ミートギアス 〜筋肉のルルーシュ〜   作:ベルゼバビデブ

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STAGE18′

 今日は行政特区日本関連の調整事で方々を走り回ることになっていた。

「…ふぅ、ようやく落ち着いたかな」

 調整事も一段落した為、公園の一角で身体を休めていると視界に凄まじい筋肉が映る…つまりルルーシュだ。

「ルルーシュ」

「…マーヤか、奇遇だな?こんなところで」

 ルルーシュが一人租界にいるなんて珍しい気がするし、確かに奇遇だ。

「私は仕事の関係でね。ルルーシュは?」

「あぁ、今からシャーリーと買い物なんだ。…なぁ、マーヤ」

 

「何が行政特区だ!何が援助だ!署名などするものか!」

 突然の叫び声に振り向くとステッキを持った身なりだけはいい男が子供を叩いていた。許せない…!

「ちょっと貴方!そんな子供に暴力を振るって人間として恥ずかしくないの!?」

 私の声に男は手を止めこちらを振り向いた。

「なんだ貴…さ…ま…。」

 こう言う時は私の美少女という特性を最大限に生かす為、上目遣いだ。

「ひぃ…。お、おいお前!何をしてる!早くなんとかしろ!」

 色仕掛けに屈しないように男はすぐ側に立つガタイのいい男に声を掛けていた。

「そこまでだ。学…生?学生…学生…で、良いんだよな?」

「確かに私の可愛さはただの学生とは思えないかもしれないけど、ただの学生よ」

「お、おう…」

 ふふ、私の美少女っぷりにこの男も手を出すのを躊躇っているようね!

「マーヤ、この男は任せろ。」

 するとルルーシュが私とガタイのいい男に割り込んできた。…え、もしかしてルルーシュ、美少女である私を守ろうと…!?

「…あなたは!し、師匠!?」

 どうやらルルーシュと男は知り合いだったらしい。ならば任せても平気かな。

「さて」

 改めて身なりだけは良い男を見る。男は恐らくガタイのいい男がルルーシュと話し合っているのを見てから

「わ、私は失礼する」

 と帰って行った。直ぐにステッキで叩かれていた男の子に駆け寄り様子を見る。叩かれたところが青痣になっているが、それくらい30分もすれば治るだろう。軽く応急手当てだけで済ませれば問題はないだろう。

「ありがとうお姉ちゃん!」

「どういたしまして。…君も筋肉を付けて困っている人を助けてあげてね」

「うん!わかった!」

 男の子と別れてルルーシュと合流する。どうやらルルーシュは弟子であるガタイのいい男を説得して家に帰らせたらしい。

「それじゃあシャーリーと待ち合わせの時間だから」

「うん、じゃあね」

 

 そして特派の仕事と学校で忙しい日々が過ぎ、とうとう行政特区日本の式典の日になった。

「スザク、いよいよね」

「うん。…マーヤもお疲れ様。」

「ふふ、そういうのは式典が終わってからにして」

 そう笑いかけるとスザクも笑って頷いた。ユフィの護衛はスザクがする為、私はダールトン将軍の側に控えて事態の臨機応変な対処が役目だ。

 するとガウェインが現れ、ユフィが喜んだ声でゼロを歓迎していた。

「ようこそゼロ!行政特区日本へ!」

 ユフィは彼を歓迎しているようだけど、正直言って私は懐疑的だ。あの筋肉による圧倒的暴力は流石の私でも抑えきれない…。でもここにはダールトン将軍もスザクもいる。三人ならゼロにも勝てるかもしれない。

「ユーフェミア リ ブリタニア。折り入って話があります。」

「私と?」

「はい。あなたと二人っきりで」

 …!?それは余りにも危険だ!ユフィは自衛できるほどには私とのボクササイズで鍛えているが、流石のゼロには無力だ!ボディチェックを受けているゼロだが、あの筋肉こそが既に凶器、こんなボディチェックには何の意味もない!

「ユフィ!流石にゼロと二人きりは危険よ!

