ミートギアス 〜筋肉のルルーシュ〜   作:ベルゼバビデブ

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PHASE08′

 アレクサンダのコクピットの中、私達は再びアポロンの馬車で空へと打ち上げられる。いつもなら通信がありそうなものだが、やはりゼロへの対応で忙しいのかその様子はない。

 なんにせよ私は次の連絡があるまではE.U.の軍人として振る舞う必要がある。それにこのままゼロの好きにさせるわけにはいかない。やがて、大気圏に突入し、ゼロが用意した方舟の中に侵入を果たす。

 

 しかし、なんと表現すれば良いのか分からないが、箱舟の中は不自然なほどに空洞であった。骨組みも最低限…これではただのハリボテだ。一体どう言うことなのだろう?すると、正面に動く何かを捉えた。マズルフラッシュで見えたそれはサザーランドのようだ。私はトンファーを回転させサザーランドの発砲を弾き、距離を詰めて蹴りを叩き込む。

「更に2機…!」

 箱舟内の骨組みを走り接近してくるサザーランドに対し、先程倒したサザーランドからアサルトライフルを奪い合い放つ。こんなハリボテの中で投擲式グレネードは危険だ。そして破壊したサザーランドを改めて見てみると違和感に気付く。

「これ…ドローン…?」

 …ハリボテの箱舟、ドローンによる足止め…まさか…!?

「日向中尉、これは敵の…」

 私が口を開いた瞬間、奥に何かが光るのが見えた。この細い骨組みの上ではほとんど遮蔽物など無い、射線は通り放題だ。轟音とも呼べる連続的発砲音に顔を顰めつつ、私はトンファーを高速回転させ弾丸を弾いていく。マズルフラッシュを見るに、3つのガトリングを束ねた物を両腕に装備しているらしい。あんな物をこんなところで撃てば…思った通りドローンのサザーランドを巻き込み、やたらめったらに弾をばら撒いているのが見える。しかもいくつかの骨組みはあの銃撃で崩壊している。このままでは墜落もあり得る…しかしあの機体…どこかでみたような…?

 その時、ユキヤから通信が入った。

『みんな!あのナイトメア、シュロッター鋼の装甲を纏ってる。僕のライフルによる狙撃でもあれは撃ち抜けない…!』

 こちらの遠距離武器でユキヤのライフルによる狙撃よりも破壊力が高いものは無い。しかし、装甲が厚い相手に勝つ方法など幾らでもある…それは格闘だ。つまり、あの蜂の巣製造マシンのような弾幕の中に突っ込むしかないようだ。こうなれば作戦はただ一つ。

 

 全 速 前 進 よ !

 

「佐山准尉、香坂准尉、成瀬准尉、死なない程度に相手の気を引いてください。私が突っ込みます。日向中尉は私がつっこんだら後詰めとして更に突っ込んで下さい。私が突破口を開きます。」

『…任せたぞ』

 私の依頼通り、3人はそれぞれ攻撃を敵のナイトメアに仕掛けている。装甲を撃ち抜くことは出来ずとも、相手からすれば狙われているとなれば意識が割かれるはずだ。そして私はそこに付け入るのだ。投擲用グレネード2発を用いた爆発により私のアレクサンダは爆風に乗り加速度を得る。

『なんだ!?』

 そして十分に距離が詰まったところで最後の投擲用グレネードを敵に向けて投げ付ける。シュロッター鋼の装甲を破壊することは出来ずとも爆風事態は防げない。ガードするためだろう、敵の銃撃が狙い通り止んだのだ。

「今です!日向中尉!!」

『任せろ!』

 私の背後から躍り出た日向中尉は回転しつつ遠心力を乗せた蹴りを叩き込んだ。いくら装甲が厚くとも衝撃は逃せない!敵のナイトメアは落ちていき、日向中尉もその後を追っていく。私も追いたいところだが、加速度を出すためのグレネードの爆風のダメージのせいかうまく動かなかった。仕方ないので私はアレクサンダを降り、空気を思い切り蹴ることで体を浮かす空中歩行術を使い日向中尉の後を追った。

 

