「ブリタニアの皇女がこれほどとはな…」
「解放戦線は分裂し、日本の灯は消え去りました。」
「待たれよ。逃走中とは言え藤堂は未だ健在ですぞ。」
「無頼改も失ったと書いておる。最早希望は…」
火を囲む者達とは別に、簾を挟んだ幼女が口を開いた。
「希望はありますわーーー!!!」
「ええい、でかい声を出すな。黒の騎士団か?枢木スザク救出の一件依頼ゼロにご執心ですな」
「当然ですわーーー!!!」
「ええい、黙るのだ!!」
という訳で本編スタートです。
クソッ!なんと言うことだ!失態だ!取り返しがつかない…!俺は必死に走り、なんとか必要なものをかき集める。ここはカレンに…?いやダメだ。ならばスザクに…ありえない!C.C.…一向の余地はあるか?いや、やはりこれは俺がやるしか無い!
「ナナリー、体を拭くぞ」
「はい、お兄様」
ナナリーが熱を出した。熱冷ましの薬は飲ませてあるが、まだ効き目はないようだ。ナナリーの身体を拭き、新しい寝着を着せる。
「さぁナナリー、少しは食べないと体力がもたないぞ?」
「はい…」
弱々しいナナリーを抱え、お粥をスプーンで掬い、よく冷ましてから口に運ぶ。俺の肺活量をもってすれば熱々のお粥をヒエッヒエにすることなど容易だ。冷え過ぎてカチカチになったお粥をナナリーは暫く食べ進むがこれ以上は辛いと言ったナナリーの意志を尊重し、再び寝かせる。よく冷えた濡れタオルを額に当てるが、中々熱は冷めなそうだ。後は暫くC.C.に任せて俺は一度生徒会に顔を出すことにしよう。
「…ね?その辺どうなのルルーシュ」
入るなり謎の質問を会長から投げられた。俺はとりあえず無言でシャツを脱ぎ上半身裸になってからタブルバイセップスを決める。
「「「……」」」
長い沈黙の後、口を開いたのはシャーリーだ。
「ルル、今日は休みじゃ…?」
「ナナリーが熱を出してね。」
俺は服を着ながら返事をした。
「そうなんだ、ナナちゃん具合はいいの?」
「食欲が少し無いけどまぁ落ち着いたよ。心配だから今日1日は看病するけどね。会長、言われてた書類ですけど」
看病ついでに内職しろと言う会長だが、ナナリーの看病を何だと思っているのか。正直少し腹が立っている。
「その机の上よ、各学年クラスごとに仕分けよろしく!」
言われた書類を抱えて俺は生徒会室を出るが、後からシャーリーがやってきた。
「ルル、その書類の束に私の手紙混ざってない!?」
「手紙?あぁ、これか。悪いな」
俺は手紙を渡すがシャーリーの様子がおかしい。
「ルル!」
「はい。」
シャーリーは手紙の中からチケットを取り出し、一枚を俺に手渡してきた。何だこれ?プロレスのチケット?出る方じゃなくて見る方のようだ。
「父さん単身赴任してて。でも私のご機嫌取りにってよくこういうの送ってくるの。それでなんだけど…」
「娘にプロレスのチケット?フェネット氏は中々愉快なセンスをしているな…」
普通コンサートとかじゃ無いのか?