「もう、貴方もスザクと同じこと言うのね。大丈夫です、私を信じて下さい。」

 …ユフィはこう見えて結構頑固だ。言い出したから聞かないだろう…だったら。私はユフィの耳元で囁く。

「いざとなったら股間です。股間を不意打ちでブチ抜いて下さい。そうすれば流石のゼロも悶絶します」

「股間…それは痛そうね。万が一があればそうさせて貰いますね」

 笑顔のユフィを見送り、暫くして走って戻ってきたユフィを出迎える。…あれ?ゼロはどうしたんだろう?もしかして襲われでもしたのかな…?

「どうした。ディゼル、気になることでもあるのか」

「ダールトン将軍…はい、ユーフェミア様が走って戻られたのにゼロの姿が見えないので…もしかしたら襲われたから股間をブチ抜いて返り討ちにしたのかなと」

「股間を…あー…それは…うむ。私と枢木で確認してこよう。貴様はここを頼む。枢木には貴様から伝えておいてくれ」

 相手はゼロ、ならば二人がかりなのも当然だろうか。

「スザク、ダールトン将軍の後を追ってゼロの様子を見てきてほしいの。ここは私が警護するから」

「分かった。僕に何かあったら…ユフィを頼む」

 スザクを見送り、再度ユフィの様子を確認する。幸い怪我はないようだ。そう安心したその時だった。

 

「日本人を名乗るみなさん!殴り殺されてください!」

 

 …?うん?ユフィ?今…なんて言った?その一瞬の空白時間でユフィは既に壇上を降り、お爺さんに向かって拳を振りかぶっていた。今のユフィのパンチのキレならばあのお爺さんの首の骨をへし折るくらいは訳はない!何考えてるのユフィ!?その筋肉は暴力のためじゃないはずなのに!!

 

 しかし、振り下ろされた拳は的確に…そして無慈悲にお爺さんの命を刈り取った。ゴギリという鈍い音と共に首の骨をへし折ったのだろう。…もしもこれが私が鍛えていない前のユフィだったなら、私がお年寄りくらいなら殴り殺せるなどと言わなければ、こんなことにはなってなかったのかもしれない。

「さぁ!兵士の皆さんも早く!日本人を殴り殺してください!」

 ようやく私はそこで正気を取り戻し、ユフィに駆け寄る。

「ユフィ!何を考えてるの!?やめて!なんで急にこんな事を…」

 ユフィはこちらを振り返ると的確に私の股間をブチ抜いてきた。

「うっ!?」

 普段の私との組手とは比にならない殺意に満ちた拳…ユフィ、どうして…!

「あら、マーヤじゃない。ごめんなさい、私は日本人を殴り殺さなくちゃいけないの。…マーヤはブリタニア人よね、だったら…」

 そうして私から視線を外すユフィだったが、ここは仕方が無い。ユフィの腹を的確にブチ抜くッ!…が、ユフィは倒れない…!

「何をするんですかマーヤ…私の邪魔をするのですか?」

 今の一撃でぶちのめすつもりだったのに…!こうなったら…そう思い、私はユフィから視線を外しその後ろの日本人達を見る。未だに事態に混乱して動けないでいる日本人の人たちに私は叫んだ。

「早く逃げて!!」

 その言葉に逃すまいとでも思ったのか、ユフィは振り返ろうとしている。そうはさせない…!

「ユフィ!私はブリタニアと日本人のハーフよ!日本人を殴り殺すって言うならまずは私を殴り殺してみなさい!!」

「…あら、そうだったのですか。マーヤはハーフ…なら殴り殺さないといけないわね」

 瞬間、ユフィの姿が消えた。…ッ!その場を直ぐに跳び退くとユフィの蹴りが空を切る。この動き…明らかにいつものユフィを超えている…!?

「マーヤ、貴女には感謝しています。お陰で私は力を手に入れました。」

 そう言って動きにくそうなロングスカートのドレスでステップを…いや、逆だ!あのロングスカート、脚の運びがこちらには分からない!咄嗟の対応ができない!瞬間、私の腹をユフィの膝が抉った。最初の股間への一撃、私は男性ではないので金的ほどの効果はないが、普通に下腹部への衝撃は遅効性の毒のように身体の動きを鈍らせる。

「マーヤを!撲殺です!」

 ユフィの顔面を貫く様な軌道のパンチ…!それを私は…

 

 噛んで、止めた。

 

「!?なっ!私の拳を…!無礼でしょう!」

 そのまま歯を突き立て、噛みちぎらんと顎に力を込める。距離を取らんと引き抜こうとし、身体を押してきた為噛むのをやめるとユフィは自分が強く押した勢いで後ろに倒れ込んだ。そして起き上がらんとしている…今だ!

