ミートギアス 〜筋肉のルルーシュ〜   作:ベルゼバビデブ

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ナリタにて土石流攻撃をしなかったため、この辺から一部のシナリオが変わりますが、話の大筋は変わりません。

そんな訳で本編スタートです。


STAGE13

 フェネット氏の死、やったのは黒の騎士団だとシャーリーから聞いた。だがそれ以上踏み込んだことを聞くことはできなかった。当然だ、俺にだってそれくらいの良識はある。

「あなた…あなた…うぅ…」

「お母さん…」

 フェネット氏の土葬を俺は黙って見ることしかできなかった。そして、ふとスザクと目があった気がする。あいつの目は俺を睨み…そしてシャーリーを悲しそうな目で見ていた。

 

「サインがなくても通じるもんだな…」

「流石にあの雰囲気でサインを出すほど僕も馬鹿じゃないよ。」

 学園の屋上、俺を睨むスザクと対峙した。

「フェネット氏の死因、聞いたろ?強い衝撃と頭部への銃撃…やったのは黒の騎士団だと聞く。」

「俺じゃない…俺はやっていない!」

「君はゼロだ。黒の騎士団のリーダーだ!君のせいでシャーリーのお父さんは死んだんだ!」

 スザクに胸ぐらを掴まれる。俺は抵抗しなかった。

「確かに黒の騎士団の一員がやった可能性もある…だが、理由が無い…!ブリタニアの兵士ならまだしも、民間人を襲うなんて有り得ない!」

「何が正義の味方だ!君たちは一方的に人を殺すテロリストだ!大方見られて不味いものでも見られて口封じをしたんだろう!」

 どうにかしなくては…この状況を。そもそも、フェネット氏は本当に黒の騎士団に殺されたのか?何のために?

「待ってくれスザク…そもそも本当に黒の騎士団に殺されたのか?」

「他に誰がいるって言うんだ!」

 口封じ…そう、口封じだ…!

「スザク、もしもナリタにブリタニアの秘密の研究機関があったとしたら…?」

「そんな都合のいい話があってたまるか!」

 スザクは怒鳴るが、スザクを説得できるカードはすでに手の中にある。

「お前も見たはずだろ?毒ガスと偽られていたカプセルの女を!」

「!」

 そう、C.C.はクロヴィスによって極秘裏に研究されていたと言っていた。クロヴィスが死んだことで次の総督に研究がバレない様に移設…日本解放戦線の勢力範囲ないならば軍の捜査が及び難いと考えたのなら…?スザクは動揺したのか、胸ぐらを掴む手の力が弱まった。

「お前がもし、軍に見られて都合の悪いものを持っていて、軍から見つからない様に場所を動かすならどうする?」

「…軍でも手の出しにくい所に…あぁ、そういうことか…」

 そう、日本解放戦線の勢力範囲であるナリタの近く。辻褄は合うのだ。

「そんな…まさかブリタニアが民間人を…!?」

「…あくまで可能性だ。もしも黒の騎士団がやったのなら俺はシャーリーに正直に謝り、償いもする。だから協力してくれスザク。お前だって冤罪に苦しめられた身だろう!?」

「っ!…君は卑怯だ!そう言われたら…調べざるを得ないじゃないか…」

 ようやく俺はスザクから解放された。

「ルルーシュ、僕は君のために真相を調べるんじゃない。シャーリーのために真相を調べるんだ。彼女には全てを知る権利がある!」

「…分かった。俺は黒の騎士団の内部を調べる。軍の方は任せたぞ」

 

 スザクと別れた俺はゼロとして黒の騎士団でフェネット氏を殺害したかの調査を行った。カレンに事情を説明したところ、彼女も積極的に協力をしてくれている。カレンも俺と同じ気持ちなのだろう。内部調査の結果として、誰も心当たりはないそうだ。当然である、俺達は逃げるのに必死だったのだから。

「ゼロ!聞いてくれ」

「犯人がいたのか?」

「いや、そうじゃ無いんだ。キョウトから日本解放戦線の救援要請が来てる。」

 差し出された端末には港のタンカーにて日本解放戦線の生き残りが集結し、救援を待っているらしいことが書かれていた。俺達に日本解放の希望を託してくれた人だ。見殺しには出来ない。それに最早武器を持たぬ彼らだ。弱者を助けるのが正義の味方というものだろう。