 私が辿り着くと、日向中尉は敵の…赤いナイトメアに対して関節部…つまり装甲の隙間に刃を差し込むことで破壊を行っていた。流石は日向中尉だ。そしてこの距離まで来て敵のナイトメアの姿を見てよく分かった。あの機体はドロテアさんのパロミデスの同型機のようだ。道理で重装備が可能な訳である。しかしそんな物まで用意できるとは…流石はゼロ、敵ながら狡猾さは衰えていないということか

 日向中尉がコクピットにとどめを刺さんとしている時、私は切り落とされていたナイトメアの腕部を投げ付けることで直撃を避けさせていた。

『なんの真似だ?』

 何も助けるつもりで妨害したのでは無い、相手がどんな人物か…仮に相手がゼロの場合なら今回の件は解決だが、ゼロでない場合これで終わらない可能性があるのだ。

「パイロットの確認が必要かと」

『…いいだろう』

 そのままコクピットハッチを斬り裂くと中から少年が出てきた。どうやら危惧した通りゼロでは無いようだ。もしかしたらこの船の中にまだゼロが…?

「はっ!油断するとは馬鹿な女だ!死ねぇ!」

 少年が発砲して来たため、弾丸を掴み投げ返して銃を弾く。

「なっ!?」

 取り敢えず大人しくしてもらうため、一気に距離を詰めてその腹に拳を叩き込んだ。

「少し寝てなさい!」

「カハッ!?」

 それから暫くして3人も合流すると、私のこの鍛え抜いた筋肉からなる聴覚が異音を捉えた。…これは…

「…時限爆弾の音…!」

 やはりゼロの狙いは私達をここに誘い込み、足止めをしたのちに箱舟ごと自爆することで私達のようなゼロに刃向かうものを一掃することにあったようだ。だが、私の筋肉ならばそれを事前に防ぐ事が可能だ!私は脳筋であり、全身が筋肉である私は即ち全身が脳味噌…この天才的筋肉頭脳を持ってすればゼロの作戦を逆に利用することすら可能だろう!

「成瀬准尉、この飛行船には時限爆弾が仕掛けられているわ。」

『爆弾が…?』

「成瀬准尉なら爆発と同時に私たちのアレクサンダのシグナルを誤魔化して死んだと思わせる事が可能よね?」

『それは…できるけどそんなことしてどうするの?』

 決まっている。ゼロ程の相手ならば我々のバイタルがヴァイスヴォルフ城に送られるようになっている事など知っているだろう。だからそれを逆に利用する!ここで我々が始末されていると見せかけ、油断したゼロを奇襲するのだ。

「敵を騙すにはまず味方からよ。」

 私はそれからこの飛行船に仕掛けられた爆弾の一部を私の全身頭脳と勘で解体し、この飛行船が全壊しないように爆発規模を抑える工作を行った。そしてユキヤには頑張ってもらい、逆にwZERO部隊本部の情報はこちらに入るようにしてもらっている。暫くすると、ヴァイスヴォルフ城が襲われ、レイラが降伏するためにブリタニアと交渉するという情報が入った。私がそこに介入すればかなり良い条件にできるはずだ。

 しかし、空から見る限り交渉は決裂しているらしい。レイラ達は複数の相手に囲まれ、銃を向けられている。特に相手は対筋肉を考慮しているらしく、スナイパーライフルを所有している人間の姿も見えた。流石のレイラもあの数のスナイパーライフルを捌き切るのは難しいはず…!

 ユキヤによる狙撃はレイラ達周辺の地面を穿った。あの程度の威力ならば直撃さえしなければレイラの筋肉を考えれば無事なはずだ。よし、そろそろ頃合いだろう。

「みんな、聞こえてますか?こちらはワイヴァン隊、聞こえていたら応答をお願いします」

『…その声、マーヤさん!?…なんで今まで通信してこなかったんですか!?』

「すみません、敵を騙すにはまず味方からですから。」

 日向中尉とアシュレイ アシュラは先に降下を行い、アヤノとリョウも降下を行った。残るは私とユキヤだけだ。結局あの後隈なく探索した物のゼロの姿は無かったので、恐らくブリタニアに紛れたのだろう。流石に逃走ルートは確保しているということらしい。未だにスザクから連絡がないので引き続きE.U.の軍人として活動をする私は箱舟のパーツとユキヤの技術、解体した時限爆弾を利用して投下式爆弾を作成した。ヴァイスヴォルフ城に進軍する部隊に投下して爆発を起こし多大な被害を与えることに成功した。…ここまですればまさか私がブリタニア側の人間だとは思うまい。こうなれば私が裏で手引きするのも容易という物だ。

