ゼロとやらの抹殺なら兎も角…。
皇帝陛下もご存じのはずなのにな、私が人殺しの天才だと。
さて、そろそろ目的地だ。本編開幕といこう。
「皆さ~ん!お待たせいたしました!これよりトウキョウ租界でいっちばんオープンなアッシュフォード学園の学園祭を始めま~す!」
今日は待ちに待った学園祭だ。ナナリーと一緒に回る為、初めはこの放送室から始まる。
「スタートの合図はこの一声から!」
「あの…いいんですか?」
スタートの合図はナナリーがすることになっている。それは、目も見えず脚も不自由なナナリーを気遣い、会長が学園祭に携われるようにと配慮してくれたのだろう。
「いいの!」
「ほらほら早く、みんなナナリーの一声を待ってるんだよ」
「それでは…にゃぁ〜!」
ふふ、可愛い。すると、外がなんだか騒がしい気がする。
『『ナナリーーーーーーーーー!!!!!!!』』
あの大声は…スザクとルルーシュね。人目を気にせず叫ぶなんて、よほど愛が溢れてしまったようね。私も異性だったら…うん、わからないわ。
「じゃあ行きましょう、ナナリー!」
「はい」
ナナリーの車椅子を押し、ナナリーでも楽しめそうな出し物を見つけては突撃する。10秒をピッタリを目指すストップウォッチチャレンジでは見事10秒ジャストを叩き出し、ブリタニア皇族皇位継承権並び替えクイズも難なくこなしていた。…まぁ、元皇族なら余裕なのかな?吹奏楽部の音楽会などを楽しみ、約束の時間になったので陽菜達と合流した。
「マッチョお姉ちゃんだ!」「肩にナイトメアでも乗っけてんのかい?」「今日もキレてるキレてる!」「ナイスバルク」
「みんな久しぶり」
私の腕にぶら下がる陽菜達といつものやり取りを交わす。やはり陽菜達との交流は良いものだ。
「この人が前言ってたナナリーさん?」「かわいー!」「お姫様みたーい!」
うん、実際お姫様なんだよね…
「…そうよ、私の友達のナナリーだよ。ナナリーにも紹介するね。この子は陽菜。それでこの子が…」
一人ずつ、陽菜達の手を取りナナリーに触れさせる。たまにナナリーに手を触れられて頬を赤くしてる男子がいたりするが自己紹介はすぐに終わった。
「みなさん、初めまして。私はナナリー ランペルージと申します。ご覧のように私は目も見えず自らの足で歩くことすら出来ません。そんな私でよければ是非仲良くしてくださいね」
ほんのり自嘲気味ながらも微笑むナナリーだが、子供達は素直だ。自分達も日本人…イレブンの孤児という弱い立場であったことが心のどこかにあったのか、みんな口々にそんなの関係ないと言ってくれていた。そして…あー、なんというかこうやって子供達と交流しているナナリーを見ているとまさに皇族というべきなのか、堂々とかつ威圧のないやり取りを見せつけられた。ユフィとは腹違いとは言え実の姉妹だし、似ているところがあるのは必然なのかもしれない。子供達はそれからは別のところを見て回るということで職員の人たちに任せて別れた。
「じゃあナナリー、続きを見て回ろっか」
「はい」
時間的にはそろそろ世界一のピザ作りだろうか?
「あら?マーヤ!探したのですよ」
声をかけられ振り返ると、そこにいたのはおそらく変装のつもりで身に付けているのであろう帽子とサングラスを着用したユフィだった。うん、その特徴的なピンクの癖毛を1ミリも隠せていない時点で変装のへの字も無い。なんで誰も指摘しないの?