「…私が頼んでるの。プロレスが良いって」
失言だった。その後は半ば強引に約束を取り付けられ…俺自身プロレスは嫌いでは無いので断らなかった。
黒の騎士団のアジトとしている大型車の中で、今度は扇が俺に手紙を渡してきた。
「はいこれ」
「ん?なんだ?」
「ラブレター」
「どれどれ?」
中を見てみると、日本語で「早くお会いしとうございます、ゼロ様!好きですわーーー!!!」と、筆により懇切丁寧に認められていた。うむ、確かにラブレターだな。どちらかと言うと恋文という言葉の方が合う気がするな。
「あとこれも」
「またラブレターか?」
ふふ、俺くらい魅力ある肉体になればそりゃあみんな放っておかないよな。中を見るとキョウトからの勅書のようだ。直接会いたいとも書かれている。ラブレターではなかったか
「キョウトに認めてもらえれば資金援助も筋トレ道具の提供もしてもらえる。俺たちの貧弱な筋肉も…」
「貧弱な筋肉?私の考案したトレーニング方法なら問題無かったはずだが?」
話を聞けば俺の考案したメニューはキツすぎるらしい。うーむ、俺基準でメニューを決めたのはダメだったか。今のところ実施できてるのはカレンだけらしい。
その後、俺はキョウトのメンバーについて、なんとか12人まで絞り込んだ。これ以上はどうしても情報が足りない。やはりどうしてもアドリブが必要になるだろう。
俺が帰るとC.C.とナナリーは談笑しているようだった。
「まぁ!お兄様が?」
「あぁ、おかしいだろう?…おや」
「何を話していた?C.C.」
C.C.は水の入った桶や空になった食器、タオルをまとめるとスタスタと部屋を出ていく。俺の質問は無視するらしい。良い加減な女だ。
「…何話したたんだい?」
「乙女の秘密です。ふふっ」
可愛い。
ナナリーにそう言われてはこれ以上言及はできないな。看病自体はしてくれたようだし、今日のところは勘弁してやろう。
「ナナリー、もう体調はいいのかい?」
「はい、ちょっと拗ねてみただけなのかも」
拗ねる…?
「最近、お兄様が遠くなったようなそんな気がして。」
そう言われて俺はナナリーを両手で抱き上げる。
「誓うよ。俺は筋肉量と体脂肪率以外は変わらない。何があろうといつまでもお前の傍にいるよ。ナナリー」
再びベッドに寝かせると、ナナリーが手を布団の外に出した。きっと手を握ってほしいのだろう。俺は力を込めたらへし折ってしまいそうな可愛らしいナナリーの手を優しく握る。
「ねえお兄様、我儘を言ってもいいですか?もう少しだけ手を握っていてください。このまま1人で眠るとまたあの夢を見てしまいそうな気がして…」
「あぁ、手どころか抱き締めて寝ても良いぞ」
「あ、それは骨が折られそうなので遠慮します。お兄様ったら最近また物を壊されたんでしょう?C.C.さんから聞きましたわ」
ナナリーに拒否された…!?馬鹿な…!おのれC.C.…!!
次の日…それは今日がキョウトに行く日という意味だ。仕込みのために俺はC.C.に頼むことがあった。
「C.C.今日はお前に頼み事がある。」
「今日"も"の間違いだろ。今日は何をすれば良いんだ?ナナリーの世話か?ナイトメアで暴れるか?それともスザクとか言う男を籠絡すれば良いか?なんだってやってやろうじゃないか。」
C.C.にスザクが籠絡できるとは思えないし、させるつもりもない。
「今日はスニーキングミッションをしてもらうだけだ。」
「スニーキングミッション?不安だな、私はスタイルが良いから狭いところは通れないんだ」
「俺よりは細いだろう」
「お前と比べる奴があるか…」
俺はC.C.に作戦を話した、C.C.は了承するが、何故か懐からチケットを取り出し、俺に突きつけてくる。
「忘れ物だぞ?」
「忘れたんじゃない。今日はいつ帰れるかわからないから断りの電話を入れるつもりだったんだ。」
しかしC.C.は譲らず、結局チケットは持つ羽目になった。まぁ、間に合わないとわかってから連絡するとしよう。済まないなシャーリー。そう思っているとそのシャーリーから電話がかかってくる。
「シャーリー。ちょうどよかった」
『今日の約束なんだけどね、遅れるかもしれない。でも…必ず行くから…』
シャーリーの電話越しに小さく「ナリタ行き」と聞こえた気がするが、恐らく気のせいだろう。しかし俺の返事も聞かずに切るとはな…。
待ち合わせ場所にて、俺は先に一人で運転手と会う。
「ッス!他の幹部の方もお連れするように呼ばれてんスけど??」