 だが、次の瞬間私の筋肉が空を裂く何かを感知する。

「何かくる…!?ユキ…」

 轟音が空をつん裂き、フロートシステムのサクラダイト活性炉を何かが貫通したのが見えた。

「まずい!」

 流石にフロートシステムが破壊されれば落下するしかない。私一人なら空中歩行でなんとでもなるが、ユキヤを見捨ててはいけない…どうやら今の衝撃で気絶したらしく、ユキヤからは応答もなかった。幸い、落下予想地点は湖だ。ならばやりようはある…!まずはユキヤのアレクサンダからコクピットを分離させる必要があるが、私の筋肉とテコの原理を持ってすれば…!…よし、うまく分離できた。あとはこのコクピットに思い切り膝蹴りを叩き込めばアレクサンダの衝撃吸収用バルーンが展開するはず、それを浮き輪代わりにすれば水に沈むことはないだろう。

 取り敢えず着水したので無理矢理ハッチを引き剥がしユキヤの様子を確認する。

「うぅ…」

 どうやら腹部から出血しているようだ。取り敢えず応急措置として圧倒的筋肉で止血をする事にした。凄まじい筋肉により止血には成功したが、顔色は悪い。血が足りていないのかもしれない。船のモーターが聞こえてくる。

「おーい!!レイラァー!!!」

「マーヤ!!今行きます!!!」

 レイラを呼ぶと直ぐにボートが到着した。私がユキヤを連れて乗り込み、そのままヴァイスヴォルフ城まで連れて行く。幸い、私とユキヤの血液型は同じだったので私が輸血をする事にし、ユキヤの手術はランドル博士のつてで遠隔からのデバイス手術で行うらしい。

 手術の成功については祈るばかりだが、目前に迫る敵を考えれば今私がすべきは祈ることではなく備える事だ。という事で体が鈍らないように片手指立てさせをしていると、アシュレイがやってきた。

「お、居た居た。黒髪の筋肉女…、お前がマーヤ ディゼルだな」

「…アシュレイ、丁度良かった。貴方に聞きたいことがあったんです。」

 アシュレイはシン ヒュウガ シャイングの部下、つまりはミカエル騎士団だ。ということはマンフレディ卿の事も知っているはず。

「確か貴方の上官…シン ヒュウガ シャイングがミカエル騎士団の団長なんですよね?」

「ん?あぁ、まぁな。」

「…因みに前の団長は誰だったのですか?」

 私は筋トレを続けながら疑問を投げつける。彼は袋に入ったスナックを口に放りながら口を開いた。

「ミケーレ マンフレディ卿だよ。なんか急に自殺しちまったんだよな。」

 思っていたよりもスムーズに聞きたいことを聞くことができた。しかし…マンフレディ卿が自殺…?

「自殺?理由は?」

「知らねぇよ。お前こそ…なんでそんなこと知りたがるんだよ」

 確かにこれ以上は不自然か…。だが、アシュレイの反応を見るにやはりマンフレディ卿の自殺は唐突な物らしい。つまり、やはりシン ヒュウガ シャイングは何かしらの手段で自殺を…いや、そうか、わかったぞ…!

 シン ヒュウガ シャイングはゼロの協力者に違いない…!ゼロの力があれば自殺偽装など容易…。シン ヒュウガ シャイングがミカエル騎士団の団長という権力を得れば協力者であるゼロにとっても都合がいい…!それに未だにマッスルガイさんが連絡を忘れるくらい大変な事態になっているのもシン ヒュウガ シャイングが妨害工作をしていると考えれば不思議ではない…!よし、まずはゼロの手がかりを得るためにもシン ヒュウガ シャイングを捕らえなければ…!

 

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