 私は起きあがろうとしているユフィの顔面に向け、外側から足を振り回して大腿四頭筋付近をブチ当てる!今のユフィは今まで私がユフィに教えたことよりも明らかに逸脱した動きをしている…油断は出来ない!この技で確実に意識を刈り取る!!大腿四頭筋をぶち当てたことでよろめき仰向けになって倒れるユフィの腹に向かって大きくジャンプし、落下と共に膝で腹を貫く。これで当分は目を覚さないはずだ。すると背後から凄まじい音が聞こえ、扉を突き破ってスザクが吹き飛んできた。転がって受け身を取ったらしく、幸い骨が折れたりはしていないようだ。

「…!ユフィ!?マーヤ、一体どうしたんだ…!?それにこの会場は!?」

 驚いている様子のスザクだったが、私も今気になることがある。ダールトン将軍の姿が見えないことだ。

「スザク、ダールトン将軍は!?」

「ゼロにやられた。僕も何発か貰ってしまったよ。でもゼロの動きはいつもより鈍いんだ。奴を捕まえるチャンスなのに…!」

 そう言って片膝を付いたスザクを見ればかなり満身創痍だとわかる。

「スザク、ユフィを連れてアヴァロンへ行って!ゼロは私が抑える!」

「…ここはそうするしかないみたいだね」

 そう言ってスザクはユフィを連れてアヴァロンに向かって行った。

 

 そしてスザクが飛んできた穴から凄まじい筋肉の波動を感じる…つまりゼロだ!

 

「スザクの次はお前か」

 あの脚の運び…そうか、ゼロは睾丸をユフィにブチ抜かれているんだ…!だから動きが鈍い、これなら勝てるかもしれない…!

「ゼロ、貴女はやはりテロリスト!それだけの筋肉がありながら…ユフィに何をしたの!」

 瞬間、ゼロの姿が消える。

「答える義理は…」

 甘い…!凄まじいスピードで背後を取ったのは見事だと言える、しかし!以前のゼロならば正面から来ていた、つまり!

 私は後ろに回し蹴りを放ち、ゼロの横腹にブチ当てる。

「読まれていた!?」

 よし…!この状態のゼロならば勝てる!あの状態でも私の背後をとれるだけのスピードを出せるのは驚きだが、逆に言えばダメージ覚悟のカウンターを恐れての攻撃!ユフィに睾丸をブチ抜かれ、その状態でダールトン将軍とスザクと連戦したのだ。無事なはずがない!勝てる…!必ず勝ってみせる!!

「チッ…仕方ない…!」

 

 …!?私、なんでまたボーッとして…いけない!その場を離れんとステップを踏むが、脇腹を何かに抉られた。

「ぐっ!?」

 瞬間に思い出す。私の脚にかつて感じたあの痛み…!目を開けて見てみればそこには白い服に身を包んだ長い緑髪の女性がショットガンを構えていた。

「特殊スラッグ弾…!」

「苦しませないで殺すために撃ったんだがな、ギリギリで躱すとは器用な奴だ。だが腹は抉らせてもらったぞ、悪く思うよ?。」

 口を動かしながらも迷いのない的確なリロード…万事休すか…!続けての射撃を最後の力を振り絞り転がって回避するが、今ので私の中の何かが…切れた…。最早立ち上がれず、四つん這いになるので精一杯だ。必死に筋肉と腕で止血を試みるも流石に血が止まらない…。視界も…

『どけぇぇえええええ!!!!』

 色が無くなっていく世界でも真っ白なランスロットがこちらに飛んできている…

『マーヤ!気をしっかり!』

 口が動かない。目も…開かない。衝撃の後、私は誰かに羽交締めにされて引き摺られている。

 

「お願いです!マーヤを、マーヤを、助けて下さい!!

 

 スザクの必死な声を最後に、私の意識は途絶えた。




青痣が30分で治るのはマーヤ基準です。普通の人間はそんな風に治りません。

血染めのユフィは起きちゃうんだなぁこれが!!!

外側から足を振り回して大腿四頭筋付近をブチ当てる技はシャイニングウィザードのつもりで書いてます。
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