「その声…ユフィ姉…あっ」
うん、ナナリー、実は全部知ってるから良いんだけども私はユフィとナナリーの関係を知らない筈なのよ…突然のことに驚いて口走っちゃったのは仕方ないんだけどさ…、
「あー、えっと、マーヤ。悪いのだけれど何処かで話せないかしら…?」
「それならクラブハウスにお願いします。マーヤさん、事情は…そこでお話ししますので」
私は頷き、ルルーシュ達の住んでいる部屋に向かった。そこで紅茶を準備し、先に着く。先に口を開いたのはユフィだ。
「実はね、私と…ナナリーは実は姉妹なの」
「ナンダッテー」
「驚かせてしまって済みません。今まで…内緒にしていてごめんなさい」
謝るナナリーだったが、こっちはルルーシュとスザクの会話を盗み聞きしているのだ。謝られるとこちらが申し訳無いのでやめて欲しい。
「あ、この話は出来れば秘密にしておいていただけますか?それにユフィ姉様も…私が生きていることはどうか秘密に…お願いします。」
「それは…」
悲しそうな顔をするユフィだったが、恐らくナナリーの事情を察したのだろう。最後には納得したのか頷いていた。
「それにしても驚いたわ!まさかマーヤとナナリーが知り合いだったなんて!…あら?だとしたらスザクとも?」
「…スザクニ関係ガアルノデスカ?」
「…マーヤさんは知りませんよね、私とスザクさんは実は昔に面識があったんです。その、人質時代にお世話になっていたのがスザクさんのお家でした」
「ソウダッタノネー」
ここはもう驚いているフリをして誤魔化すしか無い。我ながら筋肉をフル活用しての完璧な演技だ。
「…これが公にできない秘密だとしてもナナリーが生きていてくれて私は嬉しいわ」
「はい、私もユフィ姉様とまたお話ができて嬉しいです!」
そんなやりとりを見ていると実に微笑ましい。私も妹とかお姉ちゃんが居たらこんなふうなのだろうか。
「そうだ!ユフィ姉様、覚えてますか?昔お兄様を取り合って喧嘩したこと」
「覚えてる!私とナナリーと、お姉様と…あら、あと一人は誰だったかしら?兎に角四人でルルーシュを取り合って四肢を引っ張ったのよね」
「そうですそうです。誰と結婚するのか今夜決めてと迫ったんです。結局四肢脱臼の大怪我させてお母様に怒られちゃいましたけど」
ルルーシュにも女の子に四肢を脱臼させられる貧弱な時代があったのね。…うん?今ユフィってお姉様って言った?ユフィのお姉様…まさかコーネリア総督!?何やってんだあの人。
「あ、済みませんマーヤさん。二人だけで盛り上がってしまって」
「ううん、気にしないで。ルルーシュにも貧弱な時代があったって分かって面白かったから」
「そうね、ルルーシュも本国にいた頃は確か筋トレを嫌がってたような?」
「お兄様はスザクさんに会われてから筋トレに励み出したんですよ」
「へぇ、そうだったんだ」
それから少しだけの間姉妹水入らずの話をしてもらう為席を外した。ルルーシュ達のメイドさんである咲世子さんと、ユフィの護衛のサラさんに暫く外すと伝えて外に出る。しばらく歩いているととある集団が目に入る。
「世界一のピザ、アーニャわくわく」
「楽しみモニ〜」モニ〜
「学生の祭りと聞いていたが想像以上のクオリティだな、ドロテア」
「そうですね、エニアグラム卿…それにしても私はこのオレンジキャンディが気に入りました。そのままでは少し酸味の強いオレンジをあろうことか甘い飴でコーティングするとは。うーむ、中々興味深い。」
「やれやれ、ドロテアのグルメ癖が出たか…。」
…。なんだあの集団…。アーニャさんに…ノネットさん。と言うことは他の人達って…
「なんだ?そこのおん…女?お…ん、な?女…で良いんだよな?スカート履いてるし…」
「ブラッドリー卿、レディに失礼ですよ。失礼したレディ。このブラッドリー卿はその…人格破綻者なんだ」
「なんだと貴様…家柄だけのお坊ちゃんの分際で…!」
「みっともないですよブラッドリー卿。度々無礼を失礼した。よく言って聞かせますので」
「はぁ…?」
線は細いがかなりの身長の人と派手髪の男の人…。このお揃いの白い服の人達がこんなに居るってことは…!?
「ここがァ…オォプンッな学園祭で有名な…アッシュフォード学園か。」
このガタイに特徴的な喋り方、そしてあの特徴的な白い髪!そして申し訳程度の帽子にサングラス!間違いない、この人シャルル皇帝陛下だ!何してんだこの人!?
「そこの女学生、まだ我々に何か?」
さらに話しかけてきたのはガタイのいい隻眼の男の人…。私はその人にできるだけ小声で話しかける。
「あの、もしかしてそこにいるのはシャルル皇帝陛下で…あなた方はナイトオブラウンズの皆様では…?」
「…」
その様子を見れば図星なのがわかる。本当に何やってるのこの人達。
「マーヤ、久しぶり。再会の記念。記録」
「あぁ、そういえばアンタが通ってる学校だったね。先に連絡しておいた方が良かったかい?」
アーニャさんとノネットさんが話しかけて来るので私も反応を返す。
「あの…騒ぎにならないんですか?こんな皇帝陛下とラウンズ総出で…」
「問題ない。宰相閣下の作戦がある」
シュナイゼル殿下の…それなら安心だ
「ここはお祭りだからね。アタシ達を見てもコスプレ集団だと思うはずさ。皇帝陛下とラウンズ総出でこんな学園祭に来るなんて誰も思うはずがないだろう?」
「確かに」
ふと皇帝陛下を見ると…
「すげぇ!シャルル陛下そっくりじゃん!」「筋肉やば!」「ポージングもそっくりだ!」
うん、誤魔化せてるみたいだ。お祭り効果って凄いなぁ…。
!?いきなり背後に気配を感じ振り返る。そこには綺麗な金色でぱっつん前髪の女の人がいた。…さっき変な語尾で喋ってた気のする人だ。この私が気配に気づかないなんて!