 

 俺達が港に到着した時には既に日本解放戦線はブリタニア軍に包囲されていた。とは言え片瀬をやらせる訳にはいかない。

「黒の騎士団はブリタニア軍に対し奇襲攻撃を仕掛ける!ブリタニア軍を殲滅し我らが同志を救うのだ!ナイトメアは起動する前に海に叩き落とせば無力化出来る、数の差を覆し奇跡を起こすぞ!」

 俺が全軍に指示を飛ばしていると片瀬から通信が入った。

『ゼロ、聞こえるかゼロよ』

「片瀬か、今助けてやるもう暫く堪えてくれ!」

 しかし、モニターに映る片瀬は首を横に振る。

『我々が囮になる。奴らのナイトメアが取り付いたら流体サクラダイトを爆破させ奴等を道連れにするつもりだ。その混乱の隙にコーネリアを討って欲しい!』

「馬鹿を言うな!切り捨てるだけでは!」

 しかし、片瀬は黙って敬礼するだけだった。

『藤堂と四聖剣にはもしものことがあれば君達に従う様に言ってある。我ら日本人の希望は君に託す。ゼロ、後は任せたぞ』

 タンカーにナイトメアが取り付くと同時に大爆発が起こる。

『日本、万ざ…』

 片瀬との通信は途切れた。こうなれば彼らの覚悟を無駄にしないためにも勝利するしかない…!

 

「うおおおおおおおおお!!!!どけぇええええ!!!」

 思い切り蹴り飛ばし、サザーランドを海に叩き落とす。更に蹴った時の反動を利用して逆回転しつつスラッシュハーケンを放つ。遠心力を得たスラッシュハーケンはグロースターの横っ腹をブチ抜いた。

『ゼロ!前に出過ぎです!ゼロ!!』

「お前達は俺の退路を確保していろ!」

 カレン達には俺の退路を確保する為にブリタニアのナイトメアを掃討してもらう。俺の狙いはコーネリアただ一人だ。

『敵陣に突っ込んでくるとは愚かな!』『総督に近づけるな!』『ナイトメアの起動を急がせろ!』

 ナイトメアによる周囲からの同時攻撃をスラッシュハーケンによる跳躍で回避し、アサルトライフルで一体、輻射波動でもう一体を仕留める。仕留めたナイトメアのランスを奪い、投擲して道を作り廻転刃刀で切り伏せ、コーネリアの元へと月下を走らせる。

『勇猛だなゼロ!だがナイトメア戦で私に勝てると思うなよ!!』

 ランスによる刺突を左手で受け流しつつ距離を詰め、廻転刃刀で斬撃を仕掛ける。

『舐めるな!』

 放たれたスラッシュハーケンを弾くが、コーネリアには距離を取られてしまった。ならばここは意表を突くしかないだろう。

『私とてお前の闘い方は熟知している。その左手にさえ気を付ければ怖くはない!』

 俺は左手をコーネリアではなく、進行方向とは逆に向ける。

『何の真似だ!?』

 そして、一気に放つ!輻射波動により俺の月下は加速度を得る。そしてコーネリアのグロースターに膝蹴りを叩き込む。

『なんだと!?』

 振り上げた廻転刃刀を振り下ろせばチェックメイトだ!

『総督は僕が守る!!』

 俺は冷静ではなかったのだろう。背後から迫っていたスザクに気がつかなかった。奴の銃で刀を弾かれ、回転蹴りで左手を粉砕され、更なる斬撃により機体は限界に達した。

「クソ!ここまで来て!」

 脱出には成功した。

 

 …が、俺はあるミスを犯し、その後は紅蓮によって回収された。

 

 

 

 お母さんは泣き疲れたようで部屋で休んでいる。私も少し疲れてしまったが、眠る気持ちにもなれなかった。学校はお休みしているけれど、むしろ他のことをしたほうが気分は紛れるのかもしれない。家の呼び鈴が鳴り、お母さんの代わりに私が出た。どこかで見た覚えのある女性だったけれど、あまりよく思い出せない。

「…何の用ですか?」

「極秘裏に調査していることがあってね、調査に協力いただきたい。君の父君の死にも関わることだ。」

 お父さんの…?そう言われては無視ができなかった。私は車に乗せられ、写真を見せられる…ルルの写真だ。ルル…あの日あんな流れでキスをせがんでしまった。今度謝らなければ…そんな風に思っていると、女の人はルルがゼロだと言ってきた。

