MACHO STORYSをここまで読んでいただいてお気づきかも知れませんが、基本的にマーヤの一人称視点のため、他キャラ(基本は原作通り)の動きは描写されません。
原作の「コードギアス 亡国のアキト」を見ていない方には不親切な記載方法となっていますのでお気をつけください。
PHASE01′
「マーヤ、次の任務の関係で君に紹介しなくちゃいけない人がいるんだ」
ある日、ラウンズの格好がすっかり板に付いたスザクからそんなことを言われた。
「次の任務…それに紹介したい人?」
ブラックリベリオン、あの日私はV.V.くんから受け取った謎のプロテインを服用し、凄まじい筋肉を手に入れた。そのブーストはあのゼロを簡単に打ちのめせるレベルであった。しかも驚きだったのは、あれは違法プロテインではなかったらしく、あの後目覚めた私にはちゃんと服用前の筋肉がしっかりと残っていたことだ。恐らく私が倒れたのは効果切れ…その時の副作用で極度の疲労状態になるものだと思われた。何にせよ、あの後ゼロはスザクによって拘束され、私は病院に送られ、スザクはゼロを捕まえたことでナイトオブラウンズになった。
かく言う私もナナリーを助け出した功績としてナイトオブラウンズになってしまった。あの時私がゼロにとどめをさせなかったのは多分…陽菜達が自分達のために人を殺すなど望んでなかったからなのかもしれない。では今更私は何のために戦うのか、それは分からないが…私はまだクラリスさんから自分の秘密を聞けていないし、聞く覚悟もできていない。だからその秘密を聞ける覚悟が付くまでは…きっとこうやって生きていくことになるだろう。いろんな人を言い訳にして、私はやはり卑怯者だ。
「…マーヤ、聞いてるのかい?」
「聞いてたわよ。スザクはユーロブリタニアに軍師様とやらと一緒に派遣されて、私はE.U.に潜入して内部を探るんでしょ?」
「聞いたたのならそう言う顔をしてくれよ。」
スザクはナイトオブセブン、そして私はナイトオブツーだ。ハーフの私にはお似合いの数字なのかもしれない。
「それにしてもナイトオブラウンズを二人も投入なんて…皇帝陛下は本気でE.U.を終わらせる気みたいね。」
「そうだね。それで…」
その時、私とスザクへと向かうギュピッギュピッという足音が響いた。そしてその圧倒的筋肉の波動に振り向くとそこには…
ルルーシュがいた。
「ルルーシュ!?良かった、生きてたのね!…あ、その眼帯、もしかして怪我でも…?」
しかし、ルルーシュは怪訝な顔で私を睨んだ。
「ルルーシュ?誰だそれは。私の名はニクアツ マッスルガイだ。皇帝陛下よりE.U.の攻略を命じられている。…おい、枢木…本当にこんな女が潜入工作員で大丈夫なのか?私の作戦に支障が出ないだろうな?」
どう見てもルルーシュだが、本人は違うと言い張って居た。私はスザクを見るが、スザクは首を横に振る。どうやら本当に人違いのようだ。ゼロ並みの筋肉で戦略家とは…世の中には私よりも凄い人が沢山いるのだと思わせられる。
「失礼しましたマッスルガイ卿。このマーヤ ディゼル、全力で潜入任務にあたらせていただきます。」
「ふん、ならば良いが…」
そして私はスザク達よりも一足早くE.U.へと潜入した。私はスザクとは異なり騎士としてメディアには出たりはしていないので、こういった任務にはうってつけなのである。特に私ほどの美少女であれば誰も疑いはしないのだろう。
「…えーっと、もう一回言ってもらえる?」
「はい、私を軍に入れていただけないかと!どのような仕事でも構いません!広報でも!なんでも!」
「広報だけは絶対にないから安心して?まぁ、その筋肉なら欲しがるところもあるだろうけど…念のためにIDを出してもらえるかしら」
「はい」
ニクアツ マッスルガイさんから渡された偽造IDを手渡すとどうやら問題なく審査には通ったらしい。
「はいはい。あー、マーヤ ディゼルさんね。こんな時期に入隊希望なんて珍しいけど、まぁ前線は人が足りてないしね、良いんじゃないの」
マッスルガイさんからの事前の話通り、E.U.はIDさえ用意できてしまえばかなりザルだ。自分達のシステムが完璧だと勘違いしているのだろう。案内されるがまま廊下を歩いていると、私と同じくらいの美少女とすれ違…えずに肩がぶつかった。うーん、この廊下、狭いのよね。
「あ、ごめんなさい」
「いえ、私の方こそ…肩幅広いのでこう言うことはよくあるんです」
「ふふ、でしょうね」
「ところであなた…見ない顔ね?それに服装も民間人かしら」
「はい。入隊希望なんです。」
「そう、共に闘えることを楽しみにしています。それでは」
彼女と軽く別れの挨拶を済ませ、私は案内の人に着いて行く。
事前に用意して貰っていた偽造書類と私の筋肉のおかげですんなりと入隊手続きは終わった。まぁ、基地内を歩いている時に兵士達から聞こえてきたやる気のない発言を聞けば私の様に『前線でも構わない』なんて言う人は使い勝手が良いのだろう。身よりも居ないということになっているのだからその辺も今の軍からすればプラスに働くはずだ。何故なら死んだところで揉み消せるのだから。
「それでは最後にスマイラス将軍との面談で本日は終了です。」
案内された部屋入るとガタイの良い男の人が机の奥に見える。将軍…ダールトン将軍もだけど、やっぱり軍の偉い人って皆ガタイがいいのかな?
「君のように若く逞しい人物が軍に入ってくれるのは実に喜ばしいことだ。私の名前はスマイラスと言う。」
「私もこの筋肉を国の為に使えることを誇りに思っています。」
「うむ、君の配属希望は特に無し…前線でも構わないとあるが?」
「私の美しさであればもちろん広報にも適しているとは思いますが、私の筋肉は実戦向きでもありますので。」
「お、おう。」
スマイラス将軍が目を通しているのは私の情報だろう、体力テストやナイトメアの操縦テストがあったのでそれを見れば私の適正がいかに高いかなど容易に判断できるはずだ。
「ふむ、担当者は君を普通の前線に送ろうとしているようだが、君程の能力であれば…それは少し勿体無い。君さえ良ければ特殊作戦部隊に行ってみないかね?」
特殊作戦部隊…?私が美少女であることを活かしてスパイ活動とかかな?そうなると二重スパイということに…
「wZERO部隊…少数精鋭の特殊部隊だよ。」
「構いません。私は上の指示に従います。」
「よろしい。手続きはこちらから指示しておこう。…そういえば彼女も今日はこちらにいるんだったか。少し待っていてくれ、wZERO部隊の関係者を呼ぶとしよう」
言われた通り待っていると、スマイラス将軍は端末を操作しているようだ。少しだけの間の後、ノックの音が聞こえてくる。
「入り給え」
「失礼します。お呼びでしょうか、スマイラス将軍。…あら?あなたは…」
「紹介しよう、彼女はwZERO部隊の考案者にして参謀、副司令のレイラ マルカルだ。」
マルカル副司令は先程ぶつかった女の人だった。こう言うのを運命の出会いと言うのだろうか?
「レイラ、彼女は本日より入隊するマーヤ ディゼルだ。階級は准尉とする。実は彼女の配属をwZERO部隊にしようと考えていてね」
「それは…構いませんが。准尉と言うことはパイロットですよね?彼女は日本人ではありませんが…よろしいのですか?」
「彼女の筋肉を見たまえ、多少のことで死ぬような柔な筋肉ではない」
私はその言葉に頷き、サイドチェストを見せつける。マルカル副司令もすぐさま反応してサイドチェストを返してきた。うーむマルカル副司令も中々の筋肉ね、服の上からでもキレキレなのがわかるわ。
「分かりました。…よろしくお願いします、ディゼル准尉。」
「はい、よろしくお願いします、マルカル副司令」
それから私はマルカル副司令と共にw ZERO部隊の拠点であるヴァイスボルフ城に向かった。見た目は古城と言った面持ちだが、中身は中々のハイテクである。セキュリティはかなりしっかりしていると言うべきか、ブリタニアよりも発展しているのではと思わされた。
「これがディゼル准尉に乗ってもらうナイトメアの取説です」
「ありがとうございます。」
渡された資料に目を通していると、どうやら可変ナイトメアフレームのようだ。インセクトモード…四脚で悪路でも高速移動が可能とは、その発想には驚きだ。
「…ん?」
「どうかしましたか?」
インセクトモードも気にはなるが、それよりも気になるのはこのナイトメアに搭載されているシステム…マッスルデバイスだ。
「このマッスルデバイスとは?」
「あぁ、マッスルデバイスはパイロットの肉体の状態を参照して自動でリミッターが作動するシステムです。我々のナイトメア、アレクサンダで言えば可変機構なんかはパイロットへの負荷が高いですから」
なるほど、高すぎる負荷を与えないようにパイロットが耐えられる程度に機能を制限するのか。
「ディゼル少尉であれば問題なくリミッター無しで扱えるかと」
ふむ、このマッスルデバイスというシステムだけでもブリタニアへの土産には十分だ。スザクのランスロットに搭載すれば強力な機体が出来上がりそうに思える。
『マーヤ ディゼル、聞こえているな?聞こえているなら机を指で二度…軽く叩け。…よし、以降そちらから反応を返す必要はないのでそのまま聞くように。』
イヤホンタイプの通信機からニクアツ マッスルガイさんの声が聞こえる。
『今のマッスルデバイスなるシステム、非常に興味深い。出来れば変形機構のあるナイトメア諸共我が軍で確保したいが、今はまだその時ではない。こちらの指示があるまでは引き続きE.U.のパイロットとして潜入を続けたまえ。君が殺害することになるユーロブリタニアの兵士については君には責任は無いので自分を責めるなよ。それではまた連絡する』
取説の中身を確認し終えると同時に通信は終わった。そして私のところに複数の足音が向かってくるのがわかる。
「おい見ろよ。知らねえ女奴だ」「すげぇ筋肉だな…」「あれ女…おん…な?女…か?」「今更驚くな。マルカル副司令も似たようなもんだろ…」「暑苦しい…」
ふふ、私くらいの美少女になると否が応でも注目を集めてしまうようだ。
「丁度良かった。ディゼル准尉、彼らがディゼル准尉と共に戦う日本人の方々です」
日本人…確かにその顔つきは日本人のものだ。
「代表は…日向 アキト少尉よろしいですか?」
レイラの呼びかけに三つ編みの少年が面倒臭そうに前に出てきた。
「お呼びですか、マルカル副司令。」
「紹介します。彼女はマーヤ ディゼル准尉、先程も言ったようにこれからあなた方日本人とたまに闘う女性です。」
「よろしくお願いします。」
それから作戦の説明があった。なんとこの城から行ける施設にロケットの発射台があり、アポロンの馬車と呼ばれる輸送ロケットにより敵の背後に降下して急襲すると言うものだった。
『マーヤ ディゼル准尉、私だ。』
その声に指で二度軽く弾く音を返す。
『ふむ、話が早くて助かる。…アポロンの馬車なる装置、実に興味深い。次の作戦は全力でE.U.の兵士として戦い給え。引き続き君の活動に期待する。』
…それじゃあ私のスパイとして意味がないじゃない…。ユーロブリタニア軍だって急襲されれば流石に被害が…
『…私が思うに今君は余計なことを考えているだろうから先に言っておこう。私が正式に軍師として着任する前の被害など私にとっては好都合でしかないのだ。分かったな』
その発言は私にとっては納得し難いものではあったが理解はできた。防げる被害を見逃して次の作戦で自分の有能さをアピールするつもりだろう。マッチポンプ…というほどではないが、あまり私好みではない。
コクピットブロックに乗り込み…うーん、狭いなぁ…待っているとアレクサンダへの接続と積み込みが始まった。
『ディゼル准尉。俺達の多くは理由があるから戦ってる。お前は何故戦う?』
突如通信を入れてきたのは日向少尉だった。
「そうね…覚悟を…持ちたいから、かな」
『…持ちたいから?覚悟はないのか?』
クラリスさんの知る私の秘密。それを知る覚悟を私はまだ持たない。もっと戦いの中に身を置き体と心を鍛えればきっと覚悟が身につくはずだ。
「今はまだ、ありません。…そういう日向少尉は?なんのためなんです?」
『死ぬ為だ。』
「死ぬ為…ですか」
なるほど、死ぬくらい鍛える為らしい。日向少尉はパッと身スザクよりは筋肉の劣る印象を持ったけど…心は既にかなり鍛えられているようね!
「じゃあ一緒に頑張りましょう日向少尉。死ぬほど鍛えて見事なエイトパックを手に入れましょうね!」
『は?お前何を言って…』
瞬間、体に重力がかかるのを感じる。うーむ、この負荷をうまく使って身体を鍛えられないものか…
レイラもマーヤレベルのマッスルウーマンです。
ニクアツ マッスルガイさんはまぁ、シャルルに記憶を書き換えられたルルーシュです。はい。
マーヤはスザクとは異なりルルーシュ=ゼロと教えてもらえていません。