「万一の事態に備えて周囲を警戒してもらっているだけだ。直ぐに呼ぼう。だが、その前に…」
俺はギアスを使う。
「"俺の質問に答えろ"」
「ッス」
「行き先はどこだ。」
「富士鉱山ッス。」
サクラダイトに関与しているとは、流石に権力は馬鹿にできないらしい。
「それではお前達の主人とは誰だ。」
「ッス。桐原 泰三さんッス」
桐原…これは当たりだな。カレンに連絡をし、暫定幹部を呼び出す。そしてC.C.には目的地を伝え、先に向かってもらう。あいつは本当に多才だ。バイクにも乗れるんだからな。
「随分と走るけど、まだ着かないのかしら」
「確かに、今どの辺だろう」
井上と扇は落ち着きがないようだが、仕方のない話だろう。そう思っていると車が上に上がり出す。
「なんだ!?」
「上がってる…?」
車を降り、窓の外を見ると流石な扇も今どこにいるのか理解したようだ。
「ここは…富士鉱山!?」
「嘘でしょ!?こんなところに来られるなんて…」
「でも間違い無いわよ、この山、この形…」
耳の無線からC.C.の通信が入る。
『ルルーシュ、こちらC.C.問題なく侵入できたぞ。』
俺は手元のスイッチを押し、「誰にも見つからなかったか?」と返信した。今会話する訳にはいかないからな。
『3人程に見つかったがショックイメージを見せて眠ってもらったよ。』
俺は手元のスイッチを押し、「予定通り待機しろ」と返信した。
「醜かろう。」
聞き覚えのある男の声が聞こえる。やはり昔スザクの家で何度か顔を見た男のようだ。
「かつて山紫水明、水清く緑豊かな霊峰として名を馳せた富士の山も今は帝国に屈しなすがままに陵辱され続ける。我ら日本の姿そのもの。嘆かわしきことよ…顔を見せぬ非礼を詫びよう。が…ゼロそれはお主も同じこと。」
すると無頼が現れ、こちらに銃を向けていた。
「わしは見極めなければならぬ。お主が何者なのか。その素顔、見させてもらおう」
カレンが不安そうな顔をするが俺は動じない。やがて扇が指名され、俺の仮面を外すように言われる。
「済まないゼロ」
扇が俺の仮面を持ち上げ…
ようとするが、外れない。
「なんだこれ、外れない…」
「何をしておる」
うんとこしょ、どっこいしょ、それでも仮面は外れません。
「済まない井上、手伝ってくれ」
「わかったわ」
うんとこしょ、どっこいしょ、それでも仮面は外れません。
「何をしておる!」
「カレンも手伝ってくれ!」
「私!?」
うんとこしょ、どっこいしょ、それでも仮面は外れません。
「何をしておる!!」
「そこのあんたも手伝ってくれ!」
「我々は御前の護衛が…まあいい!」
うんとこしょ、どっこいしょ、それでも仮面は外れません。
「御前!!外れません!!」
「ワシを馬鹿にしておるのか!?」
「いいえ?していませんよ?キョウトの代表、桐原 泰三」
「!」
無頼と黒服の男達は銃を向けるが、先にチェックを仕掛けているのはこちらだ。
「動くな」
「いつの間に…!」
こっそりと潜入させていたC.C.は桐原に至近距離から銃を向けている。
「貴様!」
黒服の男が俺に発砲するが、俺はそれを摘んでみせる。
「なっ!?」
「はじめに…仮面が取れなかった理由を教えよう。それは筋肉だ。」
「「「「は?」」」」
「俺はこの仮面を首の筋肉を膨張させることでつっかえらせ、外れないようにしていたのだ。」
続けて俺は摘んでいた弾を黒服に投げつけ失神させる。
「お前達は鍛え方がぬるい…だから単純な力にも勝てないのだ!」
得られた情報からここから一気に追い詰めてやる。
「桐原泰三。サクラダイト採掘業務を一手に担う桐原産業の創設者にして枢木政権の陰の立て役者…しかし敗戦後は身を翻し植民地支配の積極的協力者となる通称売国奴の桐原。しかしその実態は全国のレジスタンスを束ねるキョウト六家の重鎮。面従腹背か…安いな」
「貴様御前のお気持ちも知らずに!」
俺はほぼ同時に二人の黒服を殴り飛ばす。二人は当分目覚めないだろう。
「私は貴方の想像通り日本人ではない。」
「待てゼロよ。何故今殴った」
「脊髄反射だ」
「そ、そうか…」
桐原は俺の答えに納得してくれたようだ。
「日本人ならざるお前が何故戦う?何を望んでおる?」
「ブリタニアの崩壊を。叩き潰すのです、この拳で!」
そして俺はアドミナブル・アンド・サイを決め、仮面を外す。この角度なら桐原にしか見えない。
「貴方が相手でよかった」
「お主………」
「誰だ…!?」
「え?」
思わず声が出てしまった。覚えていない?俺を…?