「筋肉、触っても良いモニ?」モニ?
「…あ、はい、どうぞ」
背後を取られたのは驚いたが、まぁ私はどの筋肉を触りたいという気持ちは分からなくもないし、別に触らせるのはやぶさかではないのだ。
「では遠慮なくモニ」モニ
すごく綺麗な顔で物凄く変な語尾の女の人だ。私は二の腕に力を込めて力を込めるが、その人の目当ては違うらしい。
「あっ…」
「モニ…凄く逞しいモニ…」モミィ…
うーむ、まさか胸筋を触ってくるとは…これは意外…。
「モニカ!同性とは言えいきなり初対面の胸を触るやつがあるか!」
「モニィ!?」モニ⁉︎
ノネットさんと話していた褐色の人が拳骨でモニカと呼ばれた人をぶん殴っていた。うん、まぁ…これは仕方がないわ。
「モニカ、アンタまたやってんのかい…。済まないね、よく言って聞かせておくからさ…」
「はぁ…?」
そろそろ時間もいい頃合いなので陛下と愉快なラウンズ一行と別れようとした時のことだった。
「そこの、女」
皇帝陛下からまさか声を掛けられるとは…。
「えっ、あっ…はい。いかが致しましたか?…えっとシャルル皇帝陛下…の、そっくりさん」
「良い、筋肉だ。これからも…励が、良い。」
…皇帝陛下に褒められた…!?
そんなことがありつつも、そろそろ世界一のピザ作りが始まってるだろうということでユフィ達の所に戻り三人で外に出る。ユフィがナナリーの車椅子を押したいということで任せ、歩いているとミレイ会長とルルーシュのいるブースに向かう事となった。
「お兄様」
ナナリーの呼びかけに振り返ったルルーシュはおそらく瞬時に全く変装のできていないユフィを見て驚愕の表情を浮かべた。あのルルーシュを持ってきてもポーカーフェイスを維持できなかったようだ。
「なっ…!?会長、後は任せます!」
急いで狭い扉から出ようとしたため、肩が扉につっかえそのまま破壊して出てきたルルーシュはナナリーを肩車し、ユフィと車椅子を抱えて駆け出す。私もそれに着いて行くと、階段のところにたどり着いた。
「私もこの学校に入学しようかしら。ルルーシュとスザク、それにマーヤがいるなら楽しそう。」
その場合私は常にサラさんの代わりに護衛やることになるんだろうな…給料出るのかな?出るよね?アリだな…!?
「副総督の仕事はどうするんだい?」
「勿論続けますよ?」
…出席日数足りないんじゃないの…?それ…
「出席日数が足りなくて3人揃って補習だな。」
「あら、私は皇女殿下ですよ?」
「ウチの学校なら容赦なく補習にしそうだ」
確かに。…その時不意に風が吹き、ユフィの帽子が吹き飛んだけれどルルーシュがすぐに回収してユフィに被せ、その日は他愛のない話をして終わった。
「そう言えばユフィ、なんだか痩せたか?」
「お兄様、女性に向かってそれは失礼ですよ?」
「あ、あぁ、それもそうか…すまない」
それからルルーシュはユフィにくれぐれもコーネリア総督にも秘密だと釘を刺していた。ルルーシュのナナリーの事情は私は知らないけれど、流石に本人から言われればユフィでも言うことはないだろう。
そしてその夜、例の如くユフィのもとを訪れると、今日は今から会見を開くからと護衛を命じられた。と同時に突き出される拳を小指でいなす。
用意された会見会場の指定の位置に立って待っていると、ユフィがマイクを手に口を開いた。
「わたくしユーフェミア・リ・ブリタニアはフジサン周辺に行政特区日本を設立することを宣言いたします!この行政特区日本ではイレヴンは日本人という名前を取り戻すことになります。イレヴンへの規制ならびにブリタニア人の特権は特区日本には存在しません!ブリタニア人にもイレヴンにも平等の世界なのです!」
ユフィの会見の内容はそれだった。行政特区日本…スザクの中から変えるやり方が実を結んだと言えば良いのだろうか。この行政特区日本があれば陽菜達はもっと自由に、そして私もハーフであることを気にせず日本人として生きていけるかもしれない…!
今回の異なる可能性:まさかのラウンズと皇帝が学園祭に襲来
言うほどノネットさんの出番が増えてない件について。