自殺行為に等しい。

『このままこの地に留まればやがてブリタニアの援軍がやってくる。何も我々とてこの地で滅ぶつもりはない。日本人の意地と誇りにかけて突破してみせる。今回の戦いで確信したよ。君さえ居れば日本は再び立ち上がれる。また会おう、同志よ。次会うときは秘蔵の酒を振舞わせてくれ』

「申し訳ない。私は酒は頂けないが…次会うときを楽しみにさせて頂く。」

『さらばだゼロ、共に戦えて光栄だった』

 藤堂はそう言うと残りの四聖剣と共に山を登っていく。彼らの覚悟は固そうだ。諦めて俺達黒の騎士団は日本解放戦線がこじ開けてくれた包囲網の穴を使い撤退した。俺の月下は左手が全損、紅蓮も右手も修理が必要だ。団員もいくらか死んだが…俺達は生き残った。

 

 因みに包囲網の突破後にも何機かのサザーランドに遭遇したが全員ぶん殴って始末した。お陰で月下の右手もダメになってしまった。\もっと丁寧に扱いなさいよ!!/

 

 

 

 ここはどこだ?私は誰だ?わからないことだらけだが、口に入った土の味が不快なことはわかる。嫌に重たい体をなんとか持ち上げ、入ってしまった口の土を吐き出す。がさりと物音がし振り返ると何やら男性がいるようだ。

「大丈夫ですか?軍人さん!」

「あなたは…?」

「私はフェネットと言います。軍人さん、ひどい怪我だ。立てますか?ほら、肩を貸しますから」

「ありがとうございます…」

 フェネット氏は重たいであろう私の体を懸命に支えてくれた。

「ここはどこです…?」

「ナリタですよ。全く、仕事の関係で地質調査に来たらナイトメア同士の戦闘に巻き込まれるとは散々です。同僚達とははぐれてしまったし…この前は娘がテロに巻き込まれましてねぇ…私が何をしたって言うんだか」

「我々が不甲斐ないばかりにすみません…」

 私は軍人だ。名前はわからないが…きっと軍人だ。彼ら一般市民がテロに怯えるのは我々が情けないからだ。

「軍人さんが悪いわけじゃありませんよ。テロをする奴らが悪いんです。シャーリー…あ、私の娘なんですけどね、シャーリーは観光に行った先でテロに巻き込まれたんです。黒の騎士団とか言う奴らに救助されたって言ったましたけど、テロリストはテロリストですよ。」

「黒の…騎士団…?……………ゼロォーーーー!!!」

 その名前を聞くと私は頭痛に襲われた。

「ど、どうしたんですか!?少し休みますか?」

 私は突然の頭が破れるような感覚に倒れてしまう。黒の騎士団…ゼロ…!何故かは思い出せないが、その名前を聞くと許せない気持ちになる。フェネット氏は私に木陰で休むように言う。しばらくすると私も気分が落ち着いたように思える。

「娘さん、ご無事でよかったですね…」

「え?ええ、本当に。あ、うちの娘見ます?嫁に似て別嬪に育ってくれたんです。ほら」

 写真にはフェネット氏と二人で仲良さげに写真に写るオレンジ髪の可愛らしい女性が写っていた。

「確かに可愛らしい女性だ。」

「でしょう?昔はパパと結婚するなんて言ってくれたたんですけどね、こんなに可愛く育つと悪い虫が付かないか心配になるものです。…おっと、また話が過ぎましたね。さぁ、麓まで降りましょう。」

 再びフェネット氏の肩を借りた私は街らしきところまでやってきました。

「さ、あの道路を渡りましょう。街まで行けば安全に体を休められる場所がありますよ」

 私たちが道路を渡ろうとしたとき、トラックが突っ込んできました。

 

「危ない!」

 

 私はフェネット氏に突き飛ばして頂きましたですね?道路上を回転ローリングそしてオールハイルブリタニア!

「オレンジじゃ…無いんです…ゼロォーーーー!!!」




あれ?C.C.の本名回収イベントは???

シャーリーパパイベントを挿入。土砂崩れが起きてないから生き埋めにされてないよ!やったねフェネット氏!

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