「えーっと、覚えていませんか?8年前、あの家で預けられていた私を」
「……………あー!!えーー!?嘘じゃろ…!?ワシびっくりしちゃったぞい…どひゃー!…人間八年でこうも変わるんか…思わず粗相しちまったわ…わははは…」
桐原は俺を思い出したらしく、納得したようだ。
「扇よ!この者は偽りなきブリタニアの敵。素顔をさらせぬ訳も、目的の為に鍛えられた肉体も得心がいった。わしが保証しよう。ゼロについていけ。情報の隠蔽や拠点探し、高タンパク低カロリーな食事などはわしらも協力する」
「ありがとうございます!」
こうして俺達黒の騎士団はキョウトからの協力を約束された。
そして俺は一応シャーリーとの待ち合わせの場所に全速力で向かっていた。まぁ、流石にもういないだろうが…。明日ちゃんと謝るとしよう。そう思っていると、雨の中見覚えのある人影が佇んでいるのが見える。
「シャーリー!?遅れて済まない。こんなに濡れてたら体に悪い。プロレス観戦はやめて直ぐに雨宿りできるところに…」
「ねぇ、ルル。黒の騎士団って正義の味方なんだよね?」
「あ、あぁ、そう言ってたな…悪いが持ち上げるぞ!」
俺はシャーリーを抱えて屋根のある場所を探す。俺に抱えられたままシャーリーは言葉を続ける。
「なら、なんで私のお父さん殺したんだろ」
殺した…?黒の騎士団が?どう言うことだ一体…
「私、お父さんにぶたれたこともなくて…何も悪いことしてないのに…なのに…お父さん、撃たれて…こんなの嫌よ、嫌!いやぁ…!」
シャーリーはそのまま俺の首に手を回してくる。
「ルル…助けて……」
私がその人を発見した時、その人はすでに生き絶えていた。頭部に銃撃を受けた様子で、なんの恨みがあるのか、体は何かに強くぶつかったように酷くボロボロになっていた。所持品から男性と女性とのツーショット写真が発見され、データベースで照合。父と娘だと判明したためご家族に連絡を入れた。私は第一発見者だったこと、私は軍人ということもあり、ナリタでの後始末に追われる警察の代わりに彼の身元確認に立ち会った。
娘さんからIDを確認させてもらった時、一枚の写真がヒラヒラと落ちてしまったため、拾おうとした時、誤って安置台に頭をぶつけてしまった。痛みを堪えてぶつけてしまったところをさすりつつ、拾った写真を見ると若い男のようだ。コイツの彼氏か?中々イケメンだな。…しかしやたら肩幅が広いな…。
私の脳裏に何かのビジョンが写った。頭痛、男…
そして、肩幅。
神楽耶様は歪んだ世界の犠牲になったのですわーーー!!!
おかしい。脳筋ルルーシュによるおふざけ世界のはずがどんどん暗くなっていく。
●オマケ● NGシーン
そして俺は一応シャーリーとの待ち合わせの場所に全速力で向かっていた。まぁ、流石にもういないだろうが…。明日ちゃんと謝るとしよう。そう思っていると、雨の中見覚えのある人影が佇んでいるのが見える。
「シャーリー!?遅れて済まない。こんなに濡れてたら体に悪い。今雨雲を吹き飛ばすからな」
「…え?」
「ふんっ!!!」
渾身の正拳突き、俺の肉体から放たれたそれは拳圧で雨雲を穿ち、空に風穴を開ける。
「これでよし、さぁプロレス観戦に行こうシャーリー」
俺はシャーリーを抱き抱え歩み始めた。