「そ、そんなはずありません!」

「何も私も適当に言っているわけでは無い。この学生の肩幅…ゼロと似ているとは思わないか?」

 確かにゼロもルルも肩幅すごいけど、そんなことでゼロ扱いされたらルルだってたまったものではないだろう。

「世の中には肩幅のすごい男の人くらいいくらでもいますよ!」

「君がそう思うのは勝手だが…まぁいい」

 そうして女の人とは別れたが、どうしてもあの人の言葉が引っかかってしまった。そうだ、私がルルの真実を証明してあげれば良いんだ。うん、そうだ。ルルがそんなひどいことを…お父さんを殺すはずがないのだから

「ルル、まってて…私がルルの真実を証明してみせるから…!」

 ルルを疑う様な行動に少し胸が痛むが、たまたまルルが学園を出るところを見かけた。ルルが外で何かをしている時にゼロが何かをすればルルの無実が証明できるはずだ。

「ごめんねルル、こんな疑うようなこと…」

 港の方まで来て私はルルを見失ってしまった。いけない、このままではルルの無実を証明出来ない。そう思っていると聞いたこともない恐ろしい音がする。

「これってテロ!?本当にルルが…!?」

 

 私が恐る恐る大きな音のした方に行くと、ナイトメアのコクピットブロックらしきものがあった。スザクくんに前教えてもらった感じとは形状が違うけれど…

「くっ…!失態だ。聞こえるか?私だ。位置情報を送る、回収を頼んだぞ。片瀬達に申し訳が立たないが作戦は失敗だ!ここで俺達まで討たれるわけにはいかない!撤退する!」

 あれはゼロ…!どうしよう、まだこちらには気づいていないみたいだけど、今なら逃げられるかも…そう思ってその場を離れようとすると、ゼロはこちらに顔を向けた。

「誰だ!そこにいるのは!」

「ひっ…!」

 ゼロに見つかってしまった。私は急いでその場を離れた。すると誰かとぶつかってしまう。どうしよう、黒の騎士団だったらお父さんみたいに殺されちゃうのかもしれない。

「見失った様だな?使えない奴め」

 ルルのことを言ってきた女の人だ。…どうしてこちらに銃を向けているの…?私、殺されちゃうの…!?いや、恐怖で足が動かない。誰か、誰か助けて…

 

「シャーリーから離れろ!」

 

 突如ゼロがやってきて女の人を蹴り飛ばした。女の人は海の方まで吹っ飛び、ドボンという落下音が聞こえる。

「な、何で私のこと…助けてくれたの…?」

 ゼロはお父さんを殺した人なのに。

「武器を持たない女性に銃を向ける悪人に正義を執行したまでだ。」

 ゼロはそう言うけれど、お父さんを殺した人達だ。やっぱり信用できない。そう思っていると続けて爆発音が聞こえてきた。

『ゼロ!こちらでしたか、撤退します、さあ捕まって!』

「おい待て!まだ…!」

 ゼロは突然現れた赤いナイトメアに連れて行かれてしまった。私はゼロに助けてもらったけれど、お礼を言うべきだったのだろうか?でも、黒の騎士団は私のお父さんを殺した人たちだし…あれ?

『シャーリーから離れろ!』

 どうしてゼロは私の名を知っていたの?

『何も私も適当に言っているわけでは無い。この学生の肩幅…ゼロと似ているとは思わないか?』

 

 私の名前を知っているあの筋肉量を持つ人を、私は一人しか知らない。

 




脳筋世界の日本解放戦線は漢気に上方修正が掛かっています。片瀬少将に敬礼!

ヴィレッタさんは銃で撃たれなかったよ。良かったね!


余談ですが、当十三話投稿時点で最終話である二十五話まてを書き上げています。よって、最終話までは毎日19:00に脳筋ルルーシュと脳筋に歪んだ世界が織りなすムキムキコメディを楽しんでいただければと思います。
また、展開予想等していただいても全然構いません。逆に、予想した展開が当たっていても意見採用ではありませんので悪しからず。また、おそらく返信では「今後見ていただければと!」みたいなこと返すだけになります。ご了承下